バックカントリーガイドによる今シーズンのコロナ対応はどうなる? ―カラースポーツクラブの模索と対策から

コロナをめぐって

1992年よりゲレンデ外に目を向け、バックカントリーというフィールドでのスキーやスノーボーディングの楽しみ方を追求してきた「カラースポーツクラブ」。代表の舎川さんは、これまで多彩な独自のルートを開拓、ガイド業界において常に先駆的な活動をしてきた。

今回の新型コロナウィルスの問題も、発生してからいち早くガイドサービスの指針を示し、状況を鑑みながら内容を更新してきた。シーズンインを控えた今、舎川さんにコロナをめぐるこれまでの対応の実際や、今シーズンへの対策、そして、バックカントリーガイドサービスの考え方などについて、話を聴いた。

カラースポーツクラブ代表 舎川さん

2月・3月を振り返ると

「2月の前半まで海外から普通に欧米人も来ていたんですよ。その頃は本州より北海道のほうが感染者が多くて、僕ら白馬や信州、新潟あたりでは、まだ遠い世界のように感じていて自分たちの話題になっていなかったと思います。2月の上旬の旧正月でインバウンドの1便は入ってきたけど、2便が入ってこなかったんです」。
インバウンドのお客さんが来なくなったことから、雰囲気が「通常とは違うぞ」となっていったという。

「正式に政府が自粛を発表したのは2月26日だった。でも法的に拘束力のない自粛要請なので、滑りたい人はいける。なのでお客さんに不安のないように、カラースポーツでは新型コロナの情勢について、こういう感染対策の対応で進んでいきますという案内を2月26日に出しました。

2/26 ★ご案内: ガイドプレイ参加へ体調は万全に!★

https://www.facebook.com/colorsportclub/posts/2796087717142517

3月に入って北海道のガイドクラブも営業はしていたけど、そもそもお客さんが足を運ばなくなりました。それでもまだ、白馬も、かぐらも、けっこうお客さんは入ってきていましたね。首都圏に住んでいる方が多いから。お客さんたちの感覚も、まだけっこう遠い感じだったと思います」

3月11日に自粛要請の延長が発表。
「こうして延長が続くと首都圏のファンたちも、これはただごとじゃないぞって感じがしてきたと思います。でもバックカントリーツアーは小規模イベント、行政のHPに掲載がある営業自粛の大型イベントには該当しないから、僕らは胸を張ってやっていた。

自粛・自粛の中で

でも、さすがに大型イベント自粛、夜の飲食店やライブハウス自粛、自粛自粛となって、マスコミがネガティブに取り上げて騒いでしまうと、行く先が山でもお客さんはどうしても足を運べなくなる。実質3月いっぱいで営業終了する同業者が増えました。 その頃はコロナが2週間くらいで解決するんじゃないかなって雰囲気はあったと思います。ただ、僕はこれは長期的なスパンで考えないといけないって思った。3月の下旬で僕の今後の方針は見えていました」

アフターコロナなんてない

「アフターコロナなんてない。AFTERではなくてWITHで今後を見据えていかないといけない。だから営業終了ではなくて、こういうルールで活動していきますよって3月下旬から少しずつアピールしていったんです。アウトドアは3密になりにくい。東京が立ち行かないなら、今後は地方で日本経済を回して、そこから東京に還元しないと、と思ったんです。アウトドア業界が経済を引率していかなといけない、だからここで営業終了はありえない、という自負で営業していました」

舎川さんはこう考えて4月6日、Facebookに独自のガイドラインを公表した。継続していくなかで、お客さんに安心して来てもらえるように、対策を講じたものだ。

4/6 ★"新型コロナウィルス(COVID-19)感染症対策"その対応項目について★

https://www.facebook.com/colorsportclub/posts/2887959804621974

GW前の緊急事態宣言を受けて

「4月の中旬まで営業したんだけど、だんだん感染者が増えて4月中旬に緊急事態宣言が出て、初めて法的拘束力が出たから、これはもう営業してる場合じゃないと思いクールに受け止めました。5月のGW後に営業再開を設定したけれど、結局宣言が延長されたので、僕らもそうするしかなかった。一方で、WITHコロナに向けて、今から対策やガイドラインを設けないとダメだなって思ったんです。

次に来るシーズンに向けて、反省も含めてガイドラインがどう機能するか試したかった。 今、試さないと来シーズンの動きが取れないと思って、5月中旬から営業を再開して、結局6月中旬までやりました。僕らも独自のガイドラインや対策項目を作ったりしたけど、機能する・しないことがわかったんです」

6月のシーズンラスト白馬”エンディングエンジョイ”ガイドプレイ

やっぱりありえないとわかったこと

ちなみに機能しなかったこととは、ツアー中のマスク着用だったという。
「5月中旬から6月、マスクってどうなのかって半信半疑でやっていた。普段の生活の中ではそんなに影響ないけれど、山の中では酸素の摂取量が減るから息苦しい。体の絶対的なエネルギー維持が厳しくなるんです。それに、春ならまだいいけど、冬にマスクしていたら凍っちゃう。だからやっぱりマスクはありえないなーって。

だから、お客さんへの案内では、室内、送迎のクルマ、ミーティングでのマスクの着用はお願いしますが、フィールドではちょっと休憩して、寄り添うときは、バフみたいなものをしたり、おしゃべりする際はエチケットマナーとして手を添えるよう、お願いします」

カラースポーツの発表した2020-21シーズンへの取り組みはこうだ。
「ガイドプレイ参加へマナーも大切に!」
http://colorsportclub.com/playguide/backcountryplayguide.html

この夏で見えてきたこと

「この夏を終えてみると、キャンプ場は例年より100%越えだったというし、山の登山も絶対数は激減したけれど、さほど減ってない山域もあった。今まで山小屋に泊まっていた人が日帰りになったり、2泊していた人が1泊になったりしたけれど、まったく人がいなくなったわけじゃない。ホテルの宿泊は抵抗あるけど、グランピングだったり、貸し切りコテージでの宿泊は伸びて、例年の2倍3倍来たところもあったという。

アウトドアの時間や空間の楽しみ方がお客さんに受け入れられた夏だったと思う。外で遊んだり、外で自分の空間を確保することは、これから益々求められていくと実感しています」。

また、リモートワークといわれてきて、白馬でコテージを借りて長期滞在して仕事する人が増えたとか。自分で時間のやりくりができるようになったので、週末をからめて金曜日や月曜日も自分の時間に使える人も出てきていて、そんな流れも見えてきている、という。

今シーズンはどうなるのか

「今シーズンの雪山がどうなるのかは、正直まったく読めないです。でも、夏の様子を見ていても、いろんな客層がいるなかで、シーズン30日滑っていた人は今シーズも普通に滑ると思いますよ。

リモートワークの影響も含めて、今後は週末と平日の境目がだんだんなくなっていくと予想しています。コロナにからめて月曜・金曜が休みやすくなる。自分のペースで働き遊ぶ人が増えているだろうし、インバウンドが来られないので、スキー場は空いてるというイメージを抱く人もいるんではないでしょうか。

だからあまり悲観的にならずにポジティブにいきたいですね。お客さんのモチベーションを上げていくために、スキー業界は早め早めのポジティブなプロモーションをしていくことが重要だと思っています」と舎川さん。

自然の中へ足を運ぼう

最後に、STEEP読者へのメッセージをいただいた。
「普段の街という生活圏から自然の中に足を運んで時間を過ごすことは、心がゆったりしてストレス発散にもなり、精神的にもとてもいいと思うんです。スキー場でも山でもいい、山ならもっと自然感が深くなるので、同じ時間を過ごすにもリフレッシュの度合いが違ってきます。

こういご時世だからこそ、普段の生活から行動範囲を考えて、時間ができたときは足を延ばして自然に入って過ごす。とても有意義だと思うので、ぜひ自然の中へと足を運んでもらいたいです」


[INFO]  WHITE seasonスタートアップイベント

"2020/2021 立山初滑りOPENING BANZAI"ツアー!!」

11月にして別天地!信じられないような銀世界が広がるこの時期の立山。バックカントリー好きが集まるシーズンINのお祭り!パウダーゲット狙いましょう!! (もちろん初めての方、大歓迎!!)

立山初滑りツアー・雷鳥荘プラン:

・11月14日(土)-15日(日) 週末1泊2日プラン 
・11月17日(火)-18日(水) 平日1泊2日プラン
・11月17日(火)-19日(木) 平日2泊3日プラン
・11月21日(土)-23日(月) 週末2泊3日プラン
・11月24日(火)-25日(水) 平日1泊2日プラン

立山初滑りツアー・ホテル立山プラン

・11月26日(木)~27日(金)平日1泊2日プラン
・11月28日(土)~29日(日)週末1泊2日プラン

◆詳しくはコチラhttp://www.colorsportclub.com/schedule/backcountryschedule_11.html


教えてくれた人/カラースポーツクラブ 舎川 朋弘さん   構成/STEEP編集部

【Profile】 舎川 朋弘  Tomohiro Tonegawa

90年代初頭より厳冬期における山岳スキーシーンを切り拓いてきた草分け的存在。海外活動を経ると同時に代名詞となる白馬全域のフィールド開拓を達成。
JMGA山岳ガイドステージⅡ・JMGAスキーガイド ステージⅡ・JAN雪崩業務従事者Level2保有

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