いま人気沸騰中の星野洸我とは?|世界中で注目を集めた映像と特別インタビュー

星野洸我(ほしのこうが)をご存知だろうか。新潟県南魚沼市出身の22歳。昨季のFWQ HAKUBA 3スターで2位になった男だ。さらに、独創的な滑走スタイルがスノーパークユーザーを中心に注目されて、20季のシーズンエディットを今年の5月に配信したところ、カナダのスキーウェブメディア「NEW SCHOOLERS」までもが彼の滑りを絶賛する記事を掲載した。

彼の昨シーズンの振り返りをインタビューしたので、話題の映像と合わせてチェックしほしい。

―まずは、今シーズンはお疲れ様、どんなシーズンだった?

そうですね。今季は映像作品が作れたし、大会でもそこそこ結果を残せたし、悪くはなかったかな、と思っています。

―映像の出来栄えはどう?

結果的には形には形になりましたけど、まだまだトライしたかったスポットや、やりたいトリックがあったのにできなかった、っていうのが正直なところですね。今回の映像は短く、良いカットだけを入れようと思って作りました。理想的には1:30くらいで納める予定だったんですけど、結局色々詰め込んだら2:30になっちゃいました。

―なんで1:30なの?

XGAMESのREAL STREETという番組をめちゃめちゃ意識していたんです。トップアスリートがカメラマンとタッグを組んで、ストリートの映像だけで作品を作って優秀作品を競う映像のコンペティションなんですけど、TOM WALLISHを始めとしたトップライダーと視聴者がジャッジするんです。一年に一度の映像の祭典なので、インターネット上での盛り上がりが絶大です。このREAL STREETの作風に近づけることで、比較されて、ニュースクーラーズとかのメディアに注目されやすいかなと思ったんです。それと、5分や6分にしたところで、中だるみしちゃいそうで、インパクトのある映像だけでまとめたかったんです。

―ストリートの映像だけででまとめたのはどうして?

当初から、今年はストリートだけで作るって決めていたんです。それも間違いなくリアルストリートの影響ですね(笑)バックカントリーとかナチュラルジャンプは来年でもいいかな、って。

―REAL STREETに惹かれる理由は?

個人に軸をおいて映像で評価するコンペティションが他にないからですかね。個人パートの良し悪しで評価されるのが、シンプルでいいと思います。それとやっぱりXGAMESという大きな組織に惹かれるものもあります。REAL STREETは世界中の人々に発信されて投票されるので、観客との一体感もユニークですね。

―ロケ地はほとんど北海道だよね。どうして?

前年にも北海道に行っていて、ある程度ロケハンして、場所を決めていたんです。あと、今季は全国的に雪不足で必然と北海道になったっていうわけもあります。去年はストリートスポットが多いという理由で、行っていました。

高さ10mオーバーのドロップジャンプをする星野

―撮影は誰と行ったの?

一緒に活動している村山将大(むらやま しょうた)と上村兼三(かみむら けんぞう)です。北海道では自分たちのクルマを持っていって、車中泊をしながら撮影していました。行った場所は札幌、小樽、旭川です。

―印象に残っているエピソードは?

映像の最後のシーンにあるデカいウォールですかね。あとで知ったことなんですが、あのスポットはLevel 1プロダクションのチームもトライしていたみたいなんですよ。ウォールは映像でみるより実物はもっと巨大に感じて。ほかの2人は身体を痛めていたり、体調が万全ではなかったので、結局5時間かけてアプローチを整えたけど、トライしたのは僕だけでした。すこしでもミスったら大怪我につながるので、プレッシャーのなか、なんとか2回目でメイクしました。時間かけてみんなで造り上げただけに、この時の喜びは本当にデカかったです。

ヒッチハイクでスキー場に通うウィスラー生活

―ニュースクーラーズにも取り上げられたね、どういう経緯だったの?

僕がカナダのウィスラーに行っていた時、ニュースクーラーズのスタッフが僕の滑りを見ていて、覚えてくれていたんです。その彼が僕のSNSをチェックしていてくれて、知り合いを通じて「記事にしてもいいか?」って連絡がきたんです。
でも面識はなかったんですよ。あったのかな? あんまり覚えてないんですよ(笑)同じスキー場で滑ってて、僕は知らなかったのに向こうは僕のことを知っていてくれた。ありがたいことですね。

―僕もそのタイミングで洸我とウィスラーで滑ったことがあったけど、そのときも面識のないローカルから「君たちの滑り、ほんとにクレイジーだ!」と興奮気味に喋りかけられたのを覚えてるよ。で、実際ウィスラーに行ってたのは19歳だったよね?

はい、3年前の19歳の時です。村山将大と行きました。きっかけは同じ南魚沼市出身であるスキーヤーの板場美奈がすでに向こうにいたのと、家賃やスキーパスなどお金関係が総合的にみて他のスキー場より安かったからです。日本もいいけど、海外のハイレベルなスノーパークに行って修行したかったんです。

―なにが変わった?

間違いなくうまくなりましたね。怪我もしなかったし。一番大きな収穫が、世界で活躍している人たちの滑りを目の前で見れたこと。超うまかった。とくに惹かれたのはSNSで人気のJake Carney。彼はウィスラーローカルなんですよね。たまにしかいなかったですけど。ひとつ一つの滑り方がかっこよくて、見ているだけで、勉強になりました。

―ウィスラーではどういう生活を送っていたの?

ちょっと事前の下調べで甘くて、冬季のウィスラーはどこも家賃が高いんですが、スキー場から少しはなれたスコーミッシュという地域の家を借りたんです。そしたら、スキー場までバスが、往復4000円くらいして、そんなの僕らは払い続けられない。たまたま家の同居人にワーキングホリデーで滞在している日本人が居たんです。その人が車を持っていて、スノーボードをするので、その人が行く日には一緒に乗せてもらってました。
それ以外の日は、ヒッチハイクをしてました。『whistler』って書いた段ボールをもって。これが結構しんどいんです。すぐ捕まる日もあれば1時間捕まらない日もある。まったく駄目なときもありますし。乗せてくれたのは、地元の夫婦だったり、仕事に行く途中のサラリーマン。一度警察がきて、あれやこれやと質問もされました。ヒッチハイクしちゃいけないところだったらしくて(笑)何事もなかったですけど。英語が達者じゃないので、結構ビビりましたね。帰るときは駐車場で同じ方向に帰る人を探せばいいだけなのですぐ捕まるんですけどね。とにかくスキー場に行くまでが大変でした…。

朝からピーカンでザ・デイみたいな日は惜しみなくバスを使いましたね。往復4000円て日本に居たら高く感じますけど、もう行くしかない!みたいな。

それが1月~2月の2か月間くらい。それから家賃が安くなるタイミングでウィスラーの近くに引っ越しました。そこはバスで10分くらいでスキー場まで行けて、周りにも日本から来たスキー・スノーボーダーがたくさんいて、楽しいウィスラー生活を送りました。最初の2か月間はとにかく大変でしたけど、まあ、精神的に鍛えられたって感じですね。

ヒッチハイクでスキー場へ向かう
ウィスラーでの一枚、日本に居てもカナダに居てもお馴染みの三人。左から村山将大、星野洸我、板場美奈

―今後も海外遠征は続ける?

そうですね。でも次は短期でいきたいですね。長期だと下調べや金銭面、生活もなかなか大変です。日本でもいろんなスキー場滑りたいですし。カナダ以外にも行ってみたいと思っています。ニュージーランドのペリシャーとか。いまはカナダの反省を生かして、ちょっとずつ英語の勉強してます。

悔しさが残る HAKUBA FWQ3スター

ーなるほど、それじゃあ話を変えて、フリーライドの大会はどうだった?

今年はFWQ HAKUBA3スターの大会で2位でした。結果は残りましたけど、全然満足してないですね。1位はFWTへの出場権限があたえられるけど、2位は何もないので。1位じゃないと意味ないと思っていたので、悔しい部分が多いですね。でも、良かったこともあって、僕は普段SNSでの映像発信が主の活動なんですが、表彰台に立てたことで僕のことを知らない人にも覚えてもらうことができましたね。それはすごく良かったと思っています。

FWQ HAKUBA3スターの会場全貌、写真左上がスタート地点。
ビブナンバー1という決して有利とはいえないスタート順で2位になった。

―これからも大会には出続ける?

今後もフリーライドコンペに力を入れていきたいですけど、さらに力を入れると映像製作との兼ね合いもでますからね。少し悩んでます。毎シーズンだらだら出るというよりかは、一年一年、勝負の年という風に考えながらやってるので、来年こそはFWTに出て、スパッと大会からは身を引きたいです(笑)本戦に出場すれば注目度も変わってくると思うので、あくまで出場すること自体は通過点という捉え方です。

―今季はどういう動きを?

今シーズンは、初めにカナダのレベルストークに行きたいと思っています。大きな山なので、また修行の意味合いを持って。そこでフリーライドの経験値を高めて、1月中旬、日本に戻ってきて白馬のFWQに出場する、というのが今の理想像です。それ以降は未定ですけど動画製作ですかね。

―来季の映像作品のイメージはあるの?

あります。今季はナチュラルのジャンプを入れまくります(笑)ストリートとジャンプ、半分ずつくらいですかね。今季できなかったストリートスポットも控えさせているので。来年もまたボリューミーな映像になると思うんで楽しみにしててください。

―今後当面の動き方は?

将来的な目標はまだ決まっていませんが、近々ではFWT HAKUBA出場とREAL STREETにでること。映像作りもフリーライドコンペティションもどちらも続けていきます。

星野洸我(ほしのこうが) 22歳 2020FWQ HAKUBA3スター2位

スノーパーク文化の醸成された新潟県、石打丸山スキー場の麓に生まれ育つ。両親の影響で3歳ころからスキーをはじめ、小学生の頃にスキー場にいた周囲のフリースキーヤーに影響を受け、自然な流れでフリースタイルスキーを始める。
その後高校性になると実力を認められ、宮田恭兵、高橋拓三らから組織される地元のフリースキーチーム「YBI」のメンバーになる。なかでも年齢も家も近い高野大輔からの影響を色濃く受ける。
現在は撮影活動に重きを置き、同級生の村山将大とともに南魚沼・湯沢エリアを中心に全国で滑り続ける。

インタビュー 編集部 小野塚大悟
2020.7月収録

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