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Skier/Tof Henry Location/Chamonix、FRA
「あそこらへんに岩があるから」「こっちの方には亀裂があるから」などとアドバイスのようでいて脅し以外の何物でもなさそうな言葉を残し、一気に加速して行くのを、僕は「自分にとって本当に安全で大丈夫なのか?」と不安でしかなかった。 確かに、本当に注意しなければいけないポイントはあるが、彼が滑ると決めたエリアの雪質は良いところばかりだった。しかし、斜度感はスリリングなところがほとんどで、気を緩められる瞬間があまりなく、永遠に続くような雪面に足はパンパンで泣きそうな僕を傍目に彼は笑いながら滑り続けていた……。

Skier/Hidemitsu Okada Location/Kamifurano、Hokkaido、JPN
見た目にも地形的にも、風に叩かれているのは一目瞭然。でも、僕の目には面白い画角しか思い浮かばず、ヒデには無理を言って滑ってもらった尾根。 そして、器用な彼は大した文句も言わずに、こちらの要求通りに滑ってくれることに感謝の気持ちしかない。 ちなみに、「俺なら滑れんし行こうとも思わないけどね」という自分の正直な気持ちはしっかりと伝えるようにはしている。 多くの人に伝えたい。彼らのようなアスリートは、大抵のコンディションで、難なく簡単そうに? 滑っていける技術をしっかりと身につけている。上手なのは当たり前だけど、自然相手にどこまで対応できて、どこまでプッシュして良いかという際どいところを知っている人たちだ。

Skier/Tof Henry Location/ Chamonix、FRA
多分、普段なら彼はロープの外側をスキーを履いて移動していただろうに、写真のためにわざわざ歩いてくれた。 足元の柔らかそうな雪はマヤカシ。カチカチの凍った尾根を降りることが必然なこの場所は、シャモニーのAiguille du Midi。ブーツで歩くくらいなら、狭くても急斜面でも良いからスキーを履いていた方がよっぽど安心できる自然まる出しの場所。だからこそ遊び甲斐も果てしない。 トフはシャモニーを熟知し、その日その時間で最適なロケーションを把握し、とてつもないスピードで移動できる「超人的スキーヤー」だと認識するのは、この短い撮影期間で十分だった。 とにかく、山の人間として強いとは、彼のことだと思う。

Skier/Taisuke Kusunoki Location/Akaigawa、Hokkaido、JPN
駐車スペースからこの斜面のボトムまではほぼ平坦。距離もないことは等高線地図を眺めて容易に想像できた。あとは雪の付き具合がどんなもんかと、下見程度の気持ちで行ったのだが、この尾根を確認した瞬間に泰輔のスイッチが入ったのがわかった。 尾根のスキーヤーズ右側は狭い沢へ吸い込まれる出口のないクリフ面。スキーヤーズ左側のオープンで気持ちよく滑れる斜面には見向きもせず、このマッシュ続きの狭い尾根をどう滑り降りられるか? というところで意見を交わしながらスタート地点まで一緒に登るが、上からのカメラアングルはないと確認して独りボトムへ戻る。 あとは、泰輔のポテンシャルを信じてシャッターを切り続けるのみ。

Skier/Tetsu Kawaguchi Location/Rankoshi、Hokkaido、JPN
日当たり良好の南面、豪雪エリア、斜面は深い沢に続く地形。 一見さんであったならば、この魅力的な斜面を目前にしながらも行くのを諦めるであろうロケーション。 このエリアをよく知るテツとは選択肢の一つとしてよくネタには出ていた場所だったが、先延ばしが続いていたエリアだ。 条件が揃っていると感じていたにせよ、緊張感が高めな時間だったことは間違いない。 自分は対面の安全な場所にはいたが、「もしかして」とネガティブなことも考えて、カメラを構えながらも対雪崩用ギアの残像が頭の中をグルグル回っていたことは忘れない。

なかにしたかひろ
1974年11月15日生まれ。
使用カメラ:Nikon D5、Nikon D500、時々FM3a。ミラーレスも試してみたいと思いながら、タイミングを見つけられないままSLR構造に頼り続ける
天気、積雪状況、アスリートの都合によって、撮影場所に対してとくにこだわりなく思うままに移動し続けている。
ベースエリアはない。選べるならば、岩場絡みのタイトな急斜面が好み。雪質は、個人的にはなんでも良いが、アスリートの気分と安全が第一条件。 その日その日が「その日」なのだから、その時々の状況に合わせてカメラを構えられるように心がけている。
Treble Cone(ニュージーランドのスキー場)は沢山の地形が凝縮されていて、コンディションにかかわらず楽しめるところが大好き。La Grave(フランスのスキー場っぽいところ)は、常にアドレナリンを感じられるチャレンジ感満載な環境で楽しすぎる反面、疲労感も半端ないところが大好き。
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