スノーボードでは20年以上の歴史を持つBOA。23-24シーズン、アルペンスキー用が登場して以来、瞬く間にシーンの話題となった。 そのBOAブーツを昨季から使うのが勝野天欄と佐々木悠。フリーライドのトップスキーヤー2人もいまではすっかりBOAの愛用者だ。
僅かな力の違いで、スキーを微妙にコントロールでしやすくなった|佐々木 悠
シーズン中にカナダと日本を行き来する佐々木悠は、よっぽど硬い斜面を滑るとき以外は、ほぼBOAブーツで過ごしている。
「滑り始めたらスキー操作に違和感をまったく覚えませんでした。
バックルは足の上から抑えているので足が痛くなることがあったんですが、BOAは足全体を均一に包んでいるので、快適に過ごせます。
BCでバックルを緩めて歩くと、ブーツのなかで足が動いてあたるなどのトラブルがあったのですが、BOAはそうした不具合がありませんでした」
滑って、飛んで、回って気になるところは一切なし|勝野 天欄
一方の勝野は、FWT期間中は試していないものの、それ以外でよく使っていたという。
「新しいブーツではじめて滑るときは大丈夫かな? って感覚なんですが、まったく気になるところがなくて、滑って、飛んで、回って、のすべてが調子良かったです」
ミリ単位の調整が効くことで、どんな人へも抜群のフィット感をもたらすBOA。足の隙間がなくなるとなれば、スキーへのパワー伝達のロスが少ないことは想像に難くない。
これまでの感覚を更新する はじめから使い慣れた感触
BOAは特殊なインソールを使って、足の甲と底側の静圧を実際に測定している。結果は足裏への力が最大で6%向上し、ターン始動時に加わえる力が10%高まったという。
それでいながら足の甲にかかる圧力を13%も軽減していることから、快適性とパフォーマンスを両立していることが科学的にも立証されたのだ。
「ターンがより向上したかどうかは感覚的にはわかりませんが、1年目から長年履き慣れてたブーツと変わらない感じで滑れているのは、なによりも凄いこと。
足首が入りやすく、スイッチやフリースタイルな動き、パウダーでも滑りやすい。足裏にかける僅かな力の違いで、スキーを微妙にコントロールでしやすくなっている感覚がこれまでよりありますね」
そう話す佐々木悠。
勝野天欄は、
「バックルは気合で無理やり締めていたので、ある箇所に負荷が集中している感じがありました。
でも、BOAはブーツにかかる負荷が満遍なくあって隙間もない。均一な力の働きが、はじめからノンストレスで滑れた要因かもしれません。サム・クッチ(K2)が問題なく滑っていますから、大会以外では使えるブーツだと実証されているでしょう」
コンペや映像で活動する2人が声を揃えて言う、履いた瞬間の違和感のなさと快適性。
迷うなら、まずは履いて雪上に立ってみよう。2人の言っていることが腑に落ちるはずだ。
佐々木 悠 使用モデル
ATOMIC/HAWX ULTRA XTD 130
軽量なシェルながら、主要部分に補強を加えることで、滑走性能と歩行性を高い次元で両立したフリーライドブーツ
勝野 天欄 使用モデル
SALOMON/SHIFT ALPHA BOA 130 GW
カフとシェルをつなぐパーツがパワーと制御力を高め、さまざまな条件下で滑走性能を存分に発揮するフリーライドブーツ
BOAのテクノロジー
5年以上の歳月をかけて誕生したアルペンブーツ対応のBOAフィットシステム。
硬いシェルに適合するため、従来のシステムではなく一から新たな仕組みを開発している。
ロアシェルを包み込み、ヒールをしっかりと固定。足の上部への圧力配分を均等にしたことによって、ブーツとの一体感が高まり、パワー伝達性が向上し、スキー操作がしやすくなっている。
均一で確かなヒールホールド
締め上げたレースが均一に足を包み込み、ヒール部分の収まりが従来より高まり、スキーに力が伝わりやすいポジションがつくりやすくなった
微調節を可能にするダイヤル
ダイヤルを垂直に押し込んで回すと1クリック約0.25mmずつ締め·緩めの調節ができ、引っ張り上げると全解放する。足の形を問わず、均一に締め上げることを可能に
強靭で耐久性の高いレース
19本の芯の周りを90本で覆う形でステンレスワイヤーを撚り合わせて構成されたレース。250kg以上の引張強度を持ちながら、しなやさかさをもっている
6ブランドがBOAを採用
23-24季はアトミック、フィッシャー、K2、サロモンの4ブランドから合計26モデルがリリースされたBOA搭載ブーツ。
24-25季からはノルディカとテクニカの2ブランドが加わり、6ブランドでの展開に。ノルディカからは「Speedmachine 3 BOA」というオールマウンテンブーツ、テクニカはオンピステ向けの「MACH BOA HV 130GW」を発表している。
Information
BOA
公式サイト:https://www.boafit.com/ja-jp
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