バックカントリーガイド愛用のバックパック'24-25|プロの選択とレビュー

バックカントリー(BC)のスペシャリストであるBCガイドたちはスノーシーズンのほとんどの日、雪の上に立っている。彼らにとってバックパックは、ゲストや自身の安全性の確保とともに、収納いかんによってツアー中のエネルギーや時間のロスにも直結する超重要なアイテムだ。プロガイドたちはどんなバックパックに惚れ込み日々愛用しているのか? その優れた点について教えてもらった。次に手にするバックパック選びの大いなる参考にしてほしい。

※表示価格はすべて消費税込みとなっています

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BCA|FLOAT E2 35L

’22-23シーズン、BCAより登場した新しいバッテリー式のフロートバッグ。新しいE2システムは、Alprideのスーパーキャパシタというファン駆動システムの採用により、エネルギーを蓄積し、展開時にコンプレッサーに電力を供給。二次電池のような化学反応ではなく、磁気エネルギーに基づいてエネルギーを貯蔵・放出する。このため低温化でも信頼性が高いのが魅力。

容量:30-35ℓ
重量:2,792 g (S/M with E2 system),  1,651 g (without E2 system)
Size:S/M, M/L
Color:Tan(Black,Moss Green 全3色)
¥231,000

◆公式HP/https://elevateoutdoorcollective.com/

「フロートシステムで信頼性が非常に高い」|かぐらパウダーステーション 五十嵐和哉

機能性に優れ軽量。背負ったときのフィット感、バランス感が良く、疲れない。
サイドスタッシュポケットに濡れたシールや、クトーなどを分離して収納でき、取り出しも容易にできる。フロートシステムが確実で信頼性が非常に高い。BCで必要とされる機能が整っている。

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かぐらパウダーステーション五十嵐 和哉 Kazuya Igarashi

モーグル全日本チャンピオンを経てW-CUP出場、ナショナルチームコーチを務め里谷、三浦、附田、原など育成。三浦雄一郎氏に従事しスノードルフィンで活躍。2008年三浦氏と共にエベレスト登頂。現在は、BCスキー・登山ガイドとして、かぐらパウダーステーションを支える。


Deuter|FREERIDER PRO 34+

10ℓ分の拡張機能がトップ部分に備わって収納性はバッチリ。軽さを追求しながらショルダーストラップはやや厚みを持たせ、ライディング時の一体感を高めるフィット感を実現。ギアを取り付けたままでも背面側から荷室にアプローチ可能なバックアクセス機能。スキーのアタッチメントはAフレーム・ダイアゴナルの2wayが可能。

容量:34+10ℓ
Size(高さ×幅×奥行):58 / 35 / 18cm
重量:1280g
Color:ブラック(ライトブルー×ネプチューン, カクトス×スプラウト 全3色)
¥33,000

◆公式HP/https://www.iwatani-primus.co.jp/products/deuter/index.html

「現存するBC用バックパックの中で最強 」|WARP 有馬 新

Deuter(ドイター)のバックパックをガイド開業以来25年使っています。フリーライダープロ30に始まり現行のモデルまで3台使っていて、現行のモデルはグリーンとブラックを使っています。2つ使っているのはシーズンに100日ほど使用するので交互に使うことで長く使えるからです。

現行のモデルはリッター数のわりに非常に軽くできていて、気室も目的ごとに分かれていて、シールポケットが外側にあったり、バックカントリーをするうえで必要なアイデアがたくさん盛り込まれて、現存するBC用バックパックの中で最強と言っても過言ではないといえるでしょう!サポートは受けていません、自分で買っているのが良さの証拠です。

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WARP有馬 新 Arata Arima

02-03シーズンに仲間と共に水上エリア最初のガイドクラブWARPを創設。 谷川、武尊、かぐらエリアを中心に活動。フリーライディング主体の滑り系ガイドクラブとしてピークハントにこだわらずローカルエリアの開拓に力を入れ続ける。


Deuter|FREESCAPE PRO 40+

トップからボトムまで均一な形状を維持することで滑走時のフィット機能が充実し、軽量化も実現。バックアクセス、セーフティギアを収納する大型のフロントポケット、ゴーグルやギアストラップなどを収納しておけるトップポケットも便利。スキーのアタッチメントはAフレーム・ダイアゴナルの2wayが可能。

容量:40+10ℓ
Size(高さ×幅×奥行):70 / 32 / 24㎝
重量:1500g
Color:インク×マリン(ティール×コーン 全2色)
¥36,300

◆公式HP/https://www.iwatani-primus.co.jp/products/deuter/index.html

「パッキングのし易さ、背負い心地ともに優れている」|黒田山岳ガイド事務所 黒田 誠

十分な容量と、それに見合った担ぎ心地。小屋泊まりを含めて、多くの場面で使用できます。背負いやすく背負い心地が良いので、一日行動しても疲労感が少ない。パッキングがし易いこと、他に使っている人が少ないのも嬉しい。ガイド業務の時には、よりオールラウンド性の高いFreescape Pro 40を、共同装備をシェアできるプライベート山行のときには、同じくDeuterのFREERIDER 30を使います。

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黒田山岳ガイド事務所黒田 誠 Makoto Kuroda

少人数制のプライベートガイドで、それぞれのレベルにあったオリジナリティあふれる山行をサポート。滑りだけでなく、旅心を大切にサービスを提供している。


GREGORY | ベルテ24

Freerideのヒップベルトが体に合わせて動き、自由な動きを可能にしながら、程よいテンションでサポート。グレゴリー独自のハイドレーション・スリーブ、除雪機能搭載バックパネル、サイドマチつきの古ジッパー、アバランチ・ギアを収納できる耐久性の高いパッド入りフロントポケット、手袋をしたままでも開閉しやすいジッパープルとバックルなど、使い勝手も抜群。

容量:24ℓ
重量:1150g
Size(高さ×幅×奥行):48.5×27×20.5㎝
Color:カーボンブロンズ
¥36,300

◆公式HP/https://www.gregory.jp/

「ハイクが短くライディング主体のツアーで使用している」|Rhythm Works 旭 立太

ハイクが短くライディング主体のツアーで使用。ゴーグルストラップのようなヒップベルト、シンプルなデザインで動きやすくアバランチギアだけでなく、危急時対策の装備も収納できコンパクトで気に入っている。

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Rhythm Works|旭 立太 Ryuta Asahi

自然のリズムに合わせ四季を通じて山へ登る。一般縦走からバリエーションルート、沢登りからバックカントリーライディングまで、幅広い山の魅力を伝えるマルチな山の案内人。


Haglöfs |ROC Nordic 30

セーフティギア具を収納できる独立したコンパートメントと、広くてアクセスしやすい革新的な開口部のあるメインコンパートメントが特徴。

容量:30ℓ
Size(高さ×幅×奥行):55×27×22㎝
重量:1,297g
Color:True Black
¥48,400

◆公式HP/https://haglofs.jp/

「いろいろ便利!」|GRANIX mountain guide 荒川 智

スノーセイフティー用具を収納できる独立したコンパートメントと、広い開口のメインコンパートメントがアクセスしやすい。さらに全面的に開口する背面が便利です。高さを自由に選択できるサイドコンプレッションも。

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GRANIX mountain guide荒川 智 Satoshi Arakawa

ゲストに最高のバックカントリー体験を提供したいと願いながら、主に長野県白馬村の山岳地帯を中心に活動している。 夏は登山ガイドとして日本国内の山岳エリアを案内。 ガイド歴:13年


GREGORY |TARGHEE45 

メインコンパートメントにはバックアクセス。耐摩擦性が高く雪が付きにくい素材を使用、柔軟性のある外周フレーム、全周コンプレッション、フロントにはアバランチ・セーフティポケット、収納・調節可能なヘルメットキャリーが。スキーキャリーはダイアゴナル&Aフレームに対応。ハイドレーションチューブを通せるショルダーハーネスも。

容量:45ℓ(M)・48ℓ(L)
重量:1660g(M)・1740g(L)
Size(高さ×幅×奥行):77.5/29.2/29.2cm(M)82.6/29.2/29.2cm(L)
Color:アラスカブルー
¥37,400

◆公式HP/https://www.gregory.jp/

「背負い心地もフィット感も良く滑走中に荷物に振られることもない」|インフィールド 中野豊和

バックカントリー用のバックパックとして、ショベルやプローブの収まりがとても良い。ガイドに必要なギアを入れるにも十分な容量があって、背面もフルオープンになるので、ギアの出し入れがしやすく使いやすい。もちろん背負い心地もフィット感も良いので、滑走中に荷物に振られることもない。

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インフィールド中野豊和 Toyokazu NAKANO

妙高高原へ移住後10年間の経験を経て、2006年より「インフィールド」を開始。現在、冬はバックカントリーツアーガイド、テレマークスキーインストラクター、夏は登山・トレッキングガイド、シーカヤックガイドとして活動中。


Klattermusen |Trud 44L

軽量で頑丈、ツアーリングやBCでの使用に最
適。オリジナルの 210 デニールリップストップ
生地は、耐水圧 10,000 mmの防水性で耐久性が格段に高い。サイドファスナーで、メインコンパートメントへのアクセスも容易。ワンロールトップでコンプレッションも可能。スキーアタッチメント、ハイドレーションシステム採用。クイックリリースバックル、最新チェストストラップ機能の軽量荷重伝達システム4-Ssystemで、高い調節性とコントロール性を備える。

容量:44ℓ
Size(高さ×幅×奥行):69×29×27cm
重量:980g
Color:Raven(Burnt Russet 全2色)
¥63,800


◆公式HP/https://klattermusen.jp/

「渋くてカッコいいデザインとカラーで目立つ!」|CIRCLE GAME guide service 佐々木翔平

軽量で大容量なアルパインバックパックです。 1kgを切る重量ながら十数キロの荷物を背負っても肩が痛くなることはなく、非常に助かっています。 アバランチギアを収納する部屋もしっかりありますし、メインの部屋にはワンアクションで開閉できる上部からと、サイドジッパーからの2通りでアクセスできます。 なにより渋くてカッコいいデザインとカラーで、目立つこと間違いなしです!!

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CIRCLE GAME guide service佐々木翔平 Shohei Sasaki

北海道七飯町出身札幌をベースに、冬はバックカントリースキーのガイド、夏は北海道の自然を幅広くガイドしている。クライミングとスキーを組み合わせることを好む。


PLUS ONE WORKS| IRWAK 38

※2023ー24までの展開
バックアクセス、ゴーグルが2個入る雨蓋は取り外し可能。日本人の体型に合わせて設計された3DSショルダーストラップと3DETフレームは荷物の重量と滑走時の動きの妨げを軽減、CSウエスト ハーネスは骨盤を包み込むようなフィット感で荷物の横揺れを防ぎ、滑走クオリティを維持できる。1Dayツアーに最適。

容量:38ℓ
重量:1800g
Size(背面長):50cm
Color:Navy(Olive, Coke Red 全3色)
¥26,400

◆公式HP/https://www.full-marks.com/plusoneworks

「無駄な揺れがなく滑りでのストレスがない」|Spur 秋田マウンテンガイドサービス 佐藤真理子

Photo:Yuya Murakami

体との一体感が感じられ、滑走時は特に無駄な揺れがなく、滑りでのストレスがない。収納や背面アクセスなどの使用感とデザインやカラーも気に入っていて使っています。

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Spur 秋田マウンテンガイドサービス|佐藤真理子  Mariko Sato

高校までアルペン競技、その後基礎スキーへ。全日本スキー技術選手権出場経験あり。とあることがきっかけで山スキーに魅せられガイドを目指し国際自然化環境アウトドア専門学校(i-nac)で学びプロガイドへ。


PLUS ONE WORKS|SHUMARI 35 EVO

’24-25季に展開する「EVO」は、100%リサイクルポリエステル素材ECOPAKの生地を採用し軽量化。便利なロールトップのギアラック、セーフティギアは専用コンパートメントに収納。背面アクセス、ゴーグル 2個が入るポケットあり。日本人の体型に合わせて設計されたショルダー ストラップとフレームは荷物の重量と滑走時の運動の妨げを軽減し、ウエスト ハーネスは骨盤を包み込むようなフィット感で荷物の横揺れを防いでくれる。

容量:35ℓ
重量:1700g
Size(背面長):50cm
Color:Coyote(Black 全2色)
¥36,300

◆公式HP/https://www.full-marks.com/plusoneworks

「剛性が体への負担を軽減、快適な一日が過ごせる」|COLOR SPORT CLUB 舎川朋弘

ザックの持つ剛性感が、長い時間の背負いからくる体への負担を軽減し、滑りにより良く影響する。揺れないという利点と、それによって身体を疲れさせない安定感は、バックパックの完成度を上げている。また、シンプルな造りはショベルやプローブなど、クライミングスキンを含めた雪の付くギアをしまう部屋と、雪を入れたくない持ち物をしまう部屋とで分けることができて便利だ。

バックカントリーに必要な装備を収納する専用ポケット、またロールタイプからなるアクセス口はヘルメットからアイゼン、そして荷が増えた時などのしまい込みにも重宝する。背面アクセスや、背面長の長さなど、なかなか良いデザインに仕上がっている。バックパック自体の厚みのない造りも、滑り手からすれば、より重心が体に寄せられる滑走に良い形でマッチするバックパックである。

クライミングスキンからアイゼンに履き替えることを余儀なくされる場合でも、スキーをバックパックがしっかりと固定し受け止めてくれることから、その背負いから増すはずの重さも感じさせないほど。SHUMARI 50(50ℓ)も愛用している。

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COLOR SPORT CLUB舎川 朋弘  Tomohiro Tonegawa

現在に至るバックカントリシーンを築いた草分的存在。90年代初頭よりゲレンデ外に目を向け、厳冬期における山岳スキーシーンを切り開いてきた。代名詞となる白馬全域のフィールド開拓を達成してもなおパイオニアワークは続いている。


SALOMON|MTN45

トレイルラン用パックをベースに開発されているため、すばやい水分補給も可能で、動きやすく安定性に優れているのが特徴。一体型の入れ口から大きなスタッシュポケット、調整可能なスキーキャリアとギアループまで収納にこだわったデザイン。

容量:30ℓ
重量:1311g
Size:58 x 28 x 25cm
Color:Glass Hoper(Navy, Silver, Coke Red 全4色)
¥26,400



◆公式HP/https://salomon.jp/

「多機能でとても助かる!」|マウンテンガイド・コヨーテ 古市竜太

背面から荷室を直接開けることができるため、ザックの下に入っているものを取り出しやすい。 両ショルダー部分にポケットがあり、無線や小物を入れるのに重宝しています。軽量に作られているので大変助かっています。

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マウンテンガイド・コヨーテ古市竜太 Ryuta Furuichi

環境と食に興味を持ち、明治大学の農学部卒業後、雄大な北海道で生活する為に北海道の企業に入社。さらに身近に自然を感じ、環境にインパクトをかけない生活を実践するために マウンテンガイド・コヨーテを立ち上げる。テレマークスキーで雪山を滑るのが大好き。

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