バックカントリーに入る際、何らかのスマートウォッチを付けて行動する人が増えている。BCフィールドでのスマートウォッチ、知っているようで実は知らない使い方や機能もありそうだ。最近、バックカントリー愛好者にも注目されている「Garmin(ガーミン)」をピックアップし、読者レポーターが、その奥深い活用方法をメーカーに教えてもらった。
バックカントリーでスマートウォッチを使っていますか?
バックカントリーフィールドに入る際、スマートウォッチを付けて行動する方多いのではないでしょうか? 僕の周りだとダントツ「Apple Watch」が最多で、季節問わず登山をする人は「Sunnto」や「Garmin」でしょうか。そんな僕も日常からバックカントリーフィールドまで、常にGarminのスマートウォッチを利用していますが、未だこれがベストという使い方には行きついていません。BC愛好者のみなさんは、どのようにスマートウォッチを活用しているでしょうか?
自分では使い方を知ってるようで、実は使いこなし切れていないことが多いバックカントリーでのスマートウォッチ。そこで、一体どんな活用方法やポテンシャルがあるのかきちんと知りたい! ということで、Garmin Japanのマーケティング部の谷口さん・酒井さんに、Garminをバックカントリーで使うメリットについてお話をうかがいました。
Q. Garmin(ガーミン)のウェアラブル端末について教えてください
A.「Garminは1989年に電気技師であったゲイリー・バレル(Gary Burrell)とミン・H・カオ(Min H. Kao)により共同で設立されました。Garminという社名は、創業者のゲイリー(Gary)とミン(Min)の二人の名前をとって、Garminと名付けられたのです。
最初は、GPSの測位技術を飛行機のパイロットのナビゲーションシステムへ導入。海洋分野にも進出し、魚群探知機などを手掛けるなか、GPS測位技術から様々なデータの活用技術へと進化し、現在はみなさんが目にするGarminのウェアラブル製品へと組み込まれ、様々なスポーツ・フィットネス分野へ拡大しています。
特にランナーを筆頭とするスポーツ分野でのウェラブルウォッチの使用は顕著なものがあり、GPS計測技術を基盤に身体の状態を把握する心拍センサーなどを組み合わせることで、記録はもちろん、そのときの心拍をはじめとする様々なライフログデータなどを同時に記録することができるのが特長です。
ただ、GPSや各センサーからもたらされるものはあくまでデータでしかなく、ウェアラブル端末の本当の価値は、ユーザが蓄積したデータをもとに、いかに日常のコンディショニングに活かし、最高のパフォーマンスを発揮するコンディションを作り上げるか、という点にあります。
Garmin独自の身体のエネルギー残量を表す「ボディーバッテリー」や、睡眠トラッキングをはじめとするライフログ機能、運動管理機能を用い、ポテンシャルを発揮したいときに最適なパフォーマンスを出せるようにすることが、Garminのウェアラブルウォッチの本当の価値と考えています」
…と谷口さんは話してくれました。
fēnix 8 Sapphire AMOLED |フラッグシップGPSウォッチ
コチラがGarmin Japanがバックカントリーユーザにお薦めするフラッグシップモデルの「fēnix 8」。
視認性、バッテリーの持ち、耐久性に非常に優れ、アウトドアでの過酷な使用にも十分に耐えるタフさを持つ。まさにラグビープレイヤー、リーチ マイケル選手のイメージがぴったり。
見た目にも、普段のビジネスシーンでの使用もまったく違和感のないスタイリッシュなデザインも魅力だ。
GARMIN
◆公式HP/https://www.garmin.co.jp/
Q. バックカントリーで使える機能はどのようなものがありますか?
A. 「Garminのウェアラブルウォッチは、ランニング、スイムから登山まで、100種類以上の様々なアクティビティを記録することができます。記録できるアクティビティの種類の多さから、トライアスロン選手やアドベンチャーレースなど、様々なスポーツを組み合わせたような競技選手にも好評を得ています。
バックカントリーも登山とスキーや、スノーボード滑走を組み合わせた複合的なアクティビティですが、各種のセンサーを組み合わせて様々なシーンをトラッキングすることができます。またこのようなアクティビティの場合、バッテリーの持ちが非常に重要です。機種にもよりますが、GPSモードでも約84時間近く駆動するものもあり(fenix 8 51mmの場合)、安心してフィールドでお使いいただけるのも特長です」
①精度の高いGPSを用いたルートトラッキング
スマートフォンの登山アプリでもおなじみのGPSによるトラッキングだが、GarminのGPSデバイスはとても正確に行えることが特長。
2024年4月に滑りに行った月山バックカントリーの行動データ。
地図上にハイクとトランジション滑走の情報が地図上に正確にデータ化されている。
標高差とハイク、滑走の時間、スピードなどがグラフィカルに表現されたデータ。
地図と組み合わせると、どのような行動をしていたのかが一目瞭然にわかる。
②行動の標高差や心拍データ・消費カロリーなどのログデータのトラッキング
行動中の心拍データや、行動した標高差や行動に要した消費カロリーなど、ウェアラブルウォッチならではのデータがログとして集積できる。特にトレーニング効果や消費カロリーなどのデータは、普段の運動に比べどれくらいの負荷なのかであったり、行動にどれくらいのカロリーが必要なのかなど、次のアクティビティの参考になるデータを取得することができる。
約7時間の山行がどれくらい自身に影響を与えたかがわかる
僕のオフシーズンの街で暮らす1週間の運動負荷が約150。それに比べて280と、山での1日で日常の一週間以上の負荷を与えていることになる。
より快適に山行をしようと思うと、普段からもっと意識して対応できる負荷を上げていく必要があることがわかる。
標高差でどれくらいのエネルギーを消費したかがわかる
この日は約7時間の山行で2360カロリー消費、推定の発汗量が約6リットル。前日にはこの消費量を支えるカロリー摂取、行動中にもカロリー摂取が必要なことがわかる。
この日は暑かったので、これくらいの発汗はしていそうだ。携帯していた水分もやや少なかったせいか。この日はかなり疲労したので、実は水分不足気味だったのではないかと推測される。
Q. ウェアラブル端末を利用するメリットはなんですか?
A.「Garminのウェラブルウォッチでアクティビティーをトラッキングし、データを確認するだけでも楽しいものですが、実はGarminはこれらのデータを利用し、その先のアクティビティーの際に[自身のポテンシャルを100%発揮するためのコンディショニングツール]としての側面も持っていいます。
Garminのスマートウォッチのラインナップを見ると、普段使いしやすいようなスタイリッシュなモデルから、本格的にスポーツに取り組むアスリートモデルまで、多様なラインナップがあるのはこのためです。
睡眠やストレスなどのデータを分析して5~100の数値で表す「ボディーバッテリー」というGarminの独自機能をもとに、毎日の身体の状態やアクティビティーをトラッキングすることで、自身の体調の傾向をつかみ、アクティブに動きたい日に備えて日々のコンディショニングの参考にできることが、Garminのウェアラブルウォッチの大きな利点であり、ユニークな特徴といえると思います」
「睡眠データ」を得ることで行動が変わる!
Garminウェアラブルウォッチでは、睡眠の質を100点満点で採点する「睡眠スコア」や、浅い/深い/レム/覚醒といった睡眠段階、昼寝を計測。睡眠を知ることで、自身のカラダの状態をより深く理解できる。
自身の睡眠パターンや採点をもとに睡眠前の行動を振り返ることにより、自分にとって最適な睡眠が得られる行動パターンがわかってくる。ちなみに睡眠前の飲酒などはもっての外。
実際にとったデータを見てみよう。睡眠時にも装着することで、このような睡眠データを得ることができる。
もちろん睡眠の質は睡眠前の行動に大きく左右され、行動によって大きく質が変わることが一目瞭然に把握できる。以下のデータは、前日に1日中アクティビティーを行った日のデータと、前日長時間飲酒をして睡眠をとった日のデータ。違いは一目瞭然。
前日に1日アクティビティーを行い、しっかり睡眠を取った日のデータ。途中覚醒が寝起きのタイミングでしか発生していない。
前日に長時間飲酒をしたとき睡眠のデータ。睡眠中に断続的に覚醒が発生している。
「ボディーバッテリー」で「今ここ」の自分がわかる!
「ボディーバッテリー」は、Garminならではの特長的な機能で、「カラダのバッテリー残量」を5ー100で測定。スコアが大きいほど、その日の活動や運動に費やすことのできるエネルギーがあることを意味する。
反対にスコアが低いほど、体力を温存したり、回復するために十分な休息をとる必要があることを示す。
ボディバッテリーは睡眠データや日中の活動量とリンクしている。良い睡眠をとればバッテリーが回復し、悪い睡眠だとあまり回復しない。日中に関しては、一日の心拍変動(HRV)を利用したストレスレベルが記録され、これが高いとボディーバッテリーが消費されていくようなイメージになっている。
活動的な日の翌日のボディーバッテリー
睡眠で大きくボディーバッテリーが回復し、日中の仕事での移動やジムなどでどんどん消費している様子がわかる。
長時間飲酒をした翌日のボディーバッテリー
睡眠中もストレスがかかり、ボディーバッテリーがあまり回復していない状態での仕事はしんどく、データにもその様子が表れている。
これらの一部のデータを振り返るだけでも、日中の過ごし方がいかに睡眠に影響を与え、日中の活力に影響を与えているかわかる。特に長期のバックカントリーツアーでは、夜についつい過飲酒になりがちだが、活力を持っていいポテンシャルを発揮したいと思えば、お酒の量は慎むべき。なんてこともわかってきます。
そして、日常生活でも然り。エネルギーが切れたら動けない。放電してしまう前に充電を。「カラダは嘘をつかない」というエビデンスとして、健康を守るためにも実に役立ちます。
まとめ:ウェアラブル端末をBCで使うアドバンテージ・わかったこと!
スマートウォッチというと、活動中のデータを取得することで次の活動に活かす、というログ的な使い方に目が行きがちです。しかし、もう一つの使い方もあるのだと、今回Garminのお二人のお話を聴いてよくわかりました。
日々の健康データをトラッキングすることで、日々の活動を見直し、ポテンシャルを発揮したい日に向けてのコンディショニングをする。そんな使い方は、スポーツや趣味の世界だけに限らず、仕事に向き合うビジネスユーザにも日常的に受け入れられ、自分自身もそのように使うことで様々なメリットがあると感じました。
もちろん、バックカントリーでは日々の消費カロリーよりも摂取カロリーを上げて山に入ったり、山行までに睡眠の質を高めておくことによって、長期のロードトリップでも、タフな1Dayツアーでも、最高のコンディションを保ちながら遊ぶことができるのではないでしょうか?
【最後にGarminのユーザーとしてのレビューを】
僕のGarminユーザー歴も2年を過ぎました。ある時期から睡眠が十分にとれない時期が続いて、スマートウォッチなるもので睡眠を計測できるという触れ込みから、Garminのエントリーモデルを購入したのがはじまりです。
しばらくGarminを着けていて判明したのは、寝る直前までPC作業をしたり、遅い時間に飲酒や晩御飯を食べる習慣を長く続けていたことが睡眠トラブルの原因だった、ということです。寝る前に体に負荷になる飲酒や食事は睡眠の質を大きく落とすと同時に、PC作業も脳の興奮状態が収まるまで時間がかかり、睡眠の質を大きく下げていました。仕事や生活のリズムが睡眠の質と日々のパフォーマンスを大きく下げていたのです。
それから、Garminへの信頼度が一気にアップ。ダイビング、登山、バックカントリーに対応できる「Decent MK3」を購入。日々の仕事や生活のリズムの管理からフィールド上でのアクティビティのログ管理まで、すべてをこの一台で賄っています。バックカントリーの長期ツアーでも、生活のリズム管理がパフォーマンス維持にとても役立っていますし、もちろん仕事でも。
みなさんも、Garminでデータを中心としたパフォーマンス管理の世界を覗いてみてはいかがでしょう?
新しい日常と山の世界が広がるかもしれません!
REPORT :YOSHI(STEEP読者レポーター)
バックカントリーは7シーズン目。普段は東京でマーケティングの仕事に従事し、標高3,000mと水深30mの間を行き来するスキーヤー・ダイバー。当初はパウダーを滑ることだけに夢中だったが、ハイク中に見える山の景色、空気感、そして地方の山を訪れる旅に魅了され、さらにのめり込み、地方に第二の拠点を構えることを本気で考え中。
取材協力:Garmin LTD.