ターンを楽しみ質を高めたい女性必見。サロモン「QST STELLA 106」

Photo=Hiroshi Suganuma

フリーライドシーンで確固たる地位を確立しているサロモンの「QSTシリーズ」。
バックカントリーや新雪を滑るのに適したスキーが軽量化へと舵をきるスキーが多いなか、「QST」は重厚であらゆる雪や場所において高速下でのスキー操作に秀でたスキーの走りだ。

滑走性を重視したスキーは、スキルの高いスキーヤーからの評判がとても高く、そのウィメンズモデルである「QST STELLA 106」も同様の高い評価を受けているスキーだ。そこで、「QST STELLA 106」の解像度を上げるために、福島のり子、中川未来の2人がセッションをしながら探ってみた。

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「QST」がブレイクしたその理由

「QST」の前身となる「QUEST」からフリーライド系スキーを乗り続ける福島のり子

2016年に登場した「QST」は、2021年から22年にかけての3度目のアップデートを機に大きく躍進した。
フリーライドのコンセプトを見直し、最適なウエストレンジや設計を再構築したラインナップは、どんな状況でも安定した高速滑走性能を発揮するオールマウンテンモデル。
バックカントリーを主戦場にするスキーやパウダー滑走向けスキーが続々と軽量化を図るなかにあって、比較的重量感があり、頑丈で、荒れた雪をものともしない力強さをもったスキーは、滑りに重きを置くスキーヤー達を歓迎された。

FWTを転戦する勝野天欄をはじめ、映像作品「BLANK Collective Films」「SALOMON TV」でも「QSTシリーズ」の活躍を筆頭に、国内フリーライドコンペティションでもウエスト幅112mmの「QST BLANK」を使う選手を多い。

その人気の秘密は素早い切り替えのしやすさと、滑り手の力を着実にスキーへと伝達する性能の高さだ。

さまざまなテクノロジーを搭載しているQSTシリーズ

薄く軽くしたトップとテールには振動吸収性に優れたコルクを配置し、ポプラ材のフルウッドコア構造はしなりと強さを持ち合わせている。雪面にビタッと張り付くような滑走性があり、その安定性はとても高い。
足元はエッジホールド力を高める高密度のABSを注入したダブルサイドウォール構造だ。そのうえ、スキーの全長には麻とカーボンを織り交ぜた複合素材を載せたことで、余すことなくスキー全体にパワーを伝達している。

なによりもトップとテールのワイドポイントをセンター寄りにしたアウトラインが、素早いピボット操作をもたらした。重量と比較した操作性の高さは大きな利点となっている。

「QST 106」と遜色ない女性用モデル「STELLA 106」

「QST BLANK」と色違いのグラフィックが載った「QST STELLA 106」

その「QST」の女性用モデルが「STELLA 106」をはじめとした「LUMEN 98」「LUX 92」だ。いずれも「QST106」「QST98」「QST92」と対になるモデルとなる。

搭載機能は男性用の「QST」とはほぼ変わらない。長さの展開が異なっており、女性用サイズとして157cmからラインナップされている。

「QST」の登場時から乗り続ける福島のり子が「QST STELLA 106」の乗り心地をこう話してくれている。

このとき福島のり子が手にしているスキーは23-24季の「QST 106」

「サロモンのスキーには20年以上乗り続けていますが、QSTのサイドカーブとロッカーの組み合わせが絶妙過ぎて、どんなことでもできます。パウダー、カービング、ジャンプも自由自在。
ポジションの許容範囲が広くしなやかにスキーがたわみ、ハイスピード時でもスキーは安定します。ターンの入りがとてもスムーズ」

そのサロモンに23-24季から中川未来がジョインした。白馬を拠点に活動する福島のり子と、北海道をベースにフリーライドの大会に出場しながら撮影やセッションイベントをする中川未来。

そんな二人が白馬で初めてセッションした。

マテリアルチェンジをした中川未来とのセッション

JAPAN FREERIDE OPENでは23年、24年の2年連続優勝を果たしている中川未来。幼少期からアルペンや基礎スキーを経験する

「基礎スキーをやっていた頃から、のり子さんは雑誌で見ていたので、雲の上のような存在でした。ましてや一緒に滑るようなことはないだろうと……。初めて出場した技術選にのり子さんも出ているのを知って、それだけでも満足していたくらいです(笑)」

中川未来がフリーライドの大会に出ている頃には、福島のり子はすでにコンペシーンから離れており、撮影や家業に忙殺される毎日。二人が交わるタイミングはほぼなかった。福島のり子は彼女について「名前はもちろん知っているし、写真を見て滑りが上手い」という印象は持っていたという。

そんな二人が福島のり子のホームである白馬で、はじめて一緒に滑ることになった。

山に上る前に乗りはじめて間もない「QST STELLA 106」を手にしながらギア談義

1月末の限られた日程のなかで、コンディションを見極めて選んだのが樹林帯。降雪もあまりないなか、ここならパウダーが残っているというローカルの勝手知ったる斜面で二人はセッションは始まった。

斜度30度ほどの北斜面には木々の間にわずかにノートラックな斜面が残っており、そこを滑っては登り返すを繰り返しながら、作品を残していく。

「狙う斜面を下から見て、木々の間をシュシュと抜け、ピンポイントでターン。なかなかテクニカルな撮影セッションだったと思います」

と語る福島のり子。そのコメントを聞いて中川未来はこう話した。

「猫の額ほどのパウダーしか残っていなかった」と言うものの、的確にポイントを見極め画を残す福島のり子。力強い踏み込みからスプレーを上げる

「北海道では女子だけでセッションすることが少ないんです。なので、条件など関係なくこうしたセッションの機会はとても嬉しいですね。のり子さんのスキーは力強いし、経験値も高いのでどんな斜面でもしっかりとコントロールをして、かつスピードもある。こんな滑りを間近で見られることは少ないので、とても貴重な経験です」

普段は札幌近郊のスキー場やバックカントリーを滑る彼女にとって、白馬の山は新鮮そのもの。さらに、経験豊富な同性とのセッションだっただけに、滑っていて楽しかったという。

一方の福島のり子も中川未来とのセッションは刺激的だったという。

「周りにはあまりいないタイプの滑りをするスキーヤーですね。未来は密脚でシルエットが綺麗。周りはややワイド目のスタンスで力強い滑りの人が多いんです。ターンマックスで一気に踏み込んでスプレーをドカンと上げるのではなく、ターンに合わせてフワ〜っと舞い上がる感じ。スキーのコントロール力は抜群だし、安心して見ていられる滑りでした」

「密脚でシルエットが綺麗」と言わしめた中川未来のライディング
1月の北斜面とあって、スキーを踏み込んだぶん新雪が舞い上がる

二人のインプレッション。スキルの高い女性こそドンドン乗り込んで欲しい。

この撮影セッションで2人が使っていたのが「QST STELLA106」の173cmだ。二人のインプレッションを聞いてみよう。

「173cmという長さのおかげで、短いピッチのツリーでも恐怖感なく楽しめました。長さの割に、スピードにも強くて、頼り甲斐のある所が気に入ってます。 サロモンの女性用スキーは、どれもしなやかさと強さを兼ね備えていて、女性用だから性能が劣るということはないので、本当にオススメですーー福島のり子」

「”基本に忠実"という自分のスタイルを崩すことなく、しっかりと再現できるスキー。まさにシンプルイズベストな1台。173cmという長さのおかげで、取り回しもよくハイクアップも楽ちん。狭い斜面をピンポイントに狙ったり、何度も登り返しのある撮影にはもってこいでしたーー中川未来」

滑るだけでなく、狙ったポイントへはシールをつけてハイクアップも。雪の感触を確かめながら、滑走イメージを高める。一番後ろはセッションをサポートした今井みか

今回の撮影時のシチュエーション以外にもこのスキーに乗っている二人は、「QST STELLA106」をどんなコンディションでも扱いやすいスキーだと表現する。そして、二人ともサイドカーブとロッカーの組み合わせがちょうどいいと言う。”ちょうどいい”とはどんな感覚なのだろうか。

中川未来、福島のり子の順で伺ってみた。

「ウィメンズモデルにありがちな物足りなさや頼りなさが全くないんです。かといって手強さもそこまでなく、本当に"ちょうどいい"という表現がしっくりとくるんです。

気合いを入れなくても、気持ち良く扱えて、滑りのギアをちょっと上げたとしてもスキーがパワーに負けることがない絶妙なバランス。

しなやかな強さと軽快なポップさが"ちょうどいい"という表現に繋がります。深いパウダーでも十分な浮力があり、圧雪された斜面でのカービング性能も抜群。浮力を増すためにワイドなスキーにありがちな圧雪での角付けしずらさがないことが、サイドカーブとロッカーの組み合わせが抜群に良いなぁと感じました」

福島のり子の実家の宿「ロッジやまじう」で、セッションを振り返りながら、スキーやお互の滑りの印象を語り合う

「グルーミングでのカービングは板にしっかりとした張りがあり、スキルの高い女性ならばスピードを出した時のバタつかない安定感と、しっかりと弧を描ける楽しさが味わえます。

ある程度深さのあるパウダーも、取り回しのきく173cmなので、どんなシチュエーションでも軽快に楽しめるバランスの良さ。このスキー大好きです!」

しなやかにたわむスキーは踏んだぶんだけしっかりと曲がり、スライドも引っかかりもなく、思いのままにターンが楽しめる。
その乗り味は、長く乗り続ける人も、初めて乗る人も虜にするほど。スキルの高い女性スキーヤーほど、その性能を存分に引き出せるはずだ。

QST STELLA 106
¥121,000
サイズ=157、165、173cm
ディメンション=136-106-123mm(157cm)、137-106-124(165cm)、138-106-125mm(173cm)
ラディウス=16m(157cm)、17m(165cm)、18m(173cm)
重量=1730g(157cm)、1810g(165cm)、1900g(173cm)

福島のり子 Noriko Fukushima

白馬村出身。スキークロス競技でバンクーバー五輪出場。フリーライディングの舞台で活動しつつ、白馬岩岳で実家の宿「ロッジやまじう」とアウトドアガイドサービス「Mauka outdoor」を切り盛りする。その一方で、自らのスキー経験を、より多くの女性スキーヤーに伝え、バックカントリースキーでのテクニックやそれにつながるスキル、知識を深めるキャンプ「山女子部」を継続して開いている。
Instagram:norikofukushima

中川未来 Miki Nakagawa

札幌出身。スキーインストラクターの父の影響もあって、幼少期からスキーを始める。アルペン競技、技術選を経てフリーライドスキーを活動のステージに。現在はコンペティションに参加しながら、札幌を拠点にイベントやレッスン、撮影など活動の場を広げ続けている。
Instagram:mikinakagawa1015

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