プロショップの目利き③ |2020-21シーズンの「とにかく使ってみてほしい、滑りを変える BINDING」

スキープロショップは、毎シーズンの最新マテリアルはもちろんのこと、これまでの商品や実際に購入したユーザーからのフィードバックなどの情報を長年蓄積してきている。また、オーナーやスタッフが滑り手であることがほとんどのため、専門的な知識や経験も豊富だ。

そのため、多角的な視点からプロダクトを評価・レビューしたり、数々のブランドを横断的に比較検討することに長けている。そこで、今回、プロショップの目利きによる「とにかく使ってみてほしい」というおすすめのビンディングを教えてもらった。その理由は、ビンディングが滑りに変化をもたらし、ライディングパフォーマンスの次元を引き上げてくれるかもしれない、そんな逸品だからだ。

今回は「とにかく使ってみてほしいビンディング」の商品に加えて、どのようなことを重要ポイントとして、店頭でお客様の相談に乗ったり、提案をするのか、「ユーザーが満足するビンディング選び」の観点も教えてもらった。

プロショップの目利きが選んだ「とにかく使ってみてほしい」という、滑りを変えるビンディングたち

石井スポーツ札幌店 藤澤店長のライディング
INDEX

ATOMIC |SHIFT MNC13

DIN=6-13
Weight=880g
¥85,000 + tax 

▲ 雪上でライダーが使い方を説明してくれるのでイメージしやすい動画!
ピンビンディングでの滑走性能に満足できない、
安定性に不安がある方に!
店長
藤澤さん

ATOMIC |SHIFT MNC13

Recommend:石井スポーツ札幌店

自分も2シーズン「SHIFT」を使用しましたが、ピンビンディングでの滑走性能に満足できない、安定性に不安がある方にはぜひお勧めしたい。トゥピースがしっかり固定されている安心感はレース経験者やパワーのある滑りをする方、体軸を傾けることができるスキーヤーには最高です。今年はカラーもオールブラックで高級感がありますね。


MARKER |DUKE PT16

DIN= 6-16
Weight=1350g
¥95,000 + tax

どうしても、もう一つご紹介したく。
履いた瞬間から感じられる安心感は自信を与えてくれる
再び店長 藤澤さん

MARKER |DUKE PT16

Recommend:石井スポーツ札幌店こちらもぜひ使ってみてほしいアイテムです。バックカントリーフリーライドスキーの歴史を切り開いてきたマーカーDUKEがピンテクノロジーと融合して生まれたまったく新しいニュービンディング。スキーの性能を100%引き出しながら確実なホールド力と復元性を発揮。転倒時には高いリリース性能でスキーヤーを最大限守ってくれるセーフティービンディングの機能に、ピンテクノロジーによる軽快な歩行性を同時に手に入れた、高性能ビンディングの登場です。

履いた瞬間から感じられる安心感はライダーに自信を与えるに違いありません。アグレッシブに、そしてクールに雪山を楽しみ尽くすライダーにとって欠かせないビンディングになるでしょう。

▲ DUKE PTでフィールドが無限に広がることにワクワクする動画!

MARKER |KINGPIN13

DIN= 6-13
Weight=670g
¥85,000 + tax 

テックビンディングでの滑走性能を求め、
なるべく軽くしたいスキーヤーに

Mikiya Tanno

オーナー&rider
丹野さん

MARKER |KINGPIN13

Recommend: TRUNKBASE昨年までの「KINGPIN」からマイナーチェンジ。トゥピースのバネが3本から1本に変更され、より軽量になっています。KINGPINは軽さに優れ、ブーツのホールドバランスも良く、ゲレンデからバックカントリーフィールドまで幅広く使用できる。テックビンディングでの滑走性能を求め、なるべく軽くしたいスキーヤーにお勧めです。

 ビンディング選びのポイントは!

ショップでのビンディング選びは、お客様が何に重点をおいて道具を選ばれているかが重要。「滑走性重視」、「登り(ハイク)重視」、「軽さ重視」などなど、どこを重点をおいているかが大切なポイントです。

その内容はさまざまで、ビンディングの色であったり形、価格帯もその要素のひとつになるかと思います。滑るシチュエーションに合わせてご提案すると共に、お客様の重視するポイントをカバーできるよう、ビンディングを提案しています。

ARMADA |N SHIFT MNC 13

DIN=6-13
Weight=1730g
¥85,000 + tax

滑走性能も安全性も高い滑りと歩きを両立させるビンディング
店長
立見さん

ARMADA |N SHIFT MNC 13

Recommend:SKI SHOP Vail滑りと歩きを両立させるビンディング。歩行時は他のテックビンディングと遜色なく快適に歩くことができ、滑走時はアルペンビンディングと同じシステムでブーツをホールドしてくれるので、滑走性能も安全性も高い。

通常のテックビンディングのトゥーピースには解放値が存在しないですが、SHIFTは解放値があるため、ゲレンデで使うスキーヤーも安心して使うことができます。操作も簡単で使いやすいです。

 ビンディング選びのポイントは!

どのくらいの時間歩くのか、からビンディングをお勧めすることが多いです。例えば、リフトを降りて1時間~2時間くらいといった場合、滑ってゲレンデに戻ってきた後も同じ板で楽しめるように、滑走性能や安全性の高いものをお勧めするようにしています。

テックビンディングの多くはトゥーピースに解放値がないため、解放に不安を感じる方も多いです。滑走時の安全性という面を考えたとき、従来からラインナップされている「MARKER TOUR F12」や「TYROLIA AMBITION」など、アルペンビンディングと同じ安全性能があるものをお勧めすることも多いです。

そんななかでも「歩き」を犠牲にしたくないという場合、SHIFTや「TECTON」、「DUKE PT」など滑走時の安全が確保されているビンディングをお勧めします。


FRITSCHI|TECTON12

DIN=5-12
Weight=630g
¥70,000 + tax

本当に登りやすい。それでいて滑りも裏切らない
Staff 
甘利さん

FRITSCHI|TECTON12

Recommend:石井スポーツ新宿西口店「とにかく使ってみてほしい」ということで、今年話題の「DUKE PTで‼ 」と考えましたが、ちょっとコア路線でいきます(笑)。私がお勧めするビンディングは「FRITSCHI(フリッチ)TECTON12」。

トゥピースはPINテックシステムを採用し、ヒールピースはブーツのコバを抑える仕様のビンディングなのですが、このビンディングの良いところは、ヒールピースにアルペンビンディングと同じシステムを採用しているにもかかわらず「前後重量バランスが均等に近い」ということですね! 

どこにメリットがあるか? ハードな登攀ラインを選択しても、滑りのパフォーマンスを落としたくないスキーヤーは大勢いると思います。私もその一人です。このビンディングは、板をザックに背負わせた状態でもヒールが軽いため、テールが左右に振られる度合いがかなり少ないです。傾斜の強い斜面を雪面にアックスを刺して登るシーンなんかでは、特に真価を発揮しますね。不安定なバランスは恐怖感を生みますから…。本当に登りやすいです! それでいて滑りも裏切らない。そんなビンディングです。

ビンディング選びのポイントは!

正直に言いますと、私もビンディングの選定は道具選びの中で一番悩みます。過去には3ヶ月間悩みまくって結果的に失敗した経験があるくらいです(笑)。私がビンディング選びで大事にしているのは次の2点です。

①今回チョイスするスキー、ブーツでどういうスタイルの山スキーをしたいのか? どういう挑戦をしたいのか?
②スキー、ブーツ、ビンディングのトータルバランスが保てているか?

①に関しては、これから山スキーを始める方はなかなか想像がしづらいのが現状です。しかし、ここは頑張ってWEB、紙媒体、メディア情報、知人からのアドバイス等などを駆使して、想像を膨らませてください!

私にとってはスキー、ビンディング選びは車を買う感覚とほぼ同等。何年も山を共にするパートナーだからです。未来の自分を思い描いて、目指すVISION(ヴィジョン)をスタッフに伝えていただければ、失敗しにくいでしょう。VISIONはかなり重要ですヨ!

②に関しては、「用具のトータルバランスが整っているか」。滑り手の体力だったり、目指すスタイルによって例外はもちろんありますが、ブーツとビンディングのバランスは重要視しますね。

1kg前後の軽量ツーリングスキーは例外ですが、その他のスキー(約1.4kg~以上)は好みの組み合わせが可能です。その際、鍵になるのがブーツの重量とソール形状です。

ブーツ重量があり、ALPENSOLE GRIPWALKのブーツであれば、ブーツとしての操作性、パワー伝達に優れてます。ビンディングとの相性に関してはいろいろなパターンが組めます。しっかり歩く方はPINTECタイプもいけますし、「やっぱり男気セッティング!」という方は「MARKER DUKE +DUKEPT 」だったり、「MARKER JESTER +DAYMAKER」というクールなセッティングもできますね。

逆に軽いタイプのブーツ(約1.5kg以下〜)に関しては、やはり滑りの剛性感が弱いので、PINTECタイプをお勧めします。軽いブーツでフレームビンディングが付いているスキーで滑ると、板とブーツの動きが合わなくて気持ち悪いんですよね。
 
最後に、当たり前ですがスキー板は「たわみます」。板の持っているたわみを活かすなら、セパレートビンディング(「DUKEPT SHIFT」等)、
板のたわみに足元の強さを付け加えるなら、「MARKER DUKE」のようなフレームビンディングの選択がありますね。搭載するビンディングによってかなりスキーのテイストも変わるので、たわみの変化も加味して選ぶといいですね!

▲ あまり面白味はないが、粛々とTectonの機能性は伝わる動画!

DYNAFIT|ST ROTATION 12

DIN=5-12
Weight=605g
¥66,000 + tax

軽い、強い、安い、三拍子揃った、まさに完璧なテックビンディング
Staff
わっしーさん

DYNAFIT|ST ROTATION 12

Recommend:BLACKDIAMOND軽い、強い、安い、三拍子揃ったまさに完璧なテックビンディング。TUVの安全認定を受け、安全面では文句無し、クライミング時には自動でトゥピースのセンターポジションの調整を行ってくれる優れモノで、長時間の上りでも体力の消費を抑えられます。

初めてテックビンを使う方だけでなく、「上りも下りも絶対に妥協したくない!」そんなスキーヤーにもお勧めです。

 ビンディング選びのポイントは!

お客様(スキーヤー)にとってビンディング選びで大切なポイントは、
①   軽さ ②ホールド力 ③価格 ④使いやすさ 
だと思います。この4点の中でどれを重視して選ぶかは、お客様によって違ってきます。

こだわりをすでに持っていらっしゃるギア通な方から、どんなスキーをしたいかまだわからない方までさまざまです。来店いただいたお客様とのコミュニケーションのなかで、現在どのようなスキーをしていて、今後それをどうしたいのか。ビンディングについてはスキーとブーツの「つなげ役」であり、どちらとも相性が良いもの、さらにはユーザーとの相性を加味しながら相談して選んでいただいています。

軽くて、しっかりしていて、安くて使いやすい。お客様がお店に戻っていらした際に笑顔で「このビンディングいいね!」とか、「これつけてよかった!」と言っていただけるようなギア選びを心がけています。

▲「このビンディングを信じなさい」という28秒の迫力動画!

欲しい・気になるビンディングは、イチ推ししてくれたショップを訪れて商品を実際に手に取ったり、問い合わせをしてみてはどうだろう。
(ショップ名をクリックするとSTEEP内のSKI PRO SHOPページに飛びます)
きっとさらに熱くその魅力を語ってくれるはずだ。


取材協力(読み仮名のあいうえお順):
石井スポーツ札幌店、石井スポーツ札幌西インター店石井スポーツ新宿西口店SKI SHOP Vail、、TRUNKBASEBLACKDIAMOND


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