スキーをするために欠かせないものは滑りの道具だけではない。私たちを乗せて雪山へ連れて行ってくれる「車」もなくてならないもののひとつだ。
今回はソチ五輪女子HP種目銅メダリストであり、現在はFreeride World Tourに主戦場を移し、世界と戦うスキーヤー小野塚彩那の愛車を紹介する。滑りに行くためには長時間の走行にくわえ、氷点下の山道や雪の積もった悪路を走ることになる。そんなスキーの道中をともにする彼女の相棒はJeep(ジープ)のGrand Cherokee(グランド チェロキー)だ。
スキーシーズンになれば撮影や大会で、ひっきりなしに雪山から雪山へ移動する彼女が、この車を選んだ理由とその魅力について聞いてみた。

――――まず、どうしてJeepに乗っているのでしょうか?
もともと、国産車に乗っていたのですが、買い替えを検討していた時に私のサポートメーカーでもある、ATOMICから紹介してもらったのがJeepだったんです。それ以前から、なんとなくJeepっていいな、と思っていたんですけど、実際に乗ってみたらドハマり。まさに自分の好みにピッタリの車でした。
スキーのおかげで移動することが日常なので、私にとって車は『ライフスタイルそのもの』なんです。日々乗るものだから、安心して快適に乗れるものを選びたいと思っていました。
今も選手として大会や撮影で国内の移動が多く、ほかの人と比べると乗っている時間も長いので、車選びは人一倍こだわっています。そんななかで「頑丈だ」「どこへでも行ける」という安心感とずっと運転していても疲れない乗り心地の良さがJeepを選んでいる大きな理由ですね。
以前、愛車の撮影でボコボコの岩場や砂浜など道なき道を走ったんですが、そういう場所でも平気でしたね。普通は行かないじゃないですか、そんなところ。でも行けちゃって「あ、行けるんだ」って新鮮に驚きましたね。あと、雪が積もっていても全然気にならないですよね。Grand Cherokeeは車高が高いので駐車場から出すときに3~40cm積もっているような場合でも「えいっ」って行っちゃいます(笑)。

――――なぜGrand Cherokeeなのでしょうか?
Wrangler(ラングラー)やCherokee(チェロキー)など、ほかの車種にも乗らせてもらったんですが、最終的にラゲッジルームの大きさでGrand Cherokeeにしました。180cmを超えるスキー板を積む場合でも余裕をもって積めるのが決め手です。もともと私はハーフパイプの選手で国内外を遠征していたので、板の数や宿泊を伴う移動で荷物の量がハンパないんですよね(笑)。積載量を気にせず動けるのはとても良いなと思います。
それに加え、座席を倒してフルフラットになるので、夏はクライミングに行くために寝袋を積んで車中泊をしたりもします。

――――愛車に求めるものを教えてください。
安全性と運転のしやすさ、後ろがフルフラットになること(休むために)、Apple CarPlayが入っていることです。
――――Apple CarPlayはどのように使っていますか?
音楽を聴く、ナビ、電話、メッセージを確認したりしますね。
ナビにしても常に最新の地図になっているし、音楽の変更や音量調整もハンドルにあるスイッチひとつでできるのでとても助かってます。海外の遠征でもJeepに乗ることがありますが、そこでもApple CarPlayを使いこなしています。めちゃめちゃ便利ですよ。
――――Grand Cherokeeの気に入っている機能を教えて下さい。
まずは、車高の高さが変わるエアサスペンション。乗車時は車高が低い状態で乗りやすくなっているのですが、スピードに応じて車高が高くなり視界がとてもよくなるのと、振動も和らいで乗り心地もよくなります。ちょっとした雪の塊が道路に転がっていても気にしないで走れるのでとても楽です。子供を乗せるときも楽なので、日常使いにはぴったりですね。(グランドチェロキーの車高は5段階あり、スピードに応じて自動で変わる走行―モードや高速モードのほか、手動で切り替えてさらに高さを出せるオフロードモードが搭載されている)
次にシートヒーター。スイッチ一つで温かさを3段階に選べるので、寒い冬にこの機能はとても助かっています。

――――逆にこれが足りてない、という機能はありますか?
ありませんね……。グレードを上げればハンドルヒーターなど、すべて必要な機能が備わりますからね。
(熟考の末)……やっぱりありませんね(笑)。
――――ぶっちゃけ、ほかの車に乗りたい、というのもない?
それもありませんね。もう、見た目も機能もこれで満足。今でも撮影の時に他の車種に乗らせてもらうことがありますが、結局やっぱり自分の車が最高だなってなります(笑)。Grand Cherokeeはこれで二代目なんですよ。三代目は先日新発表されたGrand Cherokee L(グランド チェロキー エル)に乗りたいと思っています。
――――そんなに気に入っているんですね(笑)一代目はどうして買い替えたのですか?
初代は黒いモデルに乗っていたのですが、白の限定車Grand Cherokee Altitudが展開されるのにあたって買い換えました。今のモデルは通常モデルとは違いJeepのロゴやフロントグリルなど部分的に黒いんです。この色使いがとても好きなのと、国内で流通している量が少ない(国内では60台)ので他人と被ることがないですね。黒も好きだったのですが、個人的には白の方が高級感がある気がしています。

――――昨年には旦那さんがWranglerを購入して、家族で2台のJeepオーナーとなりました。比較するとどうでしょうか?
個人的にはWranglerの見た目がとても好みで、たまに乗らせてもらいます。どちらにもいいところはありますね。Wranglerの方が車高も高くて、もっとどこへでも行けそうな安心感があります。でも実はまだこの車のスタッドレスタイヤがないので、今はもう雪が降っちゃって乗れなくなってるんですが……。スタッドレスタイヤを手に入れたら、冬は安心感があるWranglerにずっと乗っていたい気もしちゃいます。
それと、見た目があのごつごつした感じのわりに、機能が充実してるんです。スイッチがたくさんあって、「こんなことできるんだ」ってたまに新しい発見があるくらい。だからこれ以上欲しい機能ってJeepにはないんじゃないですかね。

――――Grand Cherokeeのラゲッジスペースの使い方は?
遠征は多い時で4,5本のスキー板を積みます。同じ板でもビンディングが違うとか、撮影や大会、コンディションで使い分けています。後部座席の片側にはチャイルドシートを設置していて、息子の隣にスキーがおいてある形になってますね。気になるみたいで、よく触っていますよ。
――――将来が楽しみですね(笑)
ウエアやバックカントリーギア、アクセサリーも板の横に置きます。ブーツだけは温めたいので助手席の下に。




――――スキーギアを置きやすいように車内をカスタムなどしていますか?
それが全くしてないんですよね。カスタムしてる人もいますよね。私もちょっといろいろいじってみたいな、と思いつつそのままです。
ですが、ラゲッジルームに傷つき防止用のラグを敷いていて、これがHP選手時代から使っているので、10年来の愛用品です。


――――駐車スペースはどうなっていますか?
冬は旦那が仕事で家を空けている日もあり、息子が生まれて雪かきをしている間も目を離せなくなったので、先日カーポートを設置しました。車の雪かきの手間が省けて、家の前だけ少し雪かきすれば済むようになったのでとても楽です。それもこの車なら少しくらいの降雪は雪かきしないで、そのまま出ちゃいますけどね。
あと、ここは降る量がとても多いじゃないですか。去年は1月にニュースになるくらいまとまった降雪がありましたけど、あれがまた来たら息子を保育園連れていけなくなっちゃうので、カーポートを設置して本当に良かったなと思います。

――――最後に、移動が多い彩那さんならではのオススメのごはん屋さんを教えてください。
まず、石打丸山なら麓の中央口にあって私と親族が共同経営している「山彩」。自家製のコシヒカリに合う定食料理が絶品です!私が五輪の時に着用したビブやソチ五輪のメダル含め、これまで獲得したメダルなど貴重なものも見られますよ(笑)
次に、南魚沼地域で「関山食堂」。滑ったあとってなぜかラーメンが食べたくなりませんか? そんなときにここの「関山ちゃんぽん」がオススメです。私も小さい頃から通っています。石打丸山や舞子スノーリゾートからも近いし、津南町と南魚沼市を結ぶ国道353号線が17号線と交差する場所にあってアクセスも良いです。
あとは、長野県の豊田飯山IC降りてすぐにある「食堂きらく園」。去年白馬から帰り道でおなかが空いたときにたまたま立ち寄ったら、めちゃめちゃ美味しかったんですよ。たしか生姜焼き定食だったか、焼肉定食だったかな~。値段も900円で小鉢もたくさん付いてきて、このボリュームって感じで。ほかのスキー・スノーボード客もたくさんいて賑わってましたね。見た目は海の家のような掘っ建て小屋でとても素朴な雰囲気なんですよ。でも本当に美味しかったので、ぜひ!
Jeep Japan 公式サイト https://www.jeep-japan.com/
小野塚彩那(おのづかあやな)
ソチ五輪女子HP銅メダリスト。平昌五輪を最後にHP選手を引退後、現在はフリーライドスキーの国際大会Freeride World Tourをメインフィールドに移しに活動中。愛息と愛犬、そしてスキーをJeepに乗せて全国を飛び回る。
取材・写真・執筆:小野塚大悟