長かったシーズンも一部スキー場や自らの足で登り滑る標高の高い山をのぞいて終わりを迎えている。
すでに、25-26シーズンに向けた早期展示会の案内や早割シーズン券の話題もあがっているが、ここではこのシーズンを振り返ってみよう。
今回は24-25シーズンの開催で15年目を迎えた日本で一番歴史のあるフリーライドコンペティション「POWDER FREERIDE ‘25 with Bonz Crew」。2月15日⁻・16日の2日間にわたって、キロロリゾートで熱いセッションが繰り広げられた。その模様を実行委員でもある三上大紀がレポートする。
日本フリーライドの歴史を綴ってきた大会

2月15日(土)、16日(日)にキロロスノーリゾートで、「ツカサホーム POWDER FREERIDE ‘25 with Bonz Crew」が開催された。
ちょうどその時期は、本州を中心に豪雪のニュースが飛び交っていたが、北海道は意外にも札幌雪まつりの開催が危ぶまれるほど、あまり雪が多くなかった。
しかし、イベント開催日の3日前から今季最大と言われる寒波が北海道にも流れ込み、キロロリゾートもそれまでの小雪を取り戻すかのような十分な降雪。
それに加え、イベント当日は見事なまでの青空に包まれ最高のコンディションとなった。

前日までに雪が降って当日晴れる、という最高のパターンは実は今回が初めてではない。
関係者の間ではひそかに「たけ(児玉毅)パワー」と呼ばれており、まさに、大会名に相応しいパウダーコンディションとなった。
しかも、キロロのハイシーズンのパウダーが30~40cm! 今回もその「たけパワー」を存分に発揮した。

2011年に児玉毅が発起人となり始まったこのイベントは2025年で15年目。いまでは日本のフリーライドコンペティションとしては最も歴史がある大会だ。
第1回の優勝者は楠泰輔 。そして第2回は遠藤淳平と、男子は佐々木悠、佐々木玄、勝野天欄と現在のフリーライドの系譜が綿々と続く。女子は金澤朋美、中村陽子、中川未来と、その連なりは日本のフリーライドの歴史と言っても過言ではない。男女ともに錚々たるメンバーが歴代優勝者に名前を連ねているのだ。
BonzCrewとのコラボで盛りだくさんの2日間
15回目となった今回は、いまのフリーライド界を賑わせているBonzCrewとの共同企画となった。
大会のみならず、ゲストライダーと一緒に滑るフリーライドセッションを翌日に開き、各社のフリーライドモデルをテストできるニューモデル試乗会や、POW Japanの小松吾郎によるPOWトークもあるなど、盛りだくさんの2日間。

大会斜面は例年と同じ非圧雪エリアのパウダーライドコース。コースを半分に区切って下から見て左のオープンバーンで1本目、2本目は上部にマッシュが点在し、センターに沢地形があって見せ場の豊富なコース。その2本の合計得点で競われる。
採点基準はテクニック、アグレッシブ、流動性、独創性の各10点満点で4人のジャッジの点数を合計する。
今回、道内外から100名の定員+スポンサー招待選手を含む合計103名の選手がエントリー。最年少は7歳、最年長は74歳だった !
スタート前には、大会のレギュラージャッジであり、かつての長野オリンピック代表だった3名、渡辺伸一、今井孝雅、坂本豪大に加えて、今回ジャッジに加わったBonzCrewの小山貴史、そして、POWジャパン代表小松吾郎、中川未来、BONZ CREWの佐々木玄、平山駿と、若手からレジェンドまで豪華前走で大会を盛り上げた。

その後は一般女子 → 小学生 → 一般男子の順で競技がスタート。スキー・スノーボード・テレマークスキー、そしてモノスキーと滑走用具によってカテゴリーを分けないのも、この大会を彩る大きな特徴だ。今回も小学生のレベルの高さに驚いた。

一般男子の部には、なんと技術選のトッププレイヤーである山野井全が出場し、さすがの総合力の高さを見せ、会場を盛り上げる。一般男子の部2本目では1本目上位10人が最後にスタートし、会場の盛り上がりはピークに! 同じ斜面を滑ったキッズたちにもいい刺激になったことだろう!



Freeride World Juinor Tour 経験者から週末ファンライダーまで、レベルや年齢を問わず、みなで楽しめるのがPowdedr Freeride の特徴のひとつだ。

表彰式の前にはPOW JAPAN代表の小松吾郎氏によるPOWトークを開催。
イベント期間の2日間を通して開催されたフリーライド試乗会にも各メーカーの最新モデルがずらりと並び、プロと一緒にデモ機を選んだ。

優勝:有馬山登(スキー) 190pt
2位:中野眞帆(スキー) 164pt
3位:佐藤茉里花(スノーボード) 158pt
4位:加藤湊(スキー) 153pt

優勝:鳥本雪乃(スノーボード)167pt
2位:高橋絆心(スノーボード)162pt
3位:松山花子(スノーボード)154pt
4位:HUTTON Emma(スキー)153pt
5位:鎌田 ちなみ(スキー)152pt

優勝:菅原 来斗(スキー)243pt
2位:鷲尾 駿(スキー)227pt
3位:山野井 全(スキー)213pt
4位:田中 勢士郎(スキー)201pt
5位:山田 真也(スキー)198pt
2日目に開かれたフリーライドセッションには、児玉毅、Bonz Crew から佐々木玄、POWの小松吾郎もゲスト参加し、参加者は大興奮だった。

最後に本イベントの発起人であり、今大会はプロデューサーとして大会運営を行った児玉毅は、
「北海道には多くのスキーヤー・スノーボーダーがいるのにフリーライドの大会数が少ない。来年に向けてさらに規模を拡大し、大会のシリーズ化など、構想がまだまだある」
と話した。
進化したニュー POWDER FREERIDE、そして来年の開催をぜひ楽しみにしてほしい。
※大会の全リザルトはこちらから
ホームページ : https://powderfreeride.com/