Garminの最新技術を詰め込んだタフネスGPSウォッチ 最新モデル「INSTINCT 3 DUAL POWER」が2025年1月にリリースされた。
新機能を搭載し、アイテム構成を一新したことで、これまで以上にバックカントリーでの使用が機能的になった。
その実際を、5月連休の鳥海山BCツアーからレポートしよう。
春の鳥海山BCはテストに絶好のフィールド

春の息吹と残雪が同居する五月の初旬、秋田・鳥海山のバックカントリー。広大なスプリングスノーフィールドを、タフネスGPSウォッチ「 INSTINCT 3 DUAL POWER」をつけてハイク&ライドしてきた。
鳥海山ブルーライン開通とともに多くの人が入る秋田・鳥海山は、まさに春のBCスキーの代名詞。5月の初旬は春の息吹と残雪が同居し、厳冬期のような厳しさはないけれど、天候によって大きな気温差と目まぐるしい雪質の変化がある。
よって気象の変化に備えながら、Garminの価値をフィールドで試すにはうってつけ。そこで今回、実際の山行ログをもとに、機能ごとの体感と数値を交えながら、「 INSTINCT 3 DUAL POWER」の使用感をお伝えしよう。
そもそもGarminのウェアラブルウォッチとはどんなもの?
Garminのウェアラブルウォッチは、GPS計測技術を基盤に身体の状態を把握する光学式心拍センサーなどを組み合わせ、スポーツやアクティビティの記録はもちろん、そのときの心拍をはじめとする、さまざまなライフログデータなどを同時に計測することができる。特徴的な機能を確認しておこう。
①精度の高いGPS測位技術を用いたルートトラッキング

スマートフォンの登山アプリでもおなじみのGPSによるトラッキングだが、GarminのGPSデバイスはとても正確に行えることが特長。登行とトランジション滑走の情報が地図上に正確にデータ化される。
②行動の標高差や心拍データ・消費カロリーなどのログデータのトラッキング
行動中の心拍データや、行動した標高差や要した消費カロリーなど、ウェアラブルウォッチならではのデータがログとして集積できる。
Garminはこれらのデータを利用し、そのさきのアクティビティーの際に[自身のポテンシャルを100%発揮するためのコンディショニングツール]としての側面も持っている。それが次の「睡眠スコア」や「ボディ―バッテリー」だ。
③「睡眠スコア」「ボディ―バッテリー」Garminならではのユニークなデータ分析機能
Garminウェアラブルウォッチでは、睡眠の質を100点満点で採点する「睡眠スコア」や、浅い/深い/レム/覚醒といった睡眠段階や昼寝を計測。さらには、自身の睡眠履歴から今晩の推奨睡眠時間を提案してくれる「睡眠コーチ」まで備えている。睡眠を知ることで、自身のカラダの状態をより深く理解し、提案機能により睡眠改善につなげることができる。

「ボディーバッテリー」は、Garminならではの特長的な機能で、「カラダのバッテリー残量」を5ー100で測定。スコアが大きいほど、その日の活動や運動に費やすことのできるエネルギーがあることを意味する。
反対にスコアが低いほど、体力を温存したり、回復するために十分な休息をとる必要があることを示す。
こんなGarminウェアラブルウォッチのラインナップに加わった最新モデル「Instinct 3」。その実際の働き具合はいかなるものか? フィールドでのテストの結果を見ていこう。
鳥海山へ連れていった新登場の「INSTINCT 3 DUAL POWER」

Functions:
・ソーラー充電による無制限バッテリー
※スマートウォッチの場合。屋外にて1日3時間、50,000ルクスの条件下で使用した場合の想定ソーラー充電時間。
・LEDフラッシュライトを内蔵
・健康モニタリング
・ナビゲーション機能
・耐久性に優れた設計
Color:Black
¥71,800
鳥海ブルーライン開通・BCシーズン開幕!

2025年は4月25日に鳥海ブルーラインが冬季閉鎖を終えて全線開通となった。雪壁が切り開かれ、海抜0mから1,100 m付近まで駆け上がるこの山岳道路は、春のバックカントリーの“シーズン開幕”を告げる合図。
朝8時のゲートオープンを待ってゲートを通過し、鉾立付近に到着すると、入山口付近の駐車場はほぼ満車! 賑やかさと熱気が感じられる。風はまだ冷たく日差しは暖かい。

山に上がってシールを装着。「INSTINCT 3 DUAL POWER」 の液晶のソーラー強度を見ると、しっかり太陽の明るさが捉えられている。ハイクで一歩を踏み出すたびにマルチバンドGNSSが高度とペースを正確に刻み、Body Battery(ボディバッテリー)も77→74へ、緩やかに下降していく(前日やや飲みすぎてしまい、スタート時からBody Batteryが少めだが・笑)。
振り返れば、蒼い日本海と新緑の下界、1,000m付近の雪の白さが見事なコントラストを織り成している。今日は外輪まで標高差1,000 mを登る。午後には天候が崩れる予報だったので、念のためストームアラートをONにして歩みを進める。「INSTINCT 3 DUAL POWER 」は、身体の状態と外界の変化を静かに見守ってくれるのだ。
ソーラー&デュアルパワーがもたらす長時間稼働
「INSTINCT 3 DUAL POWER 」最大の武器は、面積の広いPower Glassソーラーパネルと高密度リチウムバッテリーの“二刀流”。晴天下なら行動中でも着実に電力を生み出し、スマートウォッチモードで最長28日+無制限(ソーラー充電時)のスタミナを実現する。
今回の鳥海山行ではマルチGNSS・心拍計ONという重負荷設定で3日間行動し、バッテリーの残量は93%→63 %にとどまった。ツアー中に充電切れを心配する必要がほとんどないのは、とてつもないアドバンテージだ。
ちなみにいつもは、ダイブコンピューターを兼ねたDesent MK3を使用しているが、こちらではそうもいかない。
グローブ装着時の操作感とディスプレイ視認性

「INSTINCT 3 DUAL POWER 」で記録するバックカントリーログ
「INSTINCT 3 DUAL POWER 」の「バックカントリー」アクティビティは、登高・滑走・休憩を自動判別して一本のログに統合する。シール歩行を始めると、マルチGNSS+気圧高度計が1 秒間隔で位置と標高を記録し、ペース/獲得標高/心拍ゾーンをリアルタイムで表示。
斜度が「ー」になり、速度が上がると滑走フェーズへ切替わり、最高速度・平均斜度・滑走距離を別カラーで描写するため後から眺めても一瞬で“滑った区間”が判別できる。停止時間はオートポーズにより自動排除され、昼食や写真撮影で腕を止めてもログが汚れない。
下山後にGarmin Connectアプリへ同期すれば、行動軌跡が色分けされた3Dマップとともに、標高—速度—心拍の三重グラフが生成される。どの標高帯でペースが落ちたか、滑走時に心拍数がどこまで上がったかが可視化でき、次回ルート選定や体力配分の教材として極めて有用だ。
ちなみに今回最も心拍が上がったのは、急斜面のトラバースで180近い心拍数が出た。当然この後の疲労感はかなりのものだった。



鳥海山で実感した「INSTINCT 3 DUAL POWER 」の真価
春の鳥海山で、「INSTINCT 3 DUAL POWER 」を使ってみて感じた真価は3つあるだろう。
第一に“電源フリー”の安心感。山での強い日差しを逃さずPower Glassによるソーラー充電、3日間マルチGNSS+心拍計を全開でも残量は3割程度しか減らなかった。ケーブルを忘れても焦らない。心の余裕ができるのもポイントかもしれない。
第二に“見やすい”ディスプレイ。反射型MIPは雪面の照り返しでむしろコントラストが上がり、眼を細めずに高度や心拍を確認できる。白が飛ばず黒が潰れず、グローブ越しの斜め視認でも数値が鮮明だった。
第三に“バックカントリー”のログ性能。登高・滑走・休憩を自動判別するバックカントリーモードが、滑走区間を色分けしつつ心拍ゾーンを紐づける。急斜面トラバースで180 bpmに跳ね上がった瞬間を後で可視化できたことで、つぎにどれくらい消耗するかが具体的に把握できる。
このようなことからも、「INSTINCT 3 DUAL POWER 」は単なる記録を越えた成長のためのツールと言えると思う。電池切れ・視認性・データ活用という3大課題を一挙に解決するその総合力こそ、鳥海山で実感した真価だと感じた。
Information
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