スキークロスの須貝 龍(クレブ/Xraeb所属)いよいよ決戦の時!2月18日(金)12:20~生中継! 夢の金メダルへ勝負をかける

北京オリンピック2022 の熱戦も終盤戦を迎え、フリースタイルスキー関連種目の開催も残すはわずかとなった。フリースキー愛好派にとって、観戦のハイライトともいえるのが「雪上のF1」はたまた「白い格闘技」ともいわれる男子スキークロスだ。過去2大会ぶりに日本人として出場権を獲得し、大注目を集めているのが「金メダル候補」と期待のかかる須貝 龍(すがいりょう)だ。


アルペンからスキークロスへ転向・決意の訳は

’18 平昌オリンピックまでアルペンスキー競技で五輪出場を目指してワールドカップなど転戦していた須貝龍。ダウンヒル・スーパーG・アルペンコンバインドと高速系種目で、海外に拠点を置きながらFISワールドカップで戦っていた唯一の日本人レーサーだった。全日本では3種目で優勝するなど国内では断トツのトップながら、世界の第一線の壁は厚く、無念にも前回の平昌五輪出場は叶わず。そこで世界のトップシーンで輝ける可能性を信じて、北京五輪を目指してスキークロスに転向。その背景には、かつてのアルペン名選手・皆川賢太郎の勧めもあったという。

アルペンで培ったスピードと滑走技術で、スキークロス転向後、1年を待たずに’18シーズンは初めてのワールドカップ戦で15位。手応えを掴んだ翌シーズンはTOP10入りを2度果たし、着実に成績を上げていった。北京五輪を見据えた’21シーズンは、3月のロシア大会で2位に飛び込み、ついに初表彰台へ。一躍世界トップシーンでマークされる選手となり、見事に北京五輪への切符も手に入れた。

須貝 龍は新潟県胎内市出身。地元新潟のテレビ局が、北京五輪を目指す須貝龍の軌跡をまとめた映像がこれだ。スキークロスならではのテクニカルなコースや滑走スピード感、他の選手とのバトルランのフィーリングがよくわかる。

なぜアルペンからスキークロスに転向を決意したのか? スキークロスは須貝 龍にとってどのような面白さや難しさがあるのだろう。ぜひその語りに耳を傾けてみよう。

金メダルへの最速ラインを狙った4年間

「オリンピックで金メダルを取る」ことがスキーヤーとしての夢であり目標だった須貝 龍。雪上で板を誰よりも速く走らせて世界で一番になることを叶えるために、限られた時間をいかにうまく使って夢に近づくか。金メダルへの最速のライン取り、それが須貝 龍にとってスキークロスという選択だった。そして、その読みは見事に的中したのだ。

スキークロスでは、スキーを最速で走らせるために、また、同時に滑るライバルたちに競り勝つためにも、強靭な肉体と体力が求められる。スキークロス転向後は、入念なウエイトトレーニングやマウンテンバイクに乗ることで筋肉量を増やすことに注力し、強く大きな体づくりに励んだ。もともと速いタイムを叩きだす滑走技術には定評があったが、スキークロス特有の戦略的に滑る技術には課題があった。そこで、'2021-22シーズンはレースの駆け引きの巧みさのレベルを上げるべく、ワールドカップ転戦を通じてコース取りや戦略的な滑り方の研究を重ねた。

熱く激しいデッドヒートの中でも、冷静に戦略的な滑りができるよう、メンタル面の強化にも取り組んだ。そんな数々の努力や工夫を積み上げ、須貝 龍は確実に強くなっていった。北京五輪の白いサーキットで大暴れする自身を思い描きながら。

そんな様子が伝わるインタビューがコチラ。

そして勝ち取った北京五輪への切符

須貝 龍は、北京五輪を見据えた’21シーズンの3月のロシア戦でついに表彰台の2番目に高い場所に立った。これには周囲の関係者も歓喜とともに驚きを隠せなかった。スキークロスに転向してわずか2年という早さで世界トップの仲間入りを果たしてしまったのだから。その後、須貝はワールドカップでも着実に実績を積み上げ、FISの五輪出場基準をクリアし、決意表明通りに北京への切符を勝ち取った。

こちらは須貝 龍選手のInstagram。北京五輪代表に内定した喜びを伝えた。海外遠征の記録を辿ると、これまでの成長のプロセスに触れることができる。須貝 龍はまさに有言実行のアスリートだと言っていい。

SAJナショナルチームで須貝の指導に当たってきた瀧澤宏臣コーチは、須貝 龍についてこんなふうに語った。瀧澤宏臣といえば日本におけるスキークロスのパイオニア。かつて日本人で誰よりも先駆けてスキークロスに取り組み、'02₋03シーズンから始まったFISワールドカップスキークロス初代総合王者となったアスリートだ。やはり元はアルペンレーサーからモーグルへ、そしてスキークロスへ転向していた。

「須貝選手がチームを引っ張りながら本当にトントン拍子に1年目から数字を残してくれて、2年目にはワールドカップ入賞の領域までレベルを上げてくれた。
コース攻略に対する呑み込みの速さには光るセンスがある。とはいえ、スキークロスを始めてまだ経験が浅い分、これまで10年やってきているベテラン選手たちとのキャリアの差はもう少し時間をかけて埋めていかないといけない。けれど須貝選手は、そういう経験を超越することができるような爆発力を出せる選手。本番ではそのあたりをぜひ期待したい。
(全日本フリースタイルスキーナショナルチーム/瀧澤宏臣コーチ)


夢の舞台へ準備は万端だ

いよいよ迫る北京五輪の本番に向け、順調な仕上がりを見せてきた須貝 龍。オリンピックへの前哨戦ともいわれる、北京のコースを使って行われた2021年11月のテスト大会では、7位と好位置をマークし、実力的に十分にメダルを狙えるポジションにいることを世界にアピールした。
こちらは五輪代表が正式に決定した後に行われた記者会見での映像だ。夢の舞台へ賭ける須貝の思いが伝わってくる。


須貝 龍が所属する「Xraeb」(クレブスポーツ)とは

五輪代表として公表された須貝 龍のプロフィールには、新潟県胎内市出身、所属は「チームクレブ (Xraeb)」とある。よく見ると須貝の着用するウエアや使用ギアにはイエローの「Xraeb」のロゴステッカーが。

クレブ(Xraeb)とは、新潟県を拠点としてスキー・スノーボード・アウトドアショップやカフェ、イベント企画やPR製作など、多様なリゾート関連事業を全国展開する企業だ。かねてよりアスリートの育成・サポートにも注力しており、「チームクレブ」を持つ。須貝はアルペンレーサー時代より、このチームクレブのアスリートというわけだ。クレブは、経済面やトレーニング環境などをサポートしてくれる、須貝にとっては育ての親のような存在だ。

新潟・越後湯沢のクレブスポーツでビッグスマイルの須貝 龍

新潟県・越後湯沢に2021年11月に新装オープンしたスキー・スノーボード・アウトドアショップ「クレブ(Xraeb)」がこれだ。

クレブスポーツ https://www.xraeb.co.jp/xraebsport

広々とした店舗内には多くのブランドのスキー、スノーボードギアを始め、ウエア、アクセサリーが豊富にラインナップされている。

チューンナップサービスも提供するクレブスポーツでは、フルチューンナップがなんと最短1分〜できるという最新のチューンナップロボット「Jupiter」を導入、こちらはトップ、センター、テールの領域毎のエッジ角調整はもちろん、世界のトップ選手が取り入れている3Dストラクチャーも、日本で唯一入れることができるモンスターマシンだ(サービス提供開始時期は未定)。

店舗の2階には会員制のフィットネスジム「Eight Fit Studio」も備えているというから驚きだ。トップアスリートの本格的なトレーニングから雪山でスキー・スノーボードを楽しむユーザーの体づくり、地域に暮らす人々の日頃の健康維持まで、さまざまな目的で利用されており、スポーツ好きの仲間が作れる地域のコミュニティ作りにも一役買っている。

「Eight Fit Studio」
須貝選手(中央)は一番の常連かも

須貝 龍のフィジカルを支えるトレーニング環境

クレブスポーツのEight Fit Studioは、須貝にとっても実にありがたいトレーニング環境だ。スキークロスで使う筋肉は、アルペンレースとはまた違う。コース上のウェーブという起伏を減速せずにうまく吸収しながら、さらにウェーブを使って加速したり、もしも他の選手と体が当たったとしてもクラッシュしたり、競り負けないように、しっかりした強い体である必要があるのだ。

須貝は特に脚部の太ももにしなやかな大きな筋肉と、スタート時にゲートを押し出る際に使う上腕の筋力アップに励んだという。トレーニングをするためにジムを日常的に利用していた。

コチラは自身のInstagramに投稿されたEight Fit Studioで朝トレをしている動画。須貝はこんなヘビーなトレーニングに早朝から取り組んできたのだ。(これは上腕の筋肉がさぞつくであろう…すごい…)

チームや地域の熱い応援をパワーに羽ばたけ!

須貝の所属するチームクレブを立ち上げ、アルペンレーサー時代から須貝をサポートしてきた ㈱クレブ代表の岸野大輔さんは須貝についてこんなふうに語った。

「須貝選手がすごいのは、この4年間、オリンピックで金メダルを取るまでの詳細なロードマップを描いて、その一つひとつのステップを確実に達成するだけでなく、高いレベルで設定目標を超えてきている点。そして、須貝選手はとても家族や仲間想いで人間性が高くて、アスリートとしてだけでなく、人としてカッコイイ。自然とみんなが応援したくなるんです。選手活動の環境面のサポートをするだけでなく、チームクレブとしてもどんどん新しいことに挑戦する姿を見せるようにしています。熱いチャレンジャーである彼が勝って喜んだ姿を見たい。心の底から応援しています」

コチラは岸野さんが自身のFacebookに寄せた投稿

INDEX