野山を自由に。軽快に歩き滑る”BCクロカン”

歩行も、滑走も気軽にできるBCクロカンをご存じだろうか?

板は軽く、標高も上げずに森の中を歩きながら、仲間と一緒に景色や会話を楽しみながら緩やかな傾斜を滑る。少しずつ広まってきてる魅力満載なBCクロカンをご紹介しよう。

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聞きなれない言葉”BCクロカン”って?

アルペン、クロスカントリー、ジャンプ、テレマーク、フリースタイル、フリーライドなど、スキーにはたくさんのジャンルが存在する。
ゲレンデだけに留まらず、バックカントリーエリアと呼ばれるスキー場の管轄区域外で、自分自身で安全を確保しながらバックカントリースキー・スノーボードを楽しむ人も増え、多様化が進んでいる。

最近では、BC(ビィ―シー)クロカンという言葉も少し浸透してきているように感じるが、まだまだ聞きなれない人が多いはず。
バックカントリー? クロスカントリースキー? と、どんなことするのか想像するのが難しいこの言葉。

それもそのはず、BCクロカンとは、ヨーロッパではノルディックBCと呼ばれている”歩くスキー”のことを指す和製英語だ。もちろん歩くだけではなく、滑走もできる。

一般的に、バックカントリーと聞いて想像するのは、リフトやロープウェイに乗車し山頂まで移動した後、もしくはリフトなどの動力がない山岳エリアで自らの足で登り手つかずのフィールドを滑ったり、ディープパウダーを堪能するものというイメージが強い。

「バックカントリー」の語源を紐解くと、「裏山」「辺境の地」「僻地」など、整備されていない、管理されていない場所を指す。そういう意味では「バックカントリー」という言葉は、標高やアクセスの難しさに囚われることではない。
積雪のある地域の周りを見渡せば、平地や丘、川沿いに積もった雪道、降雪期でないとアクセスできない池や滝、森の中など、目にする全ての自然がバックカントリーと言える。

つまり、BCクロカンは、バックカントリーを自由に、軽快に歩き滑るスキーなのだ。

どんなギアを使うの?どんな格好すればいいの?

"BCクロカン"で使うスキーは、ウエスト幅は60〜80mmが多い。そしてとても軽量だ。滑走面はステップソールが採用されており斜面を歩いて登れる。
ビンディングにはNNN BC規格というクロスカントリーのもの。ブーツもその規格に合う柔らかな革靴が用いられる
。ステップソールとヒールフリーによる歩行のしやすさと、ウエスト幅による安定感で滑走もでき、モードチェンジやシールの付け外しがなく全工程をシームレスにできるのがBCクロカンのギアの特徴だ。

ウェアは、気候やその日の工程によって適切な選択が必要だ。冬の野外活動では汗をかいても肌に残すことは避けたい。天候や気温にあわせたレイヤリングはもちろんのこと、ヒールフリーのビンディングに慣れない人は、転倒も視野に入れてビブパンツの着用をおすすめしたい。
基本的には3レイヤーのスキーウェアや、気温が高ければクロスカントリー用のソフトシェルを着用すると安心だ。ハイキングで使用するレインウェアやフリースなどで代用も可能。新たに準備をしなくても、家にあるアウトドア用のウェアで気軽にBCクロカンにチャレンジできる。

BCクロカンの魅力とは?

2025年4月某日、長野県小谷村の栂池高原スキー場に集まったのは15名のBCクロカンの魅力にハマったスキーヤー・スノーボーダーだ。

この企画の発起人はwell-tuned代表伊藤孝太さん。

「2022年にフィッシャーのレンティングさんと栂池自然園にてBCクロカンを履いて、これからのスキーの楽しみ方の提案としてとても可能性があることを認識しました。
その後、ブランドやショップ主催のBCクロカンツアーを全国各地で開催していく中で、各地域にいる熱意ある人々と出会いました。
そこで原点である栂池自然園で年に一度のBCクロカンについての意見交換の場としてBCクロカンミーティングを開催するに至りました」

と、開催の経緯を教えてくれた。

この日のルートは栂池高原スキー場のゴンドラ降り場から栂池自然園を目指すルート。いざ、ゴンドラに乗って山頂駅に行くと時季外れの降雪で積雪が10センチほど。
日頃からウィンタースポーツを楽しむメンバーが多かったこともあり、「今日、板間違えたね」と笑いながら目的地の栂池自然園に向かって歩き出す。

ロープウェイの春営業前に管轄区域外へアクセスする際に使用する林道を進む。
この林道は、栂池スキー場からバックカントリースキー・スノーボードをする際に歩くことが多いので、知っている人も多いはず。

過去に何度か登ったことがあるルートではあったが、緩やかな登りがつづくのでロープウェイの降り場まで行くのも大変だったと記憶している。遅れをとって、メンバーに迷惑を掛けないか不安があったが、それもすぐに解消された。

BCクロカンの軽量なギアと、締め付けのない革製のブーツが快適で、自然と気持ちも軽く会話も弾んだ。
さらに、ビンディングのモードチェンジや、シールの張替えが必要ないので登っている最中にUターンして滑ってからまた登り返すこともできる。
登り一辺倒ではないのもBCクロカンの魅力といえる。

メンバーの中には日ごろからテレマークスキーを嗜む人もいたため、ヒールフリーでテレマークターンを披露してくれるなど終始笑顔が絶えない時間を過ごした
「未知なる可能性を秘めている手軽で楽しいBCクロカンをより多くの方に知っていただきたい」と語る、伊藤考太さんは、この冬BCクロカン専門店[well-tuned]を北海道岩見沢にオープン

BCクロカンの楽しみ方

ウィンタースポーツの楽しみ方はそれぞれだが、バックカントリースキー・スノーボードと裾野や森のなかで歩くを楽しむBCクロカンは楽しみ方が共通している。
パウダースノーや絶景を拝みながらの滑走は目的の一つではあるが、目的地に向かってハイクしている最中の会話や、その日限りの景色や感動、終わったあとの温泉や食事までが一つの山行と考えると滑走時間はほんの僅か。
意外とその他の時間の方が思い出に残っている。

スキー道具の進化により、標高を上げることが容易になりつつあるが、改めてギアとフィールドを見渡してみると、実は等身大のまま遊べるバックカントリーが無限に広がっている。
この冬は自由で軽快に歩き滑るBCクロカンに触れてみてはどうだろう。


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Photo=Tomoya Tezuka

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