日本一滑っている気象予報士が解説|今年の冬、雪はどうなる?

この冬の雪は、これからどんなふうに動いていくのか。シーズン中は蔵王に通い詰めるスキーヤーで、山形のテレビ局でのお天気キャスターを務める「日本一滑っている気象予報士」兵頭哲二が、’25–26シーズンの雪を読み解く。この冬、パウダーをたくさん当てて最高のシーズンにするために、滑り手が知りたい“冬の読み方”を先取りしよう。

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日本一滑っている気象予報士です

雪山での僕、ホームマウンテンは山形・蔵王温泉スキー場

皆さん、はじめまして! 気象予報士で山形のお天気キャスターをしている、兵頭哲二(ひょうどうてつじ)と申します。

僕は兵庫県の神戸出身ですが、小学生のころから年に数回スキーに行っていました。そして、40歳を過ぎてお天気キャスターとして山形に来たことから、冬はどっぷりとスキーに浸る生活を送るようになりました。昨シーズンは滑走日数が50日を超え、日本一滑っている気象予報士だと自負しています(笑)。

そんなスキーヤーでもある気象予報士の僕が、25/26シーズンはどんな冬になるのか、解説していきますので、よろしくお願いします。

Nスタやまがた(TUYテレビユー山形)に出演中(右端)

エルニーニョ・ラニーニャ現象

今回、解説するのは、11月25日(火)に気象庁が発表した3か月予報で、12月から2月を対象としています。3ヵ月予報の詳細の前に、まずは長期予報では重要になるエルニーニョ現象・ラニーニャ現象の状況について見てみましょう。

これは、太平洋熱帯域の海水温の偏りの変化のことで、平年よりも、西で低く東で高いのをエルニーニョ現象、西で高く東で低いのをラニーニャ現象と言います。そして、図のように、冬季はエルニーニョ現象の時、冬型の気圧配置が弱まり、ラニーニャ現象の時強まるということが知られています。

では、現在はどちらの状況なのかというと、最新(11月10日発表)のエルニーニョ監視速報では『エルニーニョ現象もラニーニャ現象も発生していない平常の状態と見られるが、ラニーニャ現象に近い状態となっている』となっていて、平年よりは冬型の気圧配置が強まることが期待できそうな状況となっています。

12月〜2月の3か月予報

では、期待を込めて3か月予報を見ていきましょう!

3か月予報は、平均気温、日照時間、降水量、そして降雪量について、低い(少ない)、平年並、高い(多い)の3段階でそれぞれの出現確率を表したものです。

まずは3か月の平均気温から

ほぼ平年並みの傾向の所が多いですが、細かく見ると、沖縄、奄美は低温傾向、西日本は平年並み、東日本、北日本はやや高温傾向が強くなっています。

では続いて一番気になる降雪量。

どの地域もほぼ平年並みですが、山陰は少し多い傾向が見られます。先ほどの気温と合わせると西日本は気温が平年並みか低い傾向で雪が多くなるようです。

ここまでで明らかになったことをまとめてみます。

  • ラニーニャ現象に近い状況で冬型は強まる可能性
  • 西で気温が低く北は高い傾向
  • 降雪量は西でやや多く、東日本、北日本も平年並み

このなかで興味深いのは、北日本や東日本は気温がやや高い傾向にもかかわらず、降雪量が平年並みという点です。

ここから考えられることは、やはりラニーニャ現象の影響で冬型の気圧配置が強まることがあると考えられます。また、近年日本海の海面水温が高く、季節風に水蒸気がより多く供給されると考えられます。

次に、月ごとの予報を見ていきます。

最新(11/27発表)の1か月予報から12月を予想

まず12月ですが、これは3か月予報の12月ではなく、最新(11月27日)の1か月予報を見てみましょう。

実は、最新の1か月予報は、予報が大幅に変わりました。

これは、12月に入った今週、いきなり年末年始レベルの寒波が来るからなのですが、寒気の放出は夏の太平洋高気圧の動きに比べ、変化が急激で予想が難しいのです。

このため、寒気の動向を早くつかむには、最新の週間予報や2週間気温予報を小まめにチェックすることをお勧めします。あらためて、最新の1か月予報を見ると、日本海側の降水量が多く、太平洋側が少ないことから、冬型の気圧配置が強まることがわかります。

気温は西日本で低温、北日本は高温傾向で、いわゆる北暖西冷のパターンです。これは北日本だけでなく、西日本から回り込むように寒気が流れ込むパターンのことです。

この北暖西冷のパターンでは、低気圧が、日本海で発達しながら進むタイミングで西日本に寒気が入るのですが、北日本には南風が吹き、フェーン現象も起こって、気温が上昇し、降り始めが雨や湿雪になることもあります。低気圧や寒冷前線通過後は冬型の気圧配置となり、雪が降ります。このため、雪質の変化や雪崩などに注意が必要です。

一方、低気圧が近づく前は、THE DAYと呼べるほどの晴天に恵まれることもあるので、晴れねらいのときは低気圧接近のタイミングをよく確認しましょう。

1月はどうなる?

続いて1月です。これは3か月予報で見ますが、月ごとの降雪量はないので、平均気温と降水量を見ます。

1月も北暖西冷の傾向が見られますが、年間で一番気温が低い時期ですので、この程度であれば、東日本、北日本の山は雪が降ります。また、西日本は低温傾向ですので、西日本のスキー場でも降雪のタイミングがあるでしょう。

そして、1月最大のポイントは、北日本の太平洋側も平年より降水量が多くなる予想になっていることです。これは12月のところでも書いた、低気圧が発達しながら北日本を通過するためと考えられます。

このパターンは雪やふぶきが何日も続くというよりは、いったん南風が吹くため、晴れ→雨(または雪)→雪→晴れ、というサイクルを繰り返すパターンになります。つまり、タイミングを間違えなければ、THE DAYを狙えたり、リセットパウダーを狙えるチャンスが増える可能性があるということです。

ぜひ、天気予報を小まめにチェックしてください。注意したいのは低気圧の通過で弱層が形成されやすくなるため、BCでは雪崩に十分注意してください。

では2月は?

2月はまだ先で、予想のブレも大きいですが、全国的にほぼ平年並の気温、平年並みの降水量となる可能性が高そうです。ただ細かく見ると、相対的に日本海側の降水量が多いので、冬型の気圧配置なるタイミングもまだありそうです。北日本や標高の高いスキー場ではパウダーチャンスを期待してもいいかもしれません。

この冬の予想・まとめ

如何だったでしょうか。まとめると、この冬もスキー、スノーボードを十分楽しめるシーズンになると思います。ポイントは冬型が長く続くというよりも、メリハリのある天気変化となる可能性が高いので、ハイシーズンのピーカンパウダーも期待できます。

2月以降は気温の上昇が速い可能性もあると思いますが、昨シーズンのように1月までに十分な積雪があれば、比較的長く雪を楽しめるシーズンとなるのではないでしょうか。

さぁ、今週は降雪が予想されています。今のうちからしっかりギアの準備をして、最高のシーズンインをメイクしましょう!

僕も早く山に上がって、こんなふうに現地調査!! をしたいと思っています。

昨シーズンの現地調査中

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