アルプスの名峰ドロミテと、イタリアを象徴する都市ミラノ。大自然とモダンが交差する舞台で、2026年2月、冬季オリンピックが幕を開ける。STEEPで追いかけていくフリースタイル競技を中心に、まずはじめに基本情報を整理する。
北京からミラノ・コルティナへ
前回の北京オリンピックから4年、再びスキーとスノーボードが世界中の熱い視線を浴びる冬がやってくる。
北京大会を振り返ると、いまなお記憶に鮮やかな、スノーボード男子ハーフパイプで金メダルに輝いた平野歩夢の圧巻の滑り。完成度と難度を極限まで高めたラストランは、世界を驚愕させ、五輪史に残る名シーンとなった。
モーグル男子の堀島行真は銅メダルを獲得、安定感と勝負強さ、さらなる伸びしろを世界にアピールした。
北京以後、平野歩夢も堀島行真も世界のトップシーンで揺るぎない存在感と圧倒的なパフォーマンスを見せ続け、12月に開催された今季のW-CUP開幕戦では、平野・堀島ともに優勝を飾り、熱い注目を集めている。冬季オリンピックの舞台は2026年イタリア ミラノ・コルティナへ。2月6日~22日の16日間、荘厳なドロミテ山脈に抱かれた地で、再び熱い戦いが繰り広げられる。
ミラノ・コルティナオリンピックの注目ポイントは?

広域開催と持続可能性
今大会は、ミラノとコルティナという都市をまたいだ広域開催であることが大きな特徴だ。その背景には持続可能性も意識されていることがある。「新しく造る五輪」から「すでにある場所を活かす五輪」へのシフトチェンジ。都市をハブとし、競技場を山岳地帯にと分散することで、新しい道路や競技場をゼロから造る必要がなくなり、環境負荷を下げることにつながるからだ。
また、ミラノ・コルティナ大会では、「レガシー(遺産)」として、五輪仕様に一部拡張する施設や仕組みが、大会が終わった後も地域のスポーツや観光に実際に使われ続けるかどうかも強く意識されている。
ミラノ・コルティナオリンピックのマスコットキャラクター

広域開催という特徴は、こんなところにも表れている。今大会の公式マスコットが、この「ミラとティナ」。イタリアの山岳地帯に生息するオコジョ(ermine)をモチーフにしたキャラクターだ。どうして2匹いるのか? 都市(ミラノ)と山岳リゾート(コルティナ)をまたぐ広域開催を視覚的に表現するため、2体となったのだ。
このデザインは、大会組織委員会とイタリア教育省が協力し、イタリア全土の小中学生たち(6〜14歳)から応募を募ったもので、1,600以上のデザイン案が寄せられたという。
競技の革新性と多様性

広域開催という特徴に加えて、世界が注目するポイントは、競技の革新性と多様性だ。
今大会では新種目として、山岳スキー「Skimo (スキーモ)が採用された。スキーモ(スキーマウンテニアリング)は、山岳地帯をスキーで登り、シールを外して滑走する動作を繰り返し、速さと体力、判断力などを競う山岳的な競技。ドロミテの悠大なマウンテンフィールドに格好のデビューともいえよう。
そして、モーグル競技に初めて「デュアルモーグル」が採用される。

これは、2人の選手が並走し、同時にスタートして同じコースを滑るモーグルの新種目。勝敗はゴールした速さだけでなく、ターンの安定性やジャンプの完成度など滑り全体の質を比較してジャッジの判定により決まる。タイムと技術、表現を総合的に評価するため、従来のモーグル以上に2人の熾烈なバトルが迫力たっぷりで、エンターテイメント性抜群だ。
フリースタイルスキーは、この新しいデュアルモーグルを含めて全15種目が開催される。
フリースタイル種目の会場「Livigno(リヴィーニョ)」

フリースタイル競技の舞台となるのはドロミテ山脈周辺のリゾート「Livigno(リヴィーニョ)」。切り立った岩峰が連なるこの地域は、世界的にも名高いダイナミックな山岳景観を持ち、そのスケール感は圧巻。北京オリンピックのように人工的に整えられた単一会場とは異なり、ミラノ・コルティナオリンピックでは、会場そのものが競技の雰囲気を形づくる要素となる。
リヴィーニョは、ミラノから約 230 km、山道を3.5〜4時間走る。リゾートにモーグル/エアリアル専用施設と「Livigno Snow Park」をもち、ここで15種目すべてのフリースタイルスキーとスノーボード競技が展開される。
「Livigno Snow Park」は、設計が独特だ。5つの異なる競技エリアがひとつのフィニッシュゾーンへと集約されており、観客は複数の競技を同時に観戦することができるのだ。いつも何かの競技が開催されている、観客を飽きさせない運営というわけだ。
今回、最も注目が集まるのはビッグエアだ。エア台の最高到達点は、なんと高さ40m以上になる予定で、夜間開催のためにライトアップされる。照明に輝く巨大なエア台はアスリートのパフォーマンスを彩る、もう一つの主役になるだろう。ちなみにハーフパイプも夜の開催だ。イタリア現地と日本の時差は8時間。19時からの決勝は日本時間の夜中の3時…ライブ観戦は夜更かし必須になりそうだ。
スロープスタイルのコーススペックもすでに関係者には共有されているという。ラストキッカーがこれまでにない大きさという噂も……。詳細やコース造りが進んできたら、また紹介しよう。
チケット観戦事情

観戦チケットはまだ購入できるのか?
公式チケット販売は、2025年4月8日からスタートしており、大会組織委員会の公式サイトのみで行われている。
https://tickets.milanocortina2026.org
チケットはすべてデジタル形式で、「Tickets MilanoCortina2026」公式モバイルアプリを通じて提供されるスタイル。アカウント登録が必要だ。
開会式や人気のカテゴリ(座席のグレード)やセッション(種目ごとの予選や決勝などのラウンド)はすでに売り切れているという話も聞こえてくるが、フリースタイル競技は注目度が高いため、もしも現地観戦を望むなら早めの購入が望ましい。
チケットは、抽選販売 → 一般先着販売 → 追加販売 → リセールという流れで出てくる。この「リセール」というのが便利なシステムで、観戦予定の変更に対応するため、チケットを第三者に再販売できる再販売のプラットフォームが用意されているのだ。2025年12月にサービスが開始され、日々公式サイト上でリセールが稼働している。購入のチャンスを逃してしまった人や種目でも、リセールをこまめにチェックしておくとチャンスがやってくるかも。
興味深いチケット価格
チケット価格は、競技種目・座席カテゴリー・競技のラウンドによって異なり、オリンピックの一般的な価格帯は、€30〜€2,900(ユーロ)といったところ。参考までに…
開会式:€260〜€2,026
フィギュアスケート:€280〜€1,200
アルペンスキー:€100〜€220
スノーボード/フリースタイルスキー:€50〜€440
日本円に換算すると(1€ユーロ=約182.82円 1/7日時点)スノーボード/フリースタイルスキーは、€50〜€440≒9200円~80,000円となる。開会式の€2,026は約37万円だ!
日本での観戦・テレビなどの放映予定は?
オンエアでの観戦は、NHK(地上波&BS1)で主要競技を放送予定。民放各局も地上波による注目競技の生中継に加え、「TVer」でのライブ配信やハイライト動画の提供が予定されている。地上波での生中継は8時間という時差の関係で、日本時間の夕方から翌朝にかけての放映になる予定だ。放映スケジュールの詳細が発表されたらお知らせしよう。
Information
ミラノ・コルティナオリンピック2026
https://www.olympics.com/ja/milano-cortina-2026

