「スノーボード・スロープスタイル」競技の見どころ―ミラノ・コルティナ2026オリンピック

ミラノ・コルティナオリンピックの観戦をより楽しむために、競技の特徴や見どころポイント、ルールなど、スノーボード・スロープスタイルの基礎知識をつけておこう。

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■スノーボード・スロープスタイル(Slope Style)とは? そのおもしろさ

Photo:isparkandpipe

 自由な発想が評価に直結する、創造の競技

スノーボード・スロープスタイルは、複数のジャンプとレールなどのジブアイテムを組み合わせたコースでの自由なパフォーマンスに対して、ジャッジが技の難度、完成度、構成力(流れ)や独創性を評価する競技。2014年ソチ大会から五輪種目として採用され、スノーボードカルチャーを象徴する存在となった。

コースは大会ごとに異なるが、FIS(世界スキー連盟)では、コース幅は最低30m以上、全体の標高差は 50m以上200m以下で、コース上に少なくとも6セクションが設置されるというレギュレーションを国際大会では採用している。開催国にちなんだアイテムが設置されるのがオリンピックのスロープスタイルでは恒例化している。

競技では、ジャンプでの空中技だけでなく、レールやボックスでの入り方、体の使い方、トリックの選択まで含めて評価される。特徴的なのは、スタイル=個性が点数に反映される点だ。同じ技でも、見せ方によって評価が変わる。この競技の魅力は、選手の発想力がそのまま表現として現れること。どのセクションで勝負するか、どんな流れで構成するかに正解はない。自由度の高さが、ラン一本ごとの個性を際立たせる。

一方で、難しさはハイレベルでの流れ維持にある。もしもどこかのアイテムで失敗すれば失速してしまい、次のアイテムの入りが乱れ、予定していたトリックの完成度が落ちたり、変更を余儀なくされることもあり、全体のランの流れが崩れてしまう。一本を通して思い通りのパフォーマンスができる技術力と、集中力を切らさない精神力、ミスが出たときのリカバリー力などが不可欠だ。

ここ数年で男子のエアトリックの回転数と難度が急速に上がっており、進化が止まらない。2025年1月のWinter X Games Big airで日本の萩原大翔が2340(6回転半)という世界初となる超大技を成功させ優勝、回転数の記録の歴史を塗り替えて話題になったが、スロープスタイルでは一つのジャンプのミスでも全体のランの完成度に影響するため、スロープスタイルの現実的な勝利ラインは2160コークあたりではといわれている。

Photo:isparkandpipe

ジブアイテムでは、 スイッチIN+複合ラインを高い完成度でメイクすること、スイッチからの複数回転 とグラブの組み合わせ、リバーストランジションなどをレールのタイプ・特性に合わせていかに「魅せる」かが評価軸となっている。

動画で実際の様子を見てみよう!

ミラノ・コルティナオリンピックならではの着目ポイント

エアトリックにジブアイテムの世界最先端のトリックのオンパレードは見ごたえ抜群。どのようなランが世界最高峰と評価されるのか。FIS大会・五輪・X Games など“競技としてのスノーボード”について、ルール・採点・トレンド・技術などを議論するコミュニティや場、といわれる競技スノーボード・フォーラムでは、「超回転だけが良いとは限らない、スタイルをもっと評価するべき」という意見も根強くある。これは大会ジャッジにも少しずつ反映されている方向性だが、こういった、ジャッジは何を評価するか、といった点も着目ポイントの一つ。

また、現場の環境点では、ミラノ・コルティナ五輪では、山岳エリアのコルティナの高地条件がジャンプの質を左右する可能性も考えられる。前回の、都市部で安定したコンディションで開催された北京五輪と違い、天候や雪のコンディションも読みにくい。

Photo:fisparkandpipe

さらに、通常であればオリンピックイヤーの前年に「プレ大会」が開催されるところだが、今大会では開催されなかったため、会場となる「Livigno Snow Park」にどのような舞台が設営されるのか未知数。どのようなコース設計になるのか、柔軟な対応力が求められるうえ、表現力と完成度のせめぎ合いが、勝負を左右するのではないか。

ハーフパイクとともに、ビッグエア・スロープスタイルでも、いま世界のトップシーンで輝く活躍を見せているのが日本人ライダーたちだ。男女で8名と多くの選手が出場し、誰が勝ってもおかしくない実力者揃い。スノーボード種目で先陣をきって開催された男子ビッグエアでは、日本勢4名が全員決勝にコマを進め、見事に木村 葵来が金、木俣 椋真が銀を獲得。その勢いを追い風に、スロープスタイルも日本人を中心にしたメダル争いになるか大いに注目したい。

スロープスタイルに出場できる選手は、ビッグエアと同じ。一発勝負に強い選手とスロープスタイルが得意な選手もいる。選手たちの両種目のランを見比べるのも観戦の楽しい点になるだろう。

■スノーボード・スロープスタイルの試合形式とジャッジ方式

予選から決勝まではこのような流れで争われる。

〈予選〉全員が2回ずつ滑り、各選手の高い方の得点を採用し順位を決め、上位12名が決勝へ進出する

〈決勝〉全員が3回ずつ滑り、最も高い得点を採用し、最終順位を決める

予選は抽選によって滑走順が決まる。全員が2回滑るが、合計点ではなく高い方の得点が採用される。2回チャンスがあるので、よほどのことがない限り、メダル候補の有力選手が予選落ちするケースは少ない。決勝は3回チャンスがある(W杯は2回)。そのため、メダルを狙う選手はここで大技に挑み、より高い得点を得ようとする。なお、決勝の滑走順は予選の下位からとなる。予選で上位の選手は全体の流れを見極めてから滑ることができるので、精神的に有利だと考えられる。

*当日の天候などにより試合形式、順位決定形式が変更になる可能性あり

■ミラノ・コルティナオリンピック スノーボード・スロープスタイル競技スケジュール

開催日時種目放送予定
2/16(月)●女子スノーボード・スロープスタイル 予選
[日本時間]2/16(月)18:30
2/16(月)
18:25〜 NHK BS
●男子スノーボード・スロープスタイル 予選
[日本時間]2/16(月)22:00
2/16(月)
21:55~ NHK BS
22:00~ TVer https://tver.jp/olympic/milanocortina2026/live/
2/17(火)●女子スノーボード・スロープスタイル 決勝
[日本時間]2/17(火)21:00
2/17日(火)
20:00〜23:05 フジテレビ系列
2/18(水)●男子スノーボード・スロープスタイル 決勝
[日本時間]2/18(水)20:30
2/18(水)
20:25 NHK BS
20:30 TVer https://tver.jp/olympic/milanocortina2026/live/

■ミラノ・コルティナオリンピック スノーボード・スロープスタイルに出場予定の日本人選手 

[男子]

nameInstagram生年月日出身 ※要確認!所属SAJの五輪派遣推薦基準に該当する戦績
木村 葵来(きむらきら)@kimura_kira2004年6月30日東京都ムラサキスポーツ’24/25 W-CUP クラーゲンフルト BA優勝
’24/25 W-CUPスチームボートSS2位
長谷川 帝勝(はせがわ たいが)@hasegawataiga10232005年10月23日神奈川県STANCER’24/25 ユース五輪 SS優勝
’24/25W-CUP コッパーマウンテン SS3位
木俣 椋真(きまた りょうま)@ryomakimata2007年7月24日京都府YAMAZEN’24/25 W-CUPバクー BA2位
’24/25 W-CUP SS 決勝複数回進出
荻原 大翔(おぎわら ひろと)@hiroto_ogiwara2005年7月19日茨城県仙台大学’24/25 W-CUP コッパーマウンテン SS3位
’24/25 W-CUPスチームボートSS優勝

[女子]

nameInstagram生年月日出身 ※要確認!所属SAJの五輪派遣推薦基準に該当する戦績
村瀬 心椛(むらせ ここも)@cocomonsan2004年11月7日岐阜県TOKIOインカラミスノーボード部’24/25 W-CUPカードローナSS/Chur BA優勝
岩渕 麗楽(いわぶち れいら)@leila_iwabuchi2001年12月14日東京都バートン’22 北京五輪BA3位
’24/25 W-CUPクラーゲンフルトBA2位
’25 X Games Aspen BA2位
深田 茉莉(ふかだ まり)@mari54ff2007年1月1日京都府YAMAZEN’24/25 W-CUPクールBA優勝
’24/25 W-CUP北京BA2位
鈴木 萌々(すずき もも)@momo__suzuki2007年10月29日福島県キララクエストスノーボードクラブ’24/25 W-CUPクラーゲンフルトBA3位
’24/25 W-CUPアスペンBA3位
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