トップ選手も使用するレースギア「HOTRONIC」ヒートソックスの実力を検証

電熱ギアは近年、スノースポーツ業界でも着実に普及が進んでいる。今回は、アメリカやオーストリアなど各国の代表チームと提携する「HOTRONIC」のヒートソックスを編集部員が実地テスト。“10年に一度”とも言われた最強寒波の中、実際の雪山環境でその実力を検証した。

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HOTRONIC(ホットロニック)とは

「HOTRONIC」は、世界最先端の自動チューンナップマシン「Jupiter X」で知られる、WINTERSTEIGER(ウィンターシュタイガー)グループの展開するブランド。
「もっと長く、もっと暖かく」という目標を掲げ、ブーツフィッティング講習なども手がける専門技術者集団を擁し、革新的な分析手法を用いて個々のアスリートのニーズに応えながら、活動を足下からサポートする製品開発を行っている。

Photo credit: Erich Spiess

その技術は競技の最前線でも採用されており、オーストリア、ドイツ、アメリカ代表チームのアルペンスキーをはじめ、スノーボード、モーグル、ジャンプ、クロスカントリーなど多競技の選手にカスタムインソールを提供。
さらに登山家や写真家、モータースポーツからサッカーやバレーボール、さらには乗馬といった夏季競技のアスリート、そして日常をアクティブに過ごしたい一般ユーザーまで、幅広い層に支持されている。

日本では、ミラノ・コルティナ2026オリンピック出場のスキークロス須貝龍選手や、FWTに参戦する星野洸我選手など、結果を求めて戦うトップアスリートたちも愛用。「もっと速く」を追い求める滑り手のために設計された一足は、暖かさによって無駄な緊張や冷えを排除し、集中力と反応速度を最大化。
板やブーツと同じく“レースギア”のひとつとして位置づけられたこのソックスは、単なる防寒アイテムではない。「コンマ1秒を縮めたい」「思い描いたラインを正確に刻みたい」――そんな本気のスキーヤーが手に取るべき、勝つための装備だ。

ブランドが展開するプロダクト

今回試したヒートソックスのほか、インソールやライナーなども展開しているが、寒冷環境下での使用に特化した「ヒーティングシステム」を搭載したものには、ヒートインソールやヒートグローブ、加温バッグなどがある。ブーツ・グローブ用の小型乾燥機などもあり、徹底的に保温性と快適性、そして利便性を追求している。

HEATGLOVE SET PERFORMANCE XLP 2G
HEATMITT SET PERFORMANCE XLP 2G
BD RACING BOOT BAG PRO
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ヒートソックスについて

電熱ソックスの「XLP S」シリーズは、用途やフィット感の好みに合わせて選べる3タイプをラインナップ。快適性を重視した「Comfort」、ブーツ内でかさばらない薄さと保温性のバランスを追求した「Thin」、そしてレースシーンを想定し、薄手ながら暖かさと快適性を両立しつつ雪面感覚を的確に捉えられるよう最適化された「Race」が用意されている。

ヒーティング方式は、つま先全体を広範囲で包み込む「Surround」と、つま先下部と母指球周辺を効率よく温める「Classic」の2種類。さらにバッテリー容量は、最低温度設定で約8~10時間使用可能な「XLP 1S」と、同条件で約16~18.5時間稼働する「XLP 2S」の2タイプがある。

レースモデル「HEAT SOCKS SURROUND RACE」使用レビュー

今回試したのは、このシリーズの中で唯一、日本国内で入手可能(取扱:クレブスポーツ)な「HEAT SOCKS SURROUND RACE」。パフォーマンスを重視した薄型設計のモデルで、その主な特徴は以下のとおりだ。
※バッテリーセットは別売り

HEAT SOCKS SURROUND RACE

約5~7時間の充電で最大約18時間暖かさをキープ。バッテリー残量が減っても出力は変わらず、操作もスマホアプリから簡単に行える。

機能:
・薄型設計の高機能ヒートソックス
・つま先を包み込む「サラウンドヒーティング」
・高い吸湿放出性能
・溶着ワイヤー構造によるシームレス仕様
・着圧:ややソフト(PFI30/5~10mmHg)
・部位別サポートの立体補強

素材:メリノウール40%、ポリアミド35%、エラスタン25%
カラー:ブラック
サイズ:横5cm、縦9cm、厚み1.4cm/S(22.0-24.0cm)、M(25.0-26.0cm)、L(27.0-28.0cm)
動作温度範囲:-20度~+30度(参考値)
通信機能:Bluetooth Low Energy対応
対応アプリ:HOTRONIC Heat App(iOS/Android対応)
重さ(約):120g(1個)

$135.00 USD

XLP 2S BT POWER SET

機能:
・軽量かつコンパクトなリチウムイオンバッテリー搭載
・インテリジェント充電技術搭載
・一定の加圧出力を維持
・Bluetooth経由で専用アプリ『HOTRONIC Heat App』から発熱レベルやスタンバイ/保管モードを設定可能

$359.00 USD

テスト環境は、ゲレンデでのフリー滑走(1月中旬/野麦峠スキー場/晴れ/気温-5℃前後)と、イベント受付業務として終日屋外で着席している状況(2月頭/星野リゾート ネコマ マウンテン/小雪/気温−10 ~-5℃)という、性質の異なる2条件。前者では滑走中の感覚や操作性、後者では長時間着用時の保温性や快適性に焦点を当て、それぞれの場面で感じたメリットとデメリットを率直にレポートする。

外箱にも、温かみを感じさせる風合いがある
裏面に日本語での簡単な説明が添付されている

使用前に、まずは充電。バッテリーの赤いカバーを外し、USB-C端子付きの充電ケーブルをスナップ式コネクターで接続する。充電時間はおよそ5〜7時間。前日の夜に準備しておけば、就寝中に充電を完了できる。

フリー滑走テスト

翌朝、まずは装着。サイズはM。表記は“ややソフト”な着圧だが、実際は想像以上にタイトで、やや筋肉質なふくらはぎの編集部員には履くまでが一仕事だった。膝下の細長い欧米ユーザー向け設計なのではと感じた。とはいえ、履いてしまえば違和感はなく、着用感は一般的なコンプレッションソックスと同等。むしろ甲部分は柔らかく、肌触りも滑らかでクッション性を感じるほど。

「R」は右足。つま先部分はこんな感じ
ぐるぐると電熱線が張り巡らされている

電熱線部分に触れてみると、じんわりと穏やかな暖かさ。長時間触れていると低温やけどのリスクがあったり、中身が偏って熱さにムラを感じたりするカイロと比べて安心感がある。

温度調整は、ユーザーマニュアルも確認できる専用アプリ『HOTRONIC Heat App』(Android版iOS版)で行うが、接続は想像以上に簡単。表示は英語ながら、Bluetooth機器のペアリングに慣れていれば迷う要素はない。アプリと本体それぞれのボタンを押すだけで、左右それぞれを接続し、好みの温度を4段階から選べば準備完了だ。


バッテリー外装は柔軟なシリコン製で、脚のラインに沿ってやや湾曲する設計。スキーで装着するほかの装備と比べれば、重さというほどの重量もない。

履き口は二層になっていて、バッテリーの上から覆う仕様。ふくらはぎのサイドから足裏まで電熱線が伸びる
上から見たバッテリーのサイズ感

履き心地として、最初は足裏にすこしの違和感があったが、滑り始めるとそれもすぐに気にならなくなった。試しに片足だけ履いて過ごした日には、その差がはっきり感じられた。加温していない足は冷えのせいで気が散る一方、履いている側は電気が巡り、余計な“気”を取られることなく滑りに集中できた。

静止(待機想定)テスト

極限環境下、主にレーシングシーンでの使用を想定して開発されたハイエンドモデルのソックスを、贅沢にも“待機時間”を想定した日常環境でも試してみた。結論から言えば、印象は“暖かい”の一言に尽きる。あえて難点を挙げるとすれば、装着の手間と価格、そして手洗いの際に多少気を遣う点くらいだ。

バッテリー容量も、感覚的な“1日”を過ごすには十分。本体の重さやサイズも想像していたほど気にならない。じゃりじゃりした靴用カイロを仕込み、常に何かを踏んでいる感覚のまま過ごすのと比べれば、その快適さは明らか。暖かいのに蒸れにくいという点も、想像以上の快適さ。素材にはメリノウールを40%配合しており、保温性と吸湿放出性を高いレベルで両立している。

コンマ1秒を削り出すために、板やブーツと同様の先端技術が惜しみなく投入された、まぎれもないレースギア。その実力を体感する結果となった。気になる人はぜひ一度試してみてほしい。

Information

BOOTDOC-HOTRONIC

公式サイト:https://www.bootdoc-hotronic.com/en_us/index.html
公式SNS:InstagramFacebookX

株式会社クレブ クレブスポーツ

〒 949-6102 新潟県南魚沼郡湯沢町大字神立39-8
公式サイト:https://www.xraeb.co.jp/xraebsport
SNS:InstagramFacebook

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