キロロリゾートで16年にわたって積み重ねる、次世代へとバトンを繋ぐパウダー祭「ツカサホームPOWDER FREERIDE ’26」

北海道・キロロリゾートにて、16年目を迎えた日本で一番歴史のあるフリーライドコンペティション「ツカサホームPOWDER FREERIDE ’26」が2月に開かれた。

このイベントはコンペティションだけではなく、最新ギアの試乗会や環境のことを考えるトークショー、そしてプロライダーとのセッションなど、いわば「パウダー祭」と呼ぶにふさわしいスノーフェスティバル。

現場の熱い想いと、未来を見据えた取り組みなどを凝縮したレポートとダイジェストムービーをどうぞ。

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8歳から75歳までが同じ舞台——「カテゴリー」の枠を取り払う自由と互いを思うリスペクト

「ツカサホームPOWDER FREERIDE ’26」最大の特徴は、いまでは珍しい「クラス分け」が存在しない点にある。スキー・スノーボードはもちろんのこと、モノスキーやテレマークスキーまでもが同じ斜面を滑り、滑走力や表現力を競い合う。

もうひとつ特筆すべきは参加者の年齢層の幅広さだ。
下は8歳の小学生から、上は75歳のベテランまで、実に3世代にわたる滑り手たちが同じスタート地点に立つ。異なるギア、異なる世代が混在するのは、採点競技としては不公平に映るかもしれない。しかし、これまで参加者から一度も不満の声が上がったことはないという。

その背景には、ジャッジを務めるメンバーへの絶大な信頼感があるのは間違いない。長野五輪代表の渡辺伸一、今井孝雅、坂本豪大といったスキー・スノーボードのレジェンドたち、そしてFWT公認ジャッジの三上大紀。日本を代表するプロフェッショナルが真摯に向き合っているからこそ、カオスともいえる多様な滑りが、「フリーライド」として統合されている。

コンペティションの開かれた1日目は快晴のなか、写真のような極上の雪の状態

「年齢やカテゴリーを越えてリスペクトし合い、励まし合い、祝福し合う姿が印象的で、これがフリーライドの素晴らしさなんだと再確認しました」

そう統括したのはこの大会を立ち上げた一人である児玉毅。この相互リスペクトの精神こそが、この大会を「最も自由なフリーライドコンペティション」と言わしめる本質なのかもしれない。

圧倒的な10代の台頭——つながる「次世代へのバトン」

今大会での注目点は、運営陣も驚いた「世代交代」の波だ。

数年前までは20〜30代のライダーが中心だったが、今回は10代の選手たちの存在感が際立っていた。結果を見れば、一目瞭然。

一般男子の1位から3位までを10代のスキーヤー(鷲尾駿、田中心之助、菅原来斗)が独占。さらに小学生カテゴリーでもスノーボード、スキーともに大人顔負けのライディングを披露した。

一般男子カテゴリー 合計66名(スキー30名、スノーボード29名、テレマーク1名、モノスキー6名)

1位:鷲尾 駿(スキー) 245pt
2位:田中 心之助(スキー) 223pt
3位:菅原 来斗(スキー) 204pt
4位:小川 築(スノーボード) 202pt
5位:三浦 隼之助(スキー) 196pt
6位:岡村 颯(スキー) 195pt
7位:山田 真也(スキー) 193pt
8位:名古屋 地星(スキー) 193pt
9位:三浦 快斗(スキー) 183pt
10位:多田 崚真(スキー) 176pt

小学生男女カテゴリー 合計19名(スキー14名、スノーボード5名)

1位:佃 一路(スノーボード) 199pt
2位:佐藤 茉里花(スノーボード) 156pt
3位:佃 遥真(スノーボード) 146pt
4位:笹原 悠志(スキー) 137pt
5位:中野 眞帆(スキー) 133pt

一般女子カテゴリー 合計14名(スキー3名、スノーボード11名)

1位:鳥本 雪乃(スノーボード) 170pt
2位:GARVEY Thalia(Rhythm Japan / スキー) 139pt
3位:高梨 志歩(スノーボード) 136pt
4位:紺野 加緒里(スノーボード) 130pt
5位:牧田 直央位(スノーボード) 118pt

これは、大会の主要目的の一つであるジュニアの育成が、スローガンだけではなく、結果として結実していると言っていい。


大人の本気な遊びや楽しみ方の背中を見せ続けたことが、子どもたちの情熱に火をつけている。こうした現象は、「ツカサホームPOWDER FREERIDE ’26」だけでなく、全国のフリーライドの大会で見られるのも最近の傾向だ。16年間続けてきたからこそ、このシーンのレベルを底上げしているのが顕著になった事例だ。

コミュニティの結束——北海道の誇りと地球規模の危機感

盛り上がるコンペとともに、「ツカサホームPOWDER FREERIDE ’26」が強く発信しているのが環境への意識だ。

「POW (Protect Our Winters) Japan」アンバサダーの佐々木玄によるトークショーでは、「冬を守ることは自身の生活を守ること」という言葉が参加者の心に深く突き刺さった。社会構造そのものを変える必要性を説き、グローバルな視点から危機感を訴える。

それと対をなすように、世界30カ国を滑り歩いてきた児玉毅は、クイズを交えて「北海道の雪の希少性」を伝えた。足元にあるパウダースノーがいかに奇跡的なバランスで存在するかけがえのない財産であるか。イベントで滑った参加者はもちろんのこと、キロロを滑っている人なら身に沁みて感じ入るはず。

「個人でできることは限界がある、社会全体を変えなくてはいけない」

という佐々木玄の言葉は、ローカルな誇りとグローバルな危機意識が結びつき、滑り手たちへ「滑ることは、守ること」だという意識の共有を促したに違いない。

また、イベント期間中はスキー場入口となるマウンテンセンター前で、フリーライドスキーのニューモデル試乗会を実施。それにあわせて、プロライダーと一緒に滑る「Freeride Session」も開催した。運営を務める児玉毅、佐々木玄、平山駿に加えて、立花透や林孝紀といった面々も参加し、午前と午後の2回開催、のべ40名ほどが参加し盛り上がりに一役買っていた。

未来へと続くライン

運営主体が「北海道フリーライドネットワーク」に移行して2回目となった今イベント。10年以上にわたって運営に関わってきた児玉毅や百瀬純平、三上大紀といったメンバーに加えて佐々木玄や平山駿といったBonzクルーが加わり、参加者とともに運営のバトンも確実に継承をされつつある。

順位を競い合うコンペティションを軸に据えつつも、年齢やカテゴリーを越えて互いにリスペクトし、励まし合い、祝福し合うというフリーライドの文化が、強く根付いていることを印象付けるイベントとなった。

Photo by 阿部健太郎岡崎冝紀須藤和男

POWDER FREERIDE ホームページ : https://powderfreeride.com/

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