例年ゴールデンウィーク前後からが滑走ピークとなる春のバックカントリー行。王道の立山を筆頭に、東北なら月山や鳥海山、北アルプスは焼岳や乗鞍岳、中央アルプスは千畳敷カールなどなど、トップシーズン終了後でも滑り手たちにはワクワクするザラメ雪が待っている。ところが今季の雪の様子は異なり、ずいぶんと融雪が早いようだ。
4月12日、春の木曽駒ヶ岳・千畳敷カールへ
この4月12日の日曜日、長野県・木曽駒ヶ岳・千畳敷カールに行ってみた。


朝一番のロープウエイで上がる。
雪山登山者やスキーヤー、スノーボーダーに交じって観光客も多い。頂上駅を出ると目の前には広大なカールが広がる。
正面にはアイコンとなる宝剣岳が天を突くように聳えている。
「こりゃ、GW後半の雪だね」
と、どこかから声が聞こえる。例年であればいまの時期、カールは全体が真っ白な雪に覆われていて、ようやく春スキーがスタートするタイミングだ。そう、この下の写真(↓)のように。これは昨年(2025)の5月3日の様子。

だが、今年はちょっと風景が違う。正面右手の前山や、左手の極楽平はあちこちに黒い岩肌やハイマツが見えているのだ。いつもより3週間も早い訪問なのに、春BC後半戦のような状況なのだ。
長野市内から1時間余りで標高1,662mへ


木曽駒ヶ岳・千畳敷カールは、長野県駒ケ根市にあり、中央アルプスの一角に位置する。市内から山岳道をバスで30分ほど登ると、標高1,662m、中央アルプス駒ヶ岳ロープウエイしらび平駅に着く。山頂駅は2,612mで、日本最高所の駅だ。市内から1時間余りでこの標高に立てるという便利なBCエリアとして知られている。


いざ多彩な滑走エリアへ
千畳敷カールの滑走ポイントはメインの登山道である八丁坂を登り、さらに前山方面へ進みカール内を滑る上級コースのほか、八丁坂を登った裏手にある中岳・駒飼の池エリア、ロープウエイ山頂駅からハイクする極楽平エリアと三ノ沢岳エリアなど多彩。立山のような広大さはないが、ワンハイク40~60分で急斜面、緩斜面と何本も滑れるとあり、多くのBCファンに好まれている。
この日選んだのは極楽平から続く三ノ沢岳エリア。
さっそく頂上駅からアイゼンとピッケルを使い、スキーを背負ってハイク開始。下の写真を見てお分かりのように、本来はボウル状のエリア全体が滑走コースだが、昨年より3週間も早いのにかなり岩肌が露出している。極楽平と呼ばれる稜線までは約40分。三ノ沢岳エリアは稜線の裏側に位置する。


稜線から三ノ沢岳エリアの広い、緩やかな傾斜の東斜面を目指す。こちらも岩肌やハイマツが目立つが森林限界の素晴らしい景色は気持ちい。
朝8時の山頂駅の気温は2℃。午前中の斜面はカチカチだが、10時を過ぎると春の日差しが素晴らしいザラメ雪を作ってくれる。

三ノ沢エリアは斜度25°くらいの滑りやすい中斜面が続き延々と滑りたくなる。滑った分だけ登り返さないといけないのでどこで止まるかの判断は重要だ。止まったところから次はまた40分ほどハイクして極楽平の稜線上へと戻る。
千畳敷名物のシュートへ
今度は宝剣岳トップから続く沢傾斜を滑ることに。大きな岩肌が迫り斜度を感じるが、これこそが千畳敷の真骨頂で、この切り立った斜面変化を滑るのが楽しいのだ。このポイントのほかにも、千畳敷カールは稜線上から急斜面を降りられるポイントがいくつもあり、ツワモノたちの挑戦の場ともなっている。
ここは距離は400mほどと長くはないが、斜度が35度前後はありそうな狭いコースを慎重にスピードコントロールして滑る。トップシーズンなら雪崩の巣という様相だが、春は比較的安全に滑れそう。ここを一気に滑り込めばカールの中心に戻る。

この日は約3時間半の軽めのBCラン。天気も雪も満足そのものだったが、融雪の早さ、すでにこの雪のすくなさを思うと、例年5月下旬までは十分楽しめる千畳敷も、今季はGWくらいまでなのかなと感じる。
立山も例年よりもすくないと聞く。この時期、積雪量が最大20mを超えるという雪の大谷が、今年は12m。昨年は16mということで、雪のすくなさは顕著だ。各地とも同じような様相とするならば、春BCを楽しむなら今季はGWを待たずに、早めの動きをおすすめしたい。
レポート:大和田 浩(STEEP編集部)|撮影:2026年4月12日|協力:Kazushige Kobayashi

