フリースキーは、型にはめられることへの反発から生まれた。
モーグルの競技化に対するカウンターとして出発したはずが、オリンピックやW杯の採点基準は、結局同じ方向に収束してきた。ジャンプは半回転でも多く回ること。ジブは新しい使い方よりも、最後まで落ちずに通し切ること。それ以外の要素は、それを上回るほど加点されるわけではない。
すると、選手は似たような滑りばかりになっていく。
理由は単純だ。ジャッジには「説明責任」がある。なぜこのスコアなのか、なぜあの選手が上なのか。各国のナショナルチームコーチが判定に異議を唱えにくる。彼らを納得させるために、ジャッジは「回転数」や「難易度」という、客観的に数えられる尺度に依存せざるを得ない。「スタイル」や「創造性」は、全員を納得させる基準を持たない。数字で測れないものは、評価の土台に乗らなかった。
YouTubeで公開されている『THE LEAGUE || A Future for Freeskiing || Full Movie』は、「競技化」への回答として生まれた「Jib League」のシーズン1を追ったドキュメンタリーだ。2023年、Ferdinand Dahl、James "Woodsy" Woods、Øystein Bråtenによってヨーロッパで始動したJib League。3人はいずれもスロープスタイルでオリンピックの舞台を経験したライダーだ。
Jib Leagueではライダーによる相互投票が実施される。1日のセッションが終わった後、その場にいたライダー全員が映像を見返し、誰の滑りが最も印象的で価値があったかを自分たちで投票する。5人の審判パネルではなく、25人のスキーヤーが「何に価値があるか」を毎回決める。
見られているのはスキル、クリエイティビティ、状況判断力。
アイテムをどう読み、どう使い、どんな自分らしさを残したか。何を選び、何をやらなかったか。
表現を数字で測ろうとした瞬間、表現は止まる。だからここでは、一緒に滑っている人間の目が基準になる。
Jib Leagueは完全招待制ではなく、誰でも参加できるオープン・ジャムが設けられている。そこで目立てば本戦のプロセッションに合流できる。「あのジャンプを飛ばせてくれ。あのパークで滑らせてくれ」——かつて自分たちが欲しかったチャンスを、次の世代にも用意している。
映像はオーストリア、スイス、ノルウェーの3か所を巡るシーズン1を追っている。賞金も順位もあり、セッションが始まればライダーたちは本気で攻める。ただし、勝者を決めるのは同じ雪の上、同じ時間を過ごしたスキーヤーたちだ。
この作品はSLVSHのYouTubeチャンネルから公開されている。SLVSHはこれまでも、ライダー同士が技とスタイルをぶつけ合う映像を通じて、採点競技とは別の評価軸を走らせてきた。Jib Leagueのファウンダーは別だが、競技では評価されないフリースキーの面白さをライダー自身の手に取り戻す、という方向は重なっている。
自由に滑りたい。そのうえで勝ちたいし、評価されたい。Jib Leagueはその両方を同時に成り立たせようとしている。
20年後に振り返ったとき、自分たちはフリースキーを良くするために何をしたのか。
この映像に映っているのは、その責任を引き受けたスキーヤーたちの記録だ。

