スペックの数字だけではうかがえないスキーの「乗り味」や「性格」の違い。これぞスキー選びの奥深さ、面白さでもある。そこで、類似した2つの26ー27注目モデルをピックアップ。ユーザーの試乗レビューを軸にそれぞれの個性を読み解いてみよう。あなたはどちらを選ぶ?
ROSSIGNOL「HERO MASTER ST」それとも VAN DEER-Red Bull Sports「SL」?

どちらもショートターンで圧倒的なキレ味を発揮するハイエンドSLモデル。スペックのよく似た2台だが…
| Model | D(ディメンション) | R(ラディウス) |
| HERO MASTER ST | D=116-69-103㎜ | R=13m(165㎝) |
| SL | D=118-67-103㎜ | R=12.5m(165㎝) |
「HERO MASTER ST」はこんなスキー

“For the love of race”を掲げるHEROシリーズ。HERO MASTERは最上位「Race Expert」に次ぐ「Race Performance」カテゴリーに属し、ワールドカップ由来の技術を一般向けに最適化。ロングターン向けのLTに対し、ラディウス12~15mでショートターンに特化したSTは、フルメタルシートによる安定性や、「PREDICTIVE SIDECUT」によるスキーが意図を“先読み”するような直感的な操作感と軽快な抜け感が特徴。
このモデルを、スキーショップ「PAPASU」の池田俊也さんが試乗。そのインプレッションをこう語った。
小回り用スキーとして非常に高い性能を持っていると感じます。新たに採用された「プレディクティブサイドカット」により導入から前半、中盤、後半、抜けとターンの各セクションに対し、適したラディウスで滑ることができる。この効果かターン進入のしやすさ、中盤の安定性、後半のグリップ感など非常に気持ち良いイメージ通りのターンが描けました。
一方で、重量感のためか場面によって操作性の難しさがすこしあるように感じました。気を抜くとスキーが先に走っていく感じです。しかし、ポジション良く乗れたときは操作性の高さとターンの気持ち良さが味わえると思います。従来モデルよりさらに良くなっています。
アルペン競技用としても満足なスキーですが、基礎用としても十分に使えるスキーです。一般競技から基礎競技やプライズ用にもオススメ。キレのあるターンを求めるスキーヤーにはコレです!
【Reviewer Profile】
年間滑走日数: 約20日
身長 170cm / 体重 73kg
滑り志向: フリーライド(パウダー・BC)
ホームゲレンデ:ハチ北高原スキー場
My Gear:Ski:ROSSIGNOL/SUPER VIRAGE VII LTD (R22) (166cm)、CANDIDE SKIS/RESORT101 (167cm)│Binding: LOOK/SPX14 ROCKERACE GW、LOOK/PIVOT 15 GW│Boots: LANGE/XT3 FREE 140、K2/REVOLVE PRO 15
【Review】
軽い□□□□■重い(5段階)
柔らかい□□□■□硬い(5段階)
安定性:★★★★☆
操作性:★★★☆☆
回転性:★★★★★
万能性:★★★☆☆
エッジグリップ:★★★★☆
反応性:★★★★★
「SL」はこんなスキー


アルペン界の絶対王者、マルセル・ヒルシャー監修。FIS基準の最上位モデル「SL WORLD CUP」をベースに、一般スキーヤー向けへ最適化されたハイエンドモデル。反応が速いが過度にシビア ではなく、ゲレンデでも扱いやすい。デモモデルとは明確に異なる、レース感覚を楽しむ実用SLモデルとして位置づけられ、鋭いエッジ グリップと素早いターン導入を実現。ブランドが掲げる“レース競技性能を誰にでも”を体現する一台。
このSLに試乗したのは、「クレブスポーツ」スタッフの三日市博恒さん。その評価は……
とても贅沢なオールラウンドSLスキー。アルペン競技仕様の「SL-WC」と比べ、トップからテールまでしなやかに雪面を捉えるフレックスバランスになっています。そのためショートからロングまでどんなターン弧でも対応幅が広く、ハードバーンはもちろんソフトな雪でも高い操作性と驚くほどの安定性があります。
滑ってみるとSL-WCと同じ構造や素材であることも実感できます。低速域でも扱いやすく、スピードが増すにつれてヴァンディアならではの乗りやすいのに力強い安定感も感じられます。良質な芯材とフレックス、トーションなど、シンプルながら作り込まれたバランスの良さと上質な乗り心地を実感できます。
ワールドカップ技術 × ゲレンデパフォーマンスの追求=誰でも味わえるレーシングフィーリングと最高のパフォーマンスを持つ一台です。
メインは上級者向きではありますが、上質な乗り心地を求める中級以上のスキーヤーにもオススメできます。
【Reviewer Profile】
年間滑走日数: 約15日
身長 168cm / 体重 58kg
滑り志向: フリーライド・基礎
自称レベル:エキスパート
ホームゲレンデ: 南魚沼界隈
My Gear:Ski:VAN DEER RedBull Sports/FREERIDE 98 (180cm)|Binding:MARKER/GRIFON13|Boots:SALOMON/S/PRO ALPHA 120
【Review】
軽い□□■□□重い(5段階)
柔らかい□□■□□硬い(5段階)
安定性:★★★★★
操作性:★★★★★
回転性:★★★★☆
万能性:★★★★★
エッジグリップ:★★★★★
反応性:★★★☆☆
滑走日数150日という、ハードコアユーザーのくまさんも同機を試乗した。
もう、めっちゃいいです!春のグシャグシャの雪からアイシーな硬い雪まで万能に使えると思いました。板の動きをすごく出しやすくて、自分のしたいターンがどんな雪でもできるかなって信頼感と実際の手応えがあります。
しなやかさがありながら、硬い雪でも踏み込んだぶんだけ確実にしっかり反応が得られます。エッジの捉えの鋭さは感動的です!ターンの入りでトップが素早く雪面を捉えて、しっかり圧を受け止めながら、抜けではパワフルな加速を生み出します。回転性も文句なしです。
ヴァンディアを履いてるクリストファーセンも、ワールドカップで勝っているし、クオリティの高さは世界で実証されてますよね。さすがマルセル・ヒルシャーって感じです。もうテンション爆上がりで乗りました。
ワールドカップ由来の設計がベースのSL、ガチのレースじゃなくて、カジュアルにアグレッシブな滑りをするのに最高です。
【Reviewer Profile】
年間滑走日数: 約150日
身長 170cm / 体重 72kg
滑り志向: 基礎・アルペン
自称レベル:エキスパート
ホームゲレンデ: 苗場・狭山スキー場
My Gear:Ski:HEAD/WCR GS・SL-REBEL│Bindings:HEAD│Boots:HEAD
【Review】
軽い□□■□□重い(5段階)
柔らかい□□■□□硬い(5段階)
安定性:★★★★☆
操作性:★★★★★
回転性:★★★★★
万能性:★★★★★
エッジグリップ:★★★★★
反応性:★★★★☆
比較から見えてきたこと
ワールドカップ直系の安定感と扱いやすさを両立し、幅広い上級者がその性能を引き出しやすい点が魅力のHERO MASTER ST。一方、VAN DEER RedBull SportsのSLは、マルセル・ヒルシャーの哲学を体現した精密な操作性とダイレクトな雪面コンタクトが魅力で、一定以上の技術が必要かもしれない。レース性能を懐深く楽しむなら前者で、純粋なレーシングフィールを求めるなら後者といったところか。

