雪上で多数の最新モデルを試乗し、豊富な知識とユーザーからの声などを統合して、プロダクトを比較・評価できるのがプロショップの強み。さらに、クオリティだけでなく、「スキー・ビンディング・ブーツを合わせたときの相性の良さ」も熟知しているから、さすがだ。26ー27ニューモデルにおいて「こんな滑りをするならこの組み合わせが最強!」というセットアップをMt.Peaksの星倭人さんに教えてもらった。
地形・パーク・パウダーも1台で狙える「オールラウンド」なセットアップなら

― 「地形・パーク・パウダーも狙えるオールラウンド」なセットアップに求められる要素は、どんなものですか?
星:地形に対応するためには、あまり長すぎないこと、そして細すぎない・太すぎない、やはり幅は100~110㎜くらいのスキーが一番扱いやすくなります。それなら膝下くらいのパウダーでも楽しめるし、セットポジション的にもあまり後ろ過ぎないほうが、スイッチ滑走もできたり、パークライドや壁当てなどもしやすくなります。
そんなオールラウンドを狙うなら、26ー27このセットアップが最強かなと思います。
スキー=BLACKCROWS|VENA COR
ブーツ=ARMADA|AR ONE 110 MV
ビンディング=LOOK|PIVOT2.0 15GW (PURPLE GOLD)


DIN : 6-15|Weight=1245g (1/2pair)|¥70,400

Flex=110|Last=100mm|Size=23/23.5 – 29/29.5cm|\93,500
自由度の高いなかでフリーランを楽しみたいスキーヤーにもってこいのセットアップです!
26ー27のブラッククロウズのニューモデル「べナコ―」は、フリーランに特化しているスキーで、地形遊びや膝下パウダーでこれまでにない滑走感覚を得ることができます。かなりクルクルと回るようなスキーに仕上がっているので、比較的誰が乗っても簡単に楽しめるスキーかなと思います。
そのべナコーにルックの「ピボット2.0」を取付けることによって、中心軸が真ん中に寄ってくるので、トップとテールのスイングバランスがかなり良くなり、もっと自由度が増すのです。結果、キッカーでのエアートリックやスイッチ滑走が容易になります。
また、ピボット2.0はスキーに力を伝えやすく重量バランスが中心にくるため、スキー本来の性能が出やすく、スキー操作が容易になります。一方で、持ったときの重量が少し重めだと気になるなら、マーカーの「スクワイヤ」などにして軽めにするのもいいと思います。ショップで相談してみるといいですね。

―べナコ―は試乗してみて、どんなフィーリングでしたか?
他にはあまりない乗り味のスキーだなという印象と、乗っていて滑走感覚としてすごく楽しいですね。ただ、高速滑走したときは、軽くてそんなにキャンバーがあるわけでもないので、多少の板のバタつきがどうしても出てくるんですけれども、さほど気にもなりません。
―ここにブーツは、どういった観点で組み合わせるとよいのですか?
僕がすごく気にするところは、同じようなレベルのものを合わせてあげること。もしも板が初心者向けのものなら、ブーツが硬すぎるものだと、楽しさが合わない、というか、求めているところがまったく違うので、ちぐはぐになってしまいます。
そこで、ブーツは昨年登場したアルマダの「AR ONE 110」がオススメです。これを合わせることで、しっかりと板にパワーが伝わりながら、ブーツ内環境がラクなため、楽しさが倍増すると思うのです。
なので、べナコ―にセットアップすることによって、べナコ―の良さがもっと出るんじゃないかなと思います。AR ONEは、フレックスが120と130もあるのですが、そこまで硬くせずに110にしてあげることによって、自由度をもうちょっと増してあげる。剛性を高めるのではなくて、自由度を増してあげるところでチョイスしました。
―この地形・パーク・パウダーも狙えるオールラウンドなセットアップ、意外と迷うような2番手にくるスキーがあるとしたら、どのモデルですか?
サロモンの「デパート01」ですかね。競合になってくるとしたら。24ー25の登場から話題になってきましたよね。ウエスト106㎜でフレックスも程よく、パークからカービング、パウダーもゲレンデでの遊びの全部をカバーできます。
ただ、僕が今回べナコーを1番に選んだのは、グラフィックが派手でカッコイイこともあります。滑っていて気分が上がるのも、楽しむために大事な要素かなと思いますから!
バックカントリーを自由にどこまでも滑りたいなら

― 「バックカントリーでオールラウンド」なセットアップに求められる要素は、どんなものですか?
バックカントリーでは、滑るだけじゃなくて登りもある。天候でも斜面でも、あらゆる状況がありますよね。となるとある程度、新雪が積もっていればパウダーライドが存分に堪能できて、春に持っていっても楽しいし、硬いところに行ったとしても安心して降りてこれる、といったセットアップが必要だと思っています。
軽すぎるスキーだと硬いところで怖くなったり、板が耐えられなかったりするので、僕は、ある程度重量も確保しつつ、それをビンディングを軽くすることで補うという考え方をしています。そこでバックカントリーでのオールラウンドな滑りに最強だと思ったのは、コチラです。
スキー=FACTION|Agent3
ブーツ=TECNICA|Zero G Decoy Pro GW
ビンディング=ATK|HY 13 FREE WHITE


解放値=6-13|重量=675g|ヒールリフター=-18、+10、+42mm
|ブレーキ=97、108、120mm|¥176,000

Flex=130|Weight=1715g(26.5㎝)|Last=99mm|Size=22-30.5cm|\148,500
これはバックカントリーで、滑走性能も登行もあきらめめたくないスキーヤーにピッタリなセッティングです。
―ツアーリングとバックカントリーでのオールラウンドというのは、違うのですか?
そうですね、ツアーリング向けのスキーは、滑走性よりも登行での機動力を重視している、重量が1700g以下の軽量なもの、と僕はイメージしています。ファクションならば「ラ・マシーン」、ブリザードなら「ゼロG」など。
「エージェント3」は、BCでのどんなバーンでも安心して身を任せることができ、軽量なのに滑走性能が高い。その意味でBCでのオールラウンドユースにパーフェクトともいえるスキーだと思います。もしも、もう1台、候補を挙げるとしたらアルマダの「ロケーター」でしょうか。
エージェント3に合わせるのはATKの「 HY13FREE」。ATKは26ー27から日本デビューとなる、熱い注目を集めている新しいビンディングブランドです。当店でもすでに多くの予約をいただいていますよ。
重量はマーカーの「キングピン」と同じくらいなので、軽いです。これを取付けることによってビンディングの剛性が高くなるとともに、平地での歩行時にヒールが下がっていることで、スムーズな歩行が可能です。クライミングサポートも2段階あるので、急登も容易ですね。
ブーツはテクニカの「ゼロG デコイプロ」というニューモデルを。昨シーズンからテクニカがテストをしていて、「コーチス」なのかゼロGなのか新しいブーツを出すらしいという噂が飛び交っていたなかで、その間をいくようなブーツとして登場したのがこのモデルです。フィーリングは、ノルディカの「アンリミテッド」が一番近いでしょうか。

1700gという適度な軽さでありながら滑走時には高い剛性を発揮、さらに可動域65°と、コーチスでは成し得なかった広い可動域を持っています。これはかなり歩行がラクになりますね。
この3点を合わせることで、初めてBCにチャレンジするスキーヤー、エキスパートスキーヤーどちらも満足できる最強のオールラウンドBCセッティングだと思います。
ゲレンデでカービングもパウダーも満喫するなら
これは、もう僕が個人的に猛烈に欲しい最強セッティングなのですが(笑)が、ぜひ紹介したいです。
スキー=LINE|POISSON
ブーツ=phaenom|fr 02 130
ビンディング=MARKER|DUKE PT 13


DIN : 4-13|Weight=1300g (1/2pair)|¥107,800

phaenom/fr 02 130|
Flex=130|Weight=1440g(26.5㎝)|Last=100mm(26.5cm) |Size=24.5-29.5cm|\104,500
「ポワソン」の滑走性能がとにかく魅力的です。唯一のネガティブ点は「重さ」なんですが、「重さ」なんて、なんとかしてやろうじゃないの、という言うなれば「滑走性能全振り男気セッティング」です!(笑)
シーズン中に新しい「グリフォン X」が装着されたポワソンを試乗して驚いたのですが、カービング性能がスイッチでもかなり高い。スイッチで加圧せずにグンと曲がっていくスキーは、これまで乗ったことがなかったので、衝撃的でした。
重いので、パークに積極的に入ろうとする人は少ないかもしれませんが、キッカーくらいなら余裕でいけます。
「デュークPT」ビンディングを合わせることで、ゲレンデでの滑走時の剛性、カービング性能をさらに高めようという狙いです。ブーツはウォークモードつきのフェノム fr o2 130」をチョイスすることで、メタル入りでもしっかり踏める、パウダーもいけるよ、というセッティングにしています。
―どんな点が星さんをそこまで魅了したのですか?
僕、やっぱりメタルの入ったスキーが好きなんですよね。レーシングあがりのせいか、難しいスキーを攻略できたときに達成感が得られる、それがいいんですよね。ポワソンが決して難しいということではないのですが、この個性的なスキーでどこまでいけるのかなっていう思惑というか、挑戦が楽しいと思うんです。
あと「サカナ」と「ブレンド」のあいのこのような形に加えて、今季はK2の「マインドベンダー」もフォルクルの工場で造り始めたので、ちょっとフォルクルのイメージも入っているのかな。いろんなブランドが混合されて新しい系統のスキーが生まれてきたのかな、という印象です。
また、昨今BCにおいても水分量の多いパウダーが多いので、板には突破力が求められる。そんな現環境にもポワソンはマッチしていると思います。ただ、重量が重めなため、BCでの登坂においてはどうしても体力勝負になりますから、オフシーズンにトレーニングが必須ではあります!
ですから、すべてのスキーヤーに合うわけではないですが、マニアックなスキーヤ―にはたまらないのではないでしょうか。

フリースタイルな滑りに特化したセットアップなら
星:パークメインのフリースタイラーにおすすめのセッティングはコチラです。
スキー=SALOMON|Depart 02
ブーツ=phaenom|fs 02 90
ビンディング=MARKER|GRIFFON X 13


DIN : 4-13|Weight=1020g (1/2pair)|¥49,500

Flex=90|Weight=1455g(26.5㎝)|Last=100mm(26.5cm) |Size=24.5-29.5cm|\82,500
25ー26話題となったサロモンの「デパート01」ですが、これをフリースタイル用に細く改良したのが「デパート02」です。スキー全体が均一にたわむため、スイングバランスがとても良く、あまり技術レベルを問わず、誰でも扱いやすいスキーになっています。パーク初心者や、もっと自由度を高めたい人には、もってこいの一台だと思います。
―スイングバランスが良い、とは具体的にどんなときに感じますか?
回転させやすいので、たとえば、スイッチするときにヒールをピボットしやすいとか、キッカーを飛んだときに板を回しやすい、といったときでしょうか。
マーカーの「グリフォン X 13」をセッティングすることで足裏から接地面までの距離が近くなり、スキーの反応がわかりやすくなります。ブーツはモデルチェンジしたフェノム「 fr02 90」を使用することでパワーが逃げることなくスキーに伝わり、ブーツのしなやかさがスキーヤーの動きに合わせて追従してくれます。
そして、なんといってもグラフィックが光の加減で色が変化して、カッコいい! ブーツの色もカッコいい! カッコいいだけでスキーもうまくなった気がします(笑)。グラフィックのカッコよさはスキーのモチベーションにもつながるので、自分の「カッコいい」1台にいかがでしょう。
FWTに出場する(くらい本気でフリーライドを極める)なら

― 「FWTに出場する」ためにふさわしいセットアップとは、どんなものですか?
星:まず剛性ですね。FWTとなると、コンペティションのフェイスがパウダーなのか、硬いバーンなのか、3月くらいになると雪が柔らかくなってしまったり、さまざまなコンディションにある程度対応できる剛性が必要になってきます。
そのうえでプラスα、長さは必要なんですけれど、あまりにラディウスが長過ぎてしまうと、いろいろなことに対応できにくくなってしまいます。ミスしたときのリカバリーが難しくなってしまうので、ラディウスは20m前後くらいのものが好ましいと思います。
そこで選んだ最強のセットアップがコチラです。
スキー=RMU|YLE LIMITED 118 PRO MODEL
ブーツ=ARMADA|AR ONE AF 130 MV
ビンディング=CAST|FREETOUR 2.O PIVOT2.O 15 GW (CAST PURPLE)


DIN : 6-15|Weight=滑走モード総重量:1,343g / ウォークモード総重量:1,016g (1/2pair)|L=95mm / 105mm / 115mm / 130mm|¥139,700

Flex=110|Last=100mm|Size=24/24.5 – 29/29.5cm|\126,500
RMUの「ワイリーリミテッド118プロモデル」ですね! フリースタイルスキー界の象徴的存在であるワイリー・ミラーのシグネチャーで、188cm1サイズのみとマニアックですが、そういうところも僕の好みです。
ラディウスは19mと扱いやすくも、しっかりとした張りのあるスキーですし、安定感があるので、リカバリーもしやすい。FWTでは、単純に上手ければいい、ということでもなくて、危ないコースを攻めすぎてもいけないといったことも評価点につながるんですね。そういった意味でも安定したスキーであることも重要なんです。
FWTに参加するようなタフな滑走の場合、ビンディングの取り付け位置は、ドセンターから2~4cmバックがいいかと思います。エアトリックに重きを置かない方は、推奨位置で問題ありません。
海外でのFWT戦では、コンペティションのフェイスのスタート地点まで、シールをつけてときには1時間近く登攀しなくてはならない場合もあります。なのでキャストの「フリーツアー 2.O」を合わせることで、剛性と操作性、そして利便性も兼ね備えたセットアップになります。
また、スキー+ビンディングにプラスしてブーツの剛性も大事になってくるので、滑走性能に秀でたピン付きのブーツとしてアルマダの「AR ONE AF130 MV」をチョイスしました。130ならば硬い斜面でも対応できるフレックスですね。パウダーでもパックされたバーンでも、このセッティングであれば問題ありません!
―星さんもFWTに参戦を考えているとか噂を聞きましたが…
そうですね~。目指していたのですがお店が忙しくて(笑)。チャンスがあればスキー、ビンディング、ブーツの性能を最大限に引き出せる、このセットアップでぜひ出たいですね~!
FWTシーンで実際に選手たちの使用しているモデルを見ると、重量があって剛性の高いものが選ばれています。サロモンの「QST」やブラッククロウズの「アニマ」や「アトリス」、フォルクルの「リボルトシリーズ」あたりが使用頻度が高いですね。そして、26ー27ではなんといってもホットな注目を集めているアルマダの「アンチマター」、すでにFTWで3連勝していますからね。
Profile ―教えてくれた人

Mt.Peaks
星 倭人 Yamato Hoshi
1996年生まれ、福島県檜枝岐村出身。元全日本ナショナルチームのアルペン選手だった父の影響で、幼少期からアルペンスキーを始めた。大学時代は全日本インターカレッジ選手権SLで好成績をマーク。
競技の第一線からは離れたものの、スキー業界でスキーのメンテナンスなどの仕事に就き、2024年からプロショップMt.Peaksスタッフに。
スキーテクニカルスタッフとして、ユーザーサポートはもちろん、ショップ主催の試乗会やイベントの大黒柱。アルペン競技で培った高い技術と巧みな表現力で、試乗レビューなど、スキーメディアでも活躍中。
取材協力:Mt.Peaks

