「より良いフィットなくして、より良いパフォーマンスなし」。その思想を形にするため、BOA®はフィットシステムの進化を重ねてきた。スキーとスノーボード、それぞれの最新システムは滑りをどう変えるのか。その仕組みを、実際に雪山で使い続ける4人のライダーの声から紐解く。
8年かけてたどり着いたスキー専用システム
長年、バックルで強く締めることが当たり前だったアルペンスキーブーツ。その常識にBOAが挑んだのは2015年だ。硬いシェルに対応し、より良いブーツフィットからパフォーマンスを引き出すため、約8年を費やしスキー専用システムを開発した。狙いは、着脱や調整のしやすさだけではない。痛みを伴わず、足を均一に包み込んでブーツとの一体感を高め、より確かなパワー伝達と安定した滑りにつなげること。
そして2023年、ついにBOA搭載アルペンスキーブーツが登場。雪上でブーツを締め、滑りに合わせてフィットを調整する、そのあり方にも新たな選択肢が生まれた。2025年にはデュアルダイヤルへと進化。その可能性はさらに広がっている。
Detail – SKI / BOA® ALPINE FIT SYSTEM


高負荷に応えるスキー専用設計「H+1ダイヤルプラットフォーム」
H+1は、硬いシェルを締め込むパワーと両方向の微調整を両立したギア式ダイヤルシステム。250kgの引張強度をもつスキー専用レースと組み合わせ、高負荷に対応する。

包み込むように足全体へフィット「BOAラップソリューション」
バックルは甲を上から点で押さえるのに対し、BOAは足を面で包み込むように均一にホールド。甲への圧力を抑えながら一体感を高め、効率的なパワー伝達と安定性につなげる。
SKI Riders’ Voice
次に何があるかわからないBCでは“いい意味でのルーズさ”が必要 – 半田 譲
バックルとの一番の違いは、足全体を包み込むように均等に締まる感覚。それでいてギチギチに固定されず、“いい意味でのルーズさ”があります。BCではハイクから滑走まで状況に合わせて締め具合を細かく調整でき、ワンタッチで全開放できるのも便利。次の瞬間になにがあるかわからない滑りには、足元にもある程度の自由度が必要で、そういう意味ではBOAはBCと相性がいいと感じます。

K2 Mindbender Team BOA®
サイズ:25.5~30.5cm(1cm刻み)|フレックス:140|重量:1,930g(27.5cm・1/2ペア)
¥158,000
フレックス140の剛性とツーリング性能を両立した、フリーライド向けモデル。BOAによる細かなフィット調整に加え、軽量なPowerlite Shellやウォークモードを備え、ハイクから滑走まで高いパフォーマンスを発揮。
Profile

半田 譲 Yuzuru Handa
宮城蔵王を拠点に活動するプロスキーヤー、バックカントリーガイド。スキースクールを営む家に育ち、幼少期から競技、基礎、フリースタイルなど幅広いスキーを経験。現在はZAOCを主宰し、ガイドやレッスンを通じて雪山の魅力を伝える。
Instagram:@yzhandaman
一日中、山で快適に動けて滑るときは思いきり攻められる – 勝野天欄
長いハイクや撮影で待ち時間が長くなるようなBCでは、一日を通して足元が快適かどうかが重要です。BOAは足全体が均一に締まり、とくに足首からつま先にかけて自分の足の形に沿うようなホールド感がある。強い力をかけなくても細かくフィットを調整できるのもいいですね。それでいてパウダーからジャンプまで激しい動きにもしっかりついてくる。長い一日を快適に過ごしながら、滑るときは思いきり滑れるのが気に入っています。

SALOMON S/LAB SHIFT ALPHA BOA®
サイズ:22/22.5~29/29.5cm(1cm刻み)|フレックス:140|重量:1,850g(26.5cm・1/2ペア)
¥145,000
登りでの負担を抑えながら、滑走性能を追求したS/LABのフリーライドブーツ。フレックス140の剛性に加え、FreeSpineがカフからシェルへ力を伝え、高速域やテクニカルな斜面でも高い操作性とレスポンスを引き出す。
Profile

勝野天欄 Tenra Katsuno
北海道ニセコ町出身。幼少期からスキーに親しみ、モーグルやフリースタイルを経てフリーライドの世界へ。国内外の大会で実績を重ね、2024年には日本人として初めて予選を勝ち抜きFWTに参戦。2023-24シーズンは総合6位を記録。
Instagram:@tenra_katsuno123
新しいH5は何を変えた?

スノーボードブーツにおけるBOAの大きなトピックといえば、2026年に登場した新ダイヤル「H5」だろう。昨シーズンからテストを重ねてきたライダーの反応も上々。
BOAは「より良いフィットなくして、より良いパフォーマンスなし」という思想のもと、生体力学に基づく研究とテストを重ね、フィットが滑りに与える影響を追求。H5も単なる使いやすさのための進化ではなく、刻々と変わる雪や地形、滑りに合わせて足元を整え、動きをボードへ伝えるために改良された。BOAはいま「脱ぎ履きの利便性」のその先へと進んでいる。
では、その進化をライダーはどう感じているのか。美谷島慎と宮脇健太郎、ふたりの言葉から探ってみよう。
Detail – SNOWBOARD / NEW BOA® H5 PLATFORM


両方向に微調整ができる。コンマ数ミリ単位でフィットをコントロール
H5ではダイヤルを回して締めるだけでなく、逆方向に少しずつ緩めることが可能に。従来のように一度リリースして締め直す必要がなく、コンマ数ミリ単位の精度でフィットの微調整が可能だ。足を均一に包み込み、かかとをしっかり固定することで、ミッドソールとの一体感も高まる。

直感的なダイヤル操作が可能に。ミラーインターフェイス
ふたつのダイヤルは前方または内側に回して締め、緩めるときはその逆へ。左右で操作感を統一したミラー設計により、直感的な調整が可能になった。

脱着の時間を大幅短縮 新しくなったCoiler™テクノロジー
レースのたるみを自動で巻き取るCoiler™が進化。新たに機構をダイヤルカートリッジ内に組み込むことで巻き取りがより素早くなり、ダイヤルも薄型化。

強靭さとしなやかさを両立 TX3レースの実力
従来のステンレス製から、軽量で耐久性に優れたテキスタイル製のTX3へ。しなやかな素材に変わり、巻き癖がつきにくく、スタックのリスクも抑える。
SNOWBOARD Riders’ Voice
雪や滑りに合わせて欲しい反応を引き出せる – 美谷島 慎
白馬のような急峻な斜面やツリーランから、海外のビッグマウンテンまで、いろいろな雪や地形を滑っています。だからブーツもいつも同じ締め具合がベストとは限らない。BOAのいいところは、そのときのシチュエーションに合わせてちょこちょこフィット感を変えられることだと思うんです。朝は心地よい程度に締めておいて、登りや休憩では緩め、ドロップ前にはまた締める。H5は緩める方向にも微調整できるので、「ちょっと締めすぎたな」と思ったら1、2クリック戻せばいい。全部リリースして締め直さなくていいのは快適です。
滑りによっても変えています。ハードに滑るときや硬い雪では強めに、メローなパウダーや柔らかい板なら甲はきつくしすぎず、反応やホールドが欲しいときはカーフ側を増し締めする。帰りの長い緩斜面ならまた少し緩める。雪や滑りに合わせて調整できるのがいいんです。
H5はダイヤルが薄くなったのもありがたい。アルパインでは岩に当てることもあるし、海外でヘリやスノーモービルを使うときも、出っ張りが少なければ引っ掛けたり壊したりするリスクが減る。TX3になって金属ワイヤーのカチッとした硬さが取れ、なんともいえないしなやかなフレックス感も出た。必要なところではちゃんと締まりながら、ブーツ全体のフレックスは自然になったように感じています。

NIDECKER Kita
サイズ:25.0~31.0cm(31cmまで0.5cm 刻み、30.5cmのみ展開無し)
重量:1,300g(27cm・1/2 ペア)
¥77,000
硬めのフレックスと高いレスポンスを備えたKita。Dual BOA® WrapStrapとH5を採用し、足を確実にホールド。優れた操作性で多様な地形や滑りに対応する。
Profile

美谷島 慎 Shin Biyajima
長野県長野市出身。高校時代からニュージーランドへ渡り、北米やアラスカへと活動の場を広げてきたプロスノーボーダー。海外のトップライダーたちとセッションや撮影を重ね、急峻な斜面でのフリーライドと映像制作を軸に活動を続ける。
Instagram:@shinbiyajima
足元のロスをなくして板本来の性能を引き出す – 宮脇 健太郎
僕は朝イチのパウダーやツリーラン、サイドカントリーを滑ることが多いんですが、たとえば岩岳周辺のツリーって結構タイトなんです。そこでテールを振って減速するだけじゃなく、ちゃんとターンしようと思うと、板を外側からクイックに回し込む必要がある。僕が履いているTORRENTは前後には柔らかく、左右には強いのが特徴なので、足首を柔軟に使いながら板を自分の下で動かしやすい。こういう場面ではブーツの違いがかなり出ますね。
その動きを板に伝えるうえで、足元のロスはないほうがいい。ブーツのなかで足が遊べば、バインディング、板へ伝わる力も曖昧になる。BOAでしっかりホールドすることは、板本来の性能を引き出す出発点だと思っています。
一方で、締めすぎればいいわけでもない。足のむくみもあるし、毎回同じ締め具合にするのは難しい。H5は締めた状態から1クリックずつ戻せるので、甲が少し圧迫されると感じたら、その場で緩められる。これからツリーをスピードに乗せて滑るとか、パウダーの斜面へドロップするとき、足元に小さな違和感が残っているのって気持ち悪いですよね。全部開放して締め直さず、その違和感だけを取り除ける。そうやってロスを減らし、道具の性能をきちんと引き出せることが、僕にとってBOAとH5の大きな価値ですね。

RIDE TORRENT
サイズ:25.0~31.0cm(29cmまで0.5cm刻み)
¥97,900
高いレスポンスを追求したオールマウンテンモデル。H5とTX3に加え、足首とかかとを確実にホールド。足元のロスをなくし、力を素早くボードへ伝える。
Profile

宮脇 健太郎 Kentaro Miyawaki
長野県白馬村出身。2002年ソルトレーク冬季五輪にスノーボード・ハーフパイプ日本代表として出場。競技引退後は20年以上スノーボードショップに勤務。現在は白馬でショップ「SECRET FORT」を営み、豊富な知識でギア選びを支える。
Instagram:@kentaro_miyawaki
Text=Tomoko Fukutaki
Information
BOA Fit System(ボアフィットシステム)
公式サイト:https://www.boafit.com/ja-jp
SNS:Instagram|Facebook|X|YouTube

