ショーン・ホワイトによる「The Snow League」が’24ー25シーズン始まる!
冬季オリンピックのスノーボードハーフパイプで3度もゴールドメダリストに輝き、さらに世界的なアクションスポーツイベントWinter X GAMESでは実に13個の金メダルを獲得。前人未踏の記録でスノーボードの歴史を彩り、このスポーツを進化させてきた伝説のライダー、ショーン・ホワイト(Shaun White, USA) 。
競技シーンを引退後も、自身の名前を冠したスノーボードブランド「Whitespace」を展開し、ビジネスにも注力してきた。
だが、それ以上に、このスーパーヒーローは誰よりもスノーボードのさらなる発展を考えていた。
2024年6月17日。ショーンはスノーボードとフリースキーも視野に入れた初のプロフェッショナルなウィンタースポーツリーグ「The Snow League」の立ち上げを発表した。上のInstagramは、@shaunwhiteに6月18日に投稿されたもの。「スノーボーダーとフリースキーヤーアスリートは正当なプロフェッショナルリーグを与えられるべきだ」といったメッセージが載せられている。
ショーン・ホワイトが仕掛ける「The Snow League」は、2025年3月にアメリカで最初のハーフパイプのイベントをキックオフ、その後は世界5カ所をキャラバンする予定だという。
世界を驚かせたのは、「あのショーン・ホワイトが仕掛けた!」ということはもちろん、そのとてつもないスケール感だ。
Winter X Gamesは近年の賞金総額が常に100万ドル、日本円にして約1億4000万を超えるといわれる世界最大規模の賞金イベントだが、なんと、ショーンの「The Snow League」は、これを遥かに凌ぐ150万ドル(約2億3700万円)が全5大会の賞金総額となる予定だという。
奇しくもX Gamesが新リーグシステム「X GAMES LEAGUE」を発表し、2026年から新たなスタイル(競技フォーマット?)を採用することとなったが、そもそもショーンはなぜこんなことを考えたのか?
アメリカのスノーボードメディア「SNOWBOARD MAGAZINE」による単独インタビューによると、こんなことがショーンから語られている。気になる点をピックアップしてみよう。
reference: A League Of Our Own? Shaun White Announces New Snowboard League(私たちのリーグ?ショーン・ホワイトがスノーボード新リーグを発表)ーSNOWBOARD MAGAZINE
発起に至ったショーンの考えと想い
ショーンは「どのようにしてこのアイデアは生まれたのですか?」というインタビュアーの質問に、こんなふうに答えている。
「ある意味、必要に迫られて生まれたアイデアなんだ。16歳のときに遡るけれど、そのシーズンはブレイクしたときで、僕は参加したすべての大会で勝った。ハーフパイプ、スロープスタイル、ビッグエア、レールなどすべての種目に出て、ほぼ無敗だったんだ。19歳のシーズンにはオリンピックでも優勝したんだ。なのにそのシーズンの終わりに、ある記者が言ったんだ「驚くべき素晴らしいシーズンでしたが、でも世界チャンピオンではない、ということはどんなふうに感じますか?」って。「は??? なにそれ、どういう意味? 僕がなにができなかったというわけだい?」と思ったよ。
その時、このスポーツにはなにか重要なものが欠けているとわかったんだ。いろんなメジャーな大会が相互に全然関連していなくて、それぞれ独立している。だから、「The Snow League」アイデアの源は、その時に生まれた、といってもいい。
それに、僕が引退してからのコンペティションの状態を見ても、減少しているのがわかるだろ? US Openだってなくなって、Dewツアーも5つで始まったものが2、3と減って、もうひとつしかなくなるんじゃない? Winter XGamesは発展させるプランはあっても、この先の5年10年の成長戦略は僕にはわからない。
だからいま、僕らがこのスペースに立ち入るにはいいタイミングなんだ。僕らは一つの傘の下でライダーたちを結集させる準備が整っていると思うんだけど、同時に、このスポーツの現状には悲しいものがある。僕らは誰かを排除しようとしたり、対立的にやろうとしているわけではないんだ。僕らはX Gamesが成功することを望んでいるし、他のイベントが存続することを望んでいる。だから、『The Snow League』は敵対的なものではないんだよ」
ショーンは、スノーボードがNBAやNFLのようなメジャースポーツと肩を並べられるように、これまで先頭に立って活動してきた。スノーボードをもっと一般にリスペクトしてほしいという強い願いを持っているのだ。そのためには、アスリートをサポートする賞金を含めて、もっと輝ける場所、正しく理解・評価される競技プラットフォームを作りたい、そんな想いを温めてきたのだろう。
ショーンの長年の想いを実現化したこの壮大なプロジェクト、どのように展開していくだろうか。
The Snow Leagueの中身とこれからは?
公表されたプレスリリースによると、初のシーズンでは、アメリカはじめ世界各地で5つのハーフパイプイベントが開催され、続くシーズンではさらに多くのイベントや競技種目が計画されているという。
競技フォーマットは、世界のトップ20人(Men)と16人(Women)による構成で、トーナメント方式での勝負となる。出場できる選手は、世界的なスノーボードランキングWorld Snowboard Points Listを使ってセレクトされるという。
また、どこかの時点でフリースキーのハーフパイプを導入する予定だが、詳細はまだ調整中とか。もちろん、ゆくゆくはスノーボードのスロープスタイルはもちろん、ビッグエアやジブのイベントも展開していく見込みで、スノーボードとフリースキーの両方を視野に入れている。
スノーボードの大きな一時代を築いたレジェンドライダー、ショーン・ホワイトが手がける「The Snow League」。
ショーンのいう「僕の次なる大きな一章」、STEEPでも今後に注目していきたい。