バックカントリー必要装備|人気バックパックに入れ比べてみたら?

どんなバックパックがバックカントリー向きなのか?

バックカントリーに行く際のバックパック、どうしている? 山にはいろいろな装備を持っていかなくちゃならない。当然、バックパックを背負いながら滑ったりハイクアップしたり、さまざまに動く必要がある。そこで誰もが悩ましくなるのが、「一体どんなバックパックがバックカントリーにはいいのか?」ってこと。

そこで、今回は「1DAYバックカントリー」を想定して、注目の人気ブランドのバックパックに必要な装備を入れたら、どのような感じになるのか? 収納力や機能性、背負ったときのフィット感や動いた際のバランスなどをチェックしたり比較することを通じて、バックパック選びで大切なこと、選び方のコツをつかんでもらおう、というものだ。

指南役は石井スポーツの甘利さん。クライミングや山岳スキーなど本格的に追求している山のプロフェッショナルだ。今回は甘利さんの目利きで、1DAYバックカントリーにおススメというバックパック3点をセレクトしてもらった。


セレクトした注目のバックパック3点とその特長

今回、甘利さんがピックアップしたのは以下の3点。いずれも人気ブランドだ。1DAYでのツアーということを考えると容量は30~35ℓが適切とのこと。パッと見た目の時点ですでにいろいろなことがわかる。

THE NORTH FACE
Chugach 35

容量:35ℓ
Size:S/M/L(高さ×幅×奥行)S/M 57 / 30 / 14cm
Weight:S/M:1,580g、L:1,655g
¥30,800(税込)

Chugach 35の目利きポイント]

まず、大きな特長が珍しい2室構造。上部に濡らしたくないシールやカメラ、逆に濡れてしまったシール、すぐ取り出したい衣類などを収納できて、メチャメチャ使える。最大の魅力は薄さ。高強度の生地を使いアルミフレームも入っているので他のザックより若干重くはなるが、この薄さはすごい。ザックと体の密着感があればあるほど滑りやすい。特にフリーライドではスピードを出したり飛んだり回ったりするため、このポイントは超重要。


OSPREY
Solden 32

容量:32ℓ
Size(高さ×幅×奥行):54 / 31 / 28cm
Weight:1,150g
¥19,800(税込)

Solden 32の目利きポイント]

背面開きの先駆けとなったOspray。特に魅力のポイントは3点。まず、圧倒的な軽さ。わずか1.150gと格段に軽い。そしてザックと一体になっているヘルメットホルダー。これがあれば風で飛ばされることはまずない。そして、必要最低限の機能が詰まっている点。初めての人やシンプルに使いたい人にとっては、必要最低限の機能のザックはとても優れたものになるからだ。


Deuter
FREERIDER PRO34
+

容量:34ℓ
Size(高さ×幅×奥行): 58 / 35 / 18cm
Weight:1,280g
¥23,100(税込)

FREERIDER PRO34+の目利きポイント]

シンプルなザックとは対照的に機能が満載の点が魅力。開けると収納ポケットがたくさんある。そしてトップにロールダウン式の拡張部があり、すごく使い勝手がいい。トップからロープを束ねるストラップが出ていて便利。山岳ツアーをやる人には嬉しい機能。


装備をザックに詰めてみたら

3つのザックの優れている点や機能性について知った上で、1DAYバックカントリーツアーに必要な装備を順番に詰め込んでいった。さて、どんな感じになっただろう?

1DAYでバックカントリーに滑りに行くときの装備

こちらが甘利さんが普段ワンデイの日帰りでバックカントリーに滑りに行く際の装備の一式。ハイク用のシール他、必須のセーフティグッズや防寒対策など。詳しくはリストを見てみよう。(写真のアイテム番号と表の番号は連動)

並べるとなかなかのボリュームに見える
❖ 1 DAYバックカントリー必携装備リスト
アイテム名ブランド商品名セレクト理由
1. シャベルK2Scopeスコップのシャベル部分が大きくて使いやすい。鍬形状にして使うことができるので雪洞等の掘り出しにも有効
2. プローブK2stealth300ワイヤーが外に出なくてスマート
3. ビーコンBCATRAKKER3手に馴染む、薄い、操作が簡単(難しい機能があまりついていない)
4. ファーストエイドキットdeuterFirst AID KIDサイズが丁度よい
5. 中間着Patagonia①NANO AIR LITHT HOODY
②MACRO PUFF HOODY
鉄板インサレーションジャケット。
①通気するインサレーションジャケットで行動中に着用
②ビレイを要するケース、稜線に出るケース等は②を装備に追加することがある
6. ゴーグル&サングラスOAKLEY①AIR BRAKE
② LINE MINER
③EVZERO ( Sunglasses)
デザイン性を重視。コントラストがあまり強くなく、明るめのをチョイスしてます
7. ゴミ袋ZipLock手軽で丈夫。(まず山にゴミになり得るものを持ってかないこと)
8. スキーシールCONTUREHYBRID MIX登り返しの少ない天気の安定している条件下では扱いが簡単。ハードなシーンにて使用する際はグルータイプのポモカを使用
9. 飲料・行動食お湯・水・柿の種行動食は山行にもよるが日帰りであれば600〜1500キロcalの間でコントロールするイメージです
10. グローブHESTRA
BLACKDIAMOND
ERGO GRIP
LEATHER WOOL
OVER GLOVE 3FINGER GORETEX
ズバリ操作性。これに尽きます。保温性が必要なシーンではLEATHER WOOLのインナーを抜いて、BLACKDIAMONDのオーバーグローブに入れて使用します
11. その他もろもろヘッドランプ・WAX&リムーバー・結束バンド・充電器など山行の内容に合わせて。携帯すると便利なもの、ないと実際困るものを事前によく吟味すべし

詰めてみたらこんなふう

3つのバックパックに上記の装備を全部詰め込んでみた状態がこれらの写真だ。

THE NORTH FACE Chugach 35

2室構造なので上部にゴーグルなど収納。整然と並べられるほど、かなり余裕で収納完了

OSPREY Solden 32

ほどよいぴったり感! 

Deuter FREERIDER PRO34+

こちらもまだ余裕がありそう

3つのバックパックを重要ポイントでチェックしてみた

1DAYバックカントリー向けのバックパック選びの際に重要視したい点、フィット感、多機能性、薄さ、収納性、コストパフォーマンスで、今回セレクトした3つのバックパックをチェックしてみた。



3つのバックパックと詰め込みぶりを動画でチェック!

甘利さんに3つのバックパックの特長や使い勝手を解説してもらい、1DAYのバックカントリーに必要な装備(すべて甘利さんの私物)を実際に詰めてもらった動画。甘利さんはどこにどのアイテム詰めているのか、といった装備の詰め方、ザックを背負った時の感じや、跳ねたり体を動かしてみた時のザックの様子がよくわかる。

まとめ
バックパック選びのポイント

甘利さんいわく
「大切なのは背負ったときのフィット感です。まずはこれが前提です。その上でバックパックの「薄さ」も重要。薄ければ薄いほど体との一体感が出ます。

僕が個人としてこだわっているのは、バックパックの薄さ、そして機能がいろいろと過剰についていないこと。「シンプル is the BEST」と僕は思っているからです。そして、体の幅に収まるスマートなデザインかどうか。横にダボっとしていると滑っていてザックがブレてしまい、安定した滑走を妨げてしまいます」

バックパックをこれから購入しようという人は、こんな点を意識するといい。どんなものを選んでいいのかまったくイメージが湧かない、もしくは気になるバックパックはあるけれど、機能や使い勝手について詳しい話が聞きたい、という場合はプロショップへ足を運ぶといいだろう。

Profile

甘利祐貴 Yuki Amari

ICI石井スポーツ西新宿店スタッフ。春から秋はクライミング、冬から春にかけては山スキー・山岳スキーを追求、通年を通して山で活動する山のスペシャリスト。冬は群馬・新潟・長野でバックカントリーに出ることが多い。好きな山は雨飾山、八ヶ岳など。いつか行ってみたい人生の目標はパキスタンのライラピーク(LILA PEAK)。

取材協力:石井スポーツ


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