スキーブーツ、シェルの熱成型とインナーカスタムって?そのメリット、デメリットとは

スキーブーツについて、「シェルの熱成型」、「インナーカスタム」という単語を聞いたことがあるだろうか。これは購入したブーツを自分の足型に合わせて、熱成型することでフィット感が高まるというもの。
なんとなくは知っているけど、どのような効果があるのかわからない。という人もいるはず。
今回はこれらブーツのカスタマイズについて基本的なことを見ていこう。

ブーツを履いて「小指が当たる」「くるぶしが当たる」などの経験を持つ人も多いだろう。
その当たりを無くす目的で行われるのがシェルの熱成型、インナーカスタムだ。

スキーブーツは外側のアウターシェルと呼ばれる部分と内側のインナーブーツと呼ばれる部分の二つに分かれている。これらはそれぞれ熱を加えると、形が変化する素材が用いられている。専用のヒーターで温めたのち足をいれることで、自分の足にフィットする形になる、という仕組みだ。

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インナーブーツのカスタム

成形はインナー→シェルの順に行う。インナーは繰り返し成形ができるのに対して、シェルの場合は一度熱成型をしたら元に戻らないためだ。なので、インナーカスタムで悩みが解消できれば、シェルの熱成型をする必要はない。「インナーカスタムしても当たりが取れない」という場合にのみ行ってほしい。

インナーブーツには、スネの部分とふくらはぎからくるぶしにかけて、熱を加えることで形状が変化する素材が組み込まれている。インナーブーツを専用のヒーターに入れて温めたあとに、足を入れて待つことで、自分の足型に合わせて形が変わってくれる。これがいわゆるインナーカスタムだ。

カスタムをすることによるメリット、デメリットは次の通りだ。

具体的なメリット

●自分の足の形(凹凸)に合わせて、フィットする

●足に馴染む時間を極端に省略できる
ブーツは数十日履き続ければ自然と自分の足型に馴染むのだが、その時間を短縮できる。

●スキーブーツの“へたり”を解消できる。
インナーは使っていると次第にフィット感が緩くなる。熱成型することでインナーが締まり、緩みを解消できる。

デメリットはあるのか

●デメリットはほぼ無い。
しいて言えば、インナーブーツに熱を加える毎に多少なりとも、負荷をかけることになるので劣化が進む。フィット感を取り戻すために何度も成形を繰り返しても、いずれその効果も薄くなり、やがてなくなってしまう。限界は7回程度と言われいている。インナーカスタムを繰り返す場合は2年起きくらいがよい。

シェルの熱成型について

ブーツの熱成型の原理はインナーとほぼ同じだ。シェルの素材は、熱塑性物質なので、温めて柔らかくすることで自分の足型に合わせる。シェルの成形は当たりを取り除く目的で行われるので、特定の箇所を広げることしかできない。ブーツの中のスペースを埋めたり、タイトにすることはできない点を覚えておこう。

メリット

●インナーカスタムをしてもまだ当たるような場所を解消できる

デメリット

●シェルの場合一度広げてしまった場合、もとに戻すのは不可能。広げる必要のない人はやらない。

インナーカスタム、シェルの熱成型についてのQ&A

Q.どれくらい時間がかかるものなの?
A.インナーカスタム、シェル成形ともにそれぞれ30分程度。
・インナー、シェル共にヒーターで熱するのに10分ほど
・履いて自分の足型にフィットするまで熱を冷ます時間が10分ほど
・そのほかそれぞれの足の悩みに合わせて相談したり、足のサイズを測ったりするのに10分ほどかかる。
例えばインナーカスタムしか行わないのであれば、30分ほどで済んでしまう。

Q.料金はいくら?
A.現在は、カスタムに必要な機械をほとんどのショップが導入しており、ブーツの購入とカスタムはセットになっている場所が多い。購入したお店であれば熱成型は無料というわけだ。例えばお店で履いた際は違和感がなかったものの、一度雪上で履いてみたら当たる場所があったという場合でも、再度お店に持っていけばカスタムに対応してくれる。

Q. 今困っていなければする必要はない?
A.シェルの熱成型に関してはない。インナーカスタムは少なからずフィット感を向上させるメリットがあり、デメリットは無いに等しいので、やってみることをお勧めしたい。
しかし、重ね重ね言うが、シェル成形は広げたら元に戻らないので、必要がなければしないのが無難だ。インナーカスタムをしても当たりが気になるようなら、インソールを変えるなどするのもオススメ。

Q.失敗はしない?
A.失敗はほぼない。

Q.シェルをへこませることも可能?
A.基本的にはできない。シェルは言ってみれば伸縮しない一枚のシートなので、仮に部分的に一か所をへこませたとしたら、どこかにその分のスペースが生まれてしまう。ブーツ内のスペースは基本的にはバックルの締め具合で調整するしかいないのだ。

Q.他店で購入したブーツの持ち込みも可能?
A.インナーカスタムは店舗によっては可能。

成形の工程を見ていこう

まずはフィット感に対してどのような悩みを抱えているのか相談! カスタムする必要があるか、インソールを変えたほうが良いのか。どのような滑りをするのか。専門のスタッフと相談して、どういった処置をするのか決めよう。

インナーカスタムの工程

1 足型を測定。当たる場所にパッドを貼る

足の実寸と足型にどのような特徴があるかをチェック
広げたい場所がなければパッドを貼る必要はない。それでも足の細かな凹凸に合わせてインナーも変形してくれる

2 広げたい場所にパッドを貼る

インナー専用のヒーター
ブーツに熱風を送ることで温める。10分ほど
履いて待つことさらに10分。ショップスタッフとしばし談笑。

3 パッドを付けたまま履いて、インナーブーツが固定されるのを待つ。滑りの特徴にあわせた変形のさせ具合によって、座って待つか立って待つか分かれる。

以上で終了だ。

シェルの熱成型の工程

1 インナーカスタムと同様、当たる場所にパッドを貼る。

2 ブーツを専用のヒーターで温める

専用のヒーターはアトミック、ノルディカ、ヘッド、フィッシャーなどから出ている

3 足を入れて待つ。

少しきつい体制を維持する

ブーツに足を入れたときの自然な状態はかかとに重心がある状態。つま先に板を挟み、ブーツにとって自然な状態を維持できるよう固定する。

3 冷蔵庫で冷やしていたクールゲイターをブーツに巻き付ける

ブーツは熱が冷めるまでに時間がかかるので、時間短縮のために冷やす。
ブーツ全体カバー

巻いて待つことおよそ10分。これでシェル成形が終わりだ。

わずか1時間弱の間でインナーカスタムとシェル成形ができてしまう。持ち物はブーツとスキーソックス以外に準備するものもなく、当日にショップスタッフと相談しながら悩みを解消できるので、難しいことはなにもない。

編集部が実際にやってみた感想としては、インナーカスタムをしただけでかかとのフィット感が格段と増して、がっちりとしたホールド感が得られた。

ブーツを新調するときには、ぜひともインナーカスタムから行ってみることをオススメしたい。

今回フィッティングをしたお店

Information スキーショップ アスペン(ASPEN)

住所

〒101-0052 千代田区神田小川町3-6

電話番号

03-3233-1607

営業日

4月~7月の期間は水曜日定休+不定休

教えてくれた人

圓山さん

スキー道具を売り始めて、この道25年の大ベテラン。経験豊富なスタッフが対応してくれるので安心してお願いできる。

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