Photo/Go Ito
’21季登場した「DISRUPTION(ディスラプション)」が大発展
雪面からの力を感じて加速し、フォールラインに向けてスキーを落としこむ。スピードとカービングを愛する人に向けたカテゴリー「DISURUPTION(ディスラプション)」が、’22季に向けてラインナップを整理した。
ターンスピードにフォーカスした「speed perfomrance」、オールマウンテンにターンを楽しむ「PISTE perfomrance」という’21季のくくりが「DISURUPTION」として一つにまとまったのだ。そのなかで、よりハードでハイスピードな滑走性能を求める「DISURUPTION」、主に女性の脚力やテクニックにマッチした「DISURUPTION ALLIANCE」とラインナップを2つに分類。このあたりはK2の他カテゴリーと体裁を踏襲した形だ。
ラインナップとコンセプトのおさらい
自身の体格やスキー技術、求める志向性に合わせて、「DISURUPTION」9モデル、「DISURUPTION ALLIANCE」7モデルの計16モデルから選べる。

各モデルの詳細は’21季から大きな変更はなく、これまで通り”Ti”はチタン、”C”はカーボン、”M”はミディアムターン、”S”がショートターンという位置づけ。この名称に沿って各モデルを見ていくと、目的がとても分かりやすい。
「DISURUPTION」は上位機種として従来どおりのMti、Sti、SCに加えて、’22季はさらにハイエンドのTi²が仲間入り。それ以外は’21季と変わらず、82Ti、78Ti、78C、76X、76と続く。「DISURUPTION ALLIANCE」はMTi とSCに81Ti、78C、76C、76、75というラインナップだ。
なお、K2のカービングスキーはすべてにロッカー機構が備わっている。「DISURUPTION」ではノーズとテールのロッカーが低めに設定された〈SPEED ROCKER〉がほぼすべてのモデルで搭載されたロッカー+キャンバー形状。取り回しのしやすい操作性に安定性をもたらしている。
新たにラインナップに加わったTi²
’22季の目玉は、新たに加わった「DISURUPTION Ti²」だ。カテゴリーのなかで最上位となるこのモデルは、名称にあるようにチタンが通常モデルに比べて2倍も多く組み込んでいるのが特徴だ。


GSスキーと遜色ない性能。チタンの安定性によって、高速時のスキーの走りは他の追随を許さない
そもそも、「DISURUPTION」シリーズは、切れ味鋭いターンを引き出す3つの機能が備わっている。
ひとつは、DMD(DARK MATTER DAMPING)。ターンの始動でエッジが雪面を確実に掴むことを助けるもの。ポリマーの振動吸収材が、コンタクトエッジ付近に配置し、ターンに入るときチタンが取りこぼす高周波波動を吸収する。

2つ目はPOWERWALL。特大のABSサイドウォールをスキー中央部のウッドコア内にラミネートし、ダイレクトにエッジへと力が加わりスキーがたわむ。
3つ目はI-BEAM。スキーセンターに沿ってノーズからテールまでチタンを配置し、ターン時の安定性と正確性が向上させている。

「DISURUPTION Ti²」は3つ目の機能であるチタンの量を2倍にしたことで、これまで以上に高速で安定した滑りをもたらすのだ。ただし、チタンの量が増えていることで、乗り手を選ぶスキーになっていることは否めない。

MTiとの違いは? アルペン全日本選手権GS優勝の富井大賀からインプレッションを聞く
このモデルをシーズン中に乗りこなしていたのが野沢温泉出身のアルペンスキーヤー富井大賀だ。彼はこの冬に阿寒湖畔スキー場ウタラで行われた、アルペン全日本選手権男子GSで優勝したトップクラスの選手。レースの合間に使っている「DISURUPTION Ti²」にどんな印象を抱いているのか?

第99回 全日本選手権GS 優勝
Instagram@taiga_tomii

’21季に乗っていた「MTi」はよくたわむ印象でした。スキー全体がきれいにしなって、ターン前半でエッジがよく切り込んでいく。
’22季に乗った「Ti²」は「MTi」以上に雪面を噛みよく曲がります。ただ、「MTi」に比べれば硬さはあります。スキーセンターにはメタルが2枚入っているだけあって、スピードがでればそれを抑えるための力も必要です。そのかわりスピードを出した時の安定感は抜群です。 自分が得意とするGSのスキーに感覚が似ていますね。
スキーに対して自重や外力といった重みをしっかり乗せることで、スキー全体ががきれいにしなるイメージ。硬いブーツに対して硬いスキーを合わせることで、より力をダイレクトに伝えることができると思います。
志賀高原のジャイアントでレースの合間に滑ってもいましたが、練習用のレースバーンでもブレることもありません。「MTi」の時はよくたわむおかげかトップとテールのブレが若干気になることもありました。その点「Ti²」にはそういう感触を感じませんでした。
GSスキーと遜色ない性能を持つこのスキーは、エキスパートスキーヤーやレーサーが練習の間に乗ると、性能を存分に発揮できて楽しめるスキーでしょう。
富井大賀の滑りはこちらのPVをチェック。82Tiに乗る坂本豪大もあわせて見られる。
「DISURUPTION」全ラインナップ
最後にTi²以外の「DISURUPTION」全シリーズをここに紹介していこう。
》DISURUPTION

長い距離を大きなターンで速く滑る

小気味よくターンを繋ぎなら山を下るのに最適な一台

チタンの代わりにカーボンシートの入ったモデル。軽くて反応の良さがポイント

時期を問わずスキー場のコースを自由に滑るのに最適な82mmのウエスト幅

朝一番のコーデュロイバーンから午後の荒れたバーンまで万能に楽しめるモデル

エッジトゥエッジのカービングにハマりだしたら、このスキーでさらにスピードの次元を高めてを楽しめる

上のモデルに比べて強さを若干抑えたモデル。取り回しやすいロッカーと相まって様々な斜面が面白くなる一台

76Xと性能は変わりなし。ビンディングの種類が異なる
》DISURUPTION ALLIANCE

女性用のMti。男性モデルに比べてRが小さめ

女性用のSti。男性モデルよりもディメンションは広め。Rはキツめに設定




