バックカントリーで必携のプローブ|選び方のポイント

バックカントリーでもしも雪崩に遭遇して誰かが埋没してしまったら…。ビーコンで雪崩による埋没ポイントを探知し、雪に差して埋没者の位置を特定するためのギアがプローブだ。折りたたみ時には20~30㎝とコンパクトだが、コードを引っ張るとシャフトがジョイントして、自動的に2~3mの長さになる。バックカントリーに出るためには必携のプローブ、長さや重量、シャフトの材質や使い勝手など様々だ。どのような点に着目して選べばいいだろう。

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プローブの役割

プローブとは、雪のなかに埋没してしまった人の検索に使用する棒。ゾンデ棒ともいわれる。ちなみにプローブは英語、ゾンデはドイツ語だ。バックカントリー(BC)で滑走するには、ビーコン、ショベルとともに必須のアバランチギアとされている。

ビーコンで埋没者のおよその位置を探し当てた後に、プローブを雪に突き刺して、救助する人の位置をより正確に特定する。ビーコンは埋没者の位置をおおまかに探索できるが、それでも広い雪面のどこを掘り返せば埋まった人にヒットするのかまではわからない。最終的にはプローブによる触感で探り当てることになる。

また、プローブにはスケール(目盛り)がついている。雪崩発生時の捜索だけでなく、これから滑走しようというフィールドが雪崩が起きやすい状況かどうかを知るために、積雪の深さや雪の層をチェックする「ピットチェック」の際にも使う。

photo by ORTOVOX


プローブの仕組み

プローブは長さ40〜50cm程度の筒状の棒を内部に通ったワイヤーなどでつなげ、使用時には素早く一本の長い棒に組み立てることができる。棒の部分をシャフトといい、長くなればそれだけシャフト数は多くなる。

長さは用途や環境に合わせてさまざまで、2m弱のものから、3m以上のものまである。

使用しない時には折りたたんで、コンパクトに収納できるようになっている。

Photo by ORTOVOX

選び方のポイント

プローブの選び方のポイントは、まず「長さ、及び太さ」と「素材」、そして「組み立て方」や「目盛りの見やすさ」だ。

■長さ+太さ

当然ながら短すぎれば十分な捜索活動ができない。雪崩の際の埋没深度が2m以下の場合、迅速なレスキューをすれば救出できる可能性が十分にあるため、最低でも2m以上の長さはほしい。ちなみに山岳ガイドや山岳救助隊の使う物は3m前後と長いが、一般のBCユーザーで、グループのメンバーを捜索する用途ならば、プロ仕様ほど長い必要もないだろう。

太さは、棒の径口が小さくて細すぎると強度が足りず、硬い雪に刺さりにくい。簡単に曲がってしまうこともある。長い方が太い径である場合が多く、太いと曲がったり折れたりしにくいため、ある程度の太さのあるものが良い。また、シャフトまでの1本の長さが長すぎるとジョイントが不安定になりがちだ。接続部分もぜひチェックしておきたい。

長さと価格はある程度比例してくる。そのバランスから考えると、230cm~280cm程度が手に入れやすい。また、収納性の点では、折り畳んだ短縮時に50cmくらいの長さになるものがバックパックのなかで収まりが良い。

■素材

プローブに使われている素材は、アルミかカーボンが非常に多い。カーボンは価格が嵩むが、かなり軽い。しかし、その分、一定以上の強い力がかかった時に、アルミに比べて折れやすい。同時に、アルミは強度が高く折れにくいが、曲がりやすいという特長もある。軽さを追求するならカーボン、コストパフォーマンス的にはアルミ、という選択だ。

■その他の要素

選ぶ際の着眼点として、他には目盛りの見やすさや、組み立て方法もある。ハンドル部分を引っ張ると自動的に素早く組み上がるものも多い。また最新テクノロジーを搭載したものでは、プローブ先端でビーコンの信号を受信し、埋没者の位置を確定、音と光でヒットしたことを知らせるといったユニークなプローブも登場している。


プローブの使い方

プローブがどのようなものか理解できたら、雪上での実際の使い方を見てみよう。
(動画:日本雪崩捜索救助協議会)

ビーコンやプローブは実際に雪上で使う練習をしておかないと、いざ本当に雪崩に遭遇して必要に迫られたときに、スピーディーに的確に使うことはなかなかできないものだ。バックカントリー初心者は、まずアバランチギアの使い方の講習を受けたり、講習付きのバックカントリーガイドによるツアーに参加することから始めて、道具の使い方に慣れておくとよいだろう。

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