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バックカントリー必携アイテムの「ショベル」。シャフト(柄)とブレード(スコップ部分)が分解でき、コンパクトに折りたためバックパックに収納できるものが主流だが、ブレードの大きさや形もいろいろだ。使用素材によって重さや強度にも差が出る。初めて手にする1本は、またはそろそろ買い替えというとき、どのような点に着目して選べばよいだろうか。
ショベルの役割
ショベルはバックカントリー(BC)のさまざまな場面で使用される。
まずはアバランチギアとしての役割だ。ビーコン・プローブとともにスノーレスキューに欠かせないギアのショベルは、雪崩による埋没者の救助活動にはなくてはならない。ビーコンとプローブで埋没者のポイントがわかったら、即座にショベルで掘り起こさなくてはいけない。
雪崩で埋没した場合、生存率は埋まってから15分以内で92%まで低下し、埋まってから35分後には30%にまで低下するといわれている。どれだけ早く埋没者を掘り出せるかは、ショベルの性能によるところも大きいため、ショベルの役割は重大だ。また、雪の状態が弱層になっていないか、ピットチェック(雪崩チェック)を行う際にもショベルは重宝する。
他にも雪山で突然の暴風に見舞われてスタックしてしまったり、ケガをして身動きがとれなくなったときには、雪洞を掘ってビバークすることもある。ショベルは雪を掘って雪洞を作るためには必須だ。また、山泊するようなツアーでは、テントを設営する際にも雪面を固めたり、雪を盛ってテントを固定するおもりを作ったり、テントの周りに雪のブロックで防風の壁を作ったりと、多岐に渡って活躍する。
ショベルの仕組み
ショベルは大きく分けると、ブレードとシャフト(柄)からなっている。シャフト(柄)は長さを調節したり、ブレードと分離することができ、バックパックに収納して持ち運びやすいようになっている。
また、シャフトが鍬(クワ)形になるものや、アイスアックスと付け替えできるものなども出ている。
選び方のポイント
ショベルには主にアルミの金属製とプラスチック製の2種類があるが、アルミ製の方が強度が断然に高い。プラスチック製は硬い雪ではうまく掘れなかったり、低温や衝撃が加わると割れる可能性もある。一方で、重さに関してはプラスチック製の方が軽くて扱いやすい。しかしBCでは安全のためにはアルミ製を選ぶべき。
その上で、ショベル選びのポイントは、「ブレードの形や大きさ」「シャフトの形や長さ」「重さ」「多機能性」といったところ。
雪崩捜索では、一刻でも早く埋没者を掘り出すためには、一度にたくさんの雪がかける大きなブレードが必要になる。ブレードの形はフラットで四角いほうが良い。上部がなで肩だと、足を乗せて雪面に蹴り込むのに力が入りにくいので、肩の部分はストレートなものが良い。
シャフトのハンドル部分はグローブをつけたままでも握りやすいものが良い。T型がパワー伝達のいい頑強なシャフト(柄)で、パワーのいる作業のため、なるべく軽量なほうが良い。
このようなショベル選びのポイントを押さえて、自身のBCスノーライフとマッチするものを選びたい。