自由なフリースキーシーンを牽引し続けるザ・フリースキーブランド「K2 SKIS」。次から次へと新しいラインナップが登場する秘密を探りながら、’21季のラインナップを展望してみよう。
新しいラインナップが続々と誕生する秘密
1962年にアメリカ・ワシントン州シアトル郊外で生まれたスキー・スノーボードブランド「K2(ケーツー)」。グレン・プレイク、セス・モリソン、シェーン・マッコンキーといったフリースキーのシーンを牽引するライダーを数多く輩出し、時代を作ってきた。
フリースタイルスキーにおける実績は言うまでもなく、フリーライドやバックカントリーといったカテゴリーをカバーする豊富なラインナップが特徴だ。また、スキーやブーツ、ポールといった滑走系ギアに加えて、ヘルメットやバックパック・アパレルの製品ラインナップも多い。
近年はさらなる拡充をはかるため、自社開発工場である「ARC(Advanced Resource Collective)」をシアトル国際空港近くに設立した。ここには製造工場とは別に試作品専用のファクトリーがあり、製造過程や納期を気にすることなく、新たなプロダクトの開発に集中できるようになっている。 北米で唯一年間を通してリフトが稼働しているティンバーラインまで約4時間という立地条件を活かし、新しいアイデアやプロダクトを思いつくと、プロトタイプを作成し、すぐに雪上でテストできるという制作には抜群の環境が整った。下記映像はそのARCのイメージビデオだ。
topK2 SKISのラインナップを俯瞰する
'21季のラインナップは上図になる。
- 〈speed perfomrance(スピードパフォーマンス)〉〈PISTE perfomrance(ピステパフォーマンス)〉 圧雪斜面をスピードを出して滑るのに特化
- 〈MINDBENDER(マインドベンダー)〉条件を問わないハードな滑りを支えるトーションの強さがポイント。主にフリーライドシーンでの使用を想定
- 〈TOURING(ツーリング)〉ツアースキー。軽量でありながらエッジグリップ力を高めるためにメタルを配合
- 〈RECKONER(レコナー)〉ディレクショナルツインチップ構造。斜面のすべてを使ってフリースタイルなライディングを好む人向け
- 〈FACTORY TEAM(ファクトリーチーム)〉パークやストリートを攻めるスキーヤーや1〜4に当てはまらないスキーを求める人向け
フリースキーやフリーライドを対象にした②③④⑤といったモデルが2/3を占めるなか、'21季は①〈speed perfomrance〉〈PISTE perfomrance〉の比重が増えているのが新しい流れと言える。
各カテゴリーをざっと見ていこう。
〈MINDBENDER〉圧雪からパウダーまでターンの気持ちよさにフォーカス
滑走条件を問わず、ターンの快楽を求めた〈MINDBENDER〉シリーズは、全12モデルで構成している。すべてに共通している性能はあらゆる雪質での安定感とコントロール性の高さ。そのためにK2が目をつけたポイントはトーションだ。スキーの先端部と中心部のトーションを硬めにし、テールに向かって緩やかになるように設定。これによって、カービングもスライドも状況に応じて自在に操れるスキーになっている。
このトーションの性質に加えて、滑走性能を引き出すキーとなる機能は以下の「チタナルYビーム」、「スペクタクルブレードテクノロジー」、「パワーウォール」の3つだ。
男性用の〈MINDBENDER〉はウエスト幅の広い順に116C、108ti、99Ti、90Ti、90C、85の6機種。数字の後ろにあるCはカーボンのことで「スペクタクルブレードテクノロジー」搭載、一方Tiはチタンの意味で「チタナルYビーム」が配置されている。116Cのみノーズロッカーが高く長めで、テールのロッカーが長く緩めに設定された「パウダーロッカー」を採用。ほかモデルはノーズロッカーと低く短めのテールロッカーを組み合わせた「オールテレインロッカー」だ。
女性用の〈MINDBENDER〉にはALLIANCEの名がつき、115C、106C、98Ti、88Ti、90C、85と男性モデル同様に6機種。ただ、ウエスト幅といったシェイプやチタンとカーボンの比重は男性モデルとは微妙に異なる。
バックカントリー向け軽量モデル〈TOURING〉
軽さと滑走性能を両立したバックカントリーでの滑走を想定した〈TOURING〉シリーズ。男性用モデル「WAYBACK」が5機種、女性用モデル「TALKBACK」が3機種の計7機種で構成している。
ツーリングと銘打っているが、〈K2〉は滑りを優先する考えに基づいているため、ほぼすべてのモデルにピステスキーやフリーライドスキー同様にラミネート状のチタンメタルをスキーの中心部に配置している。
軽量化を図りながらも、滑走に欠かせない安定性や振動吸収性を外さない作りだ。なかでも「WAYBACK 80」のみ芯材には特別なBalsa/Paulounia ツアーウルトラライトコアを使用しており、メタルを使いながら170cmで967gという軽さを実現している。
フリースタイルマインドを継承〈RECKONER〉
19-20季まであった非対称ノーズ&テールのカタマランやマークスマンから一新し、新しくカテゴライズされた〈RECKONER〉状況を問わずジャンプ、スラッシュ、カービング、プレス、バターといったフリースタイルな動きを自在に操れるシリーズはウエスト幅122、112、102の3種類で構成され、すべてディレクショナルツインチップ構造。
122のみパウダーで自由に動き浮力を持たせるためにノーズとテールのロッカーを高く長く設定している。他2モデルは汎用性のあるオールテレインロッカーを採用だ。
3モデルとも芯材はエッジ側にモミ、中心にはポプラを配置し、衝撃に強くエッジグリップと安定性が特長。ノーズからテールまで延びるカーボンストリンガーや〈MINDBENDER〉にも使われているスキー全体を覆った格子状のファイバーによって、様々なポジションに乗ったトリックにスキーは敏感に反応する。
K2の顔〈FACTORY TEAM〉
ストリートからビッグマウンテン、コンペティションまで、〈FACTORY TEAM〉のラインナップはK2らしいフリースタイルマインドに富んだモデルが並んでいる。シェーン・マッコンキー設計によるウエスト幅132mmのテーパーシェイプの「PON2OON」、根強いファンを抱えるモーグルスキーの「244」、パークはもちろんのことストリートを攻めるスキーヤーを支える「POACHER」などバラエティ豊かだ。
圧雪斜面を滑るための新機軸〈speed perfomrance〉〈PISTE perfomrance〉
最後に紹介するのが、'21季に〈K2〉が新しく打ち出した「Disruption(ディスラプション)」シリーズを擁する〈speed perfomrance〉〈PISTE perfomrance〉。既存の概念を打ち壊すスキーといった意味で名付けられたスキーは、コンペティションにこだわらず、スピードとカービングをこよなく愛する人に向けて作られたカテゴリーだ。
K2の全ラインナップはリンク先を参照ください。