さらに進化し8%軽量化された「FUTURE」GEN(ゲン)|’23-24ニューモデル情報

続くシーズンの最中、早くもメーカーによる来季’2023-24シーズンのニューモデルがお披露目される展示会が各所で開催されている。メーカー独自の個展や集合体によるトレードショウ、雪上での試乗会など、いろいろな場所でメーカーPR担当者に’23-24シーズン注目のニューモデルや話題のトピックスを聞いてみた。

今回はこだわり抜いたモノ創りの姿勢と高い技術力で定評のあるジャパンメイドのブーツブランドGENの話題を「SNOW SPORTS合同展示会」(2月14~15日開催@パシフィコ横浜)で聞いてみた。


ライダーズモデルの「FUTURE」がさらに進化を遂げた!

驚異的な軽さを手に入れアップデートされたライダーズモデルの「FUTURE」

ライダーズモデルの「FUTURE」は、ポリオレフィン系のサーモプラスティックをアッパー・ローアーに新たに採用。それによって重量が8%も軽くなった。開発に関わるライダーからの「極力軽く」というリクエストからやりとりをし、この素材になった。’22-23シーズンはローアー部分だけ軽い素材を使用し、アッパー部分は従来のシェル素材とで、上下で違う素材を組み合わせていたが、’23-24季からは同じ素材でありながら、硬度の違うものを組み合わせることで、さらに軽量化に成功したのだ。

今回、採用されたポリオレフィン系サーモプラスティックは、ウレタン素材よりも表面硬度は柔らかいが、その柔らかさの中にもコシがあり、張りがあるのが特徴。軽さだけでなく、よりフレキシブルになったことでレスポンス性能も向上した。ライダーたちも履いてみたら「全然違う、エッジの切れや板の走りが変わっている」と驚いたという。

ライダーズモデルは、‘22-23シーズンからバックルも「NEW frex-wireバックル」というワイヤーバックルに変更している。これもフィット感のクオリティとともにフレキシビリティを向上させるのに大きく貢献している。上からバチンと押さえつける従来のスタイルと、ワイヤーバックルによって「丸く締まる」のとでは差がだいぶあり、これによって締まりがこれまでより格段に良くなったのだ。

「これは、かなり調子がいい!小さな変化のようだがものすごい効果があった」とGENのチームマネージャーの佐々木徳教も熱弁をふるってくれた。

NEW frex-wireバックルは、クワガタのような形状から「クワガタバックル」と関係者からは呼ばれているとか

新たに登場したワイヤーシステム搭載の「BUZZ-WIRE」

甲の部分に配置されたカーブした曲線のワイヤーに注目

フリーライドモデルとして「BUZZ-Wire」と名付けられた新しいワイヤーシステムが搭載された「BUZZ-WIRE」が登場。一番下のバックルがひとつなくなり、写真のようにワイヤーで締める新しいスタイルのブールだ。BOAのバックル版のようなイメージで、簡単にストレスなく快適なホールドができるのが魅力。オールマウンテン・クルージングには最適な一足だろう。

熱成型なしでも使用可能なインナーが登場!

GENでは、INTUITION社とのコラボレーションによって開発されたオリジナルスペックのスペシャル熱成型対応インナー「THE CORE」を2タイプ展開してきた。INTUITION FOAMによる優れた成型能力を持ち、レベルや足型に合わせて自在にフィットさせることができ、その上、保温力に軽量性も兼ね備えた優れモノだ。このインナーに’23-24シーズンは新しい種類が増えて4タイプとなった。

熱成型のいらない新しい「THE CORE CLONE AUTO FIT」
熱成型のスタンダードな「THE CORE PRO FIT」(左)

従来の完全熱成型のインナー「THE CORE TEAM FIT」「THE CORE PRO FIT」「THE CORE COMFORT FIT」とに加えて、新たに登場したのが、熱成型しないタイプのサーモインナー「THE CORE CLONE AUTO FIT」だ。履いているうちに地熱で徐々に足に馴染み自然にフォームされていくインナーだ。かなり調子がいいので、ぜひ試してみたい。

※「THE CORE COMFORT FIT」は装着して問題なければ熱成型無しでも使用が可能


SDGsに対応したジュニア用のレンタルブーツが完成

シェルの50%がリサイクル素材を使ったブーツはこんな姿

’23-24シーズンにGENが完成させたのが、SDGsへの取り組みとなる環境へ配慮したサスティナブルブーツだ。シェル素材の約50%にリサイクル素材を採用、シェルとカフのコンポーネントは、回収されたプラスチックと生産現場から直接回収されたリサイクル素材で作られている。ライナーもできる限りリサイクルされたパッドを使用した。…と聞くと簡単なようだが、実はこれは大変な企業努力がないと実現しない。

「とあるスキー場さんから、リサイクルのブーツってできないの?」と相談を受けたことがきっかけで取り組みが始まったという。スキーブーツを製造する過程で、インジェクション成型する際にどうしてもプラスチックのスクラップが出る。今まで捨てていたこのスクラップを、もとのプラスチックと混ぜて製品できないか?ということで、すべてゼロからの未知なる挑戦だったという。

シェル単体にどこまでリサイクル素材が使えるのか試行錯誤を重ね、最終的に独自のオリジナル樹脂ブレンド製法によって商品化に成功した。品質を確かめるためにマイナス20℃の低温で2万回の前屈運動を行い耐久性をテスト。また、低温での衝撃テストとして-20℃で4kgの鉄球を落下させ、壊れないかをテストした。これによって安全性とスキーブーツとしての性能を実証、見事にレンタル商品化を実現したのだ。

このように、従来のギアの生産にかかるエネルギーを削減し、リサイクル素材を新しい商品に再利用することで、サスティナブルなモノ創りの良い循環が生まれる。初めての作品はジュニア向けのレンタルブーツだが、今後はどのような展開が広がっていくのだろう。GEN FACTORYの環境への取り組みは大きな一歩を踏み出したといえよう。


公式サイト:http://jcreate-corp.co.jp/
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