VÖLKL(フォルクル)が「FREERIDE」カテゴリーに新たなラインナップを組み入れた。それが「BLAZE」シリーズだ。
INDEX
- 軽い、絶妙なシェイプ、自在なターン弧。「BLAZE」の高い汎用性
- フリースキーを全包囲でカバー
- フリーライドとフリースタイル。豊富なラインナップとそれを表現するライダーたち
- フリースタイル派が求めるこれからの万能性
軽い、絶妙なシェイプ、自在なターン弧。
「BLAZE」の高い汎用性
このシリーズが対象としているのはバックカントリーをメインフィールドにしているスキーヤーだ。ワイドなシェイプながら軽さがあり、さまざまな状況下においても滑走性能を引き出しやすいモデルになっている。
4機種で構成されたシリーズはウエスト幅が106mmの「BLAZE106」、ウエスト幅が94mmの「BLAZE94」、そしてそれぞれに女性モデルがある。前者は時期を問わずバックカントリーでの滑走をメインに、後者はスキー場での滑走をメインにしながら、春山でのザラメコンディションやロングハイクに使える。
バックカントリーでは状況に応じてカービングやスライドといった技術を使い分け、大小織り交ぜたターンで斜面を滑り降りる。 難しいコンディションではコントロールしやすい速度でショートターンで滑り、スピードをだすときは大きなターンで気持ちよくスプレーを上げる。
こうしたターンを引き出せるようになったのは、スキーの部位ごとにラディウスを変えた”3Dラディウスサイドカット”によるところが大きい。’20季に初めて導入したこの機能は、センター部分はタイトなラディウスによってクイックなターンを簡単にし、トップとテールは大きめのラディウスによって、高速時のターンの入りと仕上げを整えてくれる。
トップとテールのロッカーとの相性も抜群で、シェイプが広くてもエッジの切り替えが素早く行えるのだ。
芯材は軽量が特長のビーチとポプラの組み合わせ。さらに真ん中にはイソコアというこれまた軽い人工素材を用いている。軽量化を図ったぶん、柔らかさが気になるが、そこはビンディングエリアにチターナルレイヤーを挿入し補強。スピードを出した時の安定感を出しながら、ハイクが苦にならない軽さを実現した。
フリースキーを全包囲でカバー
ここで改めてブランドの歴史を振り返ってみよう。
1923年からスキーを作り始め、約100年という歴史を積み重ねる「VÖLKL」。いまもなおドイツ国内で開発と生産を行っている唯一のスキーブランドだ。アルペン競技に強い硬派なブランドイメージがありながら、ヨーロッパのブランドとしては早い段階からフリースキーカテゴリーに進出。1999年にパークとフリーライドにフォーカスした「Vスキー」を発表している。
2000年代になると「GOTAMA」「MANTRA」「WALL」といったアイコンとなるスキーを次々とシーンへ投入。なかには、193cmのワンサイズ展開、スワローテールの「SANOUK」という当時としては大胆で個性的なデザインのスキーも登場させた。
このように、手堅いドイツブランドというイメージとは真逆のユニークなモデルを手掛けるなど、アルペン競技で培った開発力と伝統を重んじながら、新しい物を作り続けている。
これが「VÖLKL」のアイデンティティだ。
フリーライドとフリースタイル。
豊富なラインナップとそれを表現するライダーたち
VÖLKLのラインナップはフリーライド・フリースタイル・ツアーの3カテゴリーから成っている。’21季はモデル数も増え、さらに拡充した。下の表がその推移を表したもので、左が’20季、右が’21季となる。
カテゴリー | モデル名 |
---|---|
FREERIDE | CONFESSION |
MANTRA 102 | |
M5 MANTRA | |
KENDO 92 | |
KENDO 88 | |
KANJO | |
SECRET 92 | |
YUMI | |
KATANA V-WERKS | |
MANTRA V-WERKS | |
100 EIGHT | |
90 EIGHT | |
FREESTYLE | REVOLT 121 |
REVOLT 95 | |
REVOLT 87 | |
REVOLT 86 | |
REVOLT 86 W | |
BASH 81 | |
TOURING | VTA 88 LITE |
VTA 88 | |
VTA 80 | |
BMT 109 | |
BMT 90 |
カテゴリー | モデル名 |
---|---|
ALL MTN FREERIDE | KATANA 108 |
MANTRA 102 | |
M5 MANTRA | |
KENDO 92 | |
KENDO 88 | |
KANJO 84 | |
SECRET 92 | |
YUMI 84 | |
KATANA V-WERKS | |
MANTRA V-WERKS | |
PURE FREERIDE | BLAZE 106 |
BLAZE 106 W | |
BLAZE 94 | |
BLAZE 94 W | |
FREESTYLE | REVOLT 121 |
REVOLT 104 | |
REVOLT 95 | |
REVOLT 87 | |
BASH 86 | |
BASH 86W | |
BASH 81 | |
SKI MOUNTAINEERING | RISE BEYOND 98 |
RISE HIGH 88 | |
RISE ABOVE 88 | |
RISE UP 82 | |
RISE UP 82 W |
その内訳をみると、’21季は’20季に12台をラインナップしていた「FREERIDE」カテゴリーを整理。「ALL MTN FREERIDE」と新設した「PURE FREERIDE」とに二分した。また、「FREESTYLE」では「REVOLT 104」を追加、「SKI MOUNTAINEERING」も「TOURING」からカテゴリー名も変えて、ラインナップを一新している。
フリースキー系スキーを20年以上作り続けているだけあって、カテゴリーはすべて網羅している。各シーンで活躍するサポートアスリートも大勢おり、インターナショナルライダーは多彩な顔ぶれだ。
フリーライドシーンでは19-20季にフリーライドワールドツアー(以下FWT)で総合優勝を果たしたMARKUS EDER(マーカス・エダー)をはじめ、SAM SMOOTHY(サム・スムーシー)など実力者が名を連ねている。
フリースキーではスロープスタイルで上位常連者のALEX BEAULIEU-MARCHANDことABM、ビッグエアで名をはせるANDRI RAGETTLI(アンドリ・ラゲットリ)、X GAMESのスーパーパイプで5度のゴールドメダルを獲得するKEVIN ROLLAND(ケビン・ローラン)といった錚々たる顔ぶれが並ぶ。そのなかに日本から山本泰成が入っていることも忘れてはならない。
コンペティションシーンに強いだけでなく、映像や写真といった表現の世界で知られるライダーも数多い。自身で映像活動を行うAHMET DADALI(アーメット・ダダリ)やJEREMY PANCRAS(ジェレミー・パンクラス)、TGRやMSP、L1Pといったフィルムカンパニーに参加するIAN MCINTOSH(イアン・マッキントッシュ)やANGEL COLLINSON(エンジェル・コリンソン)TANNER RAINVILLE(タナー・レインビル)らがいる。
フリースタイル派が求めたこの万能性
場所を問わずフリースタイルに滑りたいスキーヤーは「REVOLT」シリーズがいい。ウエスト幅によって求めるライディングスタイルにあったモデルが揃っている。
キッカーやジブをガンガン攻めるなら「REVOLT87」、パークと供にフリーランに最適な「REVOLT95」、バックカントリーフリースタイルを体現する「REVOLT121」。19-20季まで100mm台がすっぽり抜けていたが、そこを埋めるべくランナップに新たに加わったのが「REVOLT104」だ。
ウエスト幅100mm台のスキーはツインチップ、ディレクショナルを問わず、ここ数年のトレンド。
とくにパークライディングを経験してきたスキーヤーにとっては、パークアイテムだけでなく、スキー場のトップトゥボトムを流しつつ、コース脇の壁地形や斜度変化といったセクションを見つけながら、3D的にスキー場を楽しみ尽くす術を知っている。そうしたスキーヤーは十中八九パウダーの面白さにも目覚めているはずだ。
そうしたスキーヤーにおあつらえ向きのスキーが「REVOLT104」になる。
「REVOLT104」は「REVOLT121」と同様に、「BLAZE」にも搭載されている”3Dラディウスサイドカット”を採用している。これは明らかにさまざまな斜面状況での操作性を考えた設計だ。104mmのウエスト幅はスキー場内でのパウダーを快適に滑るのに十分なシェイプだし、加えて180cmの長さがありながら、2kgを切る軽量性は見過ごせない。パークを滑るときには軽いほど空中で動きやすく、フリーランのときもスキーを軽快に扱えるはずだ。
なお、新作「REVOLT104」は遠山巧による映像解説がもっとも詳しく分かりやすいので、ぜひチェックしてほしい。「REVOLT104」はフリースタイル派スキーヤーにとって、新たな定番モデルになる予感だ。
ちなみに、「VÖLKL」は2000年からビンディングブランド「Marker」と、2015年にはブーツブランド「Dalbello」、と協業し開発を進めている点も忘れてはならない。 「Marker」とは長年にわたってスキーとビンディングを一体化させたシステムビンディングを共同で開発しており、「Marker」と「Dalbello」は、ラウンドしたソールによって歩きやすさに考慮した「グリップウォーク」テクノロジーを推進している。パフォーマンスの進化を3ブランドで包括して支えているのだ。
VÖLKLの全ラインナップはこちらのリンク先を参照してほしい。