スキー界にとどまらず、世界のアクションスポーツシーンで最も有名なレジェンドアスリートの一人、Candide Thovex(キャンディッド・トベックス)。長年のQUIKSILVER・FACTIONとのスポンサー契約を満了し、’21-22シーズンには自身のブランド「CANDIDE」を立ち上げたことは周知の通り。アパレルに続き昨年ついにスキーもリリースされ、話題騒然となりながら実態は明かされることがなかったが、ついにこの冬、その全容がお披露目となった。
27秒で分かるキャンディッド・トベックスの「今」
この映像が公開されたのは、1月29日とつい先日だ。キャンディッドの地元、フランス・ティーニュでのワンシーンだが、「ちょっと待てよ、キャンディドって今、何歳だった?」と感じた方もいるだろう。
フリースキーの黎明期である1999年頃、16歳のとてつもないキッズと言われたキャンディッドは現在42歳。それでいて、このとんでもないダブルバックフリップ!キャンディッドのトレードマークともいえる豪快なパフォーマンスは、10代20代の頃とまったく変わっていない。この映像が公開された直後、USAの「POWDER」マガジンは、「27秒。キャンディッドの偉人ぶりを語り尽くすに十分すぎる。そのライディングは高級ワインの如く、ときを重ねるほどに熟成している。こんなに洗練されたダブルバックフリップは見たことがない。42歳にしてこの肉体と情熱は、感銘を受ける以外の何物でもない」とコメントしている。
「滑る伝説」によるシグネチャーブランドCANDIDE
万里の長城までスキーで滑る、その突き抜けたラディカルな発想とスタイリッシュなライディングで、世界を驚かせ、刺激し続けてきたキャンディッド。その輝かしいキャリアの一端には、Winter X-Games 初のフランス人ゴールドメダリストとなり、ビッグエア、スロープスタイル、スーパーパイプの全3種目で完全制覇、大怪我のハンデを乗り越えFWTでも優勝など、コンペシーンでの実績がある。
だが、むしろキャンディッドを世界一有名なスキーヤーにしたのは、2015年の「ONE OF THOSE DAYS」をYou tube配信だろう。呆れるほどクレイジーな滑走映像で世界の度肝を抜き、以来数えきれないほどの数百万回もの再生回数を誇る映像をプロデュースしてきた。キャンディッドが打ち立ててきた記録と、シーンにもたらしてきたインパクトは計り知れず、キャンディッドこそフリースキーを進化させてきた、レジェンド中のレジェンドといっていい。
そんなキャンディッドが自身のアスリートキャリアの集大成として、満を持してプロデュースした自身のブランド「CANDIDE」。’21-22シーズンからアウターウェア、アパレル、アクセサリーなど豊富なラインナップを揃えてローンチした。すべてのプロダクトがCandide Thovexの監修のもとで考案、デザイン、製作されているシグネチャーブランドだ。
10年間に渡るFACTION SKIとのパートナーシップを満了し、’23-24シーズンには、ついに待望のスキーがリリース。昨年は展示会でそのフォルムこそ見ることはできたが、まだサンプル段階でプロダクトの最終形は明らかにされていなかった。それがようやく2023年秋にキャンディッドの滑りとともに世界にリリースされたのだ。
人生を通じた探求が出した答えは3本のスキー
「The life time resarch」とキャンディッドがいう、長きに渡るそのスキー人生を通じた探求の結果生み出された最高のスキー。ラインナップしたのは、キャンディッド渾身ともいえる3モデルだ。その名も「AK121」「BC111」「RESORT101」。
公式サイトのオンラインストアでの11月初旬の初発投入では、なんと24時間で瞬時に完売したという。その後の投入でもsold outが続出、2月頭の現在、公式サイトのオンラインストアで残っているのはAK121のサイズ179㎝のみ、という絶賛大好評ぶりだ。世界中のキャンディドファンやコアスキーヤーが喉から手が出るほど欲しがったスキー、それは一体どんなスキーに仕上がったのか? 詳しく見てみよう。
3モデルに共通するテクノロジー
待望のローンチとなった初の3モデルに共通している代表的なテクノロジーの一つが、トリプルラディアスサイドカットだ。3つの異なるサイドカットは極めて優れたターン性能をもたらす。ターン導入のしやすさ、高速での抜群の安定性、ターンの切れの良さなどを、3つのラディアス(半径)が可能にするのだ。その結果、山の様々なコンディションやシチュエーションに対応するターンが描けるという、操作性の高さが実現している。
そして構造の「C-LIGHT CORE」だ。桐とポプラのウッドコアをグラスファイバーとカーボンで包んだデザインで、優れた耐久性と軽量性をもたらした。使用される木材は責任を持って管理された森林から採取されたFSC木材で、環境への配慮も欠かさない。ベースはP-TEX4000、最も優れた滑走性と耐久性を持つベースとして王道だろう。
ビンディングの取り付けポイントは、3モデルともキャンディッド個人の取り付けポイントと、ほとんどのスキーヤーや地形に適したレギュラーな取り付けポイントが設定されている。
では、3モデルそれぞれのスペックを見てみよう。
AK121
圧倒的な高速スピード性と浮力・多様性を誇る無敵のビッグマウンテン仕様
AK 121 は、シリーズの中で121㎜と最もウエスト幅が広く、フレックスも最も硬い。 特に多様な滑りを高速でしたいエキスパート向けにデザインされたモデルで、ディープなパウダー、急斜面や大きなギャップドロップ、キャンディッドの好物である光のような速さで雪山を直進走破することが目的の場合、AK 121 は究極の一台といえるだろう。AKというネーミングはアラスカのビッグマウンテンをイメージしたものに違いない。
ポプラと桐のウッドコアは絶妙にすばらしいバランスの硬さと軽量さ、そして柔軟性をもたらし、カーボンで包む構造は耐久性と反応の良さを実現。ビッグファットに加えて515㎜のトップロッカー、ゼロキャンバー、485mのテイルロッカーというデザインは、パウダーでの最大の浮力を確保することはもちろん、あらゆるスノーコンディションで多様な滑りを可能にするバランスの良いフォルムだ。重量は2000g@184㎝と、C-LIGHT COREがスキーを軽量化し、反応性を高めている。
BC111
オフピステ・オンピステでもハイパフォーマンスなオールマウンテン仕様
BC111はトップは505㎜、テイルは485㎜のロッカーと非対称で、AK121よりは控え目でRESORT101 よりはグンと早く強いロッカーになっている。有効エッジはかなり短めな上、ウエスト111mはパウダーでの確かな浮遊感を手にすることができる。3つのラディアスはAK121より1mずつ絞られていて、滑るシチュエーションにより汎用的に対応する。キャンバーは1㎜、踏み込みによって高速走行時の安定性をもたらす。それでいて1900g@186㎝と軽量で扱いやすいことも利点だ。
兄貴分の AK 121 がビッグファットで、ビッグマウンテンでのキャンディッドのようなアグレッシブな滑走を実現し、弟分のRESORT101がゲレンデやパークでの機敏でポップな滑走に最適ならば、BC 111 は、いわゆるオールマウンテンな滑走に対応する汎用性・多様性が魅力だ。オフピステでも、コンディションが良くないオンピステでも、気持ちよく滑走を楽しめる器用なモデルといえるだろう。
RESORT 101
軽量で並外れたポップ感・機敏さを持つフリースタイルスキー
パークやゲレンデで機敏に動き回るのに最適なモデルがRESORT101だ。キャンバーは2㎜、トップとテイルのロッカーはいずれも440㎜、サイドカットの3つのラディアスはAK121、BC11よりもかなり小さくなっている。これによってターン導入も素早く、グリップ力のある感触が得られ、テイルの抜けもよい。トップとテイルの対象ロッカーのツインチップは、もちろん前後どちらの方向にも滑ることを意識したもの。
桐とポプラのウッドコアをグラスファイバーとカーボンの層で挟んだデザインで、優れた耐久性と軽量性を実現。 反応性の高いコアのおかげで並外れたポップ感を備えており、ゲレンデやパークでのエアやジブ、スラッシュなどフリースタイルな動きには最適だ。
ビンディングの取り付けポイントは、キャンディッド個人の取り付けポイント(センター2.5㎝バック)と、ほとんどのスキーヤーや地形に適したレギュラーな取り付けポイントはセンター4㎝バックと、 2 つの取り付け位置を提供する。
CANDIDE SKIは日本のどこで買えるのか?
キャンディッドにとって初めて手掛けるシグネチャースキーは、ヨーロッパはもちろん、北欧、北米、そして日本と初年度から世界展開だ。
日本での取り扱いはCANDIDEのアパレル同様に㈱ハスコエンタープライズ。国内でCANDIDE SKIを展開するショップは、フリーライドに強いプロショップを中心に12店舗ほどだ。今まさに店頭に並んでいる可能性も大。ぜひ手に取ってみよう。
※販売店はコチラのSTORE LOCATORから確認できる。
Information
◆取扱い:(株)ハスコエンタープライズ
https://www.hasco.co.jp/
本国公式サイト:https://www.candideskis.co/
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