「クレブスポーツ」が手がける日本初上陸の「VAN DEER-Red Bull Sports」の実際は? 3月開催中の試乗会をクイックレポート!

新潟県湯沢町のプロショップ「クレブスポーツ」が、この3月9日に「VAN DEER-Red Bull Sports」の正規国内販売を手掛けることを発表、STEEPでもニュースとして取り上げ、大きな反響を呼んだ。そこで早速に3月に開催されているプレミア試乗会に参加し、「VAN DEER-Red Bull Sports」とは実際どんなスキーなのか? ユーザーやクレブスポーツスタッフに聞いてみた。

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プレミアム試乗会の実際の様子

VAN DEER-Red Bull Sportsの日本初上陸を記念して、3月に開催されているプレミアム試乗会 PREMIUM TESTRIDEは4日程。会場は苗場スキー場の第3リフトエリアだ。

①9:00~ ②11:00~ ③13:00~と1日3部構成で事前予約制。1部ごとの定員は限定わずか8名とまさにプレミアムだ。少人数でじっくりと時間をかけて異なるモデルをたくさん乗り試し、その特長や魅力を体感してほしい。スタッフとも十分なコミュニケーションをとり、「DEERS」(一台一台のスキーは「ディアーズ」と愛情を込めて呼ばれる)の素晴らしさをわかってほしい、というクレブスポーツの思いによる計らいだ。

はじめはクレブスポーツとVAN DEER-Red Bull Sportsとのコラボレーションやプロダクトについてガイダンス

開始時間には、このように大きな特設テントの中で参加者が集合。チェックイン時には各人のスキープロファイリング(スキー経験やビンディング解放値など)を丁寧にヒアリング、それからまず10分程度のガイダンスが行われる。VAN DEER-Red Bull Sportsが初の日本上陸となった経緯やプロダクトについて、クレブスポーツのスタッフから詳しい話が聞ける時間だ。その上で、乗りたいモデルを順次テストライドしていく。

今回ラインナップされているのは、これらのモデル。カテゴライズすると、純レース向けSL 用の「SL W-CUP」、GS用の「PRO」・オールマウンテン系の「H POWER」・フリーライド系の「FREERIDE」4タイプだ。

プレミアム試乗会で展示された10台の試乗機たち

どうしてヒルシャーがフリーライドスキーを開発?

今回、STEEPがおじゃました3月16日の第3部では、意外にもフリーライド系が一番人気で「まず乗ってみたい!」ユーザーが集中した。「FREERIDE」はウエスト98・108㎜のファットだが、待て待て、どうしてアルペン王者のヒルシャーがフリーライドスキーを開発したのか? 

答えはこうだ。マルセル・ヒルシャーは「現代最高のアルペンスキーヤー」と称されるが、コンマ0.00の世界を征するには、驚異的な滑走技術が求められることはもちろん、優れた身体能力やファイティングスピリッツが必要であることは想像にたやすい。しかし、ヒルシャーにとってスキーは勝つためだけのものではなく、何よりもまず楽しむためのものなのだという。

ヒルシャーは信じられないほど完成されたスキーヤーであり、ディープパウダーでも、ラフな荒れたバーンでも、オフピステでも軽々と駆け抜ける。最近では、FWT(フリーライドワールドツアー)で 「名誉の1周」を披露したり、ビッグマウンテンを舞台とした滑走シーンも数多く表現されている。こんなヒルシャーだから 独自のフリーライド・スキーを開発したことも、実は驚くことではないのだ。

プロダクトのディテールは?

では、そのディテールはどのようなスキーか?
早々と公開された「VAN DEER WORKBOOK 2024」カタログから、プロダクトの説明を紹介しよう。

FREERIDE 98

FREERIDE 98 | D=138-98-120mm(180)|R=18m(180)| W=@2,000g |L=164, 172, 180, 184 \237,600  (税込)

FREERIDE 98はオールラウンドなフリーライド・スキー。 コーデュロイからディープなバックカントリーまで対応するこのスキーは、マルセル・ヒルシャーお気に入りの1本だ。パウダーでは浮力を発揮し、ハードパックではグリップ力を発揮し、ツリーでは操作性に優れ、スピードに乗ると安定する。 嵐の日のサーフィンのようなフィーリングを実現する。適度なチップ&テールロッカーが特徴で、FREERIDE 98の構造は、ポプラウッドコア、チタンとカーボンのダブルラミ ネート、フルABSサイドウォール、レースエッジ、P-Tex レースベースなど。マルセルのハイエンドなレースルーム・ フィニッシュと、他には語らない、いくつかのマジック・タッ チを加え、インバウンズのハイク・トゥー・テレインだけで なく、アウトオブバウンズのディープな日にも使えるスキー に仕上げた。

FREERIDE 108

FREERIDE 108 | D=148-108-130mm(180)|R=18m(180)| W=@1,600g |L=164, 172, 180, 184 \237,600  (税込)

FREERIDE 108は、どんな地形でもビッグラインを描くビッグマウンテン・スキーヤーのためのファットなフリーライドスキー。マルセル・ヒルシャーが開発したスキーの中で最も幅が広く、最もエキサイティングなスキーのひとつ。コントロールしやすく、空中では軽く、スピードに乗ると安定し、 パウダーでは非常に浮力がある。深雪でのサーフィンとスメアリングターンのための素晴らしい浮力を提供し、チョップでの チャージを可能にする。サーフィンのようなティップ&テールロッカーが特徴で、ポプラのウッドコアをチタンとカーボンの ダブルレイヤーで補強し、フルABSサイドウォール、レースエッジ、P-Texレースベース、そして未公開のいくつかの要素を含む、他のラインナップと同じ「ウィニングライン」レシピ に従って作られている。マルセルは完璧でないものは認めないため、このファットには本物のレースルーム仕上げが施されている。

H-POWER 78

H-POWER 78 | D=122-78-105mm(175)|R=18m(175)| W=@2,315g |L=167, 175, 183, 191 \308,000  (税込)

H-POWERはヒルシャー公認のパフォーマンス・ゲレンデ用スキーで、 グルーミングされたしっかりした高速コンディションで、乗り手のゲー ムを向上させる。ワールドカップのテクニックを詰め込み、遊び心も満載のH-POWERは、本物のレーススキーのようなグリップとリッピングを実現しながらも、扱いやすさには妥協していない。H-POWER はキレのあるショートスラローム・スタイルのターンを可能にし、しっかりとしたエッジホールドを実現する。このモデルは、敏捷性と 操作性に優れた78mmのウェストを備え、オリジナルのSL WCモデルと比べると、サイドカットがやや小さく、長さが追加されているため、より安定したライディングが可能だ。2層のチタナルとアッシュ/ ポプラのウッドコアが、ヒルシャー並みのパワー伝達を保証する。

H-POWER製品ラインは、ワールドカップのテクニックを惜しみなく投入しているため、グルーマーでもサイドカントリーでも、自信を持って楽しく滑ることができる。なるほど、どれも語りに尽くせない高性能といったところか。

さて、試乗したユーザーたちのフィーリングは?

板の性能や特徴について詳しく教えてもらえる
2時間たっぷりあるので何本も試乗できる

今回、参加したユーザーは、アルペンレーサーもいればフリーライド志向の強い人、基礎スキーヤーもいて、背景は実にバラエティ。とにかく話題の日本初上陸のVAN DEER-Red Bull Sportsがどんなスキーなのかに興味津々だったようだ。

では実際にユーザーからの声はというと…

SL W CUP
選手用スラロームの「SL W-CUP」は、「さすがW-Cupで表彰台に上がっているスキーだけあって、速さをとても感じます。でも決して難しくなくて、ターンの導入のしやすさ、クイックな反応など、取り回しのしやすさも感じるし、とにかく速い。いいスキー間違いないです」という声が聞こえた。

PRO
PROは選手やマスターズなどのGSモデルだが、この試乗会の日は気温も高く、雪も緩んだ湿雪だったこともあり、PRO本来の性能を発揮するにはコンディションが残念なものだったが、それでも「ロングターンでの安定性と、スキーのたわみがしっかり出せることで走りの良さを非常に感じることができた」という。

H POWER
H POWERは、一般的にゲレンデを中心としたオールラウンドのスキーだが、 特に175㎝の長さや、ウエスト幅78㎜などは汎用性が高い。

「とても乗りやすくてびっくり」

普段はSALOMONのGS用モデルを履いているというユーザーからは、こんなフィードバックを得た。
「履いたときから前後のバランスの良さがわかりました。今日のような柔らかな雪質でもしっかりときれいなターンができた。スキーの切れが良く、スピードが増すほど安定感を感じられて、びっくりしました。これは本当にいいスキーですね!」

クレブスポーツスタッフによると、
「いま日本のスキーは、基礎スキー人口が多いことも含めて、傾向として小回りベースで、男性の一般モデルだと165㎝などが主流で、皆さんなかなか175㎝といった長いスキーに乗ったことがないんですよね。そのなかで、今回175㎝でも、皆さん長さを感じずに自然に乗りこなして気持ちよく滑っていました。ロング斜面を気持ちよく滑ることを体験してもらえて、良い評価が出たことは嬉しいですね」。

FREERIDE
FREERIDEの2モデルは、本来は今日のような湿雪のゲレンデよりも、パウダーやサイドカントリーなどに適したモデルだが…

第3リフトを1本、誰よりもスピーディーに滑り降りてきたユーザーは、
「思ったより太さを感じなくて、すごく乗りやすい。こんな春の雪でも安心して乗れる安定性が印象的です。スピードを出してもコケル気がしない。楽しいスキーですね」とフィードバック。

クレブスポーツスタッフによると、
「このバーンコンディションでターン性能も含めて、スキーの良さも感じていただけるのが本質的な性能の高さで、このスキーの特徴だと思います。これくらいの太さになると、普通ゲレンデでは手こずる人が多いのですが、今日はそれがなかった。この1本でシーズン中遊べるね、というコメントがもらえたことが印象的でした」。

クレブスポーツスタッフの所感

ユーザーの声にスタッフもビッグスマイル!

「今日の試乗会では、どのモデルもネガティブコメントが一切なかった。これだけラインナップがあれば、好き嫌いや得手不得手を含めて評価がバラついて、なかにはネガティブな声もあるのが普通ですが、初めてこういったレース用のスキーを乗った人からも、「え?!乗りやすい!」「気持ちよく走る」と笑顔のコメントばかりでした。

VAN DEER-Red Bull Sportsは、ブランドのイメージや価格からすると少し敷居が高いイメージがするかもしれないですが、実際に体験すると決してそんなことはなくて、とても乗りやすい、乗り手を選ばないすごいスキーだ、という声がたくさん聞こえて、試乗会の成果は予想を超えた上々です! ここでご注文いただいた方もいますよ!」と、スタッフもごきげんだった。

今回のプレミア試乗会は、ホスピタリティ感がいっぱい。特設テントではホットコーヒーでお出迎え、スタッフの手厚いアテンドで2時間ゆったりと各モデルを試乗し、最後はなんとお土産付きだ。終始、ユーザーたちの大きな笑顔が印象的だった。

苗場で開催されるプレミア試乗会は、まだあと2回ある。3月20日(水)・3月23日(土)は、わずかのプレミアムな空席があるという。「DEERS」に会いに行きたい人は、まずこちらの特設サイトから詳細をチェックしよう!

日本初上陸/プレミアム試乗会 @苗場スキー場
PREMIUM TEST RIDE
 

日時:3月9日(土)・16日(土)・20日(水)・23日(土)
時間:①9:00~11:00 ②11:00~13:00 ③13:00~15:00
受付開始:8:30~
会場:苗場スキー場 第3高速リフト付近
参加費:無料
定員:各部①②③それぞれ8名

※当日受付は予約枠に空きがある場合に限る
※要免許証・携帯電話
※対象は18歳以上


ここからはおさらい

「VAN DEER-Red Bull Sports」とは?

マルセル・ヒルシャー

ワールドカップ総合優勝8回、世界選手権優勝7回、オリンピック金メダル2回獲得といった伝説的な記録を残してきた世界最強のレーサー、マルセル・ヒルシャーが、その手で開発したスキーが「VAN DEER-Red Bull Sports」だ。

15年に渡り世界トップに君臨し続けたヒルシャー。その際立つインテリジェンス(知力)と優れた技術力や体力、独自のトレーニ ング方法やレースへの戦略などで、スキーレース世界に変革を起こしてきたが、他の誰をも寄せつけない異次元なレベルにいたのは、その類まれな才能だけではなく、ギアに対する一切の妥協のないプロフェッショナルな情熱だった。

「世界最高のスキーヤーになることはできるが、最高の素材を持っていなければ決して勝つことはできない」と、かつてマルセル・ ヒルシャーは言った。「あなたに勝ってほしい。できるだけ速く滑ってほしい。そして、自分の限界に挑戦し、新境地を開拓してほしい」と。

そんな思いから、ヒルシャー自身が、その驚異的な豊かな経験と実績に裏付けられたギアへのこだわりを込めて情熱的に開発し、雪上でテストし、プロダクトになった究極のスキーが「VAN DEER-Red Bull Sports」なのだ。ヒルシャーが表彰台の頂点に立つために使用したのと同じレースルーム仕上げで、一台一台手作りで調整されている。

こんな奇跡のようなプロダクトが世界で注目されないはずがない。アルペンスキーの世界に足を踏み入れた者ならば、誰もが憧れる存在感と高い評価を得てきた「VAN DEER-Red Bull Sports」、これまで日本でも、多くのスキーヤーが手に入れることを待ち望んできた。それが2024年3月、ついに叶うこととなったのだ。

どうしてプロショップの「クレブスポーツ」が日本初上陸を実現?

通常、海外ブランドのスキーはいわゆるスキーメーカーや商社が輸入販売することが圧倒的に多い。今回どうして新潟県湯沢町のプロショップである「クレブスポーツ」が世界的に注目されるVAN DEER-Red Bull Sportsの日本における正式販売を手掛けることになったのか? そこには理由があった。

「完璧へのこだわりを極めたとき、魔法が起こる」というキャッチフレーズを掲げるVAN DEER-Red Bull Sportsスキー。VAN DEER-Red Bull Sportsのスキーには、いくつもの魔法の仕掛けがあるという。

「どのようにしてこんな凄いスキーが出来上がったのか? まるで魔法じゃないか!」と不思議さに感嘆するほどの素晴らしい仕上がりの秘密のひとつは、世界最新鋭のチューンナップマシン「Jupiter-X(ジュピターエックス)」による高精度なチューンナップにある。

Jupiter-Xは、オーストリアのウィンターシュタイガー社が開発した、全自動チューンナップマシン。エッジ・滑走面・ワクシングまですべての工程を自動でやってくれる万能マシンだ。VAN DEER-Red Bull Sportsのスキーは、すべてのモデルで、このJupiter-Xによるサイドエッジとベースエッジをトップ、センター、テール毎に角度を変えることができる技術「V-エッジ」が施されている。

革新的なJupiter-Xの詳細は、以前にSTEEPでも詳しく紹介したことがあるが、このJupiter-Xを日本国内で唯一保有するのが、クレブスポーツのグループ会社である株式会社ゼブラ(ゼブラTUNEUPファクトリー)であり、それがキッカケとなってVAN DEER-Red Bull Sportsとクレブスポーツとのパートナーシップが生まれたという。なるほど! 結ばれるべくして両者は出会い、画期的な日本初ローンチの運びとなったわけだ。今後の動きに注目していこう。

Information

株式会社クレブ
クレブスポーツ

公式サイト:https://www.xraeb.co.jp/xraebsport
SNS:InstagramFacebook

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