着たくなる。見た目のいいパトロールウエア【Millet×Ski Patrol】

Photo:Hiroya Nakata

快晴、吹雪、雨、強風。コンディションを問わず雪上に立ち、スキー場内の安全管理を担うスキーパトロール。白馬八方尾根のパトロールが日々着用し、信頼をおくウエアはどういうものなのか。彼らの日常をのぞいてみた。

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すべての人の安全を管理するパトロール業務

山頂1831m、山麓760m。標高差1071mを誇る雄大な白馬八方尾根スキー場。上部は北アルプスが眼前に迫る大パノラマが楽しめる。尾根沿いから谷間へと滑り込むコースがいくつもあり、どれも起伏が豊かで滑りごたえ十分。腕に自慢のスキーヤーにはパラダイスだ

HAKUBA VALLEYのほぼ中央に位置する白馬八方尾根スキー場は国内最大規模を誇るスキー場として有名だ。総滑走面積は220ヘクタール。東京ドームに換算すると約44個分の広さを非常勤を含む総勢27人のパトロールで管理している。

ひと昔前はこれよりも少ない人数でシーズンを回していたが、現在はおむすびや裏黒といったオフピステエリアの増加もあり、日々平均して15名ほどのスタッフが業務に携わっている。

始発ゴンドラに乗ったスタッフは絶景を眺めながら本部へ向かう

パトロールの1日は想像通り早い。雪が降り積もっていたり、雪崩管理があったりするときは動き出しはさらに早く、6時半にはモービルで麓から上がることもあるとか。普段は7時のゴンドラへ乗り込み、山頂駅にあるパトロール本部まで上がる。ミーティング開始が7時20分頃。前日の様子を共有しながら、その日のや危険箇所の状況を把握。隊員が斜面の見回りや案内板を設置するためのルートを確認し、ペアになってスキー場へ散っていく。取材陣は隊長の石原洋一郎さんに同行した。

まっさらな斜面の適切な場所にバナーを手際よく設置
石原さんのもとに集まるさまざまな情報。無線で確認と指示出しが繰り返される
立て看板をモービルにくくりつけ移動。なんでもするのがパトロールだ

電動工具を片手に、規定場所に"減速"や"合流"といった旗や案内板を慣れた手つきで設置していく。パノラマからセントラル、白樺とゴンドラ沿いのコースを20分かけて作業しながら滑走。再度、同じコースへ向かい、通っていないエリアを巡回。各隊員とコース状況を無線で確認しあいコースオープンの合図を事務所に出すと、ほぼ8時だ。

「お客さん、スタッフ、スキー場に関わる人すべてを守るのがパトロールの役割ですからね。天気がいい日はスムーズですけど、悪天候時は作業も多くなり時間もかかります」

ゴンドラで上がりながら石原さんはそう話してくれた。

ウエアの見た目を大切にする理由とは

非圧雪地帯や急峻な斜面が多いスキー場だけに、総じて隊員たちの滑走スキルは高い

日々の作業で着るパトロールスタッフのウエアはミレーの「ティフォンウォームスティープ」だ。防水透湿性があるなか、とくに汗ヌケが良く、行動中はドライな状態を保ちながら、裏地の起毛トリコットによって保温性もある。しなやかな生地はストレッチが効いて動きやすいと好評だ。

スキー場脇は崖が多いため、注意喚起の立て看板の位置も重要だ

パトロールウエアは全部で約30着用意され、スタッフそれぞれに充てがわれている。12月から5月上旬まで、平均して約100日は雪上で酷使されるウエア。そうした状況にあってウエアにどういった要素を求めているか。石原さんに伺ったら意外な返答が返ってきた。

「機能性に優れていることを重視していますが、見た目はそれと同等に重要だと思っています。というのも、パトロールはルーティンワークが多いため、ベテランが多くなりやすい職場です。日々の作業はスムーズですが、思考や技術のアップデートが滞りやすいのは否めません」

「八方尾根はここ10年で、非圧雪エリアのおむすびを開放したり、管理区域外ではフリーライドの大会を開くなど、これまでとは違う取り組みに挑戦してきました」

「新しいことを受け入れ進めていくには、考え方の柔軟な若い人にどんどん入ってもらわないといけません。パトロールはカッコ良い、大変そうだけど憧れる、と思われるような立場でいることが大切だと思うんです。このパトロールウエアは見た目がすっきりしてスマート。それでいて、出で立ちや雰囲気が良い。さらに、ミレーはシャモニー山岳ガイド協会のパートナーとあって、山への情熱を持ち続けながら、技術力があり、安全性を追求し続けています。ブランドが培ってきた背景や哲学もマッチしますしね」

アキヤボートを運ぶスタッフ。力仕事も笑顔で対応
室内にいるタイミングで立て看板を工具で修復
本部に入る安全に関わるさまざまな情報を集約し、全員で意識を共有する

パトロールはポケットが多くほしい

スタッフからは動きやすくて見た目が良いと好評の「ティフォンウォームスティープ」だが、パトロール視点からみるともう少しだけポケットが多いほうが良いそうだ。ジャケット前身頃には大きなジッパー付きポケットが2つあり、パンツにもマチ付きのポケットが付いているが……。

「昔はウエストポーチだけで問題ありませんでした。いまはアバランチギアや救助道具の入ったバックパックを背負い、ストップウォッチやライター、カッター、ペンチ、無線、メモ帳や筆記具などたくさんの物を持つとなると、細々としたポケットがほしいという声は理解できます。ジャケットには大きなポケットが2つありますが、中で持物が一緒になってしまいがちですからね。もちろん、一般的な使用にはなんら問題ありませんよ」

と、石原さん。そこで、ミレーが一緒になって作ったのがポケットを多く備えた八方尾根パトロール特製ベスト。素材はウエアと同じティフォン。使いやすく、屋内外でも使える汎用性の高さに、石原さんをはじめスタッフも大いに気に入っているとか。

石原さんが気に入っているのが無線機ホルダー。無線を取り出すことなく、やり取りができるため重宝している
ベストのジッパーを開ければ、ジャケットの大きなポケットにアクセス可能
ベルトループはカラビナを簡易的に取り付けておいたり、モノをループに一時的に通すなど、使い勝手がとても良い
パトロールベストの前身頃、表側だけでポケットは6つある。これだけでも収納力が格段にアップ
ジャケットの上に羽織るだけでなく、ミッドレイヤーの上から着れる。石原さんがベストを着た海外のパトロールの写真を見たときに、見栄えがよくてカッコよく、かつ機能的にも優れていることで、ミレーへ製作の相談したのがはじまりだ

話をうかがった人

白馬八方尾根スキー場
パトロール隊長・石原洋一郎さん

使い慣れたレーシングブーツと硬く細いスキーで場内をくまなく巡回する根っからのスキーヤー。30年以上にわたって八方尾根でパトロール業務に従事し、隅まで知り尽くす

Special Thanks:白馬八方尾根スキー場


Information

MILLET(ミレー)

公式サイト:https://www.millet.jp/
公式SNS:InstagramFacebookTwitterYouTube

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