OGASAKAのプレミアムモデル「U-XX/BL」を試乗レビュー

2026年で創業114年を迎える、老舗国産スキーブランド・小賀坂。“MADE IN JAPAN”のプライドを掲げ、日本の美しい自然と高品質なものづくりを改めて世界に発信するなかで打ち出された「EXTRA EXCLUSIVE COLLECTION」は、単に滑るための道具にとどまらず、スキーを通じてライフスタイルにまで豊かさをもたらすことを目的としている。

同シリーズが提供してくれるという“至福のひととき”を味わうべく、長野県・菅平高原スキー場で開催された試乗会に足を運んだ。

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テスト条件

レビュワーは、アルペンレースをバックグラウンドに持つ、身長164cm・標準体重の女性部員。
試乗にあたり前提条件として、現在ゲレンデで使用している板は抜群の安定感とグリップが特徴の、小賀坂の純競技用モデル「TRIUN SL」155cm。

テスト当日は快晴。コースは中斜面で、適度に締まった圧雪バーン。天気が良い分、早い時間に減速しやすい雪質となっていた。

会場となった菅平スキー場・表太郎ゲレンデ

「U-XX/BL」について

XXシリーズに新たに追加される「U-XX/BL」。ベースとなっているのは、「思いのままに滑れてこそ、滑る本当の楽しさが生まれる」というブランドの理念を最も具現化したUNITYシリーズ。50年以上継続し、小賀坂スキーを代表するこのモデルの特徴は、マイルドな乗り味と、あらゆる状況下で安定した操作が可能な適応力。

そこに現在の技術によるテクノロジーと、海外市場も視野に入れた日本的デザイン、変わらぬ本質を追求し続けるというブランドの精神性を反映している。“ゆったりとした時間を心から楽しむ大人のためのスキー”という、プレミアムモデルだ。

U-XX/BL|D=119-77-102mm|R=15.5m (160cm)|L=153, 160, 167, 174cm│¥265,100

試乗レビュー

滑る前から見ても楽しめる、心落ち着く深い青

160cmと167cmは“別物”

今回試乗したのは160cmと167cm。身長164cmのスキーヤーが検討するこの2サイズは、聞けばまったく別物とのこと。

サイドカット(119-77-102mm)は共通だが、ラディウスは160cmがR15.5m、167cmがR17m。数値上は中回り向けだが、実際の違いはそれ以上に、長さごとに最適化されたフレックスにあると感じた。

実際に乗り比べてみると、「数センチの違いでここまで変わるのか」と驚かされた。167cmは操作性に加え、このスキーの特徴である重厚感や走破性がより強く現れる。正直、 “思いのままに滑れる” どころかそれなりのターンを成立させるだけで精一杯で、運動不足気味の自分の体格や力量では、そのポテンシャルを引き出すには少しハードルが高く感じられた。

そのため、本レビューは160cmを中心に述べているが、しっかり踏み込んでパワフルなターンを描きたいスキーヤーには、167cmも魅力的な選択肢だと思う。

「楽しい」の一言に尽きる

細かな性能以前に、まず感じたのは純粋な楽しさ。楽に楽しく滑りたいという、自分の求めるものや動きに合っていた。

スピードを出したりコブに入ったりしなくても、中斜面でミドルターンを繰り返すだけでこれほど楽しいとは。滑り慣れた人ほど、シンプルな滑りの中にある豊かさを改めて感じられるはずだ。ブランドの掲げる「スキーの楽しさと感動を多くの人々に届ける」というテーマは、まさにこの一本で体現されている。

たった1本滑っただけで、完全に信頼できた

欧米のビッグマウンテンを想定したしっかりとした造りと聞いていたが、実際に滑ってみると、硬さは感じない。それどころか、扱いやすく、ゆったりとした乗り味。かといって小回りが利かないわけではなく、ウエスト幅を感じさせないターンのしやすさが印象的だった。

マイルドな乗り味のUNITYをベースにしながら、エッジのとらえは確実。ある程度のスピードと角付けが必要なフルカービングターンが、低速でも成立してしまう。エフォートレスに、本来よりも少ない負荷で上質なターン感覚に届き、しかもそれを安定して再現できる。

普通ならバランスを崩しそうな複雑な操作や、ターンが不完全燃焼で終わりそうな気の抜けた動作をしても、毎回ほぼ満足いくターンが完成した。ボトムまで一度もミスターンがなかったことで、何をしても大丈夫と確信した。

“どこへでも行ける”そう感じさせる万能感

操作性として、まるで自分の脚の一部のように意図した通りに反応する。キレ、グリップ、安定感、そして滑らかな乗り心地が高い次元で調和しており、まさに“万能”と呼びたくなる一本。

ミドルからロングターンが特に心地よく、スピードを上げても不安感は皆無。多少コースが荒れていてもターンへの影響はほとんど感じない。ターンの入りも抜けも自在で、途中で回転弧を自由に調整できる感覚は新鮮だった。

上品にまとまる走りと安定感

特に秀逸なのは、ターン後半と、不安定になりがちな切り換え時の安定感。脱力や失速というのではなく、雪面コンタクトを保ったまま容易に軽やかに次のターンへと移行できる。過度な反発を警戒したり、無理にフォールラインへ体を向け続けたりする必要もない。最後は自然に丸く収めてくれる、そんな余裕と懐の深さを感じた。

ヨーロッパアルプスでの優雅なクルージングを思わせる滑走感は、何気ない一枚バーンでさえ特別な時間に変えてくれる。

“Mother Ski”らしい絶対的安心感

芯材には桜の木を用い、小気味よい反応とどっしりとした安定感を両立しているという。その特性は理屈で理解する前に、“圧倒的な安心感”として体に伝わってくる。

いつターンを始めてもいいし、いつ終えてもいい。中盤で強く踏み込んでも、急激な反発はない。受け止め、無理なく送り出してくれる。包み込むような乗り味が、スキーの楽しさを育み、スキー好きを生み出す。

デザインに関しても、カラー表記はシンプルに「BLUE」だが、藍染めの藍(インディゴ)に、墨流しのマーブル模様、デニムのような質感など、同じ青の中に異なる表情が使い分けられている。そこには、日本の伝統技法と、色に季節や感情を重ねる繊細な感性が活きている。

「青は藍より出でて藍より青し」という言葉もあるが、ベースの安心感を土台に、次のステップへと導いてくれる。自身の成長はもちろん、大人が純粋に楽しむその姿が、次世代の育成にもつながっていく一本だ。

紺碧の空の下、純粋にスキーを楽しむひとときとなった

Information

OGASAKA

公式サイト:https://www.ogasaka-ski.co.jp/
SNS:InstagramFacebookXYou tube

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