深い内傾軸と、重さが乗った安定感のある滑り。奥村駿の技術のコンセプトは、HEAD(ヘッド)というスキーと出会うなかで生まれ、10年という歳月をかけて研ぎ澄まされてきた。レーシングから技術選へと戦いの舞台を移してもなお、彼がHEADを選び続ける理由とは何か。悲願の初優勝を果たした第63回全日本スキー技術選手権でのエピソードや、奥村自身の言葉を織り交ぜながら、その核心を紐解いていく。
「深さ」と「重さ」。HEADだから生まれたコンセプト

奥村の滑りを語る時、必ず出てくる言葉がある。 「深さ」と「重さ」だ。その原点は少年時代、アルペン競技の第一線で活躍していた佐々木明の滑りを見て育った経験にある。"傾いている滑りってかっこいい" という感覚が奥村のコンセプトの核となり、HEADというスキーと出会うことで形になっていった。大学時代のマテリアルテストで初めてHEADを試し、タイムが速く感触もよかった。それが、約10年に及ぶ信頼の始まりだ。
「いまの滑りが構築できたのも、HEADのスキーだったからというのがすごく大きいです」
HEADはターン中盤から後半にかけての張り付きと走りが際立つ。一方でターン前半、スキーが下に向くまでわずかな "間" があるが、この "間" こそが内傾軸の深さを作り、重さを乗せる動きを引き出すカギだ。

「前半、勝手にスキーが仕事してくれるよりも、自分で傾きを作ってしっかりと抵抗を感じたいんです。スキーが曲がってくるのを感じられる方が、自分の滑りには合っています」
自ら傾きを作り、重さを乗せていく。その動きをHEADは邪魔しない。技術選でもスキーが離れかけた場面でターン後半に "ちゃんと戻ってきてくれた" と奥村は振り返った。
第63回全日本スキー技術選手権・スーパーファイナルのロングターン。柔らかくスピードが出ない雪、向かい風という厳しいコンディションのなかでも、奥村は持てる力を出し切り、会心の滑りを見せた。

「しっかりと重さを乗せなければいけない場面だったからこそ、テール側をたわませるような粘りを表現できました」
結果、286点。種目別でトップとなる圧倒的な一本だった。
深さと重さを引き出す、信頼のギア
奥村はロング系に「WCR E-GS REBEL RP-WCR 14 SPEED BLUE」186㎝、ショート系に「WCR E-SL REBEL RP-WCR 14 SPEEDBLUE」165㎝を使用。ビンディングとプレート間に前側のみ2mmのリフターを挿入し、ターン前半の捉えを安定させる。ブーツはRAPTOR WCR 3を使用し、前半の入りやすさと粘り気あるシェルの戻りが滑りを支えている。

L=181、 186cm|D=104-65-87(186cm)|R=25m|プレート=HEAD Race Plate WCR 14 short
¥225,500(BIN=PROTECTOR+ FREEFLEX ST 16 GW)
¥216,700(BIN=PROTECTOR+ FF 14 GW)

L=165cm|D=120-66.5-104|R=12m|プレート=HEAD Race Plate WCR 14
¥225,500(BIN=PROTECTOR+ FREEFLEX ST 16 GW)
¥216,700(BIN=PROTECTOR+ FF 14 GW)

RAPTOR WCR 3 RV
Flex=150/140
Last=93mm(26.5cm)
Size=22.5-23.5cm ~ 28.5cm
¥143,000
HEADはここ数年、レース系モデルに大きな変更を加えていない。その高い完成度はW杯の結果が証明しており、安定したマテリアルだからこそ奥村もベースを変えずに新しい滑りを追求できている。'26季はオーストリア本社を訪問し、技術選文化に合った開発にも加わり、HEADとの絆は深みを増すばかりだ。
「これからも信頼できるマテリアルとともに、全ての種目で見ている人をアッと驚かせるような滑りを追求していきます」
奥村駿とHEADの歩みは、まだはじまったばかりだ。
Photo= Tatsuki Matsumoto Text=Dai Morimiya
Profile

Information
HEAD Japan
公式サイト:https://www.head.com/ja_JP/
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