スラロームを極めるならどの1本?ーATOMIC「REDSTER S9i PRO」|DYNASTAR「SPEED OMEGLASS MASTER SL」|HEAD「WCR E-SL REBEL FIS RP-WCR14 SPEEDBLUE」|26ー27ニューモデル比較

スペックの数字だけではうかがえないスキーの「乗り味」や「性格」の違い。これぞスキー選びの奥深さ、面白さでもある。そこで、類似した3つの26ー27注目モデルをピックアップ。ユーザーの試乗レビューを軸にそれぞれの個性を読み解いてみよう。あなたはどれを選ぶ?

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ATOMIC「REDSTER S9i PRO」それともDYNASTAR「SPEED OMEGLASS MASTER SL」?またはHEAD「WCR E-SL REBEL FIS RP-WCR14 SPEEDBLUE」?

いずれも上級者向け、ショートターン系のハイエンドデモ/スラローム系モデルで、硬いバーンでの切れ味や正確なカービングを得意とする点が共通しているが…

ModelD(ディメンション)R(ラディウス)
REDSTER S9i PROD=119-66.1-103.5mmR=12.1m(165㎝)
SPEED OMEGLASS MASTER SLD=116-69-103mmR=13m(165㎝)
WCR E-SL REBEL FIS RP-WCR14 SPEEDBLUED=120-66.5-104mmR=12.0m(165㎝)

「REDSTER S9i PRO」はこんなスキー

ATOMIC/REDSTER S9i PRO│D=119-66.1-103.5㎜|R=12.1m(165㎝)|L=157,165㎝|¥193,600

ATOMICのオンピステラインにおいて、あらゆる斜面に対応する汎用性の高さと上質でダイナミックな乗り心地、エレガントなオールブラックなデザインが特徴の「Redster i」シリーズ。その最上位となる本モデルは、FIS規格の「S9 FIS」をベースに、全日本技術選を目指す選手や高速域での滑走を好むエキスパート向けに設計された、小回り系デモモデルの頂点。マスターSL用としても使用可能で、日本の技術志向に合わせて調整されている。

「スポーツデポ高岡店」の米丘友明さんは、同機を“雪上の高級車”と表現する。

剛性と強さはしっかりありつつ、アトミック独特のどっしりとした安定感が際立つ板です。アイコンビンディングによってセンターがしなやかにたわみ、テール形状が最後まで雪を噛んでくれます。ハイスピード域の安定性は抜群で、中斜面ならショートからロングまで気持ちよくこなせます。

一体型プレートでスイングウェイトが軽くなり操作性も向上しましたが、基本的にハイレベルな滑り手向き。技術選選手クラスであればポテンシャルを引き出せますが、スピード域が合わないとキレる板をズラそうとして疲れてしまうかも。

悪雪でも走破性があり、まさに高級車に乗っているような感覚です。先行動作をしすぎると突っ込みやすい面もありますが、足元からしっかり動かせば最高のカービングが楽しめます。試乗会で最も選ばれるモデルでもあり、納得の完成度です。

【Reviewer Profile】
年間滑走日数: 約80日
身長 165cm / 体重 58kg
滑り志向: 基礎
自称レベル:エキスパート
ホームゲレンデ:エイブル白馬五竜
My Gear:Ski:OGASAKA/TC-S SR (165cm)|Binding:TYROLIA/RACE ST14|Boots:REXXAM/RH

【Review】
軽い□□□■□重い(5段階)
柔らかい□□□□■硬い(5段階)
遊び心:★★★★★
浮力性:★★★★☆
安定性:★★★★☆
万能性:★★★★☆
操作性:★★★★★
カービング:★★★★☆

同モデルを愛用するユーザーのふなっしーさんの評価はオール5! 映えカラーもお気に入りポイントだそうだ。

トップとテールはしなりやすく、強くトーションがかけやすい。また、足元から角付けをすると自然と板にトーションが生まれ、トップがターン弧の内側に入り込んでいくような感覚があり、コンパクトにターンを仕上げることができます。

手に持つと重量感はありますが、滑っていてスイングウエイトが気になることはなく、ちょうどいい重さなのでターンの前半の方向づけがしやすい。

雪質や地形によるターン性能に大差はないです。ただ、滑走スピードが上がり受ける外力が強くなると、板から返ってくる反応も良くなるため、板への圧のかけ方によって弧の大きさやスピードの調整がしやすくなります。

これから検定や技術選、アルペンに挑戦する人にオススメです。僕も愛用していますが、さまざまな斜度や積雪に対応できる板です。とくに硬い雪質や急斜面でその真価を発揮すると思います。

【Reviewer Profile】
年間滑走日数: 約100日
身長 166cm / 体重 68kg
滑り志向: 基礎、アルペン
自称レベル:上級
ホームゲレンデ: 苗場・田代・かぐらスキー場
My Gear:Ski: ATOMIC/S9i PRO (165cm)
Binding: ATOMIC/ICON RS 16
Boots: ATOMIC/REDSTER TI 150

【Review】
軽い□□□□■重い(5段階)
柔らかい□□□■□硬い(5段階)
遊び心:★★★★★
浮力性:★★★★★
安定性:★★★★★
万能性:★★★★★
操作性:★★★★★
カービング:★★★★★

「SPEED OMEGLASS MASTER SL R22」はこんなスキー

DYNASTAR/SPEED OMEGLASS MASTER SL R22│D=116-69-103㎜|R=13m(165㎝)|L=155,165,170,175㎝|¥222,200(SET BIN込)

DYNASTAR レーシングの中核を担うSPEEDシリーズのなかで、純競技用「WC FIS SL」をベースに、マスター層やエキスパート向けに最適化された「MASTER SL」。北京五輪で活躍したClément Noëlのプロモデルから着想を得ており、競技志向のR22と扱いやすさを重視したKONECTの2種のプレートを用意。本モデルはFIS規格に近い性能と扱いやすさを両立した小回り専用機で、独自の「Hybrid Core 2.0」とチタン補強により鋭いエッジングを実現する。競技と実用の中間領域を担う完成度の高い一本。

こちらも2名が試乗。まずは、HEADユーザーでもある「石井スポーツ ヨドバシ仙台店」佐々木大雅さん。

技術選や基礎競技用としても評価の高いSLモデルです。硬雪・コブ・湿雪等よりテクニカルな動きが試される場面で、キレとずらしをバランス良く使い分けられるのが魅力。

板の後半部の重厚感とは相対的に、トップは軽く自由に動かせるため、最適のラインを選択しながら後半の走りを表現できるという印象です。

ターンバリエーションが多く、トップを落とし込みながらの縦のラインで走らせたり、ターン後半トップが身体の近くに感じるほど内側に食い込ませながら横幅を出すことも可能なので、雪質や斜度、スキーヤーの滑りのタイプによって使い分けると良いでしょう。

今季は、サイドカットの変更により、スイングバランスが向上したため、前半の捉えや後半の抜け処理においてミスが極端に減ったように感じます。状況に左右されず、常に安定したパフォーマンスを求める人にオススメです。

【Reviewer Profile】
年間滑走日数: 約30日
身長 171cm / 体重 67kg
滑り志向: フリーライド(パウダー・BC)・基礎・アルペン
ホームゲレンデ: みやぎ蔵王白石スキー場
My Gear:Ski: HEAD/WC SL-REBEL FIS RP-WCR14 SPEEDBLUE (165cm)、HEAD/WC GS-REBEL RP-WCR14 SPEEDBLUE(186cm)
Binding: HEAD/FREEFLEX ST16
Boots: HEAD/RAPTOR WCR3 RV

【Review】
軽い□□□■□□重い(5段階)
柔らかい□□■□□硬い(5段階)
遊び心:★★★★☆
浮力性:★★★★☆
安定性:★★★☆☆
操作性:★★★★★
カービング:★★★★☆
万能性:★★★☆☆

そしてこちらは、上記の比較対象モデルを愛用するATOMICユーザー ふなっしーさんのインプレッション。

板全体の剛性が強くどっしり感があるため、高速域でも安定感のある滑りができる板です。従来の男子用のスラローム板よりも回転弧が大きいですが、想像以上に思い通りの小回りができます。

硬いアイスバーンでは、とくに強いエッジグリップと高い操作性を発揮してくれます。通常のショートターンモデルと比べるとすこし重く感じますが、滑走時はあまり気になりませんでした。

一方で、板の芯が強いためか、低速域では足元からのレスポンスにすこし時間がかかる感じがしました。また、新雪や春雪などではトップが沈んだり、板を回旋させる際に力を使うので、やはりピステンバーンが一番、この板の性能を発揮できるシチュエーションだと思います。

朝イチの圧雪された斜面で高速ターンをするのが最高に気持ち良い一台。もっと切れるカービングターンをしたい、中〜上級者の方にも最適だと思います。

【Reviewer Profile】
年間滑走日数: 約100日
身長 166cm / 体重 68kg
滑り志向: 基礎、アルペン
自称レベル:上級
ホームゲレンデ: 苗場・田代・かぐらスキー場
My Gear:Ski: ATOMIC/S9i PRO (165cm)
Binding: ATOMIC/ICON RS 16
Boots: ATOMIC/REDSTER TI 150

【Review】
軽い□□□■□□重い(5段階)
柔らかい□□■□□硬い(5段階)
遊び心:★★★★☆
浮力性:★★★★☆
安定性:★★★☆☆
操作性:★★★★★
カービング:★★★★☆
万能性:★★★☆☆

「WCR E-SL REBEL FIS RP-WCR14 SPEEDBLUE」はこんなスキー

HEAD/WCR E-SL REBEL FIS RP-WCR14 SPEEDBLUE│D=120-66.5-104㎜│R=12.0m(165㎝)|L=165㎝|¥225,500

ブランドの中核「WORLDCUP REBELS」シリーズの最上位に位置する純競技用モデル。“勝つためのスキー以外、つくる意味はない”というエンジニアの執念と情熱が注ぎ込まれた一台だ。FIS規格に準拠したSL専用機として、一般デモモデルとは明確に一線を画すトップレンジを担う。運動エネルギーを電気エネルギーに変換して振動を抑える「EMC」や、強力なエッジグリップと加速を生むキャンバー構造など、最先端技術を搭載。非常に高い剛性と優れたレスポンスにより、瞬発的なターンを実現する。

そんな勝つためのスキーを試乗したのは、ともに年間滑走日数が100日を超えるエキスパート2名。まずは、「スポーツデポ諏訪インター店」の山本理博さん。

評価は迷わず全部「5」。超安定、超操作しやすい、そして超曲がる。技術選のトップ選手も使うスラローム用の板なので、とにかく速いのが魅力です。

秘密は、板のたわみに合わせてビンディング自体が後ろにスライドする独自の機構にあります。ターンの前半からガツンと噛んでグリップして、早い抜けが特徴的なヘッドらしい印象があり、ハードバーンでも自在に回転弧を操れます。

日本人はオーバースペックが好きですが、この板はその期待を裏切りません。小回りだけでなく、中回りや大回りで振り回してもバタつきを一切寄せつけない印象です。

技術選県予選出場レベルだとここまでハードな板は必要ないかもしれませんが、ショートターンを極めたいエキスパートにとって、これ以上の武器はない。まさに、自分の限界を超えた走りを可能にしてくれる、異次元のパワーを秘めた一品と言えます。

【Reviewer Profile】
年間滑走日数: 約100日
身長 178cm / 体重 78kg
滑り志向:
基礎
自称レベル:エキスパート
ホームゲレンデ:富士見パノラマリゾート
My Gear:Ski: OGASAKA/TRIUN SL (165cm)
Binding: MARKER / COMP 30
Boots: NORDICA / DOBERMANN 5 RD-ES

【Review】
軽い□■□□□重い(5段階)
柔らかい□■□□□硬い(5段階)
遊び心:★★★★★
浮力性:★★★☆☆
安定性:★★★★☆
操作性:★★★★★
カービング:★★★★☆

万能性:★★★★☆

そしてもう一人は、HEADユーザーのくまさん。

私は普段からこのモデルを使っていて、全日本技術選やアルペンの大会にも、このSLとGSで出場しています。メタルスキーなので確かに重さはありますが、そのぶん雪面に対する安定感がしっかりあります。

ターンの切り替えではエッジがグッと入ってくれるので、そのまま踏み込めばしっかり回転が得られる感覚があります。自分が良い位置に乗れていると、板がすぐに応えてくれるので、加速もかなりパワフルです。

そして、操作性の高さも大きな魅力。だから、奥村駿さんが26年度の全日本技術選で1位を獲れたのも納得できるんですよね。重めという印象は否めませんが、重さがあっても常に足元に板がある感覚があって、どんな状況でも瞬時に動ける安心感があります。

反応の速さと安定感は本当に素晴らしいので、自分に合ったセットアップにすれば、この性能を実感できると思います。

【Reviewer Profile】
年間滑走日数: 約150日
身長 170cm / 体重 72kg
滑り志向: 基礎・アルペン
自称レベル:エキスパート
ホームゲレンデ: 苗場・狭山スキー場
My Gear:Ski:HEAD/WCR GS・SL-REBEL│Bindings:HEAD│Boots:HEAD

【Review】
軽い□■□□□重い(5段階)
柔らかい□■□□□硬い(5段階)
遊び心:★★★★★
浮力性:★★★☆☆
安定性:★★★★☆
操作性:★★★★★
カービング:★★★★☆

万能性:★★★★☆

比較から見えてきたこと

切れ味を競うなかで、軽快なATOMIC、しなやかなDYNASTAR、安定感のHEADと、同じSL系でも乗り味は三者三様。思い描く理想のショートターンは、どの一台なら実現できそうか?

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