スペックの数字だけではうかがえないスキーの「乗り味」や「性格」の違い。これぞスキー選びの奥深さ、面白さでもある。そこで、類似した2つの26ー27注目モデルをピックアップ。ユーザーの試乗レビューを軸にそれぞれの個性を読み解いてみよう。あなたはどちらを選ぶ?
BLACKCROWS「VENA COR」それとも LINE「SAKANA」?

どちらも個性的なテール形状を持つ、遊び心の強いオールマウンテンモデルだが…
| Model | D(ディメンション) | R(ラディウス) |
| VENA COR | D=134-100-125㎜ | R=17m(181.1㎝) |
| SAKANA | D=150-105-138㎜ | R=15.0m(174c㎝) |
「VENA COR」はこんなスキー

BLACKCROWSがフリーライドを軸にツーリング、ビッグマウンテンと展開するなかで、サーフボードを思わせる独創的なシェイプの本モデルは、オールテレインカテゴリーに位置づけられる。同カテゴリーのカービングマシン「mirus cor」の系譜を引きつつ、整地からパウダーまであらゆる地形と雪質に対応する万能型。ダブルロッカーとショートラディウスにより高い操作性を実現。100mm幅による浮力とターン性能も兼ね備え、リゾート全体を楽しみ尽くす野心的なモデルだ。
“野生の鳥”とも称される本モデルを試乗したのは、ともに年間滑走日数が30日を超える熱心なユーザーのお二人。まずは、BLACKCROWSユーザーでもある渡邉彰吾さんのレビューから。
トップは高速域で安定するだけのハリもありながら、起伏に対応する柔軟性も十分。スワローテールで雪面に密着し、ずらしたいときには素直にズレます。入力に対してそのままターンしてくれる感覚です。
低速ではすこし太めの幅を活かしてテールやノーズに乗せた遊びが楽しく、高速では思った以上に長さのある有効エッジに乗せて、雪面を切り割いてくれます。
ロッカーとキャンバーが薄く長く取ってあり、常に雪面に接しているため、軽い操作感で焦らずに乗れます。尖った先端のおかげで、深く倒したときでもノーズが潜ってしまうことなく起伏を乗り上げます。
パークでのエアの旋回はとても軽く感じました。取り回しは同等サイズのなかでは格段に軽いと思います。キッカーなどパークライドがメインで、流してそのまま地形やパウダーで遊びたい人には100%オススメしたいです。
【Reviewer Profile】
年間滑走日数: 約40日
身長 166cm / 体重 56kg
滑り志向: フリーライド(パウダー)・パーク
自称レベル:中級
ホームゲレンデ:白山セイモアスキー場
My Gear:Skis:BLACKCROWS/ATRIS(184cm)
OGASAKA/KS-UP FM付(165cm)│Binding: LOOK/PIVOT 15│Boots: GEN FACTORY/BUMPS 7
【Review】
軽い□□■□□重い(5段階)
柔らかい□□□□硬い(5段階)
安定性:★★★★☆
操作性:★★★☆☆
カービング:★★★☆☆
万能性:★★★★★
浮力性:★★★★☆
遊び心:★★★★★
続いて、SALOMONユーザー 熊澤 拓さんのレビュー。
「ミルスコア」とはまったく違う「ベナコー」。非常に軽くライトな乗り味で操作性も良い。
カービングは踏むほどに、ラディウス以上によく回る印象を受けた。とはいえ全体的に柔らかくライトなため、楽しくなってゲレンデをぶっ飛ばすと大惨事になりそう。
いままでにないシェイプとブラッククロウズらしいグラフィックで目を引きそう。スワローテールの形状が特殊なため、仮にBCで使いたいとするとシールクリップははまらないし、ツインチップフックも実際に試してみないとしっかり固定できるか不安なところ。
軽く、よく回りよくキレる、遊べる楽しい板なので、パーク+フリーランの選択肢にしたい1本。ただジブなどで板が傷つくことを考えると、約20万円の高級板なので……。逆に基礎スキーは重たく反発も強いため、もっとライトに滑りたい層には刺さるかもしれない。
【Reviewer Profile】
年間滑走日数: 約30日
身長 178cm / 体重 72kg
滑り志向:フリーライド(パウダー・BC)
自称レベル:上級
ホームゲレンデ:HAKUBA VALLEY
My Gear:Ski: SALOMON/ QST BLANK(186cm)
Binding: MARKER/DUKE PT 16
Boots: LANGE/XT3 130
【Review】
軽い□□□■□重い(5段階)
柔らかい□□□■□硬い(5段階)
安定性:★★★★☆
操作性:★★★★☆
カービング:★★★☆☆
万能性:★★★☆☆
浮力性:★★★☆☆
遊び心:★★★★☆
「SAKANA」はこんなスキー

Eric Pollard主導のもと、パウダーとカービングの融合をコンセプトに開発された、LINEのCONCEPTシリーズを代表するモデル。カービング特化の「Blade」とパウダー仕様の「Pescado」の中間的存在として実験的に登場したが、リゾートでの実用性の高さから独自のポジションを確立した。短めのレングスと魚の尾ひれのようなテールが特徴的な、圧雪でも気持ちよく切れるパウダースキーだ。
同モデルを所持する、ユーザーの渡辺誠舟さんによるレビューがこちら。
ウエスト105mmはちょうど良く、足裏がそのまま接地しているような安定感があります。トップとテールは「サカナ」の名の通りヒレのように柔らかく、起伏をなぞるようにしなるため、壁や地形の中でも泳ぐように自由なターンを描けます。
Rは約16mでショート〜ミドルターンが得意ですが、圧をかけ過ぎず脱力しながら体を傾けることで、大きく伸びていく気持ちの良いターンも可能です。高速域ではややトップのばたつきを感じる場面もありますが、エッジはしっかり立ち、不安は感じません。
ノーズロッカーと150mmの幅によりパウダーでの浮力も十分です。フィッシュテールはズラしやすいため、パウダーや春雪でもサーフライクな滑りが楽しめます。
どんなシチュエーションもいける懐の深さもありますが、自分から圧をかけてガンガン攻めるよりは、スイスイと地形に合わせて泳ぐようなスタイルがぴったりです。
【Reviewer Profile】
年間滑走日数: 約60日
身長:178cm / 体重:75kg
滑り志向: フリーライド(地形遊び・パウダー)
自称称レベル:中級
ホームゲレンデ:星野リゾート トマムスキー場
My Gear:Ski:LINE/SAKANA(181cm)|Binding:ARMADA/SHIFT 13|Boots:PHAENOM/FR 01 110
【Review】
軽い□□■□□重い(5段階)
柔らかい□■□□□硬い(5段階)
安定性:★★★★☆
操作性:★★★★☆
カービング:★★★★☆
万能性:★★★★★
浮力性:★★★★☆
遊び心:★★★★★
もう一人、ユーザーの古谷進太郎さんは次のようにコメント。
ラインらしいしなやかさとド派手なグラフィック、サイズに反した軽さが印象的。ノーズ部分が特に軽く、その上柔らかいので、バーンのコンディションによっては高速域でバタつくかも?スイッチも試しましたが、滑ってて気持ちの良いものではなかったので20秒くらいで止めました。
カービングに関してはエッジのグリップが良く、踏ん張って加速していくターンでも、脱力して板に任せるターンでも気持ちよく乗れます。ラインのブレイドの乗り心地をルーズにしたような感じ。
ゲレンデの新雪を食い尽くしたあとは圧雪でカービングを楽しむと、充実した1日を過ごせそうです。春のシャバ雪でも足を取られることなく安定して滑れて楽しいですが、やはりドカ雪デーに持っていってみたいですね。
個性的な板に乗ってみたい方、パウダーやカービングが好きな方におすすめです。慣れている方ならカービング性能を活かしてパークに行っても面白いかも。
【Reviewer Profile】
年間滑走日数: 約25日
身長 171cm / 体重 58kg
滑り志向: フリーライド(パウダー・BC)・パーク
自称レベル:中級
ホームゲレンデ:神立スノーリゾート
My Gear:Ski:ICELANTIC/SABA PRO 117 (177cm)|Binding:ARMADA/SHIFT MNC 10|Boots:FT/ASCENDANT
【Review】
軽い□■□□□重い(5段階)
柔らかい□□■□□硬い(5段階)
安定性:★★★★☆
操作性:★★★☆☆
カービング:★★★★☆
万能性:★★★★☆
浮力性:★★★★★
遊び心:★★★★★
比較から見えてきたこと
特徴的なテール形状と短めのラディウスを持ち、カービングもスラッシュも楽しめる個性派2台。26-27に新たに登場するVENA CORは、ダブルロッカーを生かしたピボット性能とエッジ上での正確さを両立。
一方、リニューアルしたSAKANAはサーフィーな乗り味を継承しながら、スピンやスイッチまでこなすフリースタイル性能を強化。鳥のように自在に軌道を変えるか、魚のように雪を切って泳ぐか。

