実は、今、スキーヤー・スノーボーダーたちから注目されているのが「車中泊」だ。そこで、車中泊のプロフェッショナルとのコラボにより、車中泊の魅力や、実践するためのアイテム、車中泊スポットなど、ユーザーが知りたい情報をお届けしていく連載をスタートしよう。
車中泊のプロの極意を学ぼう
興味津々の車中泊だが、その世界は体験した人間でないと、リアルはわからないことが非常に多い。ましてや冬の車中泊となると、もっとわからない。例えば…
雪山車中泊にまつわる????(疑問)
・冬の間、夜通しするのは一体どれくらい寒いのか?
・雪山車中泊をするために必携のモノとは、何がどのクオリティで必要なのか?
・明日、元気に滑れる睡眠をきちんと確保するためにはどれくらいのスペースが必要なのか?
・滑走ギアや他の荷物をどう集積すれば少しでも広い空間が創り出せるのか?
・電源は? 電気は?
・トイレは?
・水は? 食事は?
・どんな車種なら車中泊が何人まで可能なのか?
・経費的に宿に泊まるのとどれくらい違うのか?
・実際どれくらい快適に過ごすことができるのか? どれくらい過酷なのか?
・どんなトラブルやリスクが考えられるのか?
・どんな人間なら車中泊に不自由を感じず、むしろ楽しめるのか?
・こういうことをしないほうがいい行為(自身のため・ルールやマナー)はどんなことか?
・そもそも車中泊のメリット・デメリットはどんなことなのか?
これらは実体験が何よりも貴重な情報源であり、ノウハウとなる。となれば何よりこの道の先達(その道に熟達した先輩)に教えを乞うのが賢いというもの。そこで、車中泊のプロフェッショナルに、車中泊にまつわるいろいろ聞いて、プロの極意を学ぼうではないか!
雪山車中泊の魅力・メリットは?
まず重要なシンプルクエスチョンから車中泊のプロに聞いてみよう。そもそも、スキーヤー・スノーボーダーにとって雪山車中泊のメリットはどこにあるのか? 教えてくれるのは車中泊You tuber「とうちゃんはテンネンパーマ」だ。
ここからは、「とうちゃんはテンネンパーマ」の言葉で展開していこう。
車中泊のメリット①自由度の高い旅ができる
「よく言われていることではありますが、車中泊の最大のメリットとして、やっぱり「自由度の高い旅」ができる。これに尽きるんですよね。
飛行機や電車での旅だと、どうしてもこの日のこの時間までに、この場所で飛行機や電車に乗らないといけない、という制約が出てしまいます。空港や駅に行かなくてはいけないという行動制限がかかり、出発時刻や離陸時間の時間制限はもちろん、移動そのものにも時間がかかる。けれど車中泊なら目的地までダイレクトにアプローチできるので、時間と行動の制限はまったくなし。
そして「宿泊場所」が決まっていると、チェックインの時間に合わせて宿のある場所に行く必要があります。その点、車で移動して車で寝泊まりするなら、行き当たりバッタリの究極の旅ができます。
さらに車中泊の魅力かなと思うのが、旅の途中に自由にプラン変更ができること。地図を見ていたら、どうしても行きたい場所を発見することもあるでしょう。雪山ならば、天候や雪質、風向きの変化などによりコンディションのいいスキー場やバックカントリーのポイントは日々変わったりします。
車中泊旅なら、その日の天候や気分で行先や立ち寄る飲食店・観光スポットなども、リアルタイムに柔軟に変更して対応できちゃうのが、NO.1のメリットではないでしょうか!プラン通りの旅では絶対に訪れることのできない場所だな、と思うところにたくさん巡り逢うことができる、これも車中泊の醍醐味だと思います」。
車中泊のメリット②朝起きると目の前には雪山や海
「車中泊旅の自由度は、時間以外にも大きいのがロケーション。上の写真のように、朝起きると寝床からそのままービーチを眺められるという究極の贅沢が堪能できます。絶景が広がる場所・自分が泊まりたいと思うところで、車中泊できるのが最高です。
とあるビーチに車を泊めて宿泊したことがあったのですが、人気もなく灯のない場所だったので、夜は人生でNO1の満点の星空を眺めることができました。遊びのフィールドに直接泊まって、朝起きてすぐに海に入ったり雪山に滑りに行けたりするのも、車中泊ならではのメリットです。
車中泊は、特に辺境のバックカントリーフィールドを旅回りたいスキーヤー・スノーボーダーにとっては最強でしょう。天候や雪質、風向きなどによりコンディションのいいスポットからスポットへ移動した先で、宿探しの心配もなく、確実に泊まることができるのですから!」
車中泊のメリット③渋滞を避けて目的地に前乗りできる
「都心だとどうしても長期休暇や週末の際には、目的地に向かうまでの渋滞が発生してしまいます。2019年のゴールデンウィークのこと。この時は暦の関係で10連休が取れるということで、高速道路はかなりの渋滞が発生することが予測されました。
そこで、GW突入の前日の夕方に出発し、途中のサービスエリアで仮眠。それでもかなりの車で賑わっていました‼当日の早朝に出ていたら、その日の目的地の半分にも辿り着けなかったと思います。そんな時は前日の夜に出発すれば渋滞にも巻き込まれないし、現地で車中泊して余裕を持った朝が迎えられます。これも車中泊旅のメリット!」
車中泊のメリット④宿泊費コストを抑えられる
「車中泊旅の一番のメリットは、やはり「宿泊コスト」を抑えられることでしょう。リフト代もゲレンデでの食事もなんでも値上がり傾向の今、宿代が節約できるのは実にありがたい。ましてや家族4人のファミリースキーともなると一回の旅行での宿泊費は相当大きいです。
例えば…この2023年の子供の学校の春休み頃(3月下旬)に、家族4人で北海道に飛行機を使って滑りに行く場合(羽田空港から)
国内線(JAL) 東京(羽田)〜北海道(新千歳):82,580円(往復)×4人=330,320円
これに比べて、北海道内をぐるりと一周、車中泊旅した場合、実際どのくらいのコストがかかったでしょうか? 2019年にフェリーを使って北海道へ旅した際の高速代・フェリー代・ガソリン代の総計コストを算出したところ…
北海道一周・車中泊旅 家族4人の場合のコスト
合計金額:189,594円 家族一人あたり(8泊8日):47,398円
1週間をかけて北海道を一周して、これだけ目一杯楽しんで費用はこれだけです! 飛行機で行けば往復だけで車中泊旅の旅行費を大きくオーバーしてしまうので、このコストの差は歴然で圧倒的ですよね。同じ費用を出したら、相当豪華な車中泊旅ができてしまいます。家族全員がこの旅で得られた豊かな経験もふまえると、この金額は圧倒的に安いです!
そもそも長期休暇などのタイミングだと飛行機のチケットも宿の予約も取るのが大変。望む時間の飛行機の便が取れなかった場合、希望の場所での宿が取れなかった場合、旅のプランをいろいろ変更せざるを得なくなります。そういった意味でも、交通の便の時間帯に合わせることなく(唯一フェリーは出発と到着の時間が決められてますが)宿泊場所に囚われず旅ができてしまうのは、車中泊旅ならでは、なのです」。
※北海道一周車中泊旅費用の詳細情報はコチラ
https://tennenperm.fun/know-how/2019summer-vantrip-cost/
車中泊のメリット⑤宿での滞在時間を移動に充てられる
「車中泊ならば、寝る時間に車中泊場所へ到着していれば良いので、その間は全てドライブ&移動の時間に当てられるのも大きなメリット。宿に泊まると、宿でのご飯までの時間とか、お風呂に入れるのは何時までとか、微妙に時間に縛られて、中途半端な時間で何をしたらいいか持て余してしまこと、ありませんか?
だったら、その分をクルマでいろんなところを回ったり遊んだりしたい。そういう考え方の方は、特に車中泊旅がマッチしているのではと思います」。
車中泊のメリット⑥日本の国土の大きさを知ることができる
「もし飛行機で北海道へ行ったら、羽田から1時間で千歳に着いてしまいます。それが青森まで高速に乗って行って、青森港からフェリーで北海道に渡ると、1日半かかります。確かに短時間でサクッと目的地に行けた方がいい気がしますが、飛行機で行ってしまうと、日本の国土の広さを実感することなく行けてしまう….。
特に子供は昔の時代を知らないから、どこでも飛行機があれば簡単に行けてしまうものと思っています。実際に、日本はこんなに広いんだ、北海道ってこんなに時間をかけないと行けない遠いところなんだよ、それほど貴重な場所に今、来ているんだよ、ということが実感できたほうが、子供にとっても楽しいし、知的好奇心も広がったり、良いと思うのです」。
車中泊のメリット⑦子どもへの教育効果&家族の絆が強まる
「飛行機や電車を使って宿に泊まる旅は、お金を出せば誰でもできるけど、車中泊旅はお金があっても誰もができるものではありません。関東から北海道一周なんて一種のアドベンチャーです。そんな自分達しかできない旅を、家族と一緒にできるなんて最高ではないでしょうか。
車中泊では、「とうちゃん」が運転して子どもたちをどこへでも連れて行く。子どもたちは当然、頼りになるとうちゃんをリスペクトしてくれて、親子の絆がグンと深まります。そして、子供にとっては車中泊旅という冒険はとても刺激的らしく、帰ってくるとわかりやすい変化があります。率先してお手伝いしてくれるようになったり、一人で友達の家にお泊りに行くチャレンジをしたり、いろいろな経験が子供に自信を与えてくれるのだと思います。
装備が足りなくて眠れないほど寒かった、時間配分間違えて目的地にたどり着けなかった、なんてのも家族のいい思い出になる。失敗したら次に教訓として活かせばいい。そうやって車中泊旅で失敗をしながら家族の絆も子供も成長していくのです」。
雪山車中泊でデメリットになり得ることは?
しかしながらデメリットを挙げることがナンセンス
「車中泊のメリットを挙げるからには、デメリットが気になる、心配なのもわかります。例えば、安全面とか車内での寝心地とか、暑さや寒さ、トイレの不便さなどなど…..。でも安全面で言えば、キャンプはテントで寝ます。テントと比較したら、鉄の塊で覆われていて、ロックもできる車の方がまだ安全だと思いませんか?
冬の車中泊は、やはり寒さは大敵ではあります。けれど、防寒対策をすれば、それなりに快適に過ごすことができます。そして、車内の寝心地は、エアマットを敷いたりすれば格段に寝心地は良くなります。トイレや洗顔などの水回りは、昔に比べれば格段に道の駅も増えて、公共の駐車場も増えていることで、設備を使うことができます。
もし、車中泊の不便さや不安なことが嫌だなと思ったら宿に泊まればいい。むしろ、不便さが車中泊旅の本当の魅力という考え方もできます。目先の便利や快適さを追求するならば、車中泊旅をする必要はない。多少は不便であっても、その状況を楽しむことができれば、車中泊旅ほど楽しいものはありません。一度体験すれば、デメリットを考えることなど、ナンセンスでもったいない気がします。
それに…デメリットのように一見聴こえることも、その裏返しには倍のメリットとして返ってきます。例えば…
- 目的地まで時間がかかるけれど、道中の自由気ままなドライブがとても楽しい
- 宿のようなゴージャスなご飯は食べられないけど、車中泊旅なら、その土地の食べたいものがその日の気分で食べれる
- 車の中は多少寝心地が悪いけど、その分、最高のロケーションに泊まれる
- ホテルのふかふかの布団には寝れないけど、家族でくっついて眠れるのは幸せ
- お風呂上がりに生ビールは飲めないけど、美しい雪景色や星空を眺めながら飲むお酒は最高に美味しい
ぜひ車中泊旅で、各地の魅力や本当の旅の素晴らしさを知ってみませんか?」
▼「とうちゃんはテンネンパーマ」のYou tube動画もチェック!
教えてくれる人
とうちゃんはテンネンパーマ一家
年間40~50日間をハイエースで全国津々浦々、海から雪山まで車中泊旅をしながら、サーフィンやスキー&スノーボードを楽しむ4人家族。サーファーとして「いい波の近くにいたい」という思いから車中泊を始め、車中泊歴20年以上。2016~2019年には家族で車中泊日本一周も制覇している。2019年の冬からは新潟県湯沢町での二拠点生活(デュアルライフ)をスタート。自由な生き方と車中泊の魅力をSNSで発信するYou tuber、インフルエンサーだ。
「テンネンパーマBASE@越後湯沢」を提供していた
車中泊Youtuber「とうちゃんはテンネンパーマ」は、’22-23シーズン、1月より新潟県湯沢町で、雪国でも安心快適に車中泊ができる「テンネンパーマBASE@越後湯沢」という車中泊スポットをオープン、今季は2月26日までの期限付きでサービスを提供していた。’23-24シーズンの運営も期待したい。
車中泊イベント「居酒屋バンライフ in 新潟」2023年4/22(土)-23(日)開催!
「とうちゃんはテンネンパーマ」が4月に車中泊イベント「居酒屋バンライフ」を開催!薪割りや火起こしなどのアウトドア体験や、自然を満喫するワークショップ など、親子で楽しめるアクティビティが盛り沢山のイベントだ。新潟グルメのフードやお酒などの出店も多数あり!車中泊に興味のある方、ぜひ遊びに行ってみよう。
https://www.instagram.com/tennenperm_daddy/
https://www.youtube.com/user/masatoikebe
今回のまとめ
車中泊なら朝、起きたら目の前はまっさらなパウダーフィールド。
誰よりも先にファーストトラックを刻める!
パウダー好きのスキーヤー・スノーボーダーならば、この理由だけで車中泊をするには十分過ぎるだろう。雪の降った翌朝は誰よりも先にパウダーにリーチしたい! ゲレンデスキーにとどまらず、バックカントリーを楽しむ滑り手ならばなおさらのこと、コンディションのいい山を求めてロードトリップするのなら、いちいち宿泊施設を探すのも面倒だし、その時間も惜しい。車中泊なら、いつでもどこでも自由に自分(たち)のペースでスノートリップをデザインし、楽しむことができるのだ。この便利さ、快適さ、面白さは半端ない。
さぁ、次回からは具体的に車中泊のノウハウを教えてもらおう!
※ご注意いただきたいこと
スキー場の駐車場での車中泊は、スキー場に事前問合せをすることをお勧めいたします。「車中泊による前泊はご遠慮いただいております」などアナウンスしているスキー場もあります。雪山遊びを愛するスキーヤー・スノーボーダーとして、ぜひスキー場のルールやマナーを守って利用しましょう。