独特の世界観と表現力で見る者を魅了し続ける相澤亮。独特のフローとリズムで愛好家たちの心を掴んで離さない藤田一茂。世代もスタイルも異なる二人が、長野県白馬村で、初のセッションを敢行。自分らしさを追求し続ける彼らに、スノーボードを通じた人生の楽しみ方を教えてもらおう。




2024年12月下旬。今シーズンは、12月から降雪に恵まれ、トップシーズンさながらのコンディションだ。白馬の山々が朝日に染まりはじめるなか、Jeep Wranglerに乗って、二人がやってきた。
始発のゴンドラを目指す二人の前に、朝日に照らされた白馬の山々が現れる。期待できるコンディションに胸を踊らせ、すこし早歩きでリフト乗り場へ向かった。


藤田が「亮が小さい頃に会ったことは覚えてるけど、ゲレンデでセッションするのは初めてだよね」と切り出すと、「そうですね。スノーヴァ羽島で少し会ったことがあるくらいだと思います」と相澤がこたえた。
極上のコンディションで行われた二人のセッション
夜間の降雪はすくなかったが、風でリセットされたノートラックの斜面。はじめて一緒に滑るとは思えない息の合ったラインが美しい。


パノラマコースへ移動し、広大なグルーミングバーンを滑る。「今日はフリースタイルで楽しんでください」と事前に伝えた通り、自由なアプローチでラインを刻む。



「最初から二人で息合わせるのはさすがに難しかったよね」と藤田が切り出すと、「うまくリズムを合わせてくれたんで、僕はそこまで難しいと思わずやれました」と相澤。


世界を舞台にビッグエアやスロープスタイルで活躍してきたバックグラウンドは同じだが、現在のスノーボードのスタイルはまったく異なる。流れやリズムを大切にする曲線的な藤田と、ダイナミックでバネのある動的な相澤とのコントラストがすごく新鮮だ。藤田のクイックなターンと、相澤のしなやかな動きがピンポイントで交わる瞬間。



「ちょっとタイミングギリギリでしたよね」と相澤が言えば、「全然大丈夫。亮の動きは信用できるから」と藤田も笑顔で返す。

リフトの上では眼前に広がる白馬三山を背景に、見えている地形や次に滑る斜面についての会話が弾む。「白馬ではほぼ滑ったことがない」と話す相澤に、「あそこに見えてる斜面も山頂からアプローチできるよ」と、白馬で滑り慣れている藤田が説明する。

そうやって自然と打ち解けていく間に、二人のタイミングも完璧にシンクロし始める。

「おそらく今日は、一番いい時間帯に一番いい斜面を滑れたね」と藤田。「さすがでした。気持ちよかったっす」と相澤も楽しそうだ。

「最近は滑る場所がスキー場じゃなくてストリートが多かったので、こうやってスキー場でちゃんと滑るのが新鮮でした」と相澤が振り返ると、「もっと地形が分かってたら、亮の攻め方もおれの滑り方も変わったかもしれないけど、はじめて一緒に滑ってそこで探りながらやるっていうのが逆に楽しかったよね」と藤田。
「一緒に滑るのがはじめて」と語っていた二人だったが、終わる頃には旧知の仲のように打ち解けていた。
冬を楽しむパートナーにふさわしい『Jeep Wrangler』
スキー場でのセッションを終え、Jeep Wranglerに乗りこみ、ゲレンデを後にする二人。車中では『スノーボーダーにとっての車』というトピックで自由に話してもらった。

「冬に車に欠かせないものは?」という藤田の問いに、「やっぱり一番は四輪駆動じゃないですか?」と即答する相澤。スノーボーダーにとって、信頼できる車の存在はギア選びと同じように大切だ。


「スキー場も山に行くのも同じではあるけど、スポットまでのアプローチから準備は始まってるわけだから、どんなコンディションでも走ってほしい」と藤田。その言葉通り、Wranglerは雪道を力強く、滑らかに走り抜けていく。
余裕のある車高は、深雪や悪路でも卓越した走破性を発揮する。スイッチひとつで2WDから4WDへ切り替えられるJeep Wranglerの機能性は、変わりやすい冬の路面状況でも柔軟に対応可能だ。

「ストリートのスポットハントって本当に深夜とか早朝が多くて寒い時間帯なので、シートヒーターとハンドルヒーターは重宝しますよね」と相澤が操作パネルに手を伸ばす。真冬に欠かせない快適な装備も充実している。「バックカントリーも夜明けからの動き出しが多いから、寒いなかでの移動って体力も使うし、こういう機能があるのは助かるよね」と藤田も話す。



ストリートで重要なのは撮影する場所選びだ。まだ誰も手をつけていない場所はとくに行ってみる価値がある。
「本州のスポットがよければ本州に行くし、北海道がよかったら北海道に行くみたいな感じなので、どこでも走れる車じゃないと」と相澤は語る。険しい山道から深雪の路面まで、どんな状況でも安定した走りを見せるJeep Wranglerは、行動範囲を大きく広げる。駆動システムを切り替えながら、「これがあれば、どんなコンディションでも心配ないですね」と相澤は頷く。電動制御の4WDシステムは、シフトノブで路面状況に応じて切り替え可能。スノーボーダーのニーズに見事にマッチする。

「スノーボードやサーフィンに限らず、基本的に外遊びするから移動が多いじゃん。そのなかで移動も楽しめるっていうのは大事な要素だよね」という藤田の言葉に、相澤も「荷室の容量も大事ですよね。余裕があるとちょっと雑でも入ってくれるから楽です」と話す。
広々としたラゲッジスペースには、二人のボードギアがすっきりと収まる。
「車選びって、スノーボーダーにとってはもう生活の一部だし、とくに冬は信頼性が命だよね」と藤田。その言葉通り、Jeep Wranglerは単なる移動手段以上の、冬のライフスタイルを支えるパートナーとしての存在感を示していた。

「悪路でも静かでめちゃくちゃ乗り心地が良くてびっくりしました」と満足そうに相澤が話す。「欲しくなっちゃうよね」と藤田も笑顔だ。スポーティな走りと実用性を兼ね備えたJeep Wranglerは、まさに冬のアクティビティを一緒に楽しむパートナーにふさわしい。
トークセッション「自分を楽しむために、人生はある」
Jeep Wrtanglerでゲレンデを後にし、セッションの締めくくりとして、スノーボードを通した人生の楽しみ方について語りあった。

スタイルや好みは変化していく
藤田「雪の少ない京都でスノーボードをはじめて、最初はグラトリ、そこからパーク、主にジャンプをするようになって、大会を回りはじめた。楽しんではいたけど、やっぱりコンテストは限界がくるなって感じる部分もあって。世界中を転戦してたけど、結局それってずっと人との勝負で、どこに行ってもジャンプだけやって帰ってくるから、見えてる世界が代わり映えしないなって感じるタイミングがあったんだよね。その時ふと、眼の前に広がる海外の山々を見た時に、すごい楽しそうな世界が近くにあるじゃんって思って。実際に行ってみたらやっぱり楽しくて、もっとそういうスノーボードがしたいというか、シンプルに冒険をしたくなった」
藤田はパーク、コンペティション、フリーライドと変遷を重ねてきた。海外での経験を経て視野が広がった藤田は、山の新しい魅力に目覚めていく。その後、カナダやアラスカでの経験を経て、フリーライドの奥のステージへと踏み出していった。

一方の相澤は、世界トップレベルの技術でシーンを席巻し、主要国際大会で大活躍。オリンピックの可能性もあったが、若くしてコンペティションから退き、より自由な表現の場を求めストリートを選んだ。
相澤「ぼくは大会よりも映像での表現のほうが好きだったのはありますね。X Gamesなどのメジャーな国際大会ではクワッドコーク1800とかやってましたけど、だんだんそれが自分がやりたいような表現とは離れていっている気がしてたんです。あまり危ないことは好んではやらないタイプだったんで、スタート台に立つたびに、これ大丈夫なのか、みたいなことはずっと思ってたんですよ。そんな折に、ちょうど自分を取り巻く環境が変わるタイミングでもあって、コンペティションからストリートに場を移すいい機会だと思いました」
競技に対する違和感と環境の変化が重なる。新しい表現方法を模索し、舞台をストリートでの表現に変えていった。

「いまは自分が好きなスタイルだったりとか、表現の良し悪しにとことんこだわろうと思ってやってます。シンプルな技で見せたい。たとえメイクしたとしても、そこで形が好きじゃなかったら何回でもやり直します。ストリートの映像もスノーボードだけじゃなくて、それこそスケートとかサーフィンとか、それ以外の分野で自分が見てかっこいいと思う表現を吸収して体現していきたいですよね」
スノーボードの世界にとどまらず、多様な表現を取り入れながら独自の世界観を作り上げてきた。
藤田一茂と相澤亮が話す、変化の楽しみ方
世代も、スノーボードのスタイルも異なる二人。しかし、共通していたのは『変化を楽しむ』という哲学だ。
藤田「変化していかないとおもしろくないんだよね」
この言葉に、相澤は深く頷く。
相澤「ぼくは去年の自分の映像さえも正直見たくないです。毎年変わっちゃうというか、いい意味で想像してなかったことも起きたりするんで、常に好みも変化してるんですよ」

藤田も頷きながら語る。
藤田「俺もそう。一回やったことはもういいなって感じ。同じ経験を繰り返すよりも、どんどん違う経験をしていきたい。だって、自分が若い頃にターンだけで生きていけてるとか全く想像してなかったからね」
固定観念にとらわれず、変化を楽しんできた姿勢が前向きな未来を創ってきた。
相澤「全然違うことが好きになったりとか、いいと思ってたものがやっぱりダサいなと思ったりとか、そういうことが激しくて、最近は方向性だけ少し決めて、そこまでのプロセスは自由にやりたいことをやるみたいな感じでやっています」
あえて縛りを作らず自身の感性とタイミングで活動することを大事にしている。

楽しみ方をみんなで共有する
トークセッションは、二人がそれぞれ手がけるプロジェクトの話題へと移る。
まずは藤田が手掛けるGoryu Wavesについて語る。
藤田「もともとフィールド作りみたいなことには興味があったんだよね。カメラが好きで白馬五竜スキー場で写真とか映像を撮ってたんだけど、あとで見返すといつもみんなが楽しそうにしてくれるから、そういうフィールドを自分が作ってみたいなと思ったのがキッカケだね。今ではGoryu Wavesにいろんな人が滑りに来てくれて、楽しんでいる姿をみるとやってよかったなって思う」

一方、相澤もUZUMAKIというイベントを主催している。
「スノーヴァ羽島の閉鎖がきっかけで、スノーヴァ羽島の最後の日に人を集めてイベントやろうかなっていうのがUZUMAKIの始まりでした。僕にとってすごく特別な場所だったんで、最後に楽しい時間を共有したくて。その気持ちの延長線上に今のUZUMAKIもあります」と振り返る。
あらためて感じるスノーボードの魅力
相澤「勝ち負けじゃないところが、他のスポーツとは違う魅力ですよね。楽しみ方が無限にあるみたいな感じがすごく楽しい。ユニフォームみたいなものもなくて、ぼくなんていつも私服みたいな格好で滑ってるじゃないですか。でも、すごく良いウエアで快適に滑るっていう楽しみ方もあって、その自由さがやっぱり好きです。」
藤田「自然のリズムのなかで遊べるっていうのが一番の魅力かな。なんかずっとできないっていうのが俺は一番好き。希少性が高いじゃん。ずっとできたら希少性が低いから、やっぱり、そこで得られる快感の価値も減っちゃうと思うんだよね。朝イチのグルーミングだって、朝イチしかできないからこそ気持ちいいと思う」
相澤はスノーボードの自由さや懐の深さ、藤田は自然との関わりや瞬間の価値に魅力を見出してきた。

藤田「スノーボードっていう共通言語があるだけで仲間になれる。スタイルが全然違っても交われるし、そこが本当にいいところだよね」これに相澤も深く頷いた。
それぞれが自分らしい楽しみ方を追求し続け、そのなかで起こる変化を受け入れ楽しんできた。二人のスノーボードを見れば「自分を楽しむために、人生はある」ということは一目瞭然だ。
Jeep Japan:https://www.jeep-japan.com/
Text:Takahiro Nishii (COWDAY)
Photo:kentaroufuchimoto.com
■Information
COWDAY
COWDAYは2015年に発足し、日本最大級のスノーボードイベントを毎年開催しているクリエイティブチーム。国際スロープスタイル大会『COWDAY SLOPE』をはじめ、スノーボードのクリエイティブな可能性を広げる映像コンテスト『COWDAY SNOW CREATIVE FEST』、そして大阪市内の歴史あるお寺に雪を持ち込んで開催する都市型ストリートイベント『COWDAY STREET』など、多彩な企画を通じてスノーボードの魅力を発信。これらの活動を通じて、スノーボード文化の持続可能な発展に寄与するとともに、前例のない挑戦を続け、その影響力を年々拡大している。