もう使わなくなったスノーゴーグルやバイクのゴーグルをリサイクルして生活雑貨に再生! あなたのゴーグルでさえ、こんなふうに日常で愛用できるオシャレなアイテムになるかもしれない。徳島県にデザイン工房を構えるアパレルブランド「JOCKRIC」の環境への取り組みを紹介しよう。
JOCKRICのモノづくり
阿波徳島の「藍の里」藍住町を拠点に、オリジナリティあふれる「しごと着」をプロデュースしているJOCKRIC。JOCKRICにかかると、昔ながらの田舎っぽい割烹着が、べらぼうに粋な仕事着に変身してしまうから、そのデザイン感性たるや驚きだ。
「 しごと着 」をコンセプトに、100の仕事があれば、100通りの「しごと着」のカタチがあると考え、現代の生活に溶け込んだワークスタイルの形を提案しているというJOCKRIC。人生において長い時間を過ごす仕事に対して、働くテンションが上がるようなワークウエアを、一点一点、心を込めてこしらえている。
JOCKRICのモノづくりへのこだわりは、「環境への取り組み」にも繋がっている。上勝町という自然豊かな町に2016年から工房&ショールームを構えたことをきっかけに、上勝町の「ゼロ・ウェイスト宣言」による捨てない町づくりに賛同し、地域の環境への取り組みに繋がることを考えたモノづくりに取り組んでいるのだ。
STEEPでも、以前にこちらのJOCKRICのユニークなリサイクルアイテムを紹介した。このコーヒーサバーは、上勝町のコンセプトに沿った作品だ。
STUDIO PREPA coffee server x JOCKRIC RECLAIM sleeve 〈 DRAGON 〉A
DRAGONゴーグルバンドをリサイクルした作品は、存在感たっぷりで、なんともお洒落。コーヒータイムが今まで以上に豊かで贅沢な時間になりそう。
¥16,500
このコーヒーサーバーが生まれた背景
JOCKRICのオーナーでありデザイナーの黒川勝志さんにお話しをうかがった。
―どうしてこの取り組みを始めたのですか?
コーヒーサーバーを作っているガラス作家「スタジオプレパ」さんからお話をいただいて。
私がもう一つのアトリエを構えている上勝町というところは、人口は現在1400人くらいの小さな町なのですが、日本で初めてゴミゼロ活動を始めた町なんですね。
ごみを45種類にも分別して町で処理していて、町の人が町内にある1カ所のゴミステーションにゴミを持ち寄り、リサイクルできるものはリサイクルに出して再利用するという取り組みをもう20年以上続けているんです。僕もここに7年前からアトリエを持って制作をしていたんですが、そのなかでガラス作家の「スタジオプレパ」さんから、コーヒーサーバーを作るので、スリーブ部分を上勝町でのリサイクルの取り組みの一環で何かできないですかね、という話をいただいたんです。スタジオプレパさんも、上勝町でビール瓶を溶かしてグラスを作ったりしているんですね。
僕は小さな頃からモトクロスの競技をやっていたのですが、ゴーグルって、使っているとどうしてもプラスチックやスポンジ部分が劣化してくるんです。でもその年のそのモデルとか、気に入っているデザインがあったりして、それぞれに思い出があったりするので、それを捨てずに保管していたりしたんです。それで、バンド部分を何かに再利用できないかと思って。
今回ちょうどスリーブにサイズ的にも丁度良かったんで、スリーブにしてみたんです。あとは周りにマウンテンバイクやスノーボードの競技をしている友人がいたので、声をかけて、もう使わないというゴーグルを集めて、スリーブにしてみた、というのが経緯です。
―たくさんのバンドから選りすぐりを作品にした?
そうですね。汚れが強すぎるものやゴムの劣化が激しいものは使えなかったりするのですが、状態のいいものを選んで、デザイン的にもちょっと見映えがするものを作品にしてみた感じです。
―とても洒落たスリーブになっていますよね。工程はどのような?
ゴーグルからフレームとレンズをとって、バンド部分を最大限に使えるよう、糸というか樹脂製の繊維をほどいて、なるべく長く使えるようにします。バンドはゴム状で伸びるので、少し小さめに筒状に縫っています。ゴーグルのストラップには滑り止めがついているんですね。それが結果的にガラス部分への滑り止めになって具合がよかったんです。
―なるほど。今までどれくらい製作したのですか?
今年の夏に始めたばかりなんです。これまで30本ほど作ったんですが、製品として販売し始めてから、まだ数カ月なんですね。ひとつのゴーグルから2つ分くらいしかとれなくて、ゴーグルを集めるところから始めないといけないので、なかなか大量には作れないんですね。どれも1点ものなので、ありがたいことにすぐオーダーいただいてしまって、製作が追いつかない状況です。
―JOCKRICのタグをつけると、たちまちカッコいいものになりますね。
ゴーグルはモトクロスやマウンテンバイク、スノーゴーグルが使えるのですが、やっぱり、そういうスポーツが好きな人が喜んで使ってくれているようです。
―どんな思いで作られたのですか?
作業としては、ゴーグルをバラす作業があるので、通常のアパレルよりは手間がかかりますが、作っていて楽しいですね。いらなくなったものを再利用できる上、思い出や思い入れのストーリーがあるアイテムが再び姿を変えて使える・残していけるっていうのは嬉しいなぁっていうのがありますね。
始まりとこれから
―JOCKRICのルーツについて教えてください
阿波徳島の「藍の里」藍住町を拠点に1980年から2005年まで両親が営んできた、"つかさ縫製"をベースにJOCKRICをスタートしました。今は家族3人と、外の方にお手伝いをしてもらっています。
兄と兄弟2人で小学校の頃から、学校から帰ってから両親の手伝いをしていました。両親は一度廃業していて、僕はずっと畑違いの自転車関係の仕事をしていたんですが、もともとアパレルに興味があったので、仕事を辞めて、工場や機械が残っていたので、自身で物を作って売るということをやろうかなって思って、10年くらい前からJOCKRICを始めたんです。
―独特のデザインはどのように?
基本的には自分で全部やります。服の縫製は両親から教わったというか、小さいときから自分たちの身の回りのものは自分で作っていたので自然に覚えたという感じでしょうか。兄が8つ上なんですが、兄がオートバイに乗っていたのがカッコよかったんですね。兄みたいなつなぎのスーツが欲しくて、でも自分は小学生で小さいからサイズがない……どうしても欲しくて両親に教えてもらいながら自分で作った、なんてことがあったことは今も覚えていますね。
―モノづくりへの考えや思いはどのようなものですか?
制作上どうしても余分な生地が出てくるので、そういう部分もなるべく使えるようなモノづくりを考えながら行っています。でも、そうした作業はどうしても手間がかかるんですね。大量生産すれば流れができてしまうので、そちらのほうがラクなんですが、そうせずに一つひとつ端材を使ったモノづくりができたらいいなと思っています。
同じ徳島県内ですが、上勝町の工房は「JOCKRIC RECLAIM」として、ゼロ・ウェイスト宣言した上勝町の一員として、自分のことから地域へつなげる考えを持ってモノづくりをしています。周りの友達のブランドさん、例えば今回のガラス作家さんやバッグのブランドさんなどにお問合せをして、端材を集めてバッグを作ってもらったり。そういったみんなと一緒に取り組みができたらいいなと思っています。Reclaimには開拓する、再生利用するという意味があるんですね。そこにある価値を見出して、新しい命を産み育てることをしていきたいと考えています。
今はこれというアイデアは浮かんでいないですが、ゴーグルバンドだけでなく、スノーウエアの素材なんかも使って何かできるかもしれないですね。そうして、いらなくなったものを再利用するという流れができて、みんながスキー・スノーボードをずっと楽しめるような環境づくり、例えば気候変動の活動に少しでも役立てれば嬉しい。
このコーヒースリーブも、もしSTEEP読者さんたちに呼びかけてもらってゴーグルが集まれば作品にして、その売り上げの一部を何か環境への取り組みに寄付するなどで、還元できたらいいですね。
ということで!
「STEEP × JOCKRIC」で読者のゴーグルをコーヒーサーバーに!
JOCKRIC RECLAIMの黒川さんからの提案で、この度STEEPの「THINK SNOW」への取り組みのひとつとして、「STEEP × JOCKRIC」で読者のゴーグルをコーヒーサーバーにしてみたいと考えた。もう使わない・使えなくなったゴーグルがある人は、ぜひSTEEP編集部に送っていただけないだろうか。
JOCKRIC RECLAIMのスリーブにして販売をし、その売り上げの10%を、STEEPでも応援している気候変動に取り組む「POW」へ寄付する、という取り組みにチャレンジできたら幸いだ。
「STEEP × JOCKRIC」コーヒースリーブ製作への協力はコチラ
あなたの不要になったゴーグルを送ってください。
株式会社キャスト「STEEP」編集部まで
〒112-0014
東京都文京区関口1-44-4 新荒井ビル 5F
Tel:03-3266-5033
※お送りいただいた、ゴーグルを返却することはできません。
※汚れが強すぎるものやゴムの劣化が激しいモノは製品化できない可能性がございます。