11月30日(土)にオープンしたエイブル白馬五竜スキー場。予想以上の降雪に恵まれた初日の様子を、ザ・ノース・フェイス/ゲンテンスティックライダーで白馬在住の藤田一茂がレポートする。
11月30日(土)朝8時 マイナス2度 山頂の積雪は夜間50cm、日中2〜3cm
昨年は11月30日にオープンした白馬五竜。今年は11月のオープンは無理かな。そんな空気が一晩で吹き飛んだ。
「あれ、明日開くんじゃない?」
29日の朝、目覚めるとあたり一面冬景色。車の上にはもっさりと20cmほどの降雪に加え、しんしんと降り続く雪を見た白馬村民は誰もしがそう思ったのではないだろうか。
そうとなったら白馬界隈のスキー場情報を収集。スキー場で働く人たちは止めどなく押し寄せる連絡の対応に追われていたはずだ。
そして29日の午後には五竜、八方、栂池の3つのスキー場が30日のオープンを発表。数日前までのテンションが嘘かのように、白馬は一気に活気で満ち溢れた。また、白馬ではどのスキー場が一番にオープンするかをスキー場同士が競っているが、今年は栂池に軍配が上がった。
8時オープンの栂池、10時オープンの五竜、11時オープンの八方。強者の滑り手のなかには時間に合わせてホッピングし、全てを滑る人もいるという。
そんなわけで昨年同様に11月の最終日に無事オープンを迎えた白馬エリア。
オープン初日はどのスキー場も、待ちに待ったと言わんばかりに人が押し寄せ、大いに賑わいを見せた。
雪のち爆風、のち雪。降り積もった約50cmの雪に喚起する
白馬五竜ではゴンドラを乗った先にあるアルプス平ゲレンデのパノラマコースをオープン。これは毎年定番で、ここから降雪に合わせ徐々にコースが増えていく。
ちなみにオープン2日目の12月1日には上部で繋がるHakuba47の1コースもオープンする。
また五竜のフレンドリーな取り組みとして、オープン最初の週末に催す定番の「振る舞いカレー」が面白い。ゴンドラ山頂レストラン「Alps360」では、何杯でもおかわり自由なカレーが無料で食べ放題。
「ランチは五竜でカレーだね」
ハクババレーシーズンパスホルダーはお隣のゲレンデからわざわざ移動してくる人も少なくない。
10時に合わせゴンドラ待ちの列が伸びていく。想像よりは少なく、200名ほどといったところ。八方、栂池もオープンしているからだろう。下界でも膝上まである雪に胸が躍る人々。久しぶりの再会に話も咲き、ゴンドラ待ちの時間はあっという間に過ぎていく。とくにこの時期はローカルや好き者が多く、コミュニティの繋がりが深く感じられる。雪が地域を支えていると感じる瞬間でもある。
ちなみに、1番先頭の人は朝5時半から並んでいたらしい。その人は昨年も先頭にいた相当の好きものだ。
ゴンドラを乗った先には下界の湿雪とはうってかわってふんわりとした粉雪。ボードも走る雪に一気に気持ちが高ぶってきた。パノラマコースの圧雪はコース幅の約半分となる真ん中40mほどがかけられ、脇の未圧雪の場所は80cmほどのパウダー。誰もが急いで次のリフトに乗り継いでいく。
ところが無事にリフトに乗ったところで、トラブル発生。
テンションが上がって気がついていなかった、というか気が付かないふりをしていただけなのだけど、ときおり吹いてくる強風でリフトが止まり、振り返るとリフト待ちが長蛇の列に。
ボードが吹き飛ばされそうになりながらも上まで辿り着くと、
「しばらく運休します!(涙)」
とパトロールの一言。誰もが「えー!」と思ってはいるが、こればかりは誰のせいでもないし、自然の力を感じさせられるというもの悪くはない。と思うしかない。
それでも、1本は滑れる! と気持ちを切り替えライディング。
「あー! 気持ちいいー!」とハイタッチ。
半年ぶりに味わう感覚に、みんな「これ、これ!」と高まっている。
そして高まっているから運休にも不満のない人たち。逆に喋りが盛り上がって楽しそうだ。
カレーを食べて、ハイクアップをして滑るみんな。通常はハイクアップは禁止だが、この日ばかりはパトロールも止めようがない。100人じゃきかない人たちが、ハイクアップをして楽しんでいる姿には、みんなの「好き」が溢れ出ていた。
その後は、13時ごろに風が止んで営業が再開。待ちきれずに帰った人もいたぶん、快適なライディングを楽しむ。
自然のトラブルはあったものの、終始笑顔で包まれた白馬五竜。今日からゴールデンウィークまで、長い冬のスタートの合図が鳴らされた。
オープニングムービー
■Information
エイブル白馬五竜スキー場
〒399-9211 長野県北安曇郡白馬村神城22184-10
公式サイト:https://www.hakubaescal.com/winter/
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