かぐらバックカントリー | ガイドクラブの鉄板ツアー| 「パウダーステーション」の「レギュラー1DAYツアー」

photo/Kazuya Igarashi (PowderStation) , Diceman , Daigo Onozuka ,
STEEP編集部

このシリーズは、バックカントリーガイドクラブが主催する「間違いなくいい、ゲストが喜ぶ、いわゆる鉄板ツアー」を紹介するものだ。実際にツアーを率いるプロガイド、もしくは参加ゲストにより、なるべく詳細にツアールートを再現してもらった。ルートの魅力やガイドサービスの価値だけでなく、安全にバックカントリーを楽しむために大切なことなども伝えていきたい。

TOUR】「レギュラー1DAYツアー」


かぐらBC「北斜面」ツアー参加者がノートラックパウダーに集合
2022年2月ドパウなタイミングのツアー


かぐらスキー場駐車場にあるスキーショップ「パウダーステーション」は、ウエアやスキーギア販売の他にかぐらBC専門のパウダーツアーを主催している。ワンデイ、入門向け、スキー場中腹にある和田小屋に泊まっての1泊2日コースなど様々なプランがある。

かぐらゲレンデ中腹に建つ和田小屋に泊まる、1泊2日ツアーも人気

かぐらバックカントリーツアーに参加してみた

今回、参加したのは1月下旬の週末開催ワンデイコース。ガイドは五十嵐和哉さんと、ノブさんこと高橋信彦さん。五十嵐さんはプロスキーヤー、モーグルの元全日本コーチ、三浦雄一郎氏の冒険をサポートし、エベレスト登頂も果たした登山家など、さまざまな顔を持つ。かぐらでのガイド歴は13年にも上る。

テールガイドを務めるノブさんはガイド業のほか、かぐらのパトロールも兼務するまさに神楽ツウだ。

8:00 集合~ブリーフィング~ゴロマからBCゲートへ

朝8時の集合時間に合わせて、参加者はショップに集まってくる。全員が揃ったらブリーフィングを行う。今回は全員がリピーターのため早速ロープウエイでゲレンデへ。ちなみに、初めての参加者がいたり、初心者コースではビーコン装着の仕方、ギアチェック、ギアの使い方、ザックのしょい方なども教えてもらえる。パウダーステーションではBCツアー用のギアのレンタルも可能だ。

参加者は8名、ガイドが2名の布陣だ。土曜日のためすでにゲレンデパウダーは終了の様子。山頂リフト・通称ゴロマ(=第5ロマンス)が9時(平日は9時半)に開くので、山頂までまっしぐら。

通称ゴロマ=第5ロマンスリフト
ゴロマの前にはパウダーデイの朝イチはこんなに列が

9:30 ゲートで登山届を提出してBCへ

ゴロマ(第5)リフトを降りた先にあるゲート
ゲート前の登山提出で列ができる

かぐらゲート1で五十嵐さんが登山届けを提出、参加者ひとりづつビーコンチェックを行いコース外へ。

ゲートに掲げられている注意看板
ゲートを入った広場で全員がシールを装着

9:45 午前の目的地「北斜面」へのハイク

ここでシールを装着、もう一度どこを目指すか、天候、気温など含め全体の流れを説明して、ハイクが始まった。午前の目的地は通称「北斜面」。かぐらブルーとでもいいたい真っ青な青空の下、緩やかな稜線を行く。斜度が緩いコースを選んでいるため、きつさはほとんどない。汗もさほどかかずにのんびりペースで歩く。参加者と話しができるくらいだ。右手に中尾根の南斜面を望みながら、キリッと冷えた空気の中、歩いているだけで爽快感がある。

シールを装着してハイクはこんな様子
かぐらブルーに霧氷が美しい
エビのしっぽ風の霧氷、これも美しい
中尾根を望む

1時間弱で、中尾根のピークへ。稜線上の一段高いこのポイントでシールを外す。かぐらのゲレンデと登ってきたラインが一目でわかる。遠くに目をやれば、越後三山、谷川連峰が広がる、裏側には苗場山が悠然と聳えている。津南方向に目をやれば正面に妙高山、黒姫、そのさらに奥には白馬の峰々までがある。絶景だ。日によっては日本海はもちろん、佐渡が見えるときもある。

360度のパノラマ。この景色を見るだけでもここまでくる価値はある。しかも時間は1時間未満。BCコスパはめっちゃいい。

稜線まで登らないと見えない苗場山
南斜面のオープンバーンを右手に登る
ハイクアップルートは緩やかな傾斜

スキーを滑走モードにして、さらに奥へ進むとドロップポイントに到達。標高は1800mくらいだろうか。

稜線を奥まで進むと通称「三角」の斜面が現れる

雪質最高「北斜面」のノートラック

北斜面の開けたバーン。
「僕が最初に行きます。僕よりも下り過ぎなければ見えてるとこどこを行っても大丈夫です」そう言うと五十嵐さんはゆっくりと、縦気味のターンでボウル状の真ん中を気持ちよさそうに滑って行く。起伏で姿が見えなくなりまた現れたところでストップ、「なまらいっすね、どこでも大丈夫」と無線が入る。

ワイドなので見た目よりも斜度は感じないが…

 
滑走距離は500mくらい。起伏もさほどなく、どこまでも見える斜面なので不安もない。ノートラックの斜面に、参加者がひとりづつ嬌声を上げながらおりていく。光の当たる具合で深く沈み込む雪、ちょっとしまった雪と、変化も楽しみながらのノートラックは実に気持ちいい。

雪質最高「北斜面」のノートラック
ガイドさんのストップポイントから滑走前の参加者を望む

全員が揃うと。トラーバース気味に北斜面の森の中を進む。気温が冷えているから斜度が緩くてもスキーが走る。キーンと冷えた空気の中、静かな森の滑走も気持ちよし。

トラーバースしながら短いツリーランも楽しむ

所々でスキーを落とし気味に進むと、中尾根と呼ばれるリッジの下部へ到着。もう目の前にゲレンデが見える。尾根を下るデザート的なプチパウダーを楽しみながらゲレンデへ。約2時間の北斜面ツアーが終了だ。

 12:00 BCゲートへ再び~ランチタイム

トイレ休憩を済ませて再びゴロマを目指す。第五ロマンスリフトの稼働は他のリフトよりも短く14時まで(1月は12時まで)、ビーコンチェックを行い、シールを装着して今度は先ほどより短い時間のハイク。

遠くに田代スキー場を望むポイントで、ランチタイムとなった。おにぎりやカップラーメンなど、それぞれが持参したランチをいただき、楽しい時間を過ごす。

ワイドに長くとれるストレート斜面でパウダーラン

ランチを済ませると、再び滑走タイム。青空が隠れ、天気はだんだん怪しくなってきたが状況は問題無い。ドロップポイントから長い斜面を使って距離のあるパウダーランだ。

予想通り、雪が軽い、斜度が緩いが太めのロッカーはすいすい進む。北斜面のように深く踏み込めないが約500mほどの距離がすこぶる気持ちいい。思わず声があがる。

13:30 反射板からのロングラン

「ハイもう一度、シール付けてください」ノブさんの声。ここから反射板を目指すのだ。「反射板」とはかぐらのバックカントリーエリアに建つ板状の建造物(目的は電波を反射させるためのもの、現在は衛星が使えるので稼働はされていない)。大自然の中にポツンと設置されているため、ものすごく目立つ。

ゆるい傾斜を使って反射板へ

反射板からの下部は広大なオープンバーン。起伏もなく斜度も手ごろでガンガン飛ばせそう。不安なく滑れるのは何より。雲行きが怪しくなってきた。白い雲に覆われたかと思ったら、いきなり結構な雪。風が無いので、視界は悪いが滑走は問題無い。まだまだツアーは続く。

写真は晴天時の反射板エリア。ほどよい傾斜の距離があるワイドバーンが魅力だ

たった30分ほどの降雪でトラックはかなりリセットされている。反射板下からドロップ。視界は悪いが、気温が低いため雪が軽い。参加者の嬌声が響き渡る。全員が滑り切ると、合流ポイントで五十嵐さんの指示にみな注目。ここからは、沢状のコースを使って田代のゲレンデへ戻る。BC滑走はこれで終了だ。

14:00 田代ゲレンデのコースに戻りかぐらへ

田代ゲレンデのコースに戻りかぐらエリアへ。続いてかぐらゲレンデ内のないしょの林間コースへ。午後なのにまだパウダーが残ってる。さすがかぐらを知ってるツアーリーダーは違う。

ちょっとタイトなツリーラン。緊張感があって楽しい
ツリーの中を経過に飛ばすガイドの五十嵐さん

15:00 ツアー終了

朝とは一転、降雪のかぐらゲレンデに戻ってツアーは終了。このまま下山の人、リフトが止まるまでまだまだ滑るという人、それぞれが笑顔で解散、距離のある新雪滑走、ツリーラン、最高の眺望などなど充実の一日を満喫できた。

かぐらBCは東京から近く、標高が高いため良質の軽い雪が楽しめる。ガイドツアーといっても、渡渉があったり、ロープを使わないといけないといった難しさもなく、大きなストレスを感じることも少ない。コースを選べばBC入門者や子供、年配の方にも勧められそうだ。



■ TOUR DATA (あくまでモデルプランとしての参考データ)
ツアー名 レギュラー1DAY ツアー
平均ハイク時間 2時間弱
ガイドレシオ ガイド2:ゲスト10人以下
必要装備 ビーコン、シャベル、プローブ、登攀具、ヘルメット(推奨)
難易度(必要BC経験レベル) BC初級者 スキー技術は中級以上で新雪も対応できるレベル
参加費用 12,000円
その他 和田小屋ツアー32,000円 (税込/リフト券別)
予約・問合せ http://kagurapowderstation.com/tour

※パウダーステーションのツアーは、今回の定番コースの他に、天候や技術などによるが、三角、雁が峰などへの上級ツアーもある。

取材協力:かぐらパウダーステーション


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