大人気ツリーランとファーストトラック 滑り方満載の川場スキー場を小野塚彩那が滑り倒す

都内から関越道を北上して2時間。沼田ICから一番近いスキー場、川場。
ベースエリアの標高が1250m、山頂で1870mと関東圏のスキー場のなかでも高所に位置し、極上のサラサラ天然雪が降るとして人気の場所だ。広大なゲレンデの中には上級者から初級者までが楽しめるバリエーション豊かなコースが点在し、スキー場トップからボトムまでの総滑走距離は約3300mと超ロングランが楽しめる。
ハイクオリティのスノーパークや選手を多数輩出しているモーグルコースは腕を鳴らしたスキーヤー・スノーボーダーが集まり、日々質の高い練習や撮影を行っている。

川場スキー場マップ

この魅力あふれる川場をソチオリンピック ハーフパイプ銅メダリストで、現在はフリーライドの世界大会FWTを中心に活躍する小野塚彩那が訪れた。

この日の川場は放射冷却でグルーミングバーンも最高の仕上がり
小野塚彩那 ソチオリンピック ハーフパイプ銅メダリスト 現在は生まれ故郷の新潟県南魚沼市を拠点にフリーライドスキーで活躍中。次世代を担う若手スキーヤーへの指導や小学生へのスキー教室など育成にも熱心

小野塚が訪れたこの日は2月とはいえ、日中はスキー場の気温が10度を超えるようなポカポカの春陽気。「きっとお昼には雪が走らなくなってしまう」ということで、お昼まで全力で楽しむことにした。

近年川場は、スキー場のさらなる魅力を発掘するため、様々な新しい取り組みを行っている。その一つが、朝早く圧雪車に乗って山頂から滑るファーストトラック。もう一つが、パウダー&ツリーラン好きには堪らないツリーランコース「OFF THE PISTE」の開放だ。
これまでの川場の魅力にプラスして、コアな滑り手も満足するサービスが盛り込まれている。
今回はそれら新サービスを中心に滑ることにした。

7:30 早朝のゲレンデを独り占めする
極上の一本「ファーストトラック」

スキー場オープン前のゲレンデを圧雪車で山頂まで上がり、雄大な景色を眺めながら滑走できるファーストトラック。だれのラインも入っていないコーデュロイの斜面を颯爽と駆け抜けることができるとあり、大人気の取り組みのひとつとなっている。
予約制のサービスだが、最少催行人数1人から可能で、最大25人までと上限も広い。
圧雪車の中はベンチが設けられて快適な乗り心地。通常であれば乗ることのない乗車体験も魅力的なものだ。約20分間の乗車で山頂に到着する。
料金は一人当たり2000円(朝食券付き)

川場のキャットツアーは初めてと言う小野塚
スキー場トップからは透き通るような青空と景色が望める
まずは緩斜面の滑り出しを足慣らし的に滑り出す
クリスタルコースの一枚バーンを大回りで滑る

8:30 新登場のツリーランエリア
OFF THE PISTE

ファーストトラックでの極上の一本を滑った後は8:30からスキー場オープン。まずは昨季からオープンし、今季人気沸騰中のツリーランエリアへ向かう。
撮影日の数日前から晴れが続いていたため、パウダースノーには出会えなかったが、場所を選べばノートラックもある。
つまり降雪があれば、広いツリーランエリアだけに食い尽くせないほどのパウダーが眠っているということだ。

「イタリアのドロミテみたい!」とお気に入りのロケーション。木々の間隔は広いところもあれば狭いところもあり、滑り手の選択次第で楽しめる
連日晴れ間が続いていたが、川場の雪質ならノートラックの上はまだまだ滑りやすい
木々が開けた場所もある。ツリーラン初級者には易しい環境だ
ツリーランエリアの入り口には看板が立っている

OFF THE PISTE(OTP)は3カ所あり、下マップの水色部分のような配置になっている。
OTP1はクリスタルエクスプレスを下りて少し下った場所にあり、緩やかな斜面と木々の間隔が広い、入門的なツリーランにぴったりのコース。OTP2は高手スカイラインの途中に入り口があり、比較的スティープなツリーランが楽しめる。
そしてOTP3は白鳥エクスプレスに乗った先にあり、木の中を駆け抜けるというより、木もまばらな開けた場所を滑り、地形の起伏もあるフリーライディングな斜面だ。

OFF THE PISTE を滑走の際は特別講習の受講と、合意書への署名が必要になる。滑走の際は受講署名と引き換えにもらう「腕章」が必要になるので、滑走の際は注意しよう!

10:00 壁、バンクが面白い
川場らしい地形遊び

川場の魅力はファーストトラックやツリーランに留まらない。ゲレンデ内の至る所に壁やバンクがあり、普通に滑るだけでも面白いのだ。
高手ダウンヒルコースにあり、迂回コースのようなS字の地形に合わせてバンクが設置されている。当て込んでスプレーを上げるも良し、カービングで重力を感じながら突き抜けるも良しと、遊び方は無限大。
壁はマップのこの箇所がオススメ。

左右にそり立つ壁は何度滑っても飽きない。場所によってはジャンプも可能で、フリーライドの要素が十分に詰まっている。自分なりのラインを見つけて滑りたい。

飛べそうな壁を見つけてジャンプする小野塚。ハーフパイプ仕込みの技術が活きる
綺麗にシェイプされたバンクはとくにスノーボーダーに人気だ

11:00 ハイクオリティが揃う
スノーパーク&モーグルコース

川場と言えば、フリースキーヤーから大人気のスノーパークとコブコースを忘れてはならない。
川場には三種類のパークがあり、それぞれ「FLUX PARK」「THE EASY PARK」「THE FREE RIDE PARK」となっている。
FLUXパークは川場のメインパークともいえるハイクオリティのアイテムが揃う。10mキッカー、4mキッカー、ヒップ、レインボーレール、フラットダウンボックス、鉄球など、ジャンプからジブまで上級者も満足するレイアウト。毎月設置内容が変わるというのも、飽きずに楽しめるポイント。
桜川コースの上部にあるTHE EASY PARKは桜川エクスプレスリフトを下りてすぐの場所。初級者も気軽にトライできるよう4連ウェーブ、ナローボックス、ワイドボックスなどが設置されている。
そしてフリーライドパークはクリスタルコースの終点にあり、ゲレンデ内の壁を楽しんだあとに入るのがオススメ。そうすれば、自然地形の壁、人工的に作られたバンクでジャンプやスラッシュなど流すように楽しめるのだ。

人工的な壁やバンクがあるフリーライドパーク
中~上級者が楽しめるFLUX PARK

そして川場と言えば、日本代表を何人も輩出してきているモーグルコース。
無名峰トリプルリフトへ乗って無名峰の山頂へ。
コース向かって右側には国内トップ選手が練習するモーグルバーンが設置されている。そして左側には一般スキーヤーでもトライしやすいコブ斜面があり、練習に最適な環境が整っている。

久しぶりのコブ斜面を滑った小野塚は太ももに丁度いい疲労感を感じて、しばしその場で休憩。

久しぶりに訪れたという小野塚は川場の魅力についてこう語ってくれた。

「川場は今回で3回目です。一度、サラッサラのパウダーの日を滑り、川場のポテンシャルの高さに驚きました。今回は初めてのファーストトラックへ。滑走距離も充分で、これはかなり贅沢なサービスだなというのが第一印象。綺麗に圧雪されたグルーミングバーンが最高に気持ちいいですね。
川場はコースのバラエティが富んでいるのがいいですね。景観も良くて、スキー場トップのさらに奥にある剣ヶ峰山をバックに撮ったツリーランエリアでの写真はまるでイタリアのドロミテを思わせるような1枚に!日本じゃないようなロケーションは海外を旅してきた私には心躍る光景でした。
関東圏から近いことと、私が住む湯沢エリアからも約1時間でアクセスできるので非常に好立地です。
施設内にはレストランの他にカフェやクレープなどアフタースキーにも嬉しいスイーツもあったりで疲れた体も癒されますね!」

朝からお昼までほぼ全コースを滑り切って様々バリエーションの斜面を楽しんだ小野塚。滑り終わった後はスキー場のベースにあるレストランでお昼ご飯を食べて、帰ることに。

センターステーションのKAWABA CITYにはインドカレーやラーメン屋、大容量のレストランなど様々なショップが入る。一角にあるのはスキーヤー御用達のJOCKS。


ひとつのスキー場でファーストトラック、ツリーラン、壁遊び、バンク、パーク、コブ斜面と様々なバリエーションが楽しめる川場。しかもわずか半日足らずでそのすべてが満足に楽しめるコンパクトさが最大の魅力だ。

Photo / Daniel Honda

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