青森・秋田・岩手・宮城・山形・福島県から成る東北エリアは広域にスキー場が点在している。大陸から吹き出す冷たく乾燥した季節風は日本海を通過しながら雪雲を発生させる。この雪雲が東北の背骨といわれる奥羽山脈とそれに続く越後山脈にぶつかり、大量の雪を降らせることで、東北の内陸部には豪雪額が多い。その位置や地形によって個性的なスキー場をピックアップして紹介しよう。
東北エリアは通好みのする山ばかり
東北エリアのスキー場は、 内陸部に集中し、湿気の少ない引き締まったドライパウダーが大量に降り積もるのが共通した特長。都心からの距離でいえば、決して近いとは言いがたいが、それでもスキーヤー・スノーボーダーたちが東北エリアの山に魅せられる理由は、やはり他では味わえない滑りごたえとフィールドを滑る人数の少なさがあるからだ。
八幡平のパウダーなどは、北海道の質にも劣らないとして、海外スキーヤーたちの憧れの地となっている。 とくに山形蔵王や青森八甲田では神秘的な樹氷が見られたり、 福島の猪苗代湖も美しい。また、付近には風情あふれる温泉地も多い。
滑りがメインの目的でも、やっぱりみちのくの旅はどこか情緒的だ。自分の「とっておき」を見つける意味でも、東北エリアは開拓し甲斐はありそうだ。
ツリーラン・非圧雪エリアがどんどん開放される
安比高原スキー場|APPI KOGEN
標高1,304mの独立峰・前森山に21本のコースが放射線状に広がり、コースの半数は2km以上とロングでビックスケールなのが安比の特長。それをカバーするように機動力に優れたゴンドラやクワッドリフトが要所にレイアウトされているので、コース間のアクセスも軽快だ。
積雪量は極端に多くないものの、地形的条件と北緯40度の恩恵から、安比の雪はキメが細かく固まりにくい。この上質のパウダーが長い距離で楽しめるとあって、フリースキーヤーに人気を集めてきた安比だが、近年、非圧雪とツリーランエリアがどんどん拡大され、いまでは6エリアもある。
非圧雪コースは降雪のないときはひしめくようなコブ斜面と化し、チャレンジ精神を掻きたてられる。降っても降らなくても満足度ビックなのが安比だ。
トップ標高 1,304m | 最長滑走 5,500m | 標高差 684m | 最大斜度 34° |
コース数 21本 | リフト 9本 | ゴンドラ 1基 | ロープウェー -本 |
◆公式HP/https://www.appi.co.jp/ski/
ドカ雪を心ゆくまで堪能できる6つのツリーランエリア
夏油高原スキー場|GETO KOGEN Ski Resort
岩手県の南西部に位置し、東に北上山地、西に奥羽山脈をしたがえる夏油高原。その地形はドライなパウダーをたっぷりと降らせ、「積雪量本州一」を記録するくらいというから驚きだ。夏油の代名詞でもある豪雪を、惜しげもなく開放してくれるのが、夏油のすばらしいところ。
2本のゴンドラと5本のリフトで14本のコースを擁するが、 2015年からツリーランエリアを積極的に年々拡大し続け、そのアグレッシブな取組みでパウダーフリークの絶大なる支持を集めてきた。現在のツリーランエリアは13。それぞれ変化に富んだ地形を活かしたコースで、このように美しい森のなかでパウダーライデングを楽しむことができる。これは夏油の醍醐味だろう。
また、圧倒的な積雪量を活かしてシーズンの早い時期から20種類以上のアイテム数と行き届いた整備を誇るクオリティの高いパークも備えている。パウダーもパークも東北屈指で、「東北に夏油あり」と言わしめている。
トップ標高 1,070m | 最長滑走 2,980m | 標高差 430m | 最大斜度 36° |
コース数 14本 | リフト 3本 | ゴンドラ 2基 | ロープウェー -本 |
◆公式HP/https://www.getokogen.com/winter/
サイズは小でもコアなファンを集める魅力は大
八幡平リゾート パノラマ&下倉|HACHIMANTAI RESORT
岩手山の北側に広がる山岳リゾートは、パノラマスキー場と下倉スキー場の2パートに分かれている。2つはシャトルバスで行き来ができるが、タイプは全然違う。温泉リゾートでのんびりするのにはパノラマだが、滑り派には下倉だ。
下倉のリフトはわずか3本。規模は大きくないが、ここへ熱心に通うファンは多い。東北のドライパウダーという雪質はもちろんながら、コースがとびきりよいからだ。「ダイヤモンドコース」は1,000mの一枚バーンで最大斜度が37度、非圧雪なので、フレッシュスノーが降った後は間違いなくオーバーヘッドが味わえる。
積雪が少ないときは手強いコブ斜面やラフな変化に富んだバーンとなり、攻略のモチベーションが上がる。刺激的なコースがコアなスキーヤーを虜にするのだ。
トップ標高 1,130m | 最長滑走 2,700m | 標高差 590m | 最大斜度 37° |
コース数 14本 | リフト 7本 | ゴンドラ -基 | ロープウェー -本 |
◆公式HP/https://www.hachimantai.co.jp/winter/
■八幡平リゾート パノラマ&下倉おすすめ映像
6ヶ月ものロングシーズンと本州最高級のパウダー
天元台高原|TENGENDAI KOGEN
山形県の天元台高原スキー場は、2,000m級の奥羽山脈の南部に位置する。トップ部の標高は1,800mを超えているうえ、北向き斜面なので「本州最高級のパウダー」と言われる雪質自慢も納得だ。そのため例年12月上旬から5月GWまで6ヶ月に渡るロングシーズンを誇っている。
駐車場のある山麓からロープウェイで標高差1,350mの高原へ一気にアプローチ。スキー場はその先に広がっており、さながら「天空のゲレンデ」の趣きだ。 樹氷も見られる美しい景観も天元台を特別なものにしている。
自然の地形を生かした縦長に展開するレイアウトはバラエティに富んだ斜面となっており、非圧雪のパウダーゾーンも開放されている。ゲレンデからバックカントリーに出られる環境もある。ハイシーズンには6kmもの超ロングランも楽しめる。首都圏からはちょっと距離があるが、出かける価値は十分だ。
トップ標高 1,820m | 最長滑走 6,000m | 標高差 900m | 最大斜度 32° |
コース数 4本 | リフト 4本 | ゴンドラ -基 | ロープウェー 1本 |
◆公式HP/http://www.tengendai.jp/winter/w-event.html
ミクロファインスノーなる超微粒雪が降る
星野リゾート ネコマ マウンテン|HOSHINO RESORTS NEKOMA MOUNTAIN
ネコマ マウンテンの位置する裏磐梯は日本有数の豪雪地帯で、12月上旬から約5ヵ月のロングシーズンを誇る。1,000mの標高に、北向きの斜面は、猫魔独特のミクロファインスノーと呼ばれる超微粒子雪を積もらせる。それが樹木について、猫魔の象徴的な美しい「霧氷」の景観を生み出している。
この一帯はまとまった量が降ることが多く、4月でもミクロファインスノーがたまったパウダーライディングにあやかれることもある。非圧雪コースが充実していて、トップ部の「ディープ1」はその名の通りディープかつスティープなパウダースポットだ。ゲレンデはボトムから3方向に延びるレイアウト。ゲレンデの40%が上級者向きというハードバーンは滑り応えたっぷり。
また、パークもネコマの名物。シーズンの経過とともにパークのアイテムやレベルが変化する。3月には世界大会レベルのスロープスタイルの大会も開かれるハイスペックなパーク「ネコマステップアップパーク」も出現、プロたちもトレーニングで集う。
南エリア(旧:アルツ磐梯)は山の南側に位置し、'23-24シーズンはついに南と北を繋ぐ連結リフト「ニャルツチェア」が完成。もちろん800mの雪上徒歩ルートも残されており、磐梯山や猪苗代湖を望むパノラマビュー、陽射し差し込む広大なゲレンデを楽しめる環境に変化を遂げた。
トップ標高 1,337m | 最長滑走 2,500m | 標高差 580m | 最大斜度 33° |
コース数 33本 | リフト 13本 | ゴンドラ -基 | ロープウェー -本 |
◆公式HP/https://www.nekoma.co.jp/
■星野リゾート 猫魔スキー場おすすめ映像
リフトはすべてフード付き、滑り・泊まりと超快適
EN RESORT Grandeco
グランデコスノーリゾートがリブランディングオープン! ハイソサエティでラグジュアリーな「EN RESORT Grandeco Hotel」を構えるリゾートでありつつ、滑りのクオリティも備えているのがグランデコの魅力。ベースの標高は1,000mを超えることで、上質の雪とロングシーズンが楽しめる。
ゲレンデは約2.4kmのゴンドラが基軸。その他のリフトはすべてフード付きクワッドというのもグランデコの特長。機動力が高く効率よく滑れ、かつ寒い思いをしなくていいのもスキーヤーフレンドリーでありがたい。非圧雪のパウダーゾーンが拡大し、さらに楽しさがアップ。子どもでも遊べる「スロープパーク」も充実した。フードコートのカフェ専門店も要注目。機能性のハード面と滑りのクオリティのソフト面の融合した贅沢なスキー場といえる。
トップ標高 1,580m | 最長滑走 4,500m | 標高差 580m | 最大斜度 33° |
コース数 11本 | リフト 4本 | ゴンドラ 1基 | ロープウェー -本 |
◆公式HP/https://www.grandeco.com/winter/
■グランデコスノーリゾートおすすめ映像
毎日ナイターも楽しめる仙台シティゲレンデ
スプリングバレー泉高原|SPRING VALLEY
仙台の市街地から車でわずか40分ほど、標高687mにある都市密着型のスキー場。泉ヶ岳の北側斜面に位置するので天然雪の雪質もよいが、積雪量を補うためにスノーマシンも併用。おかげで常に安定したグッドコンディションを保っている。
ゲレンデは18haとコンパクトながら、リフト4本で12コースが滑れるレイアウト。なかには36度の急斜面コースもある。スノーパークも豊富なアイテム数を誇り、宮城県内の名物的存在だ。さらにココの売りは毎晩22時まで営業のナイター。金&土曜の夜ならば23時まで滑れるというから仕事帰りでも十分に楽しめるのだ。
トップ標高 959m | 最長滑走 1,450m | 標高差 272m | 最大斜度 36° |
コース数 12本 | リフト 4本 | ゴンドラ -基 | ロープウェー -本 |
◆公式HP/https://www.springvalley.co.jp/winter/
■スプリングバレー泉高原おすすめ映像
【東北エリアのスキー場】
- 安比高原
- 夏油高原
- 八幡平リゾート パノラマスキー場&下倉スキー場
- 天元台
- 星野リゾート ネコマ マウンテン
- グランデコスノーリゾート
- スプリングバレー泉高原
- 雫石
- 蔵王温泉
- 会津高原たかつえ
- オニコウベ
- あただら高原
※2024年1月末時点での情報です。詳細は各スキー場の公式HPをご参照ください。