Location : Nozawaonsen
ナチュラルテレインのおもしろさにハマる
フリーライディングの面白味のひとつは、変化に富んだ地形を滑ること。自然そのままの地形、いわゆるナチュラルテレインは、フリースキーヤーにとって大好きな遊び道具。
滑り手の遊びゴコロをくすぐり、子どもの頃に戻ったようなワクワク感や好奇心を湧き上がらせる。目の前の豊かな地形を前にすると、「どうやって遊ぼう?」という想像力を掻き立てられて、楽しくてたまらなくなるのだ。
沢、林間、ジャンプ、マッシュ、ログ、バンク、うねり、ウェイブ、コース脇の壁・・・どんなラインで滑る? どんなパフォーマンスができる? そんな思いにかられる地形の豊かなスキー場を、そのおもしろさにハマったというライダーやスノー業界の滑り手に選んでもらった。
自然地形がおもしろいスキー場8選
[北海道]ニセコモイワ
森の中に隠されたBCさながらの自然地形
スキー場エリア内の森の中はすべて滑走することができ、そこはバックカントリーさながらの自然地形の宝庫。「モイワのバックボウル」といえば北海道好きなフリーライド派で知らない人はいないほどの有名スポット。ナチュラルパイプにマッシュやログ、ジャンプにと、まさにナチュラルパーク。それがリフト回しで何度でも繰り返し楽しめるから満足度がハンパない。
山のサイズはコンパクトながらも、ぎっちりと地形変化の詰まったモイワは、どこをどう滑っても楽しい。自然の地形で遊ぶことの楽しさに目からウロコの落ちる山だ。それでいて雪は世界に誇るJAPOW(ジャパウ)の極上パウダー。モイワはニセコエリアの中でも特に積雪量が多いため、ディープなパウダーライドも叶う。もう夢のようなフィールドだ。
■コースマップ
トップ標高 839m | 最長滑走 2,200m | 標高差 400m | 最大斜度 35° |
コース数 8本 | リフト 3本 | ゴンドラ -基 | ロープウェー -本 |
◆公式HP/https://niseko-moiwa.jp/ja/
[北海道]ルスツリゾート
サイドカントリーパークは地形遊びの宝箱
日本海から流れ込む湿気を羊蹄山が遮ることで、特別ドライなパウダーが12月~2月は断続的に降り積もるルスツリゾート。毎日のように新雪でフェイスがリセットされ、パウダーヒット率も高い。その上、ルスツの魅力を際立たせているのが豊かな自然地形を持つ美しい森だ。
ルスツリゾートには、海外のフリースキームービークルーを大喜びさせる「サイドカントリーパーク」がある。コースの横の森に、ナチュラルログを使ったジャンプ台やレインボーレイルなどが設置されていて、上の写真のようなフォトジェニックな絵が撮れるのだ。欧米の雪のいいエリアは標高が高いため、オープンバーンになることが多い。広葉樹の森で極上パウダーが積もるフェイスが、自然地形豊かで遊べるオブジェクトもある、なんて環境は、なかなかない。ナチュラルテイストたっぷりのパークは、パウダーとツリーランとパークを一度に味わうことができるHappyプレイスだ。
’20₋21シーズンは休場していたが、’21₋22シーズンは嬉しい営業再開。 2022年1月中旬 ~ 2022年3月中旬の間、楽しめる。
トップ標高 1,023m | 最長滑走 6,000m | 標高差 683m | 最大斜度 38° |
コース数 15本 | リフト 9本 | ゴンドラ 1基 | ロープウェー -本 |
◆公式HP/https://rusutsu.com/
[北海道]サッポロテイネ
北海道には珍しい豊富な急斜面
30度オーバーの急斜面が曲がりながら連続する女子大回転コースも有名だが、フリースキー派にとっては、テイネといえばなんといっても北かべコース。最大斜度36度の非圧雪斜面で、地形変化のあるツリーラン、1500㎡ものロングライドだ。これにはエキサイトが止まらない。降雪後は「Steep&Deep」なオーバーヘッドの深雪ライドが楽しめる。「後戻りできないので自信のない方はご遠慮ください」と公式HPで表現されるほどのチャレンジングなコースだ。
北かべに限らず、全コースがおもしろいという声も。北海道には珍しい多くの30度超えの急斜面や沢地形が凝縮されていて、山全体はコンパクトながら、1日中滑っていても飽きることがない。三浦ドルフィンズの本拠地で、佐々木大輔や児玉毅など、数々の名スキーヤーを育てた豊かな地形は今も健在だ。
■コースマップ
トップ標高 1,023m | 最長滑走 6,000m | 標高差 683m | 最大斜度 38° |
コース数 15本 | リフト 9本 | ゴンドラ 1基 | ロープウェー -本 |
◆公式HP/https://sapporo-teine.com/snow/
[長野]野沢温泉
スキー場のすべての地形が豊かで面白い
滑走面積は単体のスキー場としては日本で指折りの大きさ、そして標高差は実に1085m。ゲレンデがとにかく広い、滑走距離が長い、自然の地形が豊富なのが野沢温泉の特長で魅力。3本の尾根に開かれたロングランコースと大きな急斜面バーンが特徴的だが、リフトの配置が実に適切なため、うまくいろいろなコースに流れ込むことができ、リフトでクルクル回すことができる。沢形状、樹々の間、コース脇の緩やかな地形変化など、至るところの自然のままの地形がとにかく楽しい。パウダーの時期はもちろん、長い春シーズンも楽しい。
代表格はやまびこゲレンデの自己責任特別エリア内だ。ここには質の良い雪が降り積もり、シーズンを通して積雪量も多め。豊かな起伏がうねりを生み、まるでナチュラルなハーフパイプのようで飛べるポイントがいくらでもある。バンクドスラロームの如く起伏をなめて板を走らせるパートもある。
ロープやネットさえくぐらなければ、どこを滑っても必ずコースに戻れるだけに、リフト回しで滑っていて飽きない場所だ。ただし、ここは「自己責任エリア」となっているので、立ち木やリフトに支柱にぶつかって怪我をしてもスキー場には責任がない。そうした点を前提に開放されている。
■コースマップ
トップ標高 1,650m | 最長滑走 10,000m | 標高差 1085m | 最大斜度 39° |
コース数 44本 | リフト 19本 | ゴンドラ 2基 | ロープウェー -本 |
◆公式HP/http://www.nozawaski.com/winter/
[長野]白馬岩岳
白馬ローカルが密かに愛する自然地形の宝庫
ビッグゲレンデひしめく白馬では比較的地味な存在だが、自然地形のおもしろさをそのままに残したゲレンデ設計が岩岳の実は大きな魅力。ローカルたちがHAKUBA VALLEYで大切にしている地形天国といえばココなのだ。
岩岳のゴンドラノア1本分に当て込みポイントが続き、巨大バンクが連続するVIEWAや、最大斜度約30度のHIKAGE、沢コース、DANGANなど、まさに自然地形の宝庫だ。大きなボウル、うねりのある尾根や沢などは非圧雪でフレッシュスノーが降った後は最高のパウダーエリアになる。非圧雪コースは年々拡大を重ね、現在は7コースにまで広がった。岩岳のすごいのは、これらがゴンドラ回しで滑れるところ。
■コースマップ
トップ標高 1,289m | 最長滑走 3,800m | 標高差 539m | 最大斜度 35° |
コース数 26本 | リフト 9本 | ゴンドラ 1基 | ロープウェー -本 |
◆公式HP/https://iwatake-mountain-resort.com/winter
[長野]八方尾根
国内屈指のダイナミックな滑走感とカベ天国
標高差は国内屈指の1,071m、 ゲレンデトップから滑り降りるラインは、大きく分けて5本。いずれも中斜面と急斜面が相次いで現れる連続した斜面構成で、タラタラした"つなぎ"部分が少ないのが最大の特長。滑っても滑っても、まだその先に滑り応えのある斜面が続く。そのダイナミックな滑走感は国内随一だろう。
八方をとりわけ有名にしてきたのが兎平のコブ斜面だが、斜面の向きや起伏変化などのバリエーションが実に豊富なことも八方の魅力。パノラマ横とリーゼンの長い迂回コースはバンク地形でカベ天国だ。リーゼンは標高差800m、幅広のロングコースは地形変化もありながらなんと全長3000mものロングライドが楽しめる八方の看板コース。また、オリンピックコースⅠは、コース造成の際、木を切る以外に手を加えていないため、ほぼ天然状態の地形のままで、ここも楽しい。
白馬ローカルのプロたちからも「地形遊び天国」と名高く、どこをどう滑っても飽きないスキー場だ。
■コースマップ
トップ標高 1,831m | 最長滑走 8,000m | 標高差 1,071m | 最大斜度 35° |
コース数 14本 | リフト 20本 | ゴンドラ 1基 | ロープウェー -本 |
◆公式HP/https://www.happo-one.jp/
[長野]斑尾高原
ツリーランに加えナチュラルな地形ポイントが勢揃い
斑尾高原は起伏が豊かな地形を活かしたコースレイアウトが特徴。とくに木々の間を滑るツリーランコースは、バラエティに富んだ12ものコースがあり、その数、クオリティともにツリーラン日本一とも名高い。
スキー場エリア内の林に手を入れて、年々非圧雪コースを増やしてきた斑尾。その規模は圧雪コース数に匹敵するほどにもなっており、当然、整備されていない自然の地形のままで、変化に富んだナチュラルなヒットポイントがたっぷりだ。自然地形を滑るのに、抜群の環境が整っている。
■コースマップ
トップ標高 1,350m | 最長滑走 2,500m | 標高差 440m | 最大斜度 37° |
コース数 31本 | リフト 11本 | ゴンドラ -基 | ロープウェー -本 |
◆公式HP/http://www.madarao.jp/ski
[群馬]丸沼高原
ゴンドラまるまる1本分の当て込みバンク天国
群馬エリアは自然地形で遊べるスキー場が複数あるが、中でも際立つ存在が丸沼高原だ。そうさせているのは「流れながら遊べる」コースデザイン。豊かな自然地形を活かしたさまざまな種類の壁があり、それがゴンドラ1本分もあるのだから「当て込み天国」だ。日々変化する雪質とのコンビネーションで、いつ行っても壁は違う状況のため、新鮮で飽きることがない。ゴンドラ回しができるため、クルクルと1日中地形遊びに夢中になってしまう。
なかでも滑り派に一番面白いと絶賛されるのが、ロープウェイ山頂駅から麓までの4kmのロングコース。自然地形に沿いながら、左右の壁をリズミカルに当て込みながら滑れる。流れる水のように、漂い遊びながらライディングする4kmのダウンヒルは、地形遊び王国丸沼のシンボルだ。
■コースマップ
トップ標高 2,000m | 最長滑走 4,000m | 標高差 600m | 最大斜度 32° |
コース数 13本 | リフト 8本 | ゴンドラ 1基 | ロープウェー -本 |
◆公式HP/https://www.marunuma.jp/winter/
他にも選ばれた地形のおもしろいスキー場
北海道 | 和寒東山 | 旭川市と名寄市のほぼ中間。市民スキー場レベルを超えた圧雪技術で、コースコンディションは最高品質 |
北海道 | ニヤマ高原 | 函館近くのスキー場。パウダーに当たったら地形的にでっかく飛びまわれる |
北海道 | ニセコHANAZONO | ストロベリーはいくつものマッシュがあって連続して飛べる |
岩手 | 八幡平下倉 | コンパクトながら滑り手のセンス次第で遊び方が無限になる地形多し |
新潟 | 関温泉 | 落ちるところ、飛べるところ、当て込めるところ、創造性が問われる |
新潟 | GALA湯沢 | 午後から開く2.5kmの下山コース。滑る度に地形が変わって飽きない |
長野 | ヤマボク | リフトは2本ほどしか動いていないが、ナチュラル地形と非圧雪には大満足 |
長野 | 竜王スキーパーク | 両脇に林が広がるタイトなコース木落。起伏で飛びまくれる! |
岐阜 | 高鷲スノーパーク | ダイヤモンドコースは降雪状況によって起伏が大きく変わるので楽しい |
自然地形を遊ぶ・滑るときのポイント
とにかく周りを見渡す
自然地形を楽しむためには、まず地形変化を探すことから始める必要がある。リフトに乗っている時からリサーチを開始。コースを俯瞰しながら、起伏、壁、片斜面、ギャップなど、あちこちを見回して、何があるかを確認。
大切なのは、視界を広く保つこと。視線を上げれば、滑りの安定感が増すし、次から次へと目につく面白そうな地形を見つけやすくなる。
斜面変化をあらかじめ予測する
手つかずの自然の地形だけに、斜面は変化に富んでいることが多い。よって基本的な心構えとして、常に変化を予測して動くとよい。
壁全体を見渡し、まず入口から出口まで滑るラインをイメージ。最初は少し早いかなと思うくらいの速度で進入。壁を上っていく時のスピードの落ち具合をチェックできれば慣れるに従ってスピードを出してみよう。速く滑るほど横からのGを体感でき、3D地形のおもしろさにハマるかも。
あらゆるラインを試してみる
例えば壁にはさまざまな角度があり、斜面状況もいろいろだ。それらの状況に応じて、進入角度、ターン弧、カービングやスライド、スピードなど、ありとあらゆるラインを試してみたい。深く切れ込んでカービングターンをすれば頂点部分に当て込みができるし、リップでちょっと飛んでみるのもいい。