小樽(北海道)に拠点を置いたBCスノートリップの魅力|STEEP読者レポート

ユーザーが自ら体験したことは、他の人にとっても貴重な情報になるはず、ということでスタートした読者レポートの第3弾。スキー歴20年、バックカントリー歴7シーズン目のYOSHIさんに、小樽ベースで厳冬期の2月の「ニセコメッカ小樽ツアー」に参加した旅をレポートしてもらおう。

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スノートリップトリップの拠点としての小樽


もしも4日間、パウダー狙いでスノートリップをするならどこに行きますか? 僕は、地方の街も山も両方楽しみたいので、山の近くというよりは山に近い街を選んで、そこを拠点に周囲の山を滑走します。山に近い街に拠点を置いて滑る楽しさは、なんといっても地域を丸ごと感じられる点ではないでしょうか。地元の人々との触れ合いと、食の魅力、街ごとに違う文化。スノートリップにこれがあるだけで格段にクオリティーが上がります。

今回選んだ行先は、運河やオルゴールで有名な「小樽」。新千歳空港からアクセスがとても良く、約1時間20分です。東京からの前入りも、羽田の夕方または夜発の便で問題なし。

冬の小樽運河は観光客がいっぱい

小樽の一番の魅力は、周辺の山々の恵まれた環境です。車でわずか10分以内で小樽天狗山ロープウェイへ、60分以内でキロロリゾートから札幌国際スキー場までアプローチできる。毎日の天候や降雪状況によって、豊富な選択肢から滑る場所を選べるのです。そして、これらの近隣スキー場の横には、余市岳を筆頭に魅力的なバックカントリーフィールドが広がっています。

そして、食も猛烈に良い! 小樽といえば海鮮丼やお寿司で有名ですが、新鮮な海の幸が存分に楽しめることで、海鮮好きにはたまりません。飲食店は観光客向けが多いので、事前に地元民に愛されている〝通″なお店を知っていれば、さらにご満悦の夜が過ごせます。このように、スノートリップの拠点に大事なものが揃っている小樽こそ、まさに拠点にしないのがもったいない街ということを、今回しみじみと体感しました。

NisekoMeccaの小樽ツアー

参加者の皆さんと。この日は石狩湾が一望できる絶好の山日和

今回は小樽に滞在しながら、前から狙っていた、ニセコメッカさんの小樽ツアーに参加する機会に恵まれました。ニセコメッカは、その名の通りニセコがベースではありますが、北海道全域でガイディングサービスを展開しています。12月は旭川、2月は小樽エリア、3月は富良野岳、十勝岳ガイドツアーなど、その時期にいい雪がある場所でツアーが開催されています。

小樽ツアーは、参加者は小樽市内または、車で集合できる場所に宿泊し、現地集合または、ガイドの送迎というスタイル。これなら本州から来て車のない僕のような参加者でも気軽に利用できるのが大きなメリットです。今回のツアーも、多くの本州からのリピーターで賑わっていました。

ニセコメッカのメインガイド、タナーこと田中久敬さんには、僕がバックカントリーを始めたばかりで、キックターンも辿々しい頃から夫婦でお世話になっています。かれこれ7年来のお付き合いになるので、ツアーに参加する度に少しずつ技術面も伸ばしていただけるのもありがたいところです。

とにかく滑る!|Day1

'23-24シーズンの2月はとにかく難しい月でした。南岸低気圧がやってきては、その後大雪の繰り返し。2月22日から入った小樽も数日前まで雨でしたが、この日から猛烈な雪! 

そんななかでツアー1日目は、メローなツリーエリアからスタート。とにかく雨が降ったアイスバーンの上に大量の軽いパウダースノーが積もっていて、ストックで突くと、一気に氷の層に当たってしまう状況で、この日はのんびり里山バックカントリー。けれど、そこはガイド タナー! ガシガシ登り返してたくさん滑ったのでした。

メローなラインを何度も登り返して、全く抵抗のないパウダーを滑りまくり、お昼を過ぎたあたり。だんだん新雪とベースが結合してきたようで、ストックを突いた後ガリっという音がなくなってくる。最後の一本は少し斜度を上げてディープなパウダーを滑る。この日は、一日を通して、新雪がベースと結合していく間の感覚の違いを体感して、学びの多い1日でした。

アイスバーンの上にパウダーが乗るコンディションのためメローなラインセレクト

リラックス空間の小樽OMO5 by 星野リゾート

実は僕は小樽に泊まるのは初めて。いつも旭川でお世話になっている星野リゾート系列のOMO5小樽 by星野リゾートにお世話になりました。選んだ理由はただ一つ、施設がスキーヤーに優しく、ベッドが丁度よく、よく眠れるからです。

早速ロビーでチェックイン

OMO5小樽 by星野リゾートは、実際に来てみると、昔の重厚な建築物と新しいホテル建築が融合していて、ちょっとしたレトロ感と、スマートなホテルがいい具合にミックスされたステキホテルでした。もちろん板置き場も完備、そこには旭川でお馴染みのWAX Barも発見!

このWAX Barでは、翌日のコンディションに合わせて、ホットワックスも入れることができるので、滑り手にはとてもありがたい環境。長期で周辺の山を滑るにも絶好な拠点だと思いました。

周囲のオススメ飲食店が紹介されているボード。ローカル情報も満載なので、これがとてもありがたい!
夜のレストランでのバータイム。レトロな雰囲氣が旅情をかきたてる

幻想的なパウダーコンディション!|Day 2

ツアー2日目以降は、札幌国際スキー場から、山岳エリアへ!夜中まで雪が降り続いていて、それはそれは樹林帯が美しい。雪を纏った木々というのはそれだけで美しく、そこに陽が射せばなんともいえない幻想的な空気感に包まれます。これは冬に山に来る人にしか感じることのできない特別な時間だと思います。

昨晩まで降り続いた雪が樹林にのっかり火を浴びて輝く道中

雪も1日目に比べればかなり沈降していて、コンディションも大きく変化。底付きも感じられず、昨日とはまるで違うパフパフなパウダーコンディションです。より板が走るコンディションに変化しました。このツアーを通じて、降ったばかりのパウダーコンディションから、賞味期限が切れる(きれた?)コンディションまで味わえたのは、都内在住者からすると本当にラッキーな経験でした。

メローな斜面からドロップイン
板がよく走って軽快なライディングができた
2日目2本目の斜面!コンディションが最高すぎてホウホウ星人が現れたのでした(次の写真をチェック)
「ホウ・ホウ~ッ!」

今回のツアーでは、余市岳には行かなかったものの、小樽市内から1時間以内でこれほどのフィールドにアクセスできる小樽の実力をまざまざと見せつけられ、すっかり魅了されたのでした。来季もまた来たい! そしてこれだけ条件の良い小樽のロケーションに、来季は小樽をベースに長期間、滑るのもいいし、「いっそのこと小樽市民になってしまう?」なんて考えてもしまうのでした。

小樽は夜も楽しさがとまらない

スノートリップといえば、少し時間を多くとり、腰を落ち着けて遠隔地の山を滑走するのが一番の楽しみですが、もう一つの楽しみといえば、滞在地の食と地元
の方との時間でしょう。

小樽市は目の前に小樽湾が広がり、山から見ると海が一望でき、海も山もある街です。いつも送り迎えしてくれた、テールガイドのマッケンジーさんに聞くと、有力な回転ずし屋さんが軒を連ね、みんなお気に入りのお店で小樽の海産物を食しているとのこと。ポイントとしては、東京では食べられない種類のお寿司のネタも多く、ぜひ味わってみてほしいとのこと。

まずは、OMO5小樽 by星野リゾートからほど近いところにある「すし処 一貫」さんへ。こちらは回らない寿司ですが、1人前5千円ほどでそこまで観光地価格でない!そして、割と地元の方々でにぎわっていて、まさに小樽ならではの寿司ネタが味わえるお店でした。ツボは写真のニシンのお寿司で、脂ものっていてめちゃめちゃ美味しい!ずっと美味しいとしか言わない時間が続き、2日目の夜は過ぎて行ったのでした。

初食のニシンのお寿司


最終日は、こちらも事前の予約していた「YUKIAKARI」さんへ。こちらはなんと、東京から移住したマスターが営んでおり、バーカウンターで飲んでいると、小樽の移住を促進されている方、北海道と東京を行き来しながら、お仕事をされている方がひっきりなしに出入りし、まるで人の交差点のようなお店。

雪国のバーらしいエントランス

隣に座られた方も交え、小樽に住む魅力や、課題など実際に住んでいる方にしかわからない情報をたくさんいただき、これは住めるのではないか?と思い始め
る。小樽の抱える大きな課題としては、観光地としての小樽が強すぎて、いわゆる地元民が飲み食いできるお店が少ないとのこと。YUKIAKARIさんの店主はこ
れをなんとかしたいと、お店を使いながら、地元の方々に来てもらえる店づくりをされているそうでした。

例を上げると、小樽のワインバーは通常、観光客向けに周囲のワイナリーのものを扱うが、地元の方はもっと様々な国のものを飲みたいので、ワールドワイドに
ワインを扱うなど、細かな配慮が地元の方を惹きつけていました。こういったお店との出会いもスノートリップのもう一つの魅力ではないでしょうか。

地元の食材と海外のワインを合わせる趣向

小樽を拠点に滑る魅力に浸った3日間

3日間を通して、小樽を拠点に滑る魅力、今の北海道の雪質の変化の仕方など多くのことを学び、また小樽を拠点に滑りたい気持ちが大きくなりました。それは、いい雪を滑らせたいと情熱を注ぐガイドの存在と、そのスタイルに共感するゲスト、そこに旅というエッセンスが加わることで、気持ちの豊かさが何倍にも膨らむからだと思います。

ぜひ、来季は信頼するガイドとじっくり拠点を構えて落ち着いて、その土地の雪と人と食を満喫してみてはいかがでしょうか?

REPORT :YOSHI(STEEP読者レポーター)

バックカントリーは7シーズン目。普段は東京でマーケティングの仕事に従事し、標高3,000mと水深30mの間を行き来するスキーヤー・ダイバー。当初はパウダーを滑ることだけに夢中だったが、ハイク中に見える山の景色、空気感、そして地方の山を訪れる旅に魅了され、さらにのめり込み、地方に第二の拠点を構えることを本気で考え中。

SPECIAL THANKS
ガイド:ニセコメッカ 代表:田中久敬氏
テールガイド:Niseko Makenzie SUP 代表:山北賢志氏

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