地元民からは「ムイカ」の名で親しまれるムイカスノーリゾートはファミリーや学生のスキー授業で訪れるイメージが強い。しかし、だからこそいまだに知られていないパウダースポットが眠っているのである。ムイカでこれまで隠されてきた、近年話題の広大なパウダーエリアをご紹介しよう。
ファミリースキー場こそ、知られざるパウダーが眠っている
新潟県南魚沼市にあるムイカスノーリゾートは、周辺を石打丸山、舞子、上越国際などスキーヤーならお馴染みのスキー場に囲まれている。ムイカの名前を聞いたことはあるが、実際に滑ったことはない。そんな人も多いだろう。近年、パウダースノーでメジャーなスキー場は競争率も激しくてリフト待ちも長く、満足に滑れないこともある。そこでローカルなスキー場に目を向ける人も少なくない。
そんな人々に熱い視線を注がれているのが、このムイカスノーリゾートだ。
ムイカは関越道六日町ICから車で5分の好立地にあり、天然温泉を擁したホテルにスキーイン・スキーアウトできる。その利便性の高さと緩斜面の多さからファミリーに人気のスキー場だ。
しかし、2021年に新設されたオフピステフィールドや管理区域外申請山岳コースは斜度、降雪量、地形変化の面白さからコアな滑り手たちの注目を集めた。なによりも、豪雪地帯にありながらパウダーを狙いにくる客層が少ないのだ。パウダーを滑るために早朝(深夜から)スキー場でスタンバイをして、リフトに並び、ダッシュする必要もない。そんな競争に疲れた人にぴったりのスキー場なのである。
バックカントリーさながらのオフピステフィールドへ
マップを見てわかるようにムイカは縦に長いスキー場である。先述したオフピステフィールドはリフトを2本乗り継いだ先の山頂部分にある。第3ペアリフトを降りてから10分ほどハイクアップしてノートラックの斜面を滑れる。パウダーを滑る人も少なければ、ハイクアップをする人はさらに少ないので、ほぼ貸し切れるというわけだ。雪が多い日はクライミングスキンやスノーシューを持ってきた方が安心だ。
1日のルーティンとしては朝イチは何本かゲレンデのグルーミングバーンで足慣らしをした後、ハイクアップでオフピステフィールドを滑ろう。オフピステフィールドはダイナミックコース、コンドルコース、イーグルコースの3つに分かれている。
ダイナミックコースは、オフピステフィールドのトップからまっすぐメインゲレンデに滑り降りるコースで、変化のある斜面でパウダーを楽しめる。コンドルコースは中斜面でパウダーを楽しめるコース。トラバースや多彩なラインどりが可能。イーグルコースは、オフピステフィールド外縁を降りるコースで1レーンだけ圧雪されている。後ほど紹介する管理区域外申請山岳コースへのアプローチはここから。
注目したいのはイーグルコース。最大斜度32度の急斜面もありながら距離は641mのロングランが楽しめる。本格的なバックカントリーでしか、これほどまで自由な面ツルバーンを楽しむことはできない。これがスキー場内でできてしまうのだから驚き。ここで数本はノンストレスでノートラックを楽しめるはずだ。
最初はどきどき? 管理区域外申請山岳コースへ
続いては管理区域外申請山岳コースへ。ここは事前にチケット窓口で申請が必要。1000円のデポジットと引き換えにもらう腕章を着用して滑る。滑り終えたら腕章を返却して1000円が手元に返ってくるシステムだ。
コースはスキー場の向かって右側の尾根づたい、オフピステフィールドをハイクアップしてイーグルコースの先にある。スキー場の古い資料によれば「MSコース」と呼ばれており、旧コースだったエリアだ。
ハイクアップゾーンを上がった先の山頂は標高748m、ベースからの標高差400m。山頂から管理区域外申請山岳コースをノンストップで滑れば全長1500mの超ロングランができるのだ。これはほかスキー場のリフトアクセス系バックカントリーエリアと比べてもかなり長い部類に入る。
エリアの境界線はコースの両脇にポールとピンクリボンが付いているので、そこから先に出ないよう注意が必要。
このエリアの特長は“斜度が緩い”という点。ハードな急斜面や密なツリーランができるような場所ではなく、広大で緩やかな斜面があり、楽しんでクルージングできるようなフィールドだ。もちろん部分的には急斜もあるが、難しい斜面ではない。ナチュラルな地形そのままの斜面で木々も少ない。標高は高くないながらも疎林帯の雰囲気も感じられる独特の場所。
これは本格的なバックカントリーを滑るのに不安を抱えている人や不慣れな人でも滑りに来やすく、最初の足掛かりとしてはうってつけのエリアなのだ。滑り終えたら、多少のトラバースを経てスキー場ベースの右手に出てくる。スキー場のトップからベースまで滑るので、滑りごたえも十分だ。一本滑り終えるのに少し時間もかかるため、何本も回せるイメージではないだろう。しかし、1本滑るだけでも十分にバックカントリーの雰囲気を感じられ、ナチュラルな地形を体験し、練習するのに十分な距離になるはずだ。
グルメや滞在も充実の環境
たくさん滑ったあとは、ホテル内のレストランで名物「かぶりつきタレカツ丼」でエネルギーチャージを。確実にパウダーを狙いたいのであれば、スキーイン・スキーアウトできる「むいか温泉ホテル」を存分に活用しよう。バイキング形式のレストランでは、季節に合わせた食材を使用した地産地消の和洋折衷が楽しめるほか、昨年、内装をリニューアルした客室は雰囲気良く、ホテル内にあり国民保養温泉地にも指定されている六日町温泉は、無色無臭で湯冷めしにくいと評判で体を癒すのにうってつけだ。
■Information
ムイカスノーリゾート
〒949-6636 新潟県南魚沼市小栗山2910-114
公式サイト:https://www.muikamachi.com/ski/
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