テレビニュース風のテロップが流れ、古いWindowsのデスクトップが映り、レトロゲームを思わせるライダー紹介カードに場面が切り替わる。これは、SuperUnknown 23から公開された『Walt's Mixtape』の冒頭である。エディットを手がけるのは、2010年前後にハーフパイプで活躍しX Gamesにも複数回出場したWalter Wood。引退後、彼はいまエディターとして映像の側に立っている。
映像を通してエフェクトが多用され、アニメの断片がサンプリングされる。Vaporwave以降のインターネット的なコラージュの感覚が画面全体に満ちている。
Vaporwaveとは、古いPC画面、テレビ、ゲーム、アニメ、広告の記憶を、過剰なエフェクトや歪んだ音像とともに再編集するようなインターネット発の表現のひとつ。BGMもジャンルを横断するように配置され、映像と音楽の異質な要素が違和感なく重ねられていく。素材の出自を問わずミックスしてひとつの流れに織り上げる、インターネット世代のDJ的な編集感覚がはっきりと伝わってきた。
しかし、滑走映像そのものは、アクションスポーツ映像としての作法を外していない。ランディングはメイクしたとわかるまで見せる。ランディングを省略するカットもあるが、それは間違いなくメイクしているだろうと思えるシンプルなトリックか、グラブや回転軸をスローモーションで見せるためのカットに限られている。
過剰なほど装飾的なエフェクトの裏側で、滑りそのものは正直に提示される。だからこそ、その上に重ねられたエフェクトやサンプリングが単なる装飾ではなく、作品全体の表現として機能している。
SuperUnknownはもともと、個人制作映像のコンテスト形式で次世代を発掘してきた企画である。23ではフィルマー側のコンテストFilmerUnknownが復活し、複数のフィルマーによるRecapが並ぶ多面的なフォーマットに変わった。同じセッションを別の視点から見られるようになった23のなかで、『Walt's Mixtape』はエディターの個性がとくに前へと出た作品だ。
スキーだけでなくアクションスポーツ映像にレトロフューチャー的なモチーフが取り込まれる動きは近年広がってきた。
しかし、イメージの借用にとどまらず、サンプリングやエフェクトの多用といったVaporwave的な手法まで全面的に持ち込み、なおアクションスポーツ映像の文脈にある作品はかなり珍しい。
長年ライダーを経験してきたWalterがエディターを務めることで、編集の自由と滑走映像としての信頼が、同じ一本のなかで両立している稀有な作品だ。

